2018年07月23日

横浜バレエフェスティバル2018

2018年7月21日(土)15:00 神奈川県民ホール

【第1部】フレッシャーズガラ

「スーブニール・ドゥ・チャイコフスキー」ジュンヌバレエYOKOHAMA

「アクティオンのヴァリエーション」  森春陽

「オーロラ姫のヴァリエーション」 升本果歩

「SOLO2」ジュンヌバレエYOKOHAMA

「ドン・キホーテよりグラン・パ・ド・ドゥ」栗原ゆう&松浦祐磨

第1部はプロを目指す若者の出演でしたが、目立っていたのは松浦祐磨くん。
ユースグランプリで優勝した自信とオーラ、コントロールの効いたピルエットが魅力的でした。

【第2部】ワールドプレミアム

「Dido and Aeneas」オステアー紗良 加藤三希央

オステアーさんが女性らしく、美しくて素敵でした。


「What We Did for Love」柳本雅寛 八幡顕光

柳本さんの作品はいつも面白いです。こういう作品をガラに入れるところがこの横浜フェスティバルの最大の特徴だと思います。

八幡さんを久しぶりに観ましたが、踊りは相変わらず上手なんですが、歌が声量もあってとても上手でびっくりしました。

新国立劇場を辞めて、劇団四季に入ったという噂ですが、歌のトレーニングをしているのでしょうか。


「グラン・パ・クラシック」金原里奈 二山治雄

金原さんは安定していました。組むには二山さんは少し身長が足りない感じでしたが、パリオペラ座での研鑽の成果でしょうか、細かい脚さばきがとてもきれいでしたし、体型も少しすらりとして変わっていました。

股関節の柔軟性と素晴らしい筋肉で、さっと飛んだ瞬間に180度開脚するのは凄いことだし、こんなダンサーめったにいないです。

パリオペラ座の外部試験では5位だったそうで、また短期契約を結んだそうですが、世界のトップに挑むだけの素質はあるダンサーです。


「シルヴィアよりパ・ド・ドゥ」菅井円加 ニコラス・グラスマン

皮のベストを着た円加さんが、あまりにも男前でカッコよくて、そして色っぽくて、この役は見事に彼女にはまっていました。

生き生きとした彼女のエネルギーあふれて、しかも精緻な踊りは、他に例える人がいません。実に魅力的です。

円加さんは絶対にハンブルグバレエ団のプリンシパルになりますね。もっと円加を観たくなります。


【第3部】ワールドプレミアム

「半獣」小池ミモザ 遠藤康行

2015年横浜フェスティバルの再演です。後ろの幕を生き物のように使った演出が印象的。


「ロメオとジュリエットよりバルコニーのパ・ド・ドゥ」津川友利江 バティスト・コワシュー

プレルジェカージュの振付です。



「パリの炎よりグラン・パ・ド・ドゥ」近藤亜香 チェンウ・グオ

プロフェッショナルらしい魅せ方を心得ている二人だと思いました。




横浜バレエフェスティバルは、最初は手弁当で始まったみたいな感じでしたが、年々規模を大きくしてきて、今年も県民ホール、8割程度のお客が入っていました。もっとも関係者やバレエを習っている少女が多かったですが。

クラシックやネオクラシック、コンテンポラリー、お笑いまで、バラエティに富んでいますし、出演者も将来を嘱望される若者から、ベテランのプロフェッショナルまで観られて大変お得な公演ではないかと思います。

2015年のフレッシャーズで出演した永久メイさんは、今やマリインスキーバレエでセカンドソリストに昇格して、快進撃が止まりません。

彼女を横浜バレエフェスティバルで観ることができたのは、今やちょっと自慢にできるような思い出です。

松浦くんも、このまま順調に伸びていけば、将来が楽しみです。



















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2018年07月21日

東京バレエ団ブレマイステル版「白鳥の湖」沖&宮川

2018年7月1日(日)14時 東京文化会館

オデット/オディール 沖香菜子
ジークフリート王子 宮川新大
ロットバルト 柄本弾
道化 池本祥真

ルクサで「バックステージツアー付き」のチケットをお得に購入しました。
公演の2時間半くらい前に楽屋口に集合し、NBSのステキなおじ様がとても上手に案内してくださいました。

文化会館の噂のアーティスト達の落書きは、いろんなところの柱とか壁にたくさんあって、この建物が受け入れてきた歴史を感じさせました。

舞台の袖舞台には、過去の公演のポスターがパネルになって、天井や壁に所狭しとかけてあって、それは大道具さんが飾ってくれたそうです。

バレエやオペラの海外公演のポスターが目立ってました。

舞台では、東京バレエ団の方々がクラスレッスン中でした。目立っていたのが池本さん。

その後、地下に降りたら、ダンサーがちょうどジャンプ系のレッスンをしていて、ドスンバタンとすごい衝撃が響いていました。

オケピ脇のプロンプターボックスの話も面白かったです。(オペラ歌手が歌詞を忘れた時に教える場所)

古い会館なので、個室の楽屋が少なく、世界バレエフェスティバルの時などは、本来ならば個室がふさわしいプリンシパルたちも相部屋にしなくてはならず、部屋割りに苦労するそうです。

個室楽屋には番号がついていて、NO.1は一番偉い人、指揮者が使うそうです。

NO.2の個室は上野水香さん、NO.3は川島&沖… 上野さんは、出演するの1日だけなのに、NO2の個室って、やっぱり特別扱いなのだなと思いました。


さて、公演はほぼ満席でした。バレエを習っているような少女が多かったです。

1幕は道化が一番踊ります。
池本さんはクラシックバレエがめちゃめちゃ上手なので、丁寧&上品な踊りから受ける印象がノーブルです。全然かわいい路線の道化ではありません。むしろ王子になりたかった道化という感じです。

このヴァージョンでは王子は幕があいた時から舞台にいるのですが、少し印象が薄い。
宮川さんは、迷える王子という役作りなのでしょうか、あまり王室の堂々とした雰囲気はありません。

王子と道化は目が細くて似ています。もしや兄弟?とか
池本さんの道化はおバカな感じではなく、知性を感じさせるのです。王位継承は兄に譲って、自分は道化として王室を影から支えることを選択した弟という解釈もなりたちそうな…

ブルメイステル版では、パ・ド・トロワの代わりにパ・ド・カトルで、その後に王子に気のある女性が王子と踊って、振られてしまいます。
このへんのお話しの流れがあまり良くわかりませんが、あまり面白くありません。通常の版の方が好きですね。

2幕、沖オデットは腕の動きが柔らかく素晴らしい。そして柔軟性があるので、白鳥の上体をそったポーズがキレイに決まります。
その美しいポーズをあとコンマ3秒くらい、残像に焼き付くくらい静止できれば、もっと印象に残るでしょう。

私は白鳥の2幕は様式美なので、オデットはあまり感情を顔に出さない方がいいと思っています。
沖オデットは最初は表情がありすぎでしたが、どんどん集中していって、良い感じに表情が消えていきました。
沖さんはいつも口が少し開いているので、悲しいシーンでも逆に笑っているように見えたりしますが…それも新しくてむしろアリかとも感じました。

3幕 沖オディール、圧巻でした。強い目力の使い方が良かったです。

沖さんは特別に大きな目をしていて、いままでは時には持て余すようなこともあったのですが、このオディールでは実に効果的に使っていました。

王子をだますのを楽しんでいるオディール。かわいく見せていたと思ったら、いきなり怖い目つきになるところがすごく良かった。

ロットバルトの弾さんも濃い顔で、目つきがギョロっとしていて、ロットバルトとオディールという濃い顔の二人がギロっと目玉をむき出して、並んで王子に迫るところ…

「愛を誓え!さあ、さあ、さあ!!」なんの歌舞伎ですかというくらい怖いけど面白すぎでした。

沖さんはフェッテもダブルをバンバン4回ぐらい入れて攻めてました。ちょっと落ちちゃったのが残念だったけど、すごく悪者でカッコいいオディールでした。

3幕しか出ない人もいるせいか、3幕終わりにカーテンコールがありました。ロシア風ですか、これもイイネ!








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2018年06月18日

新国立劇場バレエ「眠れる森の美女」千秋楽 木村&渡邊

2018年6月17日(日)14時 オペラパレス

オーロラ姫 木村優里
デジレ王子 渡邊峻郁
リラの精 寺田亜沙子
カラボス 渡辺与布
フロリナ 池田理沙子
青い鳥 奥村康祐

私は今の新国立バレエのプリマの中では米沢唯さんが一番好きなのですが、ライジングスターの木村さんの評判がとても良いので、オーロラ姫で見てみることにしました。

木村さんはまずほっそりとしたスタイルが抜群です。お顔もかわいいし、テクニックもあります。

私は彼女がまだ研修生の時に抜擢された白鳥でのルースカヤを見て、「今までこんな踊り方をした人はいない!」とびっくりしました。

それまで誰が踊っても少々退屈に感じていたルースカヤがとても新鮮に感じられたからです。優雅でありながら、フレッシュで。

その後入団してドンキの主役を踊った時も観に行きました。演技もなかなか良かったですが、踊りの精緻さという点では今一つでした。

オーロラ姫には、ローズ・アダージオという、テクニックの難所があります。第1幕、4人の王子の手をとってアラベスクでぐるっと回ったあと、次の王子の手を取る前に両手をアンオー(上)に挙げることを繰り返すというバランスの力を試される振付です。

優里さんは、ちょっと表情は固かったですが、すべての王子相手にきちんと両手をアンオーに挙げました。お見事です。

時々、アラベスクであげた脚の膝が下を向いているのが気になりましたが、ほぼパーフェクトに踊りました。

特に第1幕と第3幕のヴァリエーションは、コンクールなどで踊りなれていたのか、余裕もあり、第3幕で両手のひらをくるくると回すところの振りなど、実に優雅で美しかったです。

ただ、木村推しの方に怒られそうですが、時々彼女の踊りを見ていて眠くなりました。
きれいに踊っているのですが、少々退屈というか、唯さんが踊っている時のようなきりきりとするほどのテンションをかけた身体の使い方でないような気がします。

眠れる森の美女は、古典中の古典。古典バレエの真髄です。
古典バレエできっちり魅せるには、回る、ジャンプするなどのテクニック以前の基礎的なテクニックが万全でないといけないのです。
深い5番、きっちりと締め、アンドォールした脚…そのあたりがまだ優里さんには物足りなかったと思います。
その部分で魅せられるのはやはり唯さんです。

対して、このイーグリング版の特徴の一つである「目覚めのパ・ド・ドゥ」は、唯さんが踊った時は少々退屈でしたが、優里さんの踊りは凄く良かった。ここは古典バレエでなく、ネオ・クラシックな振付です。衣装もロミジュリみたいだし。

優里さんには、ガリガリ古典バレエよりも、ネオ・クラシック寄りの作品のほうが似合うのかもしれません。


さて、イーグリング版眠りですが、初演時に違和感のあった衣装ですが、ラピスラズリ・ブルーとクリーム色を基調にした色づかいは、今回3階から見た感じではなかなかまとまりがあってキレイでした。

6人の妖精もリラのお付き妖精たちもクリームで、見分けがつかないのはやはり良くないです。

6人の妖精だけでも、それぞれの色付きのチュチュにしてくれないかしら…

舞台装置はめちゃめちゃ豪華、なのは良いですが、意外と出演者が少なくて、ラストもリラの精以外のお付きとか、6人の妖精とか出てこないんですよね…せっかく舞台装置が豪華なんだから、もう少し出演者がいっぱい出てた方がさらに豪華になると思います。

カラボスの渡辺さんは、なかなか良かったです。美しかったし、マイムも良かった。

リラの精の寺田さん。あの花びらいっぱいの帽子が似合うのは、寺田さんと細田さんくらいしかいません。

6人の妖精さんたちは、抜擢キャストが多かったようですが、みなさん上手でした。
奥田さんの勇敢の精と、寺井さんの気品の精が良かったです。

伯爵夫人の本島さん、さすがにお美しいし、王子とできてる設定に納得ですよ。

渡邊王子は、すごく顔が細くて、シュッとしてました。初演時に宝石踊った時ほどの驚きはなかったですが、ジャンプも高いし、演技もそつなくこなしている印象です。

宝石の女性たちが良かったです。特に飯野さんと五月女さん。五月女さんは音楽にピタピタとはまる、切れの良い動きで目立ちました。

新国立バレエ団って、こういうソロを踊る方たちがとっても上手で、みんな見ごたえがあります。

絢子さんのオーロラも見たかったなぁ…


絢子さんが1幕、優里さんが2幕、唯さんが3幕のオーロラを踊るスペシャル・バージョン、それぞれの個性にぴったりだから、これいいと思いませんか?幕替わりキャストの眠り、やって欲しい。















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新国立劇場バレエ「白鳥の湖」初日 米沢&井澤

2018年4月30日(月・休)14時 オペラパレス

オデット/オディール 米沢唯
ジークフリード王子 井澤駿
ロートバルト 貝川鐡夫
道化 福田圭吾
パ・ド・トロワ 寺田亜沙子 細田千晶 奥村康祐


私が一番新国立劇場に通っていた頃、アラジンは全キャストみたらさすがに飽きましたが、白鳥5レンチャンしてもまったく飽きませんでした。


やはりチャイコフスキーは偉大。
新国立の白鳥は逸品。

今回の公演も主役、脇役、コールドに至るまで素晴らしくハイレベルで、大変満足した公演でした。

10年ぐらい続いている牧版は、衣装が上品で落ち着いたパステルトーンで美しい。

第1幕のパ・ド・トロワは奥村、寺田、細田という豪華メンバーで見ごたえたっぷり。

牧版のパ・ド・トロワは、女性二人が競うように踊り合戦をくりひろげるというイメージなので、寺田VS細田は見ているこちらも二人のライバル心を想像しながら、楽しい緊張感で見ていました。

そこにさわやかな奥村氏。ここだけでかなり満腹です。

井澤王子はイケメン。王子らしいかと言えば、まあもう少し頑張りましょうですし、メランコリー王子が、本を手に取って、勉強しようか、いやダメだというような演技ももう一つですが、顔がキレイで脚がすらっとしているので、それでいいです。


唯オデット。
今回の唯さんは、ミニマリストとでも言いましょうか、余計なものをそぎ落としたような踊りで、ZENとでも言いたいような静謐さの漂う世界を作り出していました。

こういう風に踊ろうとか、こういう風に表現しようとか、作為的なものはまったくなくて、ただオデットとして存在しているような…

オディールの唯さんは、オデットはまったく違った活力にあふれ、ソロでのアティチュードターンはすべて3回転。

フェッテはトリプルから始まり、シングル・シングル・トリプルを4回、あとはシングル・シングル・ダブルで、トータル40回転ぐらいしていました。

軸がまったくぶれず、移動もなくて、この超絶技巧をさらっと音にピッタリ合わせてしまうので、見てる方は簡単そうに感じてしまう、すごい美技、まさにこれは米沢唯のスーパーテクニック。

こんな事できるプリマ、世界でも数少ない。
タマラ・ロホかマリアネラ・ヌニェスあたりに匹敵するテクニシャンです。


唯さんもいいのだけれども、新国立劇場は白鳥のコールドやソリストも美しい。

第1幕のワルツもきれいだし、白鳥の第2幕と第4幕のコールドはぴったりと揃っていて、このバレエ団のレベルの高さを感じさせる美しさ。

普通ならば、背の低い人を前列にするところを、あえて長身のダンサーを前列に並ばせるのは大原芸監のビジュアルへのこだわりだそうです。

終演後、帰宅を急ぐ観客の皆様が、口々に「白鳥のコールドバレエがキレイだったわ〜」と言っていました。















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ボリショイバレエシネマ「パリの炎」

2018年4月18日 

ボリショイ・バレエ in シネマ
「パリの炎」
2018年3月4日モスクワ公演収録

ジャンヌ マルガリータ・シュライナー
ジェローム デニス・サーヴィン
フィリップ イーゴリ・ツヴィルコ
ボールガール侯爵 セミョーン・チュージン
アデリーヌ アナ・トゥラザシヴィリ

CMでバスクの踊りを見て、どうしても見たくなって、帰りが遅くなるけど観に行ったボリショイシネマ。
どうして、一日限りなのか、土日の昼間にやってくれないのか、ロイヤルバレエはもっと長く上映しているのに…
川崎で見たんですが、終わったら11時近くで、川崎アゼリア地下街がガラーンとしていて怖かったですよ。

バスクの踊りが出るまで、1幕はフランスの宮廷の劇中劇などがあります。
オフチャレンコとクレトワのパ・ド・ドゥ、長いし音楽がつまらないので寝落ちしました。

しかし、その後、ラブラブだと思われたこのカップルの男の二股が発覚し、浮気相手と船で逃亡したので、怒り狂ったクレトワが嵐の妖精を魔術で呼び寄せて船を沈めるという驚愕の展開で、クレトワ(女優)の付き添いの4人の巨女群団のダイナミックな踊りと、謎な衣装の嵐の妖精たち、そしてルイ16世のヘンテコ踊り。

このセンスがどうもわからないまま、キレッキレのエロ侯爵のチュージンの踊りを堪能しました。

宮廷のシーン、音楽が大時代的で退屈で、劇中劇もトンデモ展開の意味不明さなので、どこに面白さを見出したらよいのか困りました。

これは、あえて第2幕の民衆シーンの生き生きとした音楽や、わくわくする楽しさと対比するために、「あえて」狙っているのでしょうか。


お待ちかねのバスクの踊りは、メチャメチャ盛り上がる!!!

ラ・バヤデールの中での太鼓の踊りみたいな盛り上がり!!

ここではマルガリータはポワントでなくキャラクターシューズで出てくるのですが、振付がダンダンダンダダと音に合わせて後ろに下がり、右手と左手で交互に円を描くようにして前に出てくるという、簡単そうな踊りなので、私にもできるんじゃないか?一緒に踊ってみたい!と思うくらい、楽しそうです!

そして、ガラなどでおなじみの「パリの炎」パ・ド・ドゥは、ツヴィルコがパワー炸裂のすごい技の連発です!

マルガリータ・シュライナーも負けていない。

彼女はジュッテが男性並みに高くて、スタイルも良く堂々としてパワフルです!

まだコールドなのに大抜擢も納得です。

おなじみのパリの炎のパ・ド・ドゥになると、音楽が耳馴染みが良いせいか、それまでとは別の空気に変わります。

エンディングは、主人公がギロチンではねられた恋人アデリーヌの首を抱いて嘆くという、少々グロい味つけでした。

第1幕と第2幕がまったくテイストの違うこの作品、第1幕いらないんじゃないかとも思います。

第1幕の部分が、第2幕の民衆の生き生きとしたパワーをより際立たせるために必要なら、4分の1くらいに短くしたらいいと思います。

第2幕は楽しいし、パワー炸裂で、すごくこちらもエネルギーをもらえました。

あ〜バスクの踊り、踊ってみたい!







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東京バレエ団「セレナーデ/真夏の夜の夢」沖&フォーゲル

2018年4月30日(月・祝)15:00 東京文化会館

GWは東京文化会館でバレエホリディ!
今年からの新しい試み。

文化会館の中はバレエ少女と付き添いのお母さん
大人バレエの女性たちで盛況でした。

外でのクラスレッスンのデモ、道行く人達に大人気で、「くるくる回って凄い!」って。

バレエなんてまったく見たことない人もいるだろうから、これは布教活動としてはなかなかよろしいと思います。



メインの公演はフォーゲルをゲストに真夏の夜の夢。
その前にセレナーデ。

「セレナーデ」
上野水香、川島麻実子、中川美雪、
秋元康臣、ブラウリオ・アルバレス


セレナーデというと、新国立で2007年ごろに上演されたのが素晴らしくて記憶に残っています。

私のひいきの寺島ツインズが日替わりでジャンプの多いロシアンガールを踊って。
二人ともジャンプの高さでは定評があったので。(特にまゆみさんの方は男性なみ)

それを比べてしまうと、少しロシアンガールが弱かったです。
コールドはたしかに揃っているのだけれども、川島&秋元ペア以外は物足りない。
水香さんがアラベスクの足首をサポートされたままぐるーと回る所も、もっと硬質にやって欲しい。

あと、決定的に「これは違う!」と感じたのはヘアスタイル。

バランシンは夜会巻きがデフォではないのですか?
ふつうのお団子だったですけど…
ここは夜会巻きでお願いします!!

ステキな瞬間もありましたよ。
秋元さんと川島さんが組んで踊るのは、まさに奇跡のよう。
川島さんが羽根でも生えているか、まったく体重がないかのようにふわっと宙を舞うのを観るのは至福の時。
この二人はすばらしい。ポワントも無音。



「真夏の夜の夢」
タイターニア: 沖香菜子
オベロン:フリーでマン・フォーゲル
パック: 宮川新大


真夏の夜の夢は、なぜフォーゲルが必要だったのかよくわからず。
フォーゲルでなくても秋元さんで良かったのではないかと思います。

沖さんとだいぶ身長差があって、カップルとして見えない感じですし、ケミストリーも起こっていないし。

横に抱えるようなリフトがあるから、沖さんだと軽くてやりやすいのかもしれないけれど。

フォーゲルって、踊りが少しもっさりしているんですよ。

その点、パックの宮川さんは、軽やかでキレッキレで素晴らしかったです。
彼のジャンプと踊りが目に刺激的で楽しかった。

沖さんのハーミアは難しい体勢からのパンシェとかあるし、フォーゲルさんとの身長差もあって大変そうだけれど、彼女は柔軟性が飛びぬけているのでポーズがキレイに決まっていました。
アクトの部分の表情も良かったです。





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2018年05月05日

Kバレエ2018年「白鳥の湖」浅川&宮尾

2018年3月21日(水・祝)14時 オーチャードホール
オデット・オディール 浅川紫織
ジークフリード王子 宮尾俊太郎


この公演が始まる前に、浅川さんがプリマとしての現役引退を表明しました。
4年ほど前に股関節を痛め、一時は踊れないほどだったけれども、おそらく手術などはおこなわずに治療して、主役を務めるほどに回復してましたが、いつ痛みが再発するかわからないので、納得できる踊りができる間にけじめをつけたい、という事のようです。

浅川さんをはじめて認識したのは、熊川さんが企画したバレエ音楽が主役の舞台「舞曲〜第1楽章〜」で、眠りの森の美女のローズ・アダージオを踊った時です。
その時の感想についてはこちら

王子達がタキシードでサポートするというおしゃれなもので、びしっとアチチュード・バランスを決めていたのですが、この場面が終わったあと、司会者が「どうですか?」とたずねると「たいへんですよ」とクールに答えていたのがとても印象に残っています。

その時から10年経ち、浅川さんはKバレエで精進し、中村祥子さんと並ぶトップ2プリマに昇りつめました。

当初はあっさりしていた表現もぐっと深くなり、マイムはセリフが聞こえるようです。

今回の白鳥の湖では、祥子さんを差し置いてファーストキャストです。熊川さんの彼女への思い入れの現れでしょうか。

浅川さんは、美人ですが、白鳥向きの体型というほどではないのです。たとえばザハロワのように手脚が長いわけでもないし、とびきりの甲のラインでもなく、背中がすごく柔らかいわけでもない。
でも、ひとつひとつのパやマイムをとても丁寧に大切に踊っていて、オデットの感情が伝わってきました。

抑圧されて自由がなくて、感情すらも持つのを禁じられているようなオデット。
耐えて耐えて、王子の「あなたと永遠の愛を誓います」という申し出にも、「ご厚情を賜り恐れ入ります…」と、最後のわずかな望みをつなぐ細い糸にすがるよう。
このオデットは、いわばKバレエの中で今まで耐えて耐えてきた彼女の象徴かもしれません。
王子(熊川ディレクター)からの良い話にも、おそるおそる手を伸すような…

そして黒鳥は、生き生きとして艶やかでのびやか。自由でキラキラとしていて、白鳥とのコントラストが際立っていました。

彼女のマイムはセリフが聞こえてくるようです。
「この湖は私の母の涙でできています」(第2幕)とか、「もう私は死ぬしかありません!」(第4幕)とか。

ケガをした後に表現の幅をぐっと広げて、踊りも精進して、観客に感動を与えられるプリマに成長した浅川さん。第4幕の嘆くオデットを観ていると自然と目から涙がにじんできました。この前演じたクレオパトラも、ラ・バヤデールのガムザッティも素晴らしかったのに、もう舞台で見られなくなるとは、残念でなりません。


宮尾さんはサポートが上手でした。ソロはまあいつものクオリティでしたが、浅川さんを美しく見せられるよう、彼女が踊りやすいように心を砕いているようでした。

演奏は、東京シティバレエの白鳥と比べると、やはり音楽よりもバレエに寄り添った演奏なので、ダンサーによって遅くなったり早くなったりテンポが揺れますが、私にとってはこういう演奏の方がしっくりしました。

今回、前に見た時と違ったのは、第1幕で、舞台の後ろにテーブルがセットされて、そこにパドトロワを踊る友人たちが座っていること。

いつもパドトロワに対して「あら、あの人たち、どこから出てきたの?」という違和感を感じていたので、その点は解消されました。

熊川版の白鳥は、つねに初めての観客にもわかりやすくと改訂をしているので、わかりやすいことこの上なし。

ただし、群舞の白鳥たちが、ボロボロに裂けたようなスカートなのはこだわりの衣装とはいえ、古典作品の中で、マシューボーンか?と感じてしまいます。やはり白鳥は白いチュチュの方が一般受けするし、美しいと思うので、ヨランダ・ソナベント氏にはもう相談できないけれども、勇気をもってチュチュに変更することをそのうち考えて欲しいです。




ところで、Me tooムーブメントについて書こうと思うのですが、これはあくまでも私の想像です。

今回の浅川さん引退発表での異例の特別扱い、そしてKバレエスクール大宮校を立ち上げた時、熊川さんが浅川さんの後ろからそっと「これが紫織のお城だよ」とささやいた雰囲気に何かを感じた方は多いと思います。

団員総食いという都市伝説(?)のある熊川さん。

それほどの実力があるとは思えないのに、主役や大きな役に抜擢されたダンサーがいたり、そういうダンサーが突然辞めてしまったり。

団内恋愛禁止とかで、そういう関係になったらどちらかが辞めざるをえないとかの噂。

女性だけでなく、男性についても、一時はあれだけ推していたのに、ぷっつりと役付が悪くなるとかの不思議。

自分のバレエ団なのだから、好きなようにキャスティングする権利はあるでしょうが、それがハラスメントの道具になっているとしたら、大変に残念なことだし、今のご時世、クマさん、危ないよ〜〜と思うんです。

私は熊川さんの創るバレエ芸術が大好きで、彼の真摯なバレエ愛を感じるし、日本のバレエ界を変革してきた英雄だと思います。
帰国した当時は、彼が踊ることで引っ張ってきたけれども、今やKバレエは彼が出演しなくてもチケットの売れるバレエ団に成長しました。

勲章も授かり、これから大物として日本的慣習や情緒に縛られることなく、バレエ界を改革できるのは彼しかいません。
ですから、Me tooムーブメントに巻き込まれて大変なことになりやしないか、心配しております。

もし、彼が過去にハラスメントをしたとしたら、自分の過ちを認めて、反省して欲しいです。
でも、それが明らかになったとしても、必要以上にパッシングはしないで欲しい。
彼のバレエを愛する心が折れてしまわないようにと願っています。





















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2018年03月26日

東京シティ・バレエ団創立50周年記念公演『白鳥の湖』〜大いなる愛の讃歌〜

2018年3月6日(火)18:30 東京文化会館
オデット・オディール: ヤーナ・サレンコ
ジークフリード王子: ディヌ・タマズラカル
演出・振付:石田種生
指揮:大野和士 演奏:東京都交響楽団

白鳥の湖が日本で初演された時の、藤田嗣二の美術を再現したことで話題になったこの公演。

当初キャスティングされていたヤーナ・サレンコがパリオペラ座のミリアム・ウルド・ブラームに変更になると発表があり、その後またヤーナにキャストが戻るという経緯がありました。

ミリアムが来るというので喜んだパリオペファンがチケットを買った後でキャストの変更は、パリオペをがっつり抑えているNB○さんの横やりではないかとか憶測が流れました。

うち以外の公演に出たら、今年の世界バレフェスに呼んでやらないよと脅されたとかいう噂。

大御所が弱いものいじめをするような、酷いやり口ですよ。

そんなことしなくて、みんなで日本のバレエ界を盛り立てていけばいいのに。

シティの公演でミリアムが評判になれば、バレフェスでもう一度ミリアムを観たいっていう人もいるでしょうに。


私は繊細で強靭なテクニックの持ち主ヤーナも好きですが、第1幕のふわっとしたパステルカラーの舞台を見たら、きりっとしたヤーナよりもふんわりとした雰囲気のミリアムの方がこの舞台には似合うのではと感じました。

第1幕、藤田の舞台装置は、脇袖に森が重なるようなセットに、パステルカラーの自然の風景が描かれます。
拍子抜けするほど、白鳥の湖のストーリーに沿った、くせのない美術でした。

そうですよね、考えてみれば日本で初めての白鳥の舞台。

現代に新しく制作するのならば、他でやっていないものとか、斬新なデザインとかに走るのでしょうが、初めてなのですから、あくまでオーソドックスで奇をてらわないもの。ダンサーを生かす、控えめな色彩。

衣装は新しく制作したものなのでしょうが、少しトーンを落とした美しいパステルカラーのピンクと、薄い若草色の二色があって、コールドが隊列を変えるたびに春の野原でスイトピーが咲いているようできれいでした。

第1幕のコールドバレエは、スタンダードな演出で、女性ダンサーはきれいで良く揃っていて、男性ダンサーもそれなりの人数が出てきて、長身の人もいたし、王子の誕生日前日の楽しい雰囲気が出ていました。

パ・ド・トロワはこっくりとした濃いめのオレンジ茶色の衣装で、コールドからは目立ちます。踊りはわりとやさしめの振付でした。

新国立劇場バレエの牧版白鳥ばっかり見ていたので、どうしても比較をしてしまうのですが、新国立はスリリングな振付で、女性ふたりが踊りを競いあうのですが、シティのパ・ド・ドロワは仲良しの踊りという感じでした。

シティは初めて見たのですが、コールドの男性もなかなかスタイルの良い方が多くて、王子のタマズラカルさんよりもスタイルいいんじゃないかという方もいました。

ディヌさんは、演技は相応なのですが、背があまり高くなくて、あまり王子らしく目立ちません。
登場してきた時も、パッとは気づかない程度に埋没してました。
この役がはまっているとは言えないですが、きれいに5番に入るし、踊りはすっきりとしていました。

第1幕〜第3幕までの演出は、新国立劇場の牧版(キーロフ版を元にしている)に似ていますが、第4幕がとても個性的な演出になっています。

そしてこの公演では、オケと指揮者が、普段バレエのピットに入らない、コンサート専門(?)らしく、音楽がかなり個性的に鳴ります。

まず、ほんのわずかなことなのですが、全体的にテンポが速い。
普通のバレエ公演では、バレエ指揮者が踊りをみながら、踊りやすいようにテンポをゆっくりにしたり、拍手やレべランスのタイミングを入れるために、曲を途中でストップさせたりします。

今回の指揮者は、踊りに合わせてゆっくりにするということをあまりせず、いくつかの場面ではダンサーが踊りにくそうに見えることがありました。

いちばんいけなかったのは、第3幕で、オデットが王子に愛を誓わせて、そこで音楽がダダダダダと高揚してジャーン!だまされた〜〜!!となるところが、王子のマイムのタイミングより早くなってしまったことです。
マイムで誓うより前にダダダ…ダマサレタ〜〜っとなってしまってました。
あれはいくらなんでも、ドラマの肝なのですから、合わせなくてはいけない所でしょう。

それ以外の部分では、いろいろ聞いていて新鮮なところもありました。
第2幕のオデットのソロでは、普通のダンサーなら音に遅れてしまうところを、テクニシャンのヤーナ・サレンコが絶妙な音はめをして踊ったことに感心しましたし、ヴァイオリンのソロも、いつも聞いている音楽と比べて、音程(ピッチ)が高いのか、すごく強烈な印象を受けました。

サレンコは、王子とのケミストリーは感じられませんでしたが、特にオデットでは、鳥肌がたつくらいに美しいポーズの瞬間が何度もありました。また、この速いテンポでも、当代一流のプリマは、黒鳥のフェッテを三回転を多用しながら、ぴったりと音楽に合わせるという超絶技巧で魅せてくれました。さすがサレンコ!!

演出で特筆すべきは、第4幕、王子に裏切られたオデットと、許しを求める王子のデュエットに使われるのが、「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」として知られている曲なのです。

もともと白鳥の湖の中で使われていたそうで、ブルメイステル版でも第3幕のオディールと王子のパ・ド・ドゥで使われていますが、石田版では、第4幕の白鳥と王子の踊りに使われています。

この曲がすがすがしい美しさに満ちているので、ロットバルトの呪いを解くことができなかった王子とオデットの悲しみ、そして二人の愛を表現するのにぴったり…そう、まさに愛の讃歌といえる曲なんです。

この曲をこの場面で使用したのは、素晴らしいアイデアでした。

どんどんと曲が高揚していき、それは王子とオデットの愛も高まっていくことを表現し、その愛の力が世界を変え、ロットバルトの呪いを解いたという結末に無理なくつながっていく演出になっていました。

第2幕と第4幕、白鳥のコールドのフォーメーションの変化は工夫があって面白かったです。
これは上の階から見ていた方が良くわかることですけれど。

ほぼ満席の観客は、シニア男性も多く、バレエ好きの他に音楽ファンも来ているようでした。

バレエの舞台で、音楽の方を重視して演奏していることって、めったにないです。

私が観た舞台では、2014年に指揮者の西本智美さんが創ったイルミナートバレエの白鳥が、音楽を大切にしながら、バレエとして踊れるぎりぎりのラインを目指していました。

今回は、第4幕の前にたっぷり2曲オケだけで聴かせてくれるなど、音楽の素晴らしさが際立っていましたので、もうちょっとだけバレエの踊りやすさにも配慮してくれたら良かったなと思いました。

2018年は白鳥の湖がたくさん上演される当たり年です。
この東京シティ・バレエ団のあとに、Kバレエ、新国立劇場バレエ、東京バレエ、そしてマリインスキーバレエの来日公演でも白鳥の湖が上演されるので、見比べて楽しもうと思っております。



















posted by haru at 22:59| Comment(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月01日

新国立劇場バレエ「くるみ割り人形」米沢&井澤

2017年10月29日(日)14時 オペラパレス

クララ 米沢唯
王子 井澤駿
ねずみの王様 渡邊峻郁

ウェイン・イーグリング氏による改訂版。

クララは子役が演じるが、彼女が夢を見るところからは大人のダンサーが演じる。
王子はドロッセルマイヤーの甥とくるみ割り人形と王子の三役を演じる。

牧版のくるみは、オープニングが現代の新宿で、安っぽいビニール傘をさした人たちが出てくるのが興ざめだし、ラストにサンタクロースが出てくるのも不自然だった。

アラビアにエジプトのピラミッドとスフィンクスが出てくるのも変だった。
しかし、それ以外は構成や振付も、まあまあ普通のくるみであった。

今回の改訂版は、オープニングはヨーロッパの街で、運河が凍っていてアイススケートをする人々が出てくる。
プログラムの「スケートをする人々」というのを見て、アシュトンのレ・パルティヌールが思い浮かんだのだが、この舞台では、ローラースニーカーを履いたダンサーが本当に滑っていた。

スケートをするというアイディアは初めてみたので面白かった。
しかし、その横ではクララの家にやってくる客人の道行シーンもあるが、いったい今は昼なのか夜なのか。

スケートをして遊ぶのは、昼間のうちのような気がするし、パーティが始まるのは夕方だと思うし。

音楽の使い方も少し違う。場面の入れ込み方がずれているので、いつものくるみとの違和感を感じる。

聖ニコラウスというおじいさんが出てきて(サンタクロース?)、リストを見ながら子供たちにプレゼントを渡す。
フリッツのプレゼントがないので、フリッツが抗議をしてプレゼントをもらう。

クララにもプレゼントがなくて、「私にはプレゼントがない」とグスグス泣いているのに、お父さんもお母さんも誰も気づかないのは酷いのではないか。

ドロッセルマイヤーがそれに気づいているという風でもなかったのに、あとでくるみ割り人形をクララにくれた。

クララの姉という役があるのに、クララと仲が良いようにも描いていない。

この家族は冷たい家族。

クララが寝る時にくるみ割り人形を部屋に持っていこうとしたら、お母さんに止められてクローゼットの中に入れた。それをネズミが夜中にクララのベッドの下に持ってきた。

なのに、パーティの次の朝?にはベッドの下にはなかった。

夢から覚めたクララとフリッツが玄関へ行くと、ドロッセルマイヤーと甥が帰るところだった。
眼が覚めたのは朝?だとしたら、ドロッセルマイヤーは一晩泊ったの?

雪が降ってるのに、ネグリジェのクララと半そで下着のフリッツは玄関の外でドロッセルマイヤーをお見送りして寒くないの?

いろいろ整合性のないところが気になってしまいました。

スケートをするとか、クララがお菓子の国に行くのに気球を使うのは初めてみたし、花のワルツがポピーの花でピンクでなくオレンジ色というのもちょっとびっくりしました。

悪くはないのだけれど、なんだか「どうだ、新しいだろう、すごいアイディアだろう」ってドヤ顔で言われているような感じです。

振付についても、アラビアでのリフトは、男性四人がお神輿みたいに女性を担いだり、ほとんど女性が空中移動することばっかり目につき、踊りというよりも組体操みたい。
中国も、リフトが多い。せっかく上手なダンサーが踊っているのだから、もっと踊るところが見たい。

雪は、ウェーブもあって、マスゲームみたい。

この振付も「どうだ、すごい振付だろう」とドヤ顔。

くるみ割り人形のような、スタンダード古典作品だと、改訂版を作る時に、新しいことやびっくりするようなアイディアを入れて目新しさを狙うというのはわかりますよ。

でも、なぜ「くるみ割り人形」というバレエがこれほど愛されているのか。

それをよく理解して創って欲しい。

変えるべきところと、絶対に変えてはいけないところ。

「くるみ割り人形」のエッセンス。

楽しいパーティ、家族の愛、ちょっとした冒険、夢の世界。

たとえば、雪のシーンに、クララとくるみ割りを追いかけてくるネズミの王様とのコントが入りますが、これは余計なものです。

雪のシーンでは、美しいコールドバレエを堪能することに集中したいので邪魔です。

ただ、グラン・パ・ド・ドゥは振付もあまり変えていないスタンダードに近いものだったので、そこは良かったです。

米沢唯さんの繊細で格調高く、絶妙に音楽をまとうような踊りが素晴らしかったです。

井澤さんも、イケメンオーラ全開で、登場シーンから軍服が似合っていました。

オレンジポピーの花のワルツも、リードの細田&寺田コンビが美しくて、これはこれでなかなかステキでした。

外国の人に大金払って改訂版作らなくても、深川秀夫さんとか、日本人に作ってもらえばいいじゃないかと思うし、私は昔のキーロフ版が好きなので、あれをベースに大原さんが、舞台装置と衣装をチャチャッと手を加えるくらいで、スタンダードな演出でいいじゃないかと思うんです。
新国立のダンサーならば、むしろその方が素晴らしく見せられるし。


くるみ割り人形改訂版で良くできていると思うのは熊川版で、チャイコフスキーとプティパに対するリスペクトがあって、しかもお話はオリジナルストーリーになっている。
熊川さんのバレエ愛が感じられる作品です。

それに比べると…イーグリングさんは、音楽へのリスペクトよりも、自分のアイデアをドヤ顔で…もうやめましょう。










posted by haru at 00:06| Comment(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月21日

2017「クレオパトラ」中村祥子

2017年10月20日(金)14時 東京文化会館
クレオパトラ 中村祥子
プトレマイオス 山本雅也
カエサル スチュアート・キャシディ
アントニウス 宮尾俊太郎
オクタヴィアヌス 遅沢佑介
案内役 酒匂麗
オクタヴィア 矢内千夏

会場を東京文化会館に移してのファースト・キャスト。

クレオパトラの祥子さんを中心に熱の入った素晴らしい舞台でした。

両方のキャストを見て思ったのは、セカンドキャストも、全然遜色ない!!

いくつかのキャストでは、セカンドキャストの方が良かったと思える事もありました。

アントニウスは栗山さんの方が、純粋な心でクレオパトラに愛を捧げているのが、彼のピュアな雰囲気と相まって似合っていたし、オクタヴィアヌスは、杉野さんが、目力が強くて、皇帝の貫禄がありました。

宮尾さんは、ひとまわり大きくなったような、体型が厚みがでたようで、踊りが重かったです。

遅沢さんは、逆にすごく絞っていて、熊川さんも踊りたいといっていた、勇猛果敢なオクタヴィアヌスをキレッキレで踊っていましたが、逆に体を絞りすぎて線が細くなってしまったような気がしました。

宮尾さんと遅沢さんは役を入れ替えた方があっていたかなぁ、でも、今の宮尾さんにあの踊りが踊りこなせるのかなぁ…宮尾さんは、カエサル役でもよかったかなぁ…。

カエサル役のスチュアート・キャシディは、こういう「重要な脇役」には欠かせない存在です。
熊川さんは、脇役が上手だと舞台の重厚さが増すということを良くご存じで、昔から脇役にロイヤルのダンサーを呼んだり、宝塚出身者を女王に使ったりしていました。

宮尾さんも、バレエ王子から徐々にキャシディのポジションにシフトしているようです。

この夏のKバレエユースでカラボスを演じたし、くるみではドロッセルマイヤーを演じるようだし。

今や、栗山王子がビリーエリオットの経験を得てぐんぐんと成長しているし、杉野さんも濃い演技で認められていい役をもらっています。

今回のクレオパトラでは、セカンドキャストで案内役をやっていた佐野朋太郎さんが、バネのある踊りで若々しくて目を引きましたし、選ばれた男娼役の堀内将平さんが、野性的なセクシーさで印象に残りました。

コールドの男性陣もテクニックが高くて、若さと勢いにあふれています。

クレオパトラを演じた中村さんと浅川さんも、どちらも比べようもなく素晴らしく、しいていえば、熊川さんがテレビで言っていたように、独特なエキゾチックな手や足ポーズを、浅川さんはまあるい中できれいに踊る、中村さんは、手脚の長さを生かしてエッジを利かせて踊る。

あとは観客の好みですが、私は浅川さんのクレオパトラの方が心に残りました。

選ばれた男娼とのSEXで見せる残酷な笑いとエロティックさ、ラストシーンでの叫び声が聞こえるような慟哭。

王国のために冷酷な心だったクレオパトラが、カエサルに庇護されて安堵感を知り、アントニウスに愛されて一人の女性としての柔らかい心に変わってきた過程がとても自然に伝わってきました。

これはSEX、陰謀、殺人とダークなバレエですから、確かに踊りぬくのに強い精神力が要るでしょう。

ストーリー、音楽、舞台美術、衣装、振付と、個性的でありながら、万人受けする大人のバレエ、このクレオパトラの大成功で、Kバレエはついに熊川さんが踊らなくても会場を満席にできるバレエ団になったと思います。

案内役の扱い方が、ちょっと疑問に思ったのですが、熊川さんのことですから、再演の時にはブラッシュアップしてくれることでしょう。






posted by haru at 09:20| Comment(0) | Kバレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする