2017年02月21日

新国立劇場バレエ「ヴァレンタイン・バレエ」2月17日

2017年2月17日(金)19時 オペラパレス

「テーマとヴァリエーション」米沢唯 福岡雄大

登場した瞬間の唯さんが美しく鳥肌がたった。
軽やかで、まるで体重がないかのよう。きびきびとして、しかし優雅な方向転換、びくともしないバランスの妙。雑味のないクリアな踊り。
手脚が長く、スリムなプロポーションの女性ダンサーたちのコールドはとてもよく揃っている。
前後2列になって同じ振付を踊る時、正面からは二人なのに一人のように見えるほどのシンクロニシティ。
これだけ揃えられるのは日本人ならではだと思う。
たぶん、本家のアメリカでは、これほど揃うことはないだろうし、それよりも個々のダンサーの個性が見えるような踊りをよしとしていると思う。2008年の新国立バレエのワシントン公演では、バランシンの「セレナーデ」を持って行って同様なシンクロニシティを発揮したけれども、現地の評判はそれほど大絶賛でもなかったように記憶している。
個人の見えない無機質なシンクロニシティ。でも私はこれこそが、新国立のバランシンとして素晴らしい所だと感じている。
ただし、これは女性ダンサーに関してのみ。
「テーマとヴァリエーション」でも、男性が出てきたとたんにがっくりきた。
福岡さんは的確に破たんなく、連続ピルエットもぴたっと決めていた。しかし彼の脚のラインはごつごつしていた。コールドの男性たちは、小さかった。どうにか前列の男性4人は高身長で揃えてきたが、それも、最近は王様役とかになってきた貝川さんも含めてだ。
女性陣の美しさに匹敵するくらいの、すらっとして太もものラインもムキムキでない、マリインスキーの男性たちのようなダンサーたちがいたら。
マンガ「テレプシコーラ」にも、男性ダンサーの身長についての話が何度も出てくる。
いわく、「まず体格の変化は女性にあらわれるのではないかしら」
日本の男性ダンサーが、新国立の女性ダンサーに肩を並べるくらいのプロポーションを得る日はいったいいつになるのだろうか。
そうはいっても、全世界的に高身長の男性ダンサーは不足していて、まるで「金の卵」扱いだ。
マシュー・ゴールディング、ワディム・ムンタギロフ、エヴァン・マッキー、デヴィッド・ホールバーグ、ロベルト・ボッレなど、踊りとサポートが上手で高身長なダンサーは世界のプリマからひっぱりだこ。
バレエ以外に目を向ければ、背の高い男性はたしかに最近は結構存在する。スポーツ界とか、一般でも。
うちの息子も183くらいあるから。でも彼をバレエダンサーにしようなんて、まったく考えたこともなかったし、彼自身にもそんな気は毛頭なかっただろうから、そこはやはり「バレエ」という芸術がもう少し広く大衆にアピールするものになって、それで稼げる、という状況にならなければ難しい。

日本ではまずバレエのテレビ放映が少ない。
ロシアではバレエダンサーは、日本でいう野球選手ぐらい人気があって、しょっちゅうTVにも出ているそうだ。
以前、モデルプロダクションのオスカーの社長に話を聞いた時、宝塚とかバレエとかは「裏芸能界」だと言っていた。お金を稼げないという意味なのだろう。
上戸彩のようなタレントなら、小さい時から育てて、14くらいでデビューさせて、年何億と稼いでくれる。
バレエダンサーが一人前になると思える20才ぐらいは、タレントでいうともう旬を過ぎた年増だ。




「ドン・キホーテ」グラン・パ・ド・ドゥ 柴山沙帆 井澤駿

新国立劇場バレエのドンキは何度見たことか。あの赤いチュチュもそろそろデザインを変えてもいいのじゃないかというくらい。そのなかでもとびきり退屈だった。ガラで踊るドンキって、余裕綽綽の中で、遊びでバランス技を見せたり、回転技を見せたりするものだと思っていたけど、柴山さんはかなりいっぱいいっぱいで、最大限にひっぱったゴムみたいだった。
フェッテは前半はダブル、ダブル、シングル、後半はダブル、シングルのパターンを繰り返して、テクニックのあるところを見せたが、最後は曲が終わる前に止まってしまった。たしかに踊れてはいるけれども、顔がおてもやんみたいで好みじゃないし、つまらなかった。早く終わって欲しいと思うドンキなんて。
井澤さんはイケメンで怪我明けを感じさせない軽やかさでとても良かったのに。もっとイケイケの相手を組ませてあげてはどうかしら。ドンキならば、五月女さんなんかでもイケるのでは。
そういえば、井澤&小野絢子ってあまりないですね。 

「ソワレ・ド・バレエ」米沢唯 奥村康祐

唯さんと奥村さんの組み合わせ、大好きなんです。この二人って、清潔感と踊りの軽やかさが近くてお似合い。2年前の横浜バレエフェスティバルで感動した演目なので、ぜひまた見たいと思っていました。
グラズノフの可愛らしい音楽、きらめく星空の下、さらりと超絶技巧を織り交ぜ、楽し気に踊る唯さんと奥村王子。
童話みたいな、ディズニーみたいな、愛にあふれる世界。
きっとこういうの日本人みんな好きだと思うから、ぜひ全幕を新国立で採用してレパートリーにして欲しい!
日本の国立劇場なんだから、日本人の作品もレパートリーにあってしかるべきだし、それもこんな素晴らしい振付家がいるのだから。
もう大原先生はクビにして、深川先生が次の芸術監督でもいいんじゃないか、というくらいこの作品気に入ってます!
衣装は、横浜の時よりも、プリンセス風味で、私は以前のもうちょっと大人っぽいのが良かったけれど、まあこれもディズニープリンセスの世界としてありかなと思いました。
何気に方向変換とか、緩急のスピードを変えての回転技とか、飛び上がる脚をパドシャにするマネージュとか、ちょいと変わった技巧的な振付も面白いですし、それを難しいと感じさせないで踊りこなすお二人も素晴らしい。
唯さんは、「テーマとヴァリエーション」で福岡さんにリフトされたときは、なんだか窮屈そうで急に重さを感じましたが、この作品で奥村さんにリフトされるときは、生き生きとして伸びやかでした。
ぜひ全幕で見たいです。新国立劇場ファンの皆様、劇場へソワレ・ド・バレエの全幕を見たい、レパートリーにしてくれというメールを送りましょう。
ご意見・ご感想がメールできます→ こちら


「タランテラ」小野絢子 八幡顕光

これは以前ニューイヤーガラで唯さん奥村さんを見ました。
久しぶりの八幡さん登場でしたが、絢子さんとサイズ的にぴったり合いますね。
かわいらしさ、というよりもベテランのサービス精神が伝わってきました。
これ、大変疲れる踊りだから、未熟者がやると、ヘロヘロになって、観客を楽しませようというどころじゃなくなっちゃいそうだけど、そこのところ、さすがプリンシパルは配慮たっぷりでした。

「トロイ・ゲーム」

新国立劇場バレエをいっぱい観ていた10年前〜5年前くらいまでは、コールドもほとんど顔がわかったのだけれど、今はもう全然誰なのかわかんなくなってしまいました。
そういうことで、わからないダンサーたちがわからない踊りを、身体的にめちゃめちゃ酷使する振付で、これはイロモノに属するのかなと思いながら見ていました。
私は美しいものが見たくて劇場に来ているので、こういう作品だと事前に分かっていたら幕間に帰っていたかもしれません。
しかし、こういう試みは、普段後ろの方でコールドを踊っているダンサーにとっては、身体能力を思いっきりアピールできる場としていいのではないのかと思う次第です。







posted by haru at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月27日

2016スターダンサーズバレエ団くるみ割り人形

2016年12月25日(日)14:00 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

クララ 渡辺恭子 
王子 吉瀬智弘

鈴木稔演出のスタダンのくるみは、とても良いという評判だったので、ぜひ見たいと思っていました。
テアトロ・ジーリオ・ショウワは駅から近いし、1800席ほどでこじんまりしていて、段差もあって、どの席からでも見やすそうな劇場です。

鈴木版の特徴は、第1幕がクララの家のパーティではなく、ドイツの街中のクリスマス・マーケットだということ。そうそう、公演がはじまる20分ぐらいまえから、芸術監督の小山さんのプレトークがありました。
このプレトークはどの公演でも行っているらしく、公演を見るうえでのポイントなどをわかりやすく解説してくださいます。

今回のプレトークでは、第1幕の場面になっているクリスマス・マーケットにはどんなお店があるのか、役の数が140ぐらいあるけれどもダンサーは半分以下だから、みんな2役や3役をやっていることとか、衣装はすべてイギリスに注文して、人形役は、人間用と人形用と同じデザインで注文しているとか、兵隊さんはキャストに4人しか載っていないけれども、衣装は8人分用意しているので、そのからくりを見破って欲しいとか…、衣装については舞台をみていてなるほどと思いました。

そのご自慢のクリスマス・マーケットのシーン、くるみ割り人形とナッツを売るお店、スパイスを売るお店、クリスマス・オーナメントを売るお店、ホットワインを売るお店…
小道具もそれらしく凝っていて、本当にドイツのクリスマス・マーケットにいるような気分になります。

通常の版のくるみと違って、コロンビーヌやムーア人の踊りはありません。
そのかわりに、大道芸人が芸を披露するというシーンになっております。

そのあと、ドロッセルマイヤーが人形劇用の大きなワゴン車を運んできて、子供たちに人形劇を見せます。
そのあたりは通常版と近いですが、ねすみが走る音楽のときに、人形劇を見ているこどもたちだけではなく、マーケットの大人たちも一斉にリアクションするのが、「いったいなにが起こったの?」と思わせます。

人形劇にねずみが出てきたのなら、子供たちだけがリアクションすればいいことですが、関係ない大人たちもリアクションするので、「地震かかみなりでも起きたという設定」なのかと思ってしまいましたが、そうでもないようです。この部分、納得できませんでした。

人形劇で使うから、プレゼントにもらったお人形を貸してとドロッセルマイヤーに頼まれたクララでしたが、人形劇が終わっても大事なお人形を返してもらえないので、人形を探しまくって、家族ともはぐれてしまい、最後には人形劇用のワゴンに忍び込みます。

そこで人形の世界に足を踏み入れるというお話です。
ねずみにとらわれていた人形たちを解放してやり、危機一髪のくるみ割り人形を助けるために、ねずみ大王にくるみをぶつけて大活躍。呪いが解けたくるみ割り王子に誘われて人形の国へ行きます。

その途中、雪の国を通ります。スタダンでは雪のシーンは、ポワントを履かないモダンダンスです。
衣装も円錐形のアシメントリーなスカート。

コーラスの子供たちはとても上手でした。

ここまでの第1幕、私はなんだか不思議な感覚がしていました。
クラシックバレエを観たというよりは、お芝居かミュージカルプレイを観たような感覚です。
あまりにも、クラシックな振付が少ないせいでしょうか。

20世紀初頭のクリスマス・マーケットの雰囲気と対照をなす、モダンなスノーフレークスの踊り。

私の好みでいうと、ここはやはり白いチュチュで、美しいクラシックバレエを見せて欲しいのです。

第2幕は、通常版とそれほど変わってはいませんでした。
各国の踊りや花のワルツの後、くるみ割り王子にプロポーズされて、人形の世界にとどまるように言われたクララは、悩んだ末、人間の世界に戻ることに決めます。
そして、自分の代わりに、大事なお人形を、人形の国に差し出すのでした。

クララの渡辺恭子さんは演技も踊りもしっかりしていたし、王子の吉瀬さんはスマートで温かみのある王子でした。
クララのお友達や花のワルツに新国立劇場バレエ研修所出身の鈴木優さんがいて、とても可愛らしく、柔らかい優雅な踊りで素敵でした。
すごくきれいなので、彼女ばっかり見てしまいました。

歴史のあるバレエ団だと、団内のヒエラルキーで役が決まってしまうところがあります。
団歴を重ねないと、なかなか上にあがれないし、役もつかない。
東京バレエ団でさえそうです。
今やライジングスターの沖香菜子さんも、入団後しばらくは役がつかず、子供のための眠りで抜擢されたのは入団2年目でした。それでも異例の速さです。
バレエダンサーって旬の時期が短いし、後ろでコールドばかり踊っていると、素質があっても、コールドがなじんでしまい、みずからが光を発しなくてはならない真ん中のオーラがなくなって主役にふさわしくなくなってしまうことも、よくあることです。

だから、芸術監督は、よ〜くダンサーの資質を見極めて、キャスティングするべきなのです。

それが…
スポンサーのごり押しとか、しがらみなど、いろいろな事情で、おかしなことになるケースも良くあります。
芸術監督が男性だと、「お気に入り」の意味を勘ぐられたりすることもしばしばだし…
まあ、それは古くからよくあることだけれども。

何年もバレエ公演を見続けていると、そういう裏側もなんとなくわかってしまうのが、なんだかなぁです。

私は純粋に美しいバレエが見たいし、芸術監督も絶対的な美を追求して欲しい。
素晴らしい舞台を作りあげるためだけに判断して欲しい。そう願うだけです。














posted by haru at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月22日

東京バレエ団「くるみ割人形」シムキン&沖 

2016年12月18日(日)14:00 東京文化会館 
クララ 沖香菜子
くるみ割り人形/王子 ダニール・シムキン

東京バレエ団はこの版とベジャール版の二つのくるみを交互に上演しています。
このワイノーネン版はオーソドックスですが、衣装や装置などはかなり古色蒼然としています。
今回はライジングスター沖香菜子さんとダニール・シムキンの注目ペア。

このふたり、シムキンの愛らしさにさらに倍増で愛らしい香菜子さんで、ビジュアル的な取り合わせは大変に良好です。シムキンは170センチないくらいだと思いますが、香菜子さんも160ぐらいだと思われますので、身長の取り合わせもよく、愛らしさ抜群の沖さんとのペアでシムキンが王子力をいかんなく発揮できるという。


シムキンはさすがのエレガントな踊りで、まったく音のしない高いジャンプや、美しいランベルセで魅了します。沖さんも負けていません。脚が180度さっと上がるし、美しいポーズや愛らしさで、堂々と渡り合っていたと思います。

シムキンはエレガントで素敵でした。沖さんも踊りでも負けていませんでした。このお二人の取り合わせはとても良かったです。

お二人は踊りの時にまったく足音がしないのですが、雪のシーンや花のワルツではポワントの音が目立ちました。このあたり、もう少し頑張って欲しいです。でもユカリーシャの薫陶のおかげか、コールドのアンサンブルはとてもそろっていたようでした。

ひとつ残念なのは装置と衣装です。
くるみ割り人形は、最近は年末の風物詩として、日本でも各バレエ団が工夫をこらしています。
この東京バレエ団のワイノーネン版は、装置や衣装が古めかしく、「古色蒼然」
特にお菓子の国の装置は、オレンジ色のろうけつ染めのような装置で、ダンサー達はとても良いパフォーマンスをしているのに、古めかしい感じがして残念でした。

プロジェクション・マッピングを導入していますが、それは一部なので、もう少し効果的に使用するとか、現代に即した「くるみ割り人形」としての演出、装置、衣装を新たに作って欲しいと思いました。


スペインの岸本さんのキレの良さ、コロンビーヌの人形っぽさがとてもツボにはまってよかったです。







posted by haru at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月07日

「フランケンシュタイン」英国ロイヤルバレエ(NHKプレミアムシアター)

ヴィクター・フランケンシュタイン フェデリコ・ボネッリ
エリザベス ラウラ・モレーラ
怪物 スティーブン・マックレー

今年5月に初演されたリアム・スカーレットの初めての全幕作品。
彼の小品は見たことがありますが、ソロやデュエット、群舞それぞれ変化に富んでいて、バランスよく作品を構築する力のある振付家だと思います。

前半はヴィクターがフランケンシュタインを生み出すまでの家族の話、恋人の話、学校の話など。
19世紀のコスチューム・プレイも楽しめる衣装の数々が美しい。ダウントン・アビーみたい。
振付としては、マクミランを彷彿させる、コンパスのようにポワントの先を使って回転するパや、多数の男性にリフトされるシーン(マノンみたい)が多用されています。
フランケンシュタインという題材の暗さから、「マイヤーリング」に似ているかも。

全編これダンサーが踊りっぱなし。
特に踊りっぱなしなのがヴィクター役のボネッリ。出ずっぱりで、濃い演技をしながら踊らなくてはならない、大変にハードな役。
それからラウラ・モレーラ。年増だからお姫様役は似合わないけれども、女性らしいこなれた動きのねばっこさが独特な味を醸し出す。美人ではないけれども魅力的。
難しいリフトや休みなしの激しい踊りがてんこ盛りなのだけれども、抜群のパートナーシップが見事で物語を語ってゆく。

ヴィクターが怪物を作り出す実験解剖室のシーンは、プロジェクション・マッピングや手品のような火花の効果で大変に面白い。

マックレイ先輩の踊りがキレキレなのはデフォルトとして、怪物がヴィクターの弟を殺してしまうシーンや、犯人と間違えられてつるし首になるジュスティーヌのシーンは、見ていてつらい。

しかしこの作品の白眉は、ヴィクターとエリザベスの結婚式で、踊る友人たちの間に怪物が現れたり消えたりするトリッキーなシーン。映像だから、よけい不思議に見えるのかもしれないが、群舞の中にいつのまにかまぎれて踊っている怪物が、またいつのまにか友人と入れ替わっていて、観客もヴィクターと同じく錯覚の迷宮に入ってしまうようなカタルシスがあった。衣装と照明も効果的に使われていて、ここは実際の舞台でぜひ見てみたいと思った。

そして終盤のヴィクターと怪物の男パ・ド・ドゥ。最近はやりの男パ・ド・ドゥ(笑)
なんだか二人がキスでもするんじゃないかと、ドキドキしましたわ。
二人とも大柄ではないけれども、男性をリフトするのって、大変そう。
ちょっと重そうだった。

私の好みは「後味の良い作品」なので、これは好みにはずれているのですが、踊りが多いことや、面白い演出や構成があったので、あとは音楽ですね。音楽がわかりにくい。
ホラーって、一部では人気のある分野だから、もう少しキャッチーな音楽で、殺人や処刑のシーンをどうにかしたら、一般受けする作品になるような気もします。
シリアスドラマは、英国ロイヤルバレエという、ドラマティックバレエを得意とするバレエ団の特徴にはあっているかもしれないが、一般受けは難しいんじゃないかしら。
以前、NBAバレエ団がやった「ドラキュラ」の方がもう少し一般受けする作品だったと思います。

お化け屋敷的作品、という路線はありかもしれない。
いっそのことフランケンシュタイン、ドラキュラ、オオカミ男、ゾンビとか、全部出てきたりして。
ハロウィーン期間上演で。















posted by haru at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月20日

「ラ・バヤデール」祥子&遅沢

2016年11月19日(土)16:30 東京文化会館

ニキヤ 中村祥子
ガムザッティ 浅川紫織
ソロル 遅沢佑介
ハイ・ブラーミン スチュアート・キャシディ
マクダヴェヤ 酒匂麗
黄金の仏像 井澤諒

熊川さんは中村祥子さんで、Kバレエの全幕レパートリーすべて映像に残すつもりなのでしょう。
白鳥、眠り、このバヤデールもシネマとして公開されるようです。
そのための録画撮りをしていたためか、コールドに至るまで気合の入った良い舞台となりました。

冒頭は苦行僧たちの踊り。ここはKバレエの男性ダンサーたちがはじけるところ。
マクダヴェヤの酒匂さんのジャンプがすごく高くて、開脚も空中のポーズが決まっていて、しょっぱなからワクワクしてきます。

ソロルの登場は、グラン・ジュッテの連続ではなかったです。海賊みたいなパッセの形を見せるジャンプ1回で登場。んーここはやはり、斜めに大きなジュッテで登場して欲しいところです。

ハイ・ブラーミンと共に僧侶たちが登場。このエキストラの僧侶が、初演時に驚いたのですが、太った中年の方々なんです。普通、こういうエキストラって、バレエ団員の下っぱがやるものですが、それだと体格的に細くて舞台に重厚感が出せないと判断したのか、体格の良いエキストラを調達(いったいどこから?)。
こんなところに熊川さんの「こだわり」を感じます。そうです。こういう小さなことの積み重ねで舞台の重みが違ってくるんです。脇役もエキストラも重要な要素です。

巫女の踊りの後、ニキヤ登場。ヴェールをかぶった祥子さん、そのままでも美しい。
この世のならぬ美しさというよりも、もう少しナチュラルで、平民の娘が取り立てられて巫女になった雰囲気。わりと普通っぽいというか。あえてのキラキラ度おさえめというか。

とても控えめで、神に仕える身という自覚があり、ハイ・ブラーミンのプロポーズもきっぱりと断る。
でも、マクダヴェヤから「ソロルが待っている」と聞かされると、突然瞳がキラッと輝いて、表情がパァーッと明るくなる。ニキヤにとって、ソロルは特別な存在だというのがよくわかりました。

ニキヤの踊りは、大変に抑制された感じで、それはこの1幕の時から、影の王国に至るまでずーっと続いていて、唯一解放されるのは、この一幕で踊るソロルとの愛のパ・ド・ドゥ。

そう言えば、この公演の前に行われた公開リハーサルで、ソロルを探すニキヤのことを、熊川さんが「Where is my lover?」ってアテレコをしていたけれども、祥子さんは、まさにそのセリフが聞こえるようなお手本のような演技でしたね。

場面が変わってラジャの屋敷。これがお前の婚約者だよとガムザッティに見せるソロルの似顔絵が、なにげに遅沢さんに似すぎていて(笑)あたりまえなことですが、ここが似ていない舞台って結構あるんです。こういう小道具も神経が行き届いているところ、いいと思います。

浅川ガムザッティが、ゴージャスな美しさでキラキラオーラ全開です。これはソロルでなくても誰でもまいってしまうだろうという位の。思わずくらっとくるソロルの気持ち、わかります。
ニキヤとガムザッティの対決シーンは、マイムからセリフが聞こえてくるようで、大変にドラマティックでした。美女二人の喧嘩、大迫力で、キッラキラのガムザと、身分の低いニキヤという対比もわかりやすかった。浅川ガムザは、生まれながらのお姫様で、自分の思い通りにならなかったことなど、一度もないという育ち方で、だから自分に歯向かっていうことを聞かないニキヤに対して、思わずムカついて「殺す!」となる流れも納得できました。

ニキヤの「殺す!」マイムで休憩かと思ったら、舞台は続いて婚約式のシーンへサクサク進みます。
度肝を抜くくらい大きな象(これは海賊の船にも匹敵するくらいの大装置です!)にソロルが乗って登場。これまた大きな仕留めた虎がお土産。

ジャンぺの踊り、にぎやかな太鼓の踊り、パ・ダクシオン、ガムザッティとソロルのパ・ド・ドゥなど、古典バリバリのクラシックから、土着的な太鼓の踊りまで、さまざまな踊りがてんこ盛りで楽しい!
杉野さんをリーダーとする太鼓の踊りは、みんなはじけておおいに盛り上がる!ボリショイにも負けていない!
バヤデールでは、きたない恰好の男子の方が見せ場が多くて踊りまくる!
例外はソロルの友人の栗山さん。シュッとして細くて長身王子。見た目は抜群です。踊りがもっともっと上手になってKバレエを背負うくらいになって欲しいです。

ガムザッティの難しいヴァリエーション、浅川さんが端正かつ華麗に踊りきって大喝采!!
浅川さんは初演時のニキヤが、とても良かった記憶がありますが、ガムザッティも素晴らしい。祥子さんと浅川さんでニキヤとガムザッティを交替して日替わり公演なんか、いいんじゃないですか?
この二人で、たとえばジゼルとミルタを交替して日替わり公演もいいと思います。

遅沢さんは、もっとできる人だと思いますが、ジャンプの高さが少し物足りない感じではありました。彼はKバレエで長いですからね〜もう7、8年?
経歴を見ると2007年入団、2013年からプリンシパルなんですね。遅沢さんという相手役がいるから祥子さんが踊れるわけであって、祥子さんのために外部からゲストを呼ぶのはKバレエらしくないし、かといって宮尾さんはいまいちなんで、もうすこし彼に頑張ってもらわなくては。

ニキヤの悲しみの踊り。ポワントでススしてからアティチュードという振付、普通はさっと脚を上げてからすぐにアテールに降りるのですが、祥子さんはポワントのまま、片脚をゆっくりとあげてアティチュードにもっていき、そのままポワントバランス。これを繰り返しました。すごい大技!
こういう大技、コジョカルとロホがやったのを見たことがあります。そういう世界でも超一流のバレリーナしかできない技です。

この悲しみの踊りが、花かごをもらってから明るい曲調になるのですが、熊川版では、花かごは直接ソロルからニキヤに渡されます。(準備したのはラジャです。ラジャが花かごに毒蛇をしかけさせたという設定です)
ラジャが花かごを「踊ってくれたお礼に渡せば」みたいな感じでソロルに渡し、ソロルがニキヤに花かごを渡し、受け取ったニキヤが喜んで明るく踊りだすという、大変納得のいく話の流れになっています。

花かごから毒蛇がでてきて噛まれたニキヤに、びっくりする様子のガムザッティ。ガムザッティが仕掛けたのではないようで、でもニキヤは「あなたがやったんでしょう」と言いますが、「そんなの知らないわ」と、まあ本当に知らないんでしょうが、悪びれず、ソロルの手を取り、あちらにいきましょうというガムザ。
それを見て、解毒薬を拒絶して死ぬニキヤ。このあたりのお話しは、ジゼルにそっくりですよね。

ニキヤの死で第一幕は終わって休憩です。第二幕は神殿の中で祈るソロル。この神殿のセット、タイムマシンの異次元空間みたいでなかなか面白いです。マクダヴェヤが水パイプをすすめて、ニキヤの幻があらわれ、それを追っていくと影の王国です。

影の王国は2段半ぐらいのつづら折り。影たちの衣装は、ちょっとかわったバルーンスカート風のチュチュで凝っています。コールドたちの見せ場の長いシーンですが、とても良く揃っていて、緊張感と一体感のある美しい踊りでした。観客もしわぶきせずに、かたずをのんで見守って、引き込まれました。こういう舞台と客席の一体感を味わえるのが、DVDでは味わえない、劇場空間ならではの良いところです。

影となったニキヤの踊りは、余計なもののないシンプルな、クリアな踊りでした。祥子さんはポワントに乗って「たゆとう」のが好きで、作品によってはよくそれをやるのですが、ここではそれは封印し、古典のエッセンスのみで魅せるような踊りでした。
ヴェールの踊りは、左右両方に回転する、とても難しいものですが、完璧でした。
そのあと、ちょっとピルエットで落ちるという祥子さんにしてはめずらしいミスがありました。まあ、たぶんもう一回の公演でもビデオ撮りをして良い方と差し替えてシネマで使うので大丈夫でしょう。
遅沢さんのソロも、だいぶ体力を使ったのか、ヘロッてるところがありました。少しお疲れなのかしら。

三人のオンブル、それぞれのヴァリエーションが素晴らしかったです。ふんわりと軽くて、体重がないようで。中村春奈さん、小林美奈さん、浅野真由香さん。このあたりのランクの女性ダンサーが徐々に育ってきているようです。

影の王国から帰ってくるとソロルは死んでいて、駆け寄ったガムザッティに白蛇が食いつく。
神殿が崩壊して(ここの舞台装置、すごくゆっくりと大岩が落ちてくるのが、CGみたいで迫力あります)すべてが無となった中に黄金の仏像が踊ります。

その後、スモークがたかれ、天国でニキヤを追いかけていくソロルで幕。

この最後の演出ですが、初演時は、たしか神殿崩壊のあと、洪水が起きて、それを水色の布で表現していたと思いますが、そこがなくなってしまいました。
あの水色の布の洪水で、「世界が浄化された」というインパクトがあるのに、改変されたのは少々がっかりです。初演時に、それで終わるのはどうかという意見があったのかと思いますが、熊川さんの秀逸なアイデアなのですから、つらぬき通して欲しいです。






















posted by haru at 22:48| Comment(0) | TrackBack(0) | Kバレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月10日

新国立劇場バレエ「ロミオとジュリエット」米沢&ムンタギロフ

2016年10月30日(日)14時 オペラパレス
ジュリエット 米沢唯
ロミオ ワディム・ムンタギロフ
ティボルト 中家正博
マキューシオ 福田圭吾
ベンヴォーリオ 奥村康佑
乳母 楠本郁子
キャピュレット夫人 本島美和

私が新国立劇場バレエのロミジュリを見たのは2回目です。
前回は小野絢子さんとマトヴィエンコを見ましたが、マトヴィがどうもロミオに見えず、小野さんの熱演もいまひとつしっくり来ず、モブシーンはバーミンガムバレエ版のせいか、舞台に乗っている人数がロイヤル版よりも少なくて、スカスカしているような印象が残っていました。

今回も同じバーミンガムバレエ版なので、やはり人数少な目ではありましたが、主役の二人が素晴らしくて、あまり気になりませんでした。
最近お気に入りのプリマ、米沢唯さん。
お稽古場だとピルエット5,6回転してしまうという抜群のテクニック。端正で丁寧な踊りが魅力です。
古典の見せ場、連続フェッテなどでさらりとすごい技をやってしまうのがたまりません。
演技もわりとあっさり目という感じなので、今回のロミジュリ観に行こうかどうしようか悩みました。
ロミジュリだと古典のテクニックを見せるようなシーンはあまりなくて、演技が重要ですから。

でも観に行って良かったです!
唯さんの初登場シーン、ジュリエットの寝室。乳母とたわむれる唯さんのかわいらしいことといったら!!
いたずらっこの14歳そのもの。そのキュートさにハートを射抜かれました。

ワディムのロミオは、ひとりとびぬけて別人種の体型。腰の位置が他の男子より30センチくらい高くて、ゴージャスなヒップとすらりとした太ももが目を惹きます。あんなタイツのラインが出るのは日本人ではめったにいないでしょう。肉体の持つ力がすごい。もう立っているだけで美しい。その上踊りも端正で上手。

こんな素敵なロミオだったら、恋に堕ちなくてはいられないよね
バルコニーのシーン、ロミオの腕を取り、自分の胸が「ほら、こんなにドキドキしている」と
教える唯ジュリエットを見ていると、こっちもドキドキしてしまう。
ワディムロミオも恋に落ちた情感たっぷりで、唯ジュリエットを見つめる目が輝いている。

そう、恋をするって、こうだよね〜
ロミオとの恋に浮きたつそのまま、唯ジュリエットはまるで羽根のようで、リフトされてもまったく重力を感じさせません。

こんなに唯さんが、感情を踊りに乗せて解放しているのを見たことがあったでしょうか?
思う存分身体を伸ばして踊り、安心して思い切り飛び込んでいけるワディムロミオだから。
今まさに舞台の上でジュリエットとして生きている唯さん。
これです!
こういう米沢唯を見たかったのです!
こんな風に素晴らしく踊れるなんて!
この瞬間、世界は二人のためにある!
ワディムも唯さんも超一流レベルのヴィルトオーゾなダンサーですが、その二人がテクニックどうのこうのを超越したZONE状態に入ったようなバルコニーのパ・ド・ドゥでした。

良かったね、唯さん、こんな風に踊ることができて…といつの間にか涙がぽろぽろ流れてきて止まりませでした。そう、いままで唯さんの踊りをみて何か物足りない、米沢唯はこんなものではない、もっと出し惜しみをしないですべてを出し尽くして欲しいと感じていたフラストレーションが一気に解決されました!

それが古典作品ではなくて、ロミジュリだったのは意外でしたが、こういう演技が重要な役を演じることによって、つぎに古典作品を踊る時には、殻をやぶってさらに高いレベルのものを見せてくれるのではないでしょうか。
プリマ米沢唯が次のステージに上がった

唯さん以外のことについて。
今回はサイド席だったので、舞台を上から見下したのですが、そうすると、広場でのモブたちの配列や動線が良く見えて面白かったです。コールドはああいう風にカウントで斜め一列に出てくるんだな〜とか、それが紗に交差する具合とかも、段取りっぽい感じがありすぎて、もう少しその中でもそれぞれが芝居とか個性的な動きとかをするとだいぶ違ってみえてくるのだろうと思います。
でも、マクミランのロミジュリやマノンなど、コールドに至るまで演技を求められる作品をやることは、バレエ団の向上のためにはとても良い経験だと思います。
観客の動員率もよかったようだし、男性の観客も多かったので、もっと回数多く上演できるといいですね。
いっそのこと、舞台装置と衣装も新調して、2年に1回ぐらいやればいい。

ロミオ、マキューシオ、ベンヴォーリオの三バカトリオ。
ワディムロミオは上手なのですが、日本人男子はアンディオール不足。どこがというと、トリオの振付では、片足を上げて前から横、後ろへとぐるっと足を回すようなパが多用されています。女性のパでいうと、フェッテのようなパですが、前から横へ開くのって、日本人は苦手みたいです。
英国ロイヤルバレエのマックレイなどはここが実にクリア。吉田都さんのラストジュリエットの時は、マックレイ、マロニー、ポルーニンで三人とも見事でした。
体型の差はいかんともしがたいですけれど、三人の雰囲気は悪くなかったです。

マキューシオの福田さん。福田さんは道化役とかよくやるテクニシャンだと認識していましたが、あまりキレがありませんでした。この役は熊川哲也さんの当たり役だったそうで、思わず熊川さんだったら、さぞかし派手に演じるんだろうなぁと重ねて見てしまいました。チャンバラシーンは楽しいですね!音楽に乗ったリズミカルなチャンバラは、ロミジュリの名シーン。

本島美和さん、キャピュレット夫人、お似合いです。クッションダンスも美しいし、ティボルトの死を嘆くところも迫力がありました。本島さんも、もう主役は踊らなくなってしまって、キャラクターばっかり。以前の湯川さんのポジション的になってますね。











posted by haru at 13:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月07日

「シンデレラ」中村祥子&遅沢佑介

2016年10月29日(土)16:30オーチャードホール

シンデレラ 中村祥子
王子 遅沢佑介
仙女 西成雅衣
シンデレラの義姉 山田蘭 岩淵もも
シンデレラの継母 ルーク・ヘイドン

シンデレラは、熊川さんがはじめて自分が踊らない前提で振り付けた全幕作品。
初演のタイトル・ロールは松岡梨絵さん。キッラキラに輝いていて、ボロ服が全然みすぼらしく見えないほどでした。今回中村祥子さんのシンデレラを見ていて、どうしてもあの時の松岡さんが思い出されてなりませんでした。
祥子さんの踊りはもちろん素晴らしいのですが、松岡さんのあの時の輝きとキレの良い脚さばき、心の美しさがどんな時でも伝わってくるようなにじみ出る情感…まさにプリマバレリーナ松岡梨絵の頂点として、燦然と私の中で輝いているのです。

その後、松岡さんは二度目のシンデレラの主演を降板して出産、Kバレエを去りました。
あの時は、松岡さんのプリマとしての洋々とした未来への道が、ずっと続いていくものだと思っていたのですが、シンデレラ初演がキャリアの頂点だったとは。
もちろんプリマであると同時に一人の女性であるので、女性としての幸せを得ることはおめでたい事なのですが、観客としては残念ですし、本当にバレエ・ダンサーの旬って短いです。

その点、中村祥子さんは、プリマバレリーナとして、そして母親として、この二つを両立させているという、日本ではめずらしいケースです。彼女の類まれな才能を認めて協力を惜しまない旦那様も影の立役者と言うべきでしょうね。

さて、第1幕のボロ服のシンデレラ。祥子さんは、いじめられてもすぐに立ち直って、自分で楽しみを見つけてその場を明るくしてしまう超ポジティブシンデレラです。
今の祥子さんは女性としての家庭の幸せ、プリマとしてのやりがいのある仕事と、大変に幸せな状態にあると思いますので、どうもそのあたりの地が出るというか、シンデレラが全然かわいそうに見えないんです。
この第1幕での悲惨さ、暗さがある程度ないと、変身したシンデレラとの差が際立たないのですけど。
もう少し陰影のあるような演技があるとよかったです。

義姉たちにも少し遠慮があるのかしら?山田蘭さんの義姉は初めて見ましたが、悪くはないけれど、もう少し踊りのキレと、特徴的な性格づけがあると岩淵さんとのコンビがさらに映えると思います。アシュトン版だと、ひとりのお姉さんはおっとりタイプ、もうひとりはちょこまかタイプとなっているのですけど。
岩淵さんは何度もこの役を踊っているだけにさすがの存在感とコメディエンヌっぷりでした。







posted by haru at 10:11| Comment(0) | TrackBack(0) | Kバレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月22日

東京バレエ団「ドン・キホーテの夢」秋元&川島

2016年8月21日(日)14:30 めぐろパーシモンホール
キトリ/ドゥルシネア姫 川島麻実子
バジル 秋元康臣
サンチョ・パンサ 氷室友
ガマーシュ 岡崎隼也
エスパーダ 岸本秀雄
キューピッド 森田理紗

午前公演と比べると上位ランクのダンサーが多く出演していました。
サンチョパンサは、この子供ドンキではお話しをする進行役ですが、氷室さんは昨年もやっていてもうベテラン。とても上手だけれども、慣れちゃっているのでちょっと偉そうな感じ。午前中のサンチョの中村さんは、その点頼りないサンチョで可愛かったな。声も良く通っていたし。

安定の秋元&川島ペアだけども、想像以上に素晴らしかったのは岸本エスパーダ!
身のこなしに品格とオーラがある!そう、エスパーダとは誰もがなれる地位ではない。
闘牛士の頂点エスパーダには品格とみんなが憧れるオーラがあるべき。
岸本さんには、役に求められているのはどんな事なのかをきっちりと把握して表現できる力があります。
エスパーダのソロの途中で、2,3歩普通に歩く所があるのですが、そこで素のエスパーダとして歩く歩き方が、ちょっとぶっきらぼうで男らしいのもエスパーダっぽい!変なところにツボりました。
岸本さんは踊りも丁寧だけれども、役になりきる力が素晴らしい。
宮川さんよりこちらの方をもっと主役にして鍛えて欲しい!!
ルグリにも気に入られていたそうだし、すごく良いダンサーになる伸びしろがあると思います。

川島さんはテクニシャンだし、キトリはお手のものという感じですが、もしかして初役なのかしら?
だとしたら大したものです。グランパのフェッテは扇を開くという技も3回ぐらい入れ込んでいたし、他の大技も危なげなし。もっとも秋元さんはとてもサポートがうまいらしいから、安心して踊れるということもあるのかもしれません。沖キトリがほわんとしているのと比べて、川島キトリは気が強そう。

そしてお目当ての秋元さん。彼は本当に踊りがうまい。そのうまさ加減といったら、ヴァリエーションで、ザンレールの後ピタッとアラベスクで静止するとこなど、熊川哲也さんのうまさ加減にも匹敵するくらい。
才能なんでしょうね。踊りにキレがあるので、彼だけ輪郭が他のダンサーよりくっきりと見える。
どうしても目が秋元さんを追ってしまう。
演技はわりと薄めなんだけれど、踊りですべてを物語ってしまうから、それで事足りる感じ。
背は高くはないけれども、体幹がしっかりしていて、胴が厚くて顔が小さく、太ももが発達しすぎていなくてすらっとしている。体のバランスがいいんです。
サポートも上手で、女性が踊りやすいように、さりげなく次に動く方向へ押したりしてます。
おそらく、Kを退団したあと、ロシアのバレエ団で数多くの舞台で鍛えられたのでしょう。
日本と比べ年間の公演数が桁違いに多いロシア。「ダンサーは舞台の上でしか成長しない」とはよく言われる事です。もとからの才能が、舞台でさらに鍛えられて開花したのでしょう。
9年ぐらい前、NBAバレエ団にいたころも上手ではありましたが、今は段違いのレベルだと思います。

秋元さんは、おそらくどんな作品も、どんな役も踊りこなすことができると思いますし、どんな相手役でも上手にサポートすると思います。東京バレエ団はもちろんプロフェッショナルなんだけれど、他のダンサーとはレベルが違う、「超」のつくぐらいのプロフェッショナルダンサーだと感じます。
だから、彼の踊りをみると感心するし、もっと見たいと思う。

けれどもですね…そのプロフェッショナル具合が、時には物足りなさも感じさせるのです。
もっと一生懸命に、いちずに役になりきって欲しい。
踊ることへの情熱、踊ることが楽しくて仕方ない、というような気持があまり伝わってこないダンサーでもあります。お仕事でやってま〜す、というのが、上手なだけに他のダンサーよりも伝わってしまう。

たとえば、上でひきあいに出した熊川さんも、時にはセーブモードで踊ることもあります。
でも、踊りに対する情熱は常に伝わってくるのです。バレエに対する「愛」というようなものが。
そこのとこが、秋元さんの場合は足りないように感じます。
そこが残念。
もしかしたら、Kバレエを退団したのも、バレエを愛する熊川さんと、バレエをお仕事としてしかとらえていない秋元さんとの感覚の違いがその原因になっていたのかもしれないと妄想してしまいました。
真実は当事者じゃなければわかりませんし、秋元さんにもバレエへの情熱があるのかもしれないけれども、それならもっと役に没頭して欲しい、120%くらいを見せて欲しいと思うのです。















posted by haru at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月21日

東京バレエ団「ドン・キホーテの夢」沖&宮川

2016年8月21日(日)11:30 めぐろパーシモンホール

キトリ/ドゥルシネア姫 沖香菜子
バジル 宮川新大
サンチョ・パンサ 中村瑛人
ガマーシュ 山田眞央
エスパーダ 森川茉央
キューピッド 足立真里亜

二年目の子供ドンキ。マイナーチェンジはあれど、子供を飽きさせない工夫と飛びきりの楽しさを届けよう!
という意気込みが伝わってくる舞台。
本公演では目立たないコールドのダンサーがたくさん出ているし、今回は、ロシナンテとお嫁サンバという二匹の馬の足をやっているダンサーが、カーテンコールで出てきて、馬の足の衣装のまま、大ジャンプとか540とか、回転技とか、バクテンとか、思い切り好きな事やりまくっていたのが面白かった。
馬の中に入っていたフラストレーションを爆発させたみたいで、とっても微笑ましかった。
むしろ今回初めてそこに一番ツボったというか...

沖さんはすっかりプリマらしくなって、わがままでも気が強くもないけれども、かわいらしくてキュートなキトリ。むしろ、柔らかい腕の動きなど、とても女性らしさを感じる。
踊りも盤石。フェッテも危なげなくダブルをたくさん入れていた。
目が大きいので、視線の行先がはっきりみえて、細かい演技が分かりやすい。
去年より演技がとても自然になっている。
これから20代後半はバレリーナとしてぐんぐん伸びる時期だから、色々な演目を踊っていってほしい。
ジゼルなんか似合いそう。

宮川さんは、初めて見ましたが、踊りはまあまあ、頭が大きいのが気になります。
演技も薄いんですよね。昨年のドンキで沖さんと組んだ梅ちゃんがイケメンオーラがあって芝居上手で良かったのに、退団してしまって残念!
沖香菜子を、より輝かせてくれる相手役は誰だ?
岸本君じゃだめなんですかね?
まあ、12月のくるみでシムキンと組むからこれからは海外有名ゲストと組むことが増えるのかもしれない。

森川さんがエスパーダ、サラリーマンみたいな髪型で出てくるから、誰だか最初分からなかった。
なんか踊りが緩いのです。こんなダンサーだったっけ?もっと男性的な個性だった記憶があるのですけど。

足立さんのキューピッドが素敵でした!軽やかで、かわいらしくて、足音も全然しないし、スタイルも新国立基準だから抜群。
これからはどんどんソロにキャスティングされるといいですね。くるみの配役に期待します。

今日は午後の部とのダブルヘッダーなので、このへんで。


posted by haru at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月03日

オールスターガラBプロ最終日

2016年7月27日(水)18:30 東京文化会館

「ラプソディ」(振付:F.アシュトン) 
アレッサンドラ・フェリ
エルマン・コルネホ
[ピアノ:中野翔太]
「白鳥の湖」より第2幕アダージォ(振付:M.プティパ) 
ニーナ・アナニアシヴィリ
マルセロ・ゴメス
「Fragments of one's Biography」より(振付(振付:F.アシュトン) 
ジリアン・マーフィー
マチアス・エイマン
「ジゼル」(振付:M.プティパ) 
スヴェトラーナ・ザハーロワ
ミハイル・ロブーヒン
「リーズの結婚」(振付:F.アシュトン) 
ジリアン・マーフィー
マチアス・エイマン

休憩

「プレリュード」(振付:N.カサトキナ) 
ウリヤーナ・ロパートキナ
アンドレイ・エルマコフ
「フー・ケアーズ?」より(振付:G.バランシン) 
ジリアン・マーフィー
マチアス・エイマン
「ディスタント・クライズ」(振付: E.リャン) 
スヴェトラーナ・ザハーロワ
ミハイル・ロブーヒン
「レクリ」(振付:V.チャブキアーニ〜ジョージアの民族舞踊に基づく) 
ニーナ・アナニアシヴィリ
「ル・パルク」(振付:A.プレルジョカージュ) 
アレッサンドラ・フェリ
エルマン・コルネホ
[ピアノ:中野翔太]
「眠りの森の美女」(振付:M.プティパ/A.ラトマンスキー) 
カッサンドラ・トレナリー
マルセロ・ゴメス

フェリ、ニーナ、ロパートキナ、ザハロワ…バレエ界のレジェンドになるであろう方々のガラ。
同世代だとあと目ぼしいプリマはギエム、ヴィシニョーワ、オレリー・デュポン、ダーシー・バッセル、ユリア・マハリナとか?
ジリアン・マーフィーも素晴らしいけど、少し小粒。
タマラ・ロッホ、コジョカル、ルシア・ラカッラ、テリョーシキナ、アレクサンドロワ、ヤンヤン・タンも大好きなんですが…

ダンサーの旬の時期は本当に短い。テクニックの充実を追いかけていた若い頃を過ぎて、表現力が伸びてくると、今度は身体が思うように動かなくなってくるというせめぎあい。
だから、テクニックと表現力が両方とも熟してきた旬の時期のバレリーナの舞台にあたるのは至福の時となる。

まさに今旬の時期であろうザハロワ。
10年前ぐらいは新国立劇場バレエにゲストとしてたびたび来ていた。そのころはポテンシャルに恵まれている事の方が際立っていたが、今はそれに加えて踊りに深みがぐっと増している。
ジゼルは「孤高の」とでもつけたくなるように、ひんやりと冷たい空気をまとっている。
ゆっくりとデベロッペした脚を6時のポーズまであげて、アラベスクへ移行する、様式美のような端正さ。
たとえばギエムが6時のポーズに脚を上げるのは、どこか挑戦的なイメージがつきまとうが、ザハロワはあくまでも白いバレエらしく、たおやかさの中にすっと細く長い芯が通っている感じだ。
シャンジュマンの高さがすごい。ジュッテも軽い。開脚は180度を越えて200度ぐらい。
身体能力を出し惜しみせずに120%くらい見せてくれているような踊りだ。

容貌も卵型の顔で目鼻だちも上品に整っている。腕の細さ、脚の長さとしなるカーブの曲線、高く出た甲。出産後はガリガリに痩せすぎていたが、今は少し戻している。しかし、驚くほど細い体のどこにあれだけのスタミナがあるのだろうか。

ロパートキナも細い体型をずっと維持し続けている。fragment…はあまり踊りらしい踊りはなかったが、それでも踊り終わったあと、まったく息が荒くなっていないのには驚かされる。

ニーナの白鳥は、体型がコマのようになっていたが、情緒たっぷりの素晴らしい白鳥で、動作のひとつひとつに伝えたい思いがこもっているように感じられた。
回転技は健在で、サポートがなくてもくるくると回ってしまえそうだった。
ニーナの場合は、細い軸というよりはぶっとい軸があるようだ。

踊る女優フェリ。まさにレジェンド。女らしいオーラをまとっているし、見事な甲は相変わらず。だが、背中はやはり50を越えると固くなるようで、アラベスクのラインは良くなかった。
「ラプソディ」ではコルネホのソロが、精緻なピルエット、小気味よく決まる方向変換と、ラテンのイケメンオーラで実に素晴らしいかった。

マチアスとジリアンは、テクニシャンで踊り上手どうしなので、アシュトンの細かいパもものともせず踊りまくりで楽しかった。マチアスの見せ場をもっと見たかった。
ゴメスの見せ場ももっと見たかった。
基本、女性を見せるガラなので、そこが少々残念。

ラストの眠りは、ラトマンスキー版で、ちょこちょこ違和感を感じた。
トレナリーは、この女性陣の中で一人若くて、ハツラツとしていた。
このメンツならば、トレナリーでなくて、ジェリーケントとか呼んだらよかったかもしれない。



posted by haru at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。