2009年11月12日

DVD「イワンと仔馬」

マリインスキー・バレエ『イワンと仔馬』 

  
マリインスキー・バレエが11月末にいよいよ来日します。
詳細はこちら
招聘元のジャパン・アーツのブログ・レポーター企画で、
話題の『イワンと仔馬』のDVDをお借りして観ることができました。
主演はテリョーシキナ&ロブーヒン、指揮はマエストロ・ゲルギエフです。
         ♪            ♪
『イワンと仔馬』は、ロシアの民話で昔から親しまれている物語だそうです。

3人息子の末のイワンは、おバカと兄弟に言われていますが、
畑で雌馬をつかまえて、放してあげる代わりに3匹の馬をもらいます。
2匹は大きくて立派ですが、1匹は弱々しいせむしの仔馬です。

でもこの仔馬には不思議な力があり、
その力を借りてイワンは王様の命令で、
幻影の中に出てきた美しい姫を探しに行きます。
テリョーシキナ 写真提供:ジャパン・アーツ 撮影:瀬戸秀美


火の鳥たちと一緒にいた姫を見つけて連れて帰ると、
王様は姫と結婚すると言います。
姫を好きになっていたイワンはがっかり。

でも姫は結婚する条件として、海の底にある指輪が欲しいといって、
王様はイワンに見つけてくるように命令し、
イワンと仔馬が海底に探しに行きます。
1567Photo_by_瀬戸秀美.JPG

指輪を見つけて帰ると、姫は若くてハンサムな人じゃないと
結婚しないと言います。
そのためには煮え立った湯に入ればいいと言うので、
王様はためしにイワンにお湯に入らせます。

イワンが熱湯に入ると仔馬の魔法でイワンは立派な若者に変身します。
それを見た王様は、自分も、と沸騰したお湯に入って死んでしまいます。
イワンが代わりに新しい王様になり、
姫と結婚してめでたし、めでたし。


     ♪          ♪
ラトマンスキーが2009年に改訂振付した『イワンの仔馬』は、
シンプルな舞台装置と、どこかバレエ・リュス時代の前衛芸術を
思わせる美術や衣装で、グランド・バレエというよりは、
昔なつかしい学校の体育館で見た人形劇を彷彿とさせられます。

登場人物も、王様は王冠をかぶっているのではなくて、
サンタクロースのような赤い衣装ととんがり帽子。
王様の側近は、全身タイツに○(マル)と×(バツ)がついている
カリカチュアライズされた衣装で、動きもどこかユーモラスです。
1253Photo_by_瀬戸秀美.JPG


コックさんのような白い帽子をかぶっているおそろいの男性たち、
ロシアの民族音楽風のメロディーで踊る女性たち、
水色タイツの海底の妖精たち、飛び跳ねる仔馬。

最初は、なんだろう…なにかに似ているといぶかっていましたが、
そうだ!人形劇だ!と思いついてからは、
動く人形たち(それも、とびきり上手でかわいいお人形)が
私だけのために特別な劇を演じてくれている…というイメージで、
どんどん舞台に引き込まれていきました。

この作品では、クラシックバレエのテクニックは
巧妙に隠されています。
ただひとり、テリョーシキナの演じる姫だけは、
美しいラインを惜しげもなく見せて踊り、
そのアームスのやわらかな動きは、プリセツカヤも
こうだったのではと思わせます。(この作品はプリセツカヤの夫
シチェドリンが彼女のために作曲したそうです)

0786Photo_by_瀬戸秀美.JPG

もうひとりの主役イワンには、最後の方に、
超絶技巧の見せ場が用意されています。
ダブルのザンレールにピルエットの連続技。
それを3回も4回も繰り返すのですから、
これは並のダンサーにはできる技ではありません。
ロブーヒンのイワンも良かったですが、
今回の来日で踊るサラファーノフなら、楽々と
やってのけることでしょう。

私のイメージは、『ロシアの人形劇』でしたが、
みなさんはどんな印象をうけるのでしょうか。
観た後に楽しい気分になれることうけあいの作品です♪

写真提供:ジャパン・アーツ 撮影:瀬戸秀美



     
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Kバレエ「ロミオとジュリエット」SHOKO&遅沢佑介

Kバレエカンパニー10周年記念全国ツアー
『ロミオとジュリエット』
2009年11月8日(日)14時 東京文化会館大ホール

ロミオ 遅沢佑介
ジュリエット SHOKO
マキューシオ 西野隼人
ベンヴォーリオ ビャンバ・バッドボルト
ティボルト 清水健太
ロザライン 浅川紫織
パリス ニコライ・ヴィユウジャーニン
乳母 樋口ゆり


SHOKOを堪能したいと思って東京最終日のチケットを
取りました。
ジュリエットはSHOKOさんのキャラとはちょっと違うような
気がしていましたが、なかなかどうして、ジュリエットの友人の
少女の中にいると、一人だけ大きくてちょっと違和感ありましたが、
とにかく踊りが素晴らしくて黒ハート

TV出演の時に自分の得意技だと言っていた、トゥでのバランスを
ぎりぎりまでオフバランスに近づけて遊ぶ、というのが
登場最初のアティチュードやアラベスクでいかんなく発揮されていて、
鳥肌が立つほどステキでした。
空間の使い方が大きいし、それでいて細かい脚さばきも軽やかなんです。

遅沢さんも申し分ない踊りで、バルコニーのパ・ド・ドゥも良かったし
回転もジャンプも上手でした。熊川さんの難しい振付を細かい所まで
かなりうまくこなしていました。
遅沢さんの方が背が高くてスタイルがいいし、
熊川さんを100とすると、92ぐらいあげてもいい感じでした。

ただひとつ、親友のマキューシオを殺されて、カッとして
ティボルトに猛然と向かっていくところで、
熊川さんの場合は剣をつかんんで振ると
「ヒュウッ!」とすごく切れ味の良い音が聞こえたのですが、
遅沢さんは「ヒュッ…」ぐらいで地味だったのが残念でした。

あの、ヒュウッ!という剣が宙を切る音は、
それまで平和主義で行こうとしていたロミオの気持ちが
復讐へと切り替わるスイッチであると思うので、重要なポイントなのです。

このプロダクションを2回見て思ったこと。

ヴェローナの広場のシーンは、1幕も2幕も、
若さとパワーとスピードにあふれていてやっぱりイイ!
見ていてすごくスカッとします。
チャンバラも楽しいし、男性が見てもワクワクすると思う。

ジュリエットは物語では14才つまり、中学2年生ですから、
マクミラン版のような人形は出さずに、ただふざけているようにしたのは、
とても自然でそれが当然です。

バルコニーのシーンは、音楽が盛り上がるたびに踊り出すのがロミオで、
ジュリエットはそれを見ているばっかり、というのが3回続くので、
ジュリエットにもそのうち1回ぐらいは踊らせてあげて欲しい。

とにかく、ジュリエットの踊りが少なくて、1幕はまだいいのですが、
2幕は演技とマイムがほとんどなので、物足りない。
(もっとSHOKOを!です)

2幕はサクサク進行でお話が進むのは良いのですが、
ジュリエットが薬を飲んで仮死状態でベッドに寝ていると、
お友達の少女が花束を持ってきて、死んでいるのに気づかず
ベッドの前で踊るくだりが、唯一長すぎて冗漫でした。
乳母役の樋口ゆりさんは、お芝居がうまくて魅せますが、
コールドの少女達はまったくつまらない。

その後のこみいったお話はわかりやすく描かれています。
特に、ジュリエットからの手紙をもったお使いが夜盗に
殺されてしまうくだりがいいですね。
その後すぐベンヴォーリオがジュリエットの死の知らせを伝えにきて、
すぐロミオが出かけるのもスピーディな展開です。

ロミオが仮死状態のジュリエットをあまりぶん回さないで、
ほどほどにしておいてくれたのも良かったかな。
他のヴァージョンだと長々と死体とダンスするのもあるけど
熊川版は不自然じゃない程度でした。

そして毒薬を持っていたロミオがそれを飲み死んだあとに
目覚めたジュリエットが嘆き悲しんで、(ここはSHOKOより
康村和恵さんの方が慟哭そのもので心にせまりましたが)
ナイフで自殺してしまって、あっけなく幕が降ります。

もう少し、この恋人たちのラストの余韻を続けられるように、
両家の人達がやってきて、自分達が対立していたのが
こんな悲劇を招いたと反省するシーンがあっても良かったのでは?

るんるん   

熊川さんが作った全幕バレエはこれで8作目だそうです。
ジゼル、コッペリア、眠れる森の美女、白鳥の湖、
ドン・キホーテ、くるみ割り人形、海賊、ロミオとジュリエット。

美術・衣装担当のヨランダ・ゾナベントと組んだ白鳥の湖のころから
独自の熊川色が強くあらわれてきていますよね。
それぞれ、再演の時にはちょこちょこ手直しをしていますから、
ロミジュリも、再演を重ねてさらに完成度を高めていくのだと
期待しています。
ロミジュリ、私は大変気に入りました。
再演されたら、ぜひまた見たいと思います。


ぴかぴか(新しい)




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2009年11月08日

茨城県洋舞踊協会「眠れる森の美女」全幕

2009年11月7日(土)17時
茨城県立文化センター大ホール

「眠れる森の美女」全幕 振付マシモ・アクリ

オーロラ姫 寺島ひろみ
デジレ王子 黄凱
カラボス マシモ・アクリ
ブルーバード 秋元康臣

寺島ひろみさんが、オーロラを踊るというので
はるばる水戸まで行ってきました。
今回の公演は、茨城のいくつかのバレエ教室で作っている
茨城県洋舞踊協会の30周年記念として開かれたようです。
ですから、コールドや脇はほとんどお教室の生徒たち。
いわばゲストを呼んだ豪華な合同発表会といった趣でした。

上記にキャストをあげた4人のゲストが素晴らしかったです。

寺島ひろみさんは、キラキラしたお姫さまオーラを振りまいて、
ローズ・アダージオは、4人の王子の手を離して、きれいにアンオーで
バランスを毎回きっちりと決めて見せてくれました。
日本人ダンサーで、あれだけローズのバランスをきっちり踊れる人って
あまり考え付きません。
新国立の川村さんも真忠さんも、アンオーにはできなかったですから。

クリアで丁寧な踊り、そして軽やかで高いジャンプと
ラストまで持続するスタミナとパワーがひろみさんの特徴ですが、
茨城県立文化センターのホールは大道具を入れると狭すぎたので、
ジュッテは調整して飛んでいたような感じでした。ちょっと残念。

ひろみさんは姫キャラがぴったりとはまります。
体から光がでているんじゃないかと思うぐらいに輝いていて、
ローズでは可愛らしさ、幻想に現れる姫のシーンではしっとりと、
そして最後のグラン・パ・ド・ドゥでは幸福感にあふれていて、
幕が進むたびにオーロラが成長してゆく姿も見えました。

王子役の黄凱さんは、東京シティバレエ団のプリンシパルですが、
まず、スタイルが素晴らしい。
長身で、マリインスキーのダンサーのような体つき。
美しく発達した太ももに、すんなり伸びた脚。きれいなつま先。
ザンレールの5番もきっちりと入るし、なにより、歩き方からして
とてもノーブルでお顔だちも韓国スターみたいなハンサム。
新国立にはいない王子タイプです。

ひろみさんと黄凱さんの取り合わせも良くて、
お互いを信頼しあっているような、良い雰囲気のパ・ド・ドゥでした。

この舞台の振付をしたマシモ・アクリさんのカラボスは
踊る踊る!第2幕で王子が到着するまでも舞台に出っぱなしで
踊りもマイムもきれいで饒舌です。

特筆すべきは秋元康臣さんのブルー・バード。
跳躍が高くてしなやかで、でも足音がまったくしない。
本当に鳥のようで絶品のブルーバードでした。

熱演してくれたバレエ教室の生徒さんたちには申し訳ありませんが、
せっかくのひろみさんのオーロラ、やはり脇もそれなりの
レベルの人たちで見たかったというのが本音です。
新国立でぜひまた踊って欲しいです黒ハート


ぴかぴか(新しい)



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2009年11月05日

Kバレエ「ロミオとジュリエット」11月3日熊川&康村

Kバレエカンパニー10周年記念全国ツアー
『ロミオとジュリエット』
2009年11月3日(火・祝)15時 東京文化会館大ホール

ロミオ 熊川哲也
ジュリエット 康村和恵
マキューシオ 橋本直樹
ティボルト 清水健太
ロザライン 松岡梨絵
ベンヴォーリオ 伊坂文月
パリス ニコライ・ヴィユウジャーニン

熊川さんは、10周年にふさわしい、バレエ団として充実している姿を
あらわしたプロダクションを作り上げたと感心しました。

古典の改訂版でもそうですが、熊川さんの演出は、まずわかりやすい。
今回のロミジュリでも、キャピレット卿のテーマがあの
「クッションダンス」だったりして、曲をつぎはぎして、
観客にわかりやすく工夫しています。
音楽優先論者からすれば、そこのところが許せない人もいるでしょうが、
バレエは音楽と舞踊、美術などが一体となった総合芸術。
音楽を少々犠牲にしても、全体として素晴らしいものになれば
妥協してもいいのではないでしょうか。

全体としては、男性の踊る場面がとても多いのが印象的です。
第1幕の街中のモブシーンでは、威勢のいいチャンバラや
にぎやかな若者たちの、ジャンプを多用した元気な踊り、
バルコニーシーンでも、ジュリエットよりもロミオの踊る方が
多いし、第2幕はマキューシオ、ベンヴォーリオ、ロミオのソロ、
そしてまたチャンバラ…
男性ダンサーがとても生き生きと、楽しそうに踊っていますし、
みんなとても上手です。

今一番日本で男性陣が充実しているのもこういう、
「僕も踊りたい!」と男子が思う作品があるから(海賊とか)ですね。
群集たちの場面の処理がとてもうまくて、猥雑な広場の感じが
良く出ていました。
2階建てのセットの上も使っていて、これは熊川版ドンキの
バルセロナの広場とそっくりです。
プラス、剣を使ったチャンバラは海賊にそっくり。

熊川版を見ていると、おそらく、熊川さんは、自分だったらこう踊りたいな
というままに振付ているなと感じます。
ステップは難しいし、特にマキューシオの死の場面とか、
とても丁寧に描いていて、思い入れが感じられます。
(マキューシオは今も踊りたい、と言っているように、
熊川さんの18番ですものね)

男性の踊りに対して、女性の振付は少々物足りません。
もうちょっと女性だけの見せ場があってもいいように思います。

今回のジュリエット役、康村和恵さんは、出産後初の全幕復帰です。
あいかわらず小鹿のようなスタイルで、
定評のあった演技はいっそう深みを増していました。
ちゃんと、14才のジュリエットになっていましたし、
恋を知ったときめき、嬉しさ、そしてラストシーンで
ロミオが死んだことを知っての慟哭とも言えるほどの
悲しさの表現…
強く訴えかけるパワーがあって、素晴らしかったです。

ロミオの熊川さんも恋する少年に見えました。
古典の主役だと、観客目線で、ソロの時など、どうだっ!
とばかりに回ったり飛んだりしますが、
ロミジュリでは、物語の中で、感情の高揚をあらわす為なので、
目線は、対観客ではなくて、対ジュリエットだったり対ティボルトだったり。

テクニック的には、ピルエット8回転や、ピルエットの途中で
ジャンプしたり、あるいは、高くてきれいな跳躍など、
熊川さんならでは技巧がたくさんありましたが、物語の流れにそって
それは自然に、ナチュラルな表現になっていました。

バルコニーシーンの振付が、音楽の盛り上がりにぴったり一致していて、
ジャンプやリフト、ふたりの感情が高まるのがよく分かりました。
音楽を聴いていて、こう来て欲しい、というところで
グッと盛り上げる振付なので、こちらも、そうそう、こうなのよ!
と感情移入していけます。
第1幕の最後の、このバルコニーのパ・ド・ドゥは素敵でした。

第2幕は、男性の踊りがいっぱいですが、
物語はかなり場面展開が多く、サクサクと進行していきます。
特にロミオがティボルトを殺してから後ですが…
ジュリエットのソロはあまりなく、ほとんどマイムとアクトでした。
演技力のないダンサーでないと、この後半で
観客を感動に導くのは難しいでしょう。
(まあ、これは熊川版にかぎったことではありませんが)
熊川&康村ペアは素晴らしかったです。

プロコフィエフの音楽は演奏が難しそうですが、
オケには破綻なく、気持ちよく聴かせてくれたのは、
良かったことのうちのひとつです。



ぴかぴか(新しい)
















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2009年10月29日

第38回ローザンヌ国際バレエコンクール参加者発表

来年、2010年1月に開かれる第38回ローザンヌ国際バレエコンクールの
ビデオ予選を突破した参加者一覧が発表されました。こちら

日本人出場者は
女子9名
アイハラ マイ
ババ アヤ
エトウ ヒナノ
カツキ モエカ
ミヤザキ マイ
オオツ リホ
ササキ マドカ
ササキ マリコ
ヨシダ ネネカ

男子9名
アクリ ルカ
カネコ マサヤ
キノウチ シュウ
マシコ ヤマト
ミヤガワ アラタ
ナカノメ トモアキ
サウハシ ケン
ヤマモト ショウリ
ヨシダ シモン

ブラジルの男子でDuarte de Menezesという苗字で
名前がGuilhermeとVitorと二人ありますが、
これはきっと兄弟ですね。もしかしたら双子だったりして。

注目は、例年ローザンヌに多くのダンサーを送り出している
アクリ・堀本バレエアカデミーの御曹司、アクリ瑠嘉くんです。
芳賀バレエのドンキでちょこっと見ただけですが、
どこにいても目をひくスター性ときれいな5番が印象的でした。
彼なら、王子役からバジル役まで、いろいろな役柄をこなせそうです。
育った環境も、遺伝子も最良黒ハートわーい(嬉しい顔)

留学して修行してきたら、ぜひ日本に帰ってきて踊って欲しいです。
身長さえ伸びたら、オールマイティなプリンシパルになれる
可能性があると思います。

るんるん   るんるん   るんるん

ここで、テレプシコーラ第2部第3巻の考察の続きですが…

ローザンヌコンクールの変化をたどってみました。


swissinfoの記事によると、2005年は、準決勝での審査は
クラシック、コンテンポラリー、フリーの3つのバリエーションに
ついてそれそれぞれ4、4、2の割合で点数を付け、
決勝ではこの3つを総括して見る、という事だったそうです。
この年にローザンヌ国際コンクールの日本事業部は閉鎖。

2006年からは一次審査がビデオ審査になりました。
事務局長の方針でクラシックが重視されていて、
フリーの課題曲がクラシックの課題曲に変更されました。
つまり、@クラシック課題曲、Aコンテンポラリー課題曲、
Bクラシック課題曲です。
2つのクラシックで同じヴァリを踊るダンサーが多かったそうです。
コンテンポラリーはイリ・キリアンの作品で、
中村恩恵さんが模範演技とコーチをしたそうです。

2007年のコンクールは2006年とほぼ同様の趣向でした。

そして、テレプシコーラの題材になった2008年、
この年から、2つの年齢グループ、15〜16歳と17〜18歳に分け、
レッスンを別々に行うことになりました。
また、以前あった段階的に振り落とす制度が廃止され、
参加者は全員準決勝まで残れるようになりました。

課題曲は2つに減り、
@クラシック課題曲 Aコンテンポラリー課題曲(ノイマイヤー)
になりました。
この年の審査委員長はノイマイヤー。
ビデオ予選を通過した75人のうち17名が日本人と多かったにもかかわらず、
決勝に進出できた日本人は高田茜さんただ一人。
入賞者6人のうち、男子が4人と、男性優位の年でした。


2009年は、課題曲は前年とほぼ一緒。
採点法は、練習期間中のクラシックとコンテンポラリーの
バリエーションの点数がそれぞれ4分の1ずつ、
またこの2つのバリエーションの完成度の点数が
それぞれ4分の1ずつ計算され、練習最終日の1月31日に
決勝進出者約20人が選ばれたそうで、決勝に6人もの日本人が進みました。

審査委員長はジョン・ノイマイヤー氏の下で長年プリンシパルを
務めた「カナダ・ナショナル・バレエ」のカレン・カイン氏でした。
審査員を務めた吉田都さんによると、入賞者上位の3人は
ほとんど点数の差がなく、中間点の差で順位が決定したそうです。
ということは、決勝進出の時の点数ってことですよね。

吉田都さんはswissinfoのインタビューの中で興味深いことを
いろいろ言っています。


実は前回審査員をした時もそうでしたが、
審査員の間で選抜に意見が割れるということはあまりないのです。
「この子だ」というのは踊りを見るとすぐ分かり、
審査員の意見が一致します。



とか

私が出場した時代でも、振りを忘れたり
転んだりといったことがありました。
しかし、そういうのはあまり関係ないのです。

ただ、どうして転んだかという理由は大切で、
きちんと基礎ができていないので転んだというのであれば、
マイナスですが。すべてできているダンサーなのに、
床の調子のせいで滑ったりというのは私の中では
全然問題になりません。ここは特に劇場の床が傾斜しているので、
慣れないと難しいのです。



とか書いてあります。
SHOKOこと中村祥子さんも、ローザンヌのときに
「すっころんだ」と言っていましたので、
テレプシコーラの六花が「パフン」と転んだのは
あまり問題にならないのだと思います。


こうしてローザンヌコンクールの変遷を見てくると、
2007年までのクラシック重視の方向が一気に変わったのが
テレプシコーラで描かれている2008年のようです。

振り子はどちらかに大きく揺れると、必ず大きな揺り戻しがあります。
それと同じように、クラシックの方にゆれた振り子が、戻ってきて
大きくコンテンポラリーの方向にゆれたのが2008年。

この年に、体の条件がクラシック向きとはいえない六花が
ローザンヌに出場したというのが、運命のめぐりあわせです揺れるハート


「ローザンヌ国際バレエコンクール」の
創設者フィリップ・ブランシュバイグの記事によると、
創設当初から、次のような基本は決して崩さなかった。
審査委員には、必ず世界のバレエ界のトップだけを呼ぶ。
審査基準は明確で、透明性が高くごまかしがないこと。
コンクール後には必ず反省会を開き次回に生かすことの3点だ。
これは現在の後継者にもきちんと受け継がれている。


とのことです。毎回の反省会により、常に変化しているんですね。



ぴかぴか(新しい)


















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2009年10月24日

『テレプシコーラ第2部』第3巻ネタバレあり

山岸涼子のバレエ漫画『テレプシコーラ第2部』の3巻が発売になりました。
今までの巻に比べて、3巻はすごく面白い!
ローザンヌバレエコンクールに挑戦する六花を描いているのですが、
いかに世界のバレエ界でコンテンポラリーを重視するように
なっているかを強調しています。

世界はもはや
クラシックだけを
踊れるダンサーを
必要としていない

クラシックも
コンテンポラリーも
その両方をクリアー
したものだけが

これからの
バレエ界を
動かしてゆくー



創造力豊かでコンテンポラリーが得意な六花ちゃんと、
クラシック重視でコンテを軽視している茜ちゃん、
そしてギエムばりの身体能力を持つ謎の少女、ローラ・チャン。

現在連載中のダ・ヴィンチでは、熱のため準決勝のクラシックで
「パフン」と転んでしまい、コンテンポラリーを棄権した六花ちゃんが
「私のローザンヌはこれで終わった…」とベッドで泣いてる一方、
最高の出来でクラシックを踊って、コンテもまあまあの出来だった
茜ちゃんの番号が、決勝出場者の中にない!!まさか落ちた!?
というところまで来ています。

たぶん、茜ちゃんは決勝に行けず、コンテを棄権した六花ちゃんが
決勝に進むという流れなのでしょう…


何故クラシックが上手で自信満々の茜が落ちて
六花が決勝へ進めるのか?


3巻では、六花とケントがこんな会話をしているシーンがあります。

六花 「コンテンポラリー楽しかったね」
ケント「うん 僕好きだ」
六花 「これがどのくらい点数に反映するかわからないけれど」
ケント「あんがい影響度高いと思うな
    審査委員長がコリオグラファーのN氏だから」
六花 「そう?でもコンテンポラリー上手でもクラシック下手なら
   決勝に残れないよね?」
ケント「うーん それも程度によると思うな
    このところヨーロッパはどんどんコンテンポラリーが
    強くなってきてるし」


この漫画は2008年1月に行われたローザンヌ・コンクールを
舞台に想定しているようです。
その時に審査員を務めた堀内元さんのインタビューを、
私が以前の記事にしています。こちら

このときの採点は、コンテンポラリー・レッスン25点、
表現のレッスン25点、
クラシック・ヴァリエーション25点、
コンテンポラリー・ヴァリエーション25点の
合計100点。

テレプシコーラの中で「歴史とセミナー」といっているのは
表現のレッスンにあたります。
実際、2008年の時はジゼルとアルブレヒトの出会いのシーンを
やったそうです。

表現のレッスンで、ただひとり、独自の振付を考えた六花。
熱のため、うまく踊れなかったけれど、ローラが代わりに
完璧にイメージを表現して踊ってくれた。

漫画では審査員側のことは全然描かれていませんが、
もし書かれていたら、この子は独創性に富んでいると六花は最高得点、
そして六花の意図する事を的確につかんで踊ったローラは、
その英雄的行為も評価されて、表現力で少し難あり(コビがないから)
の本来の点数より加点されそうです。


たとえば、六花はコンテのレッスンで23点、表現のレッスンで25点、
クラシック・ヴァリエーションが18点として
コンテのヴァリが棄権で0点でも合計66点

茜はコンテのレッスン10点、表現レッスン10点
クラシック・ヴァリ25点、コンテ・ヴァリ15点とすると合計60点

ローラはコンテレッスン23点、表現のレッスン15点、
クラシック・ヴァリ25点、コンテ・ヴァリ20点の
合計83点ぐらい。

決勝へ進める分岐点が65点ぐらいだとすると、
六花はぎりぎりで通過できるということになります。


ローザンヌ・コンクールに挑戦するバレリーナの卵たちの実情を
リアルに描いているこの漫画、第2部はローザンヌだけで
終わるんじゃないかという気がしてきました。

だって、たとえばその後六花がバレエ留学したとして、
留学生のリアルを山岸先生は描けるのでしょうか。

留学した後に日本に帰ってきたら、よっぽど上手じゃないと
プロのいわゆる御三家(新国立、Kバレエ、東京バレエ)に
入るのは難しいし、出身のバレエ学校で小さい子たちに
教えをやって、バレエの先生になるしか食べていく道がないという
ような夢のないことを描いてもしょうがないですよね。

でも、こちらの想像をいつも良い意味で裏切ってくださる
山岸先生ですから、きっとまた新たな展開になるのでしょう。
期待しています。


追記:

現在進行中の2010年ローザンヌ国際バレエコンクールの
概要はこちら


もうビデオ予選通過の連絡は日本人参加者のところに
届き始めているようです。
例年通りなら、11月頭ぐらいにHPで出場者が発表されるでしょう。

コンテンポラリー課題は、2年つづいてノイマイヤー作品でしたが、
2010年はキャシー・マーストンとクリストファー・ウィードンの
二人の振付師の作品から出されています。
ということは、ノイマイヤーは審査員ではないのかもしれませんね。

ローザンヌでのコンクールは2010年1月26日(火)〜31日(日)まで
開催されます。


ぴかぴか(新しい)

再追記:

11月発売のダ・ヴィンチを読んだら、茜も六花も決勝に進めず、でした。
う〜ん、やられた。
六花は棄権として処理されてしまったようです。
山岸涼子のコミックス「牧神の午後」の巻末にある
ローザンヌ珍道中記を読むと、「無冠の大器に声がかかることもある」
と書いてありますから、何らかのオファーがある展開なのでしょうか。


ぴかぴか(新しい)












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2009年10月16日

Kバレエ「ロミオ&ジュリエット」リハーサル映像

昨晩、Kバレエの新作「ロミオとジュリエット」の初日でしたね。
観てきた友人いわく、「文字どおり『新作』でした!」
ベローナの街は小さくて、領主といっても田舎領主という設定と衣装。
ロザラインもマクミラン版のような貴族ではなく、
ロミオとの恋の駆け引きあり、ティボルトが死んで慟哭する心理描写あり、
音楽のとおりに移り変わるのが細かく表現されているそうです。

るんるん

なるほど、そうきたか!
映画や他のバレエ版でも、ロザラインの事はほとんど出てこないけど、
熊川版では、かなりふくらませた役になっているようですね。

在版とは違う切り口が盛り込まれているようで、
さすが熊川さん、楽しみです!

チケットスペースのサイトで、リハーサルの映像が見られます。こちら
荒井祐子さんのジュリエット、清水健太さんのロミオ、
宮尾俊太郎さんのパリス、橋本直樹さんのマキューシオがちょっとだけ
見られます。

荒井さんと清水さんのペアがとってもいい表情と雰囲気です。
このふたりは、キャスト発表の時から、ロミジュリに
ぴったりだろうな〜と思っていたのですが、
残念ながら17日は行かれないんですよ。このペアは1回だけだし。
誰か観た方、感想を教えてください!

11月1日(日)には、渋谷のチャコットで、SHOKOさんと遅沢さんの
サイン会とトークショーがあります。

ぴかぴか(新しい)
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2009年10月14日

新国立劇場バレエ2009「ドン・キホーテ」寺島&山本

2009年10月13日(火)7PM 新国立劇場オペラパレス

キトリ 寺島ひろみ  
バジル 山本隆之

ドン・キホーテ 長瀬信夫
サンチョ・パンサ 吉本泰久
ロレンツォ 田名部正治
街の踊り子 厚木三杏
ジュアニッタ 遠藤睦子
ピッキリア 西山裕子
エスパーダ 貝川鐵夫
メルセデス 西川貴子
ギターの踊り 湯川麻美子
森の女王 堀口純
キューピッド さいとう美帆
ボレロ 楠元郁子 貝川鐵夫
第1ヴァリエーション 丸尾孝子
第2ヴァリエーション 長田佳世

新国立劇場の唯一のプリンシパルである山本隆之と、
ファースト・ソリストの寺島ひろみが主役を務めるこの舞台は
いわば、現在の新国立劇場バレエがどのようなレベルなのかの
スタンダードを示すものであると思う。

ひとことで言うと、上品で格調が高い。
ダンサーは総じてスタイルが良く、コールドは揃っている。
ソリストもレベルが高く、衣装や美術も良い。
寺島ひろみは、しっかりしたテクニックと、愛らしい表情やしぐさが
とても魅力的だし、山本隆之は、細かい演技がうまく、
サポート上手でそつがない。

二人のパートナーシップも万全だ。視線の交わし方で信頼感が見えるし、
片手リフトはぴたっと決まって見事というほかない。

最後のグラン・パ・ド・ドゥは、ため息がでるほど美しかったし、
コーダの回転技も、きっちりと決めてくれた。

だけども、この「ドンキホーテ」という演目は、
テクニックの見本市のように、何かびっくりするような事を
観客が求めてしまうのが常なので、
きれいにまとまったバランスの良い舞台よりも、
クラシックの枠をちょっとはみ出るぐらいの下品さ、という程の
技の大盤振る舞いがないと、盛り上がらないのだろう。

寺島ひろみは、特にバランス技が得意で、ルティレの長いバランスを
今までのドンキや眠りで見せている。
けれども、そのような技の見せつけは、新国立の全幕においては、
ガラ公演ではないのだし、音楽との調和もくずれるので、
控えた方が良いという判断なのだろうか、あまり見ることができなかった。
山本隆之も、インタビューで自ら言っているように、
技を見せ付けるタイプのダンサーではない。

2年前のシーズンで、デニス・マトヴィエンコと寺島ひろみは
ドンキホーテを2回踊った。
その時の会場の盛り上がり、熱気で体感温度がぐーっとあがるような
ウォオーという興奮と拍手とブラボーの嵐が忘れられない。

その時と比べると、寺島ひろみは、格段にプリマらしく成長しているし、
今はむしろ山本隆之を引っ張っていくぐらいの勢いがあるが、
やはり舞台も一期一会、おたがいの取り合わせのケミストリーが
今回の二人はドンキ向けではなかったということだろう。
ローラン・プティのコッペリアや、ライモンダ、白鳥でこの二人が
組んだ舞台も見ているが、どれも素晴らしかった。
もちろん今回も素晴らしかった。だが、盛り上がりに欠けていたのが
残念だった。

寺島ひろみは、これからがダンサーとして一番油の乗り切った旬の季節。
たぐいまれなプロポーションと身体能力、愛らしくたおやかな雰囲気と
驚くほどの体力とパワーが同居している素晴らしいプリマである。
舞台にかける集中力も凄いものがある。

彼女の身長に合っていて、身体能力にすぐれていて、
まだ開発されていない潜在能力を伸ばしてくれるようなパートナーと
踊ることができれば、もっともっと成長するだろう。

今回の舞台では、夢の場面でのドルシネア姫が、たおやかで美しかった。
寺島ひろみには姫のキャラクターが実にぴったりはまる。
11月に茨城洋舞協会の招きで眠り全幕を踊るそうで、今から楽しみである。
これほどの逸材が、新国立劇場では、ぴったりの配役にめぐまれていると
必ずしも言えないのは、何ともやりきれない。

気がついてみれば、今回のキャスティングも、バレエ研修所出身者が
あちらこちらで目につく。
森の女王を踊った堀口純や、キューピッドのさいとう美帆。
ギターの踊りはサイドを4期生で入団したばかりの
益田裕子と加藤朋子が踊っていたし、コールドでも目立つ位置に
研修所の卒業生が入っていた。
今一番注目されている3期生の小野絢子も、夢の場面で目をひいた。

新国立バレエは、パリオペラ座のように、付属学校からの出身者で
ほとんどを占めるようになっていくのだろうか。
それならそれで、ダンサーの身分保障や年金制度まできちんと整えて、
安心して身をゆだねられるようにするのが筋ではないか。
何よりも、プリンシパル・ファーストソリストなどという
階級制度を作ったなら、それにふさわしい登用の仕方をすべきだ。

るんるん

主役以外のキャストについて述べておこう。
ギターの踊りを踊った湯川麻美子は、このつまらない場面を
女の哀しみを感じさせる味わいある物語に変えてしまった。
彼女が踊りだすと、空間がその一点に集中するような気がするほど、
まわりの空気をあやつり、自分にひきつけていた。

サンチョ・パンサの吉本泰久は、愚鈍でのろまなサンチョではなく、
フットワークの軽い、愛すべき田舎者として、この役を魅力的に演じた。

森の女王の堀口純は、たたずまいとアラベスクのポーズが美しい。

エスパーダの貝川鐵夫は、スタイルは良いが、エスパーダという
役割をまったく理解していないとしか思えない、アクセントのない
ゆるい踊りだった。
前シーズンの「空間の鳥」を踊った時のようなセンスを、
クラシックにおいても見せて欲しいものだ。

ガマーシュの澤田展夫の存在感のなさはどういうことだ。
ガマーシュという役は、演技者にとってはおいしい役ではないのか。
ふくらまし方によっては、主役を食うこともあるぐらいの。
澤田のガマーシュは、いてもいなくても同じ。



新国立劇場が採用しているボリショイのファジェーチェフ版だが、
ストーリーの核となる、キトリとバジルの許されぬ恋が、
2幕の冒頭であっさりと親の承諾を得られて解決してしまう。
その後は、つけたしのように、ジプシーの野営地にドンキホーテが
現れ、錯乱して風車に突撃し、夢の場面となる。
3幕はほとんどグラン・パ・ド・ドゥだけという、物語のひっぱりが
足りないので、最後もあっさり終わるし、盛り上がりにくい構成である。
そろそろ版権も切れるだろうし、次期芸術監督のビントレーに
改訂版を作ってもらったらいいだろう。
今よりだいぶましになるはずだし、新国立のダンサーを
引き立てるような演目になると思う。


ぴかぴか(新しい)



















posted by haru at 21:34| Comment(3) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月10日

SHOKO@NHK「トップランナー」

私が今、絶対観にいきたいダンサーのひとり、SHOKOこと中村祥子さんが
出演するNHK「トップランナー」
の放送を見ました。

まず、すっと伸びた美しい姿勢とたたずまいに圧倒されます。
ソロで「アレス・ワルツ」
遅沢佑介さんとKバレエの新作「ロミオとジュリエット」から
バルコニーシーンのパ・ド・ドゥを踊りました。
Kのロミジュリは、メディアで発表されたのは初ではないでしょうか。

大人っぽい祥子さんにジュリエットはどうかな?と
キャスティング発表の時に思っていましたが、なかなかステキでした。
リフトを多用する振付なので、(それも、放り投げたり、
頭からでんぐり返し状にリフトに入るような感じだったり、
かなり難しそうなのばっかり)
身長173センチの祥子さんのサポートは大変だと思います。
もっと小さい人だと軽々とできて、雰囲気が颯爽とするのかも
しれませんが、十分美しかったです。
遅沢さん、もっと筋肉つけて頑張ってください。

ロミジュリは、マクミランの素晴らしい振付をどうしても
意識してしまいがちで、でも真似したらミセスマクミランが
文句をいいそうだし、熊川さんとしては苦しいとこですね。
日本人としては、あまりチューチューするのも不自然だし。

マクミランがデフォとなっている私たちにも、
イメージを損ねることなく、音楽に合ってきれいな振付だったと思います。
熊川さんは、本当に、音楽の盛り上がりに踊りをピタッと合わせるので、
ダンサーが踊っていて感情を入れやすいし、気持ちよく踊れるのでは
ないかなと感じました。

そのKバレエのロミジュリ、脇キャストのロザラインとパリスが
発表になりました。こちら

プリンシパル級がキャスティングされていますので、
かなり踊る場面もあるのかと思います。
ロミジュリ・ツアーは10月15日から。楽しみですね。
私は11月3日と8日を観にいきます。
清水&荒井ペアというのも、はまり役になりそうで観たいんですが…



番組では、マラーホフと熊川さんの祥子さん評の映像がありました。
マラーホフは、「彼女は、繊細で日本人らしい美しさを持つダンサー。
一方、日本人らしくない背の高さや手足の長さもある。
自分の欠点を隠すやり方を努力して見つけ、
完璧にわからないように、ラインの見せ方を工夫している。
大変に頭のいいダンサーだ。生まれながらのプリンシパルだ。」
と言っていました。
祥子さんは、「私が努力していたことを、マラーホフさんは
ちゃんとわかってくれていて、感激しました」と言っていました。

熊川さんは
「いつも完璧で、音楽を自由自在にあやつる感じがいい。
素晴らしくて、何も注文することはない。
しいて言えば、あと5センチ背が低かったらな。
僕が一緒に踊りたかったから」と手放しにべた褒めでした。


るんるん   るんるん


この番組、示唆に富んでいてとても面白かったです。
たとえば、祥子さんが「スイッチが切り替わった」のは、
小学5年生の時に赤いチュチュを着てコンクールに出たとき。
そのチュチュを着て踊ったら、舞台では違う人になっていいんだ、
ということを感じたそうです。(実生活ではとても大人しい子だった)

るんるん

ローザンヌ・コンクールでスカラシップを取って、
ドイツのジョンクランコ・バレエスクールに留学した時、
「今まで習ったことはすべて忘れて一から習いなさい」と言われたそうです。
まず、O脚だった脚を、「筋肉を移動しなさい」と。
骨格はなおせないけれども、外側についているふくらはぎの筋肉を
内側に移動することで、脚のラインをきれいに見せることができる、
という事だそうです。
その時はそんなことできるのかと思ったけれども、
長い年月をかけて移動できたそうです。

るんるん


祥子さんの得意技は、バランスをとっていて、
オフバランスのぎりぎりの所まで遊ぶ事だそうです。
披露した「アレス・ワルツ」でもそのぎりぎりのバランスが
見事に表現されていました。
以前この作品をポリーナ・セミオノワが踊ったのを見ましたが、
その時はさらっと踊っていたので、あんまり面白いとは思わなかった
けれど、祥子さんは、アラベスク・ターンなどで、この
ぎりぎりバランスを多用していてスリル感がありました。
繊細で大胆、さりげなく音楽と遊ぶ、たゆとう感じが素晴らしい!


るんるん

司会の方が、「今までこの番組に来た人の中で、仕事が自分の中で
何%になるのか、と聞いていましたが、初めて、100%の人を
見た気がします」と言っていた言葉が印象的でした。
祥子さんも「私はバレエバカって呼ばれています。とにかく、
バレエは限りないので、やらなければならないことが
いっぱいあって、いくらお稽古してもし足りない」
というような事を言っていました。




「トップランナー」の再放送は、NHKBS2 14日午前3:05〜


追記
チャコットウェブマガジン「ダンスキューブ」にも、
この番組についての記事が載っていました。こちら




ぴかぴか(新しい)
posted by haru at 07:20| Comment(0) | TrackBack(0) | Kバレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月04日

新国立劇場バレエ研修所 第5期生・第6期生 合同発表会

2009年10月4日(日)15時 新国立劇場 中劇場

第1部
ボーイズ・アンシュヌマン 振付ボリス・アキモフ
第6期生男性&予科生男性

キャラクター・ダンス バーレッスン 振付ゲンナーディン・イリイン
第6期生

コンテンポラリー・ダンス「遠い空」振付アキコ・カンダ
第5期生

研修の様子のビデオ上映 約15分

第2部
クラシカル・バレエ

「ワルツ」振付 牧阿佐美
第6期生&予科生

「パリの炎」パ・ド・ドゥ
広瀬碧&高橋一輝(第5期生)

「ラ・シルフィード」パ・ド・ドゥ
朝枝尚子&加地暢文(第5期生)

「ドン・キホーテ」より“街の踊り子とエスパーダ”
岡本麻由&宝満直也(第5期生)
第6期生男性&予科生男性


るんるん    るんるん     るんるん



私は第3期生のあたりから、新国立バレエ研修所の発表会を
見に行くようになったのですが、今回はだいぶ小粒になっているという
印象でした。

研修生が2年に1回から毎年採用になり、今年からは
予科生という制度もできて、人数がぐっとふえ、
男性も多くなり、予科生を含めると女性11人、男性7人。

女性陣はみなきれいで、素晴らしいスタイルの持ち主ばかり。
男性陣は、女性に比べるとだいぶレベルが落ちますが、
あくが強くなくて、素直な素材という感じです。

第6期生は初お目見えでしたが、男性の中で一番体格の良かった
林田翔平さんが目をひきました。

それにしても第1部のコンテンポラリー・ダンスの退屈だったこと!
きれいではあるし、みんな一生懸命やっているのだろうけど、
伝わってくるモノがなくて、睡魔が襲ってきました。
こっくりしていたのは私だけじゃなかったようです。

研修の様子のビデオはとても面白かったです。
バレエのレッスンだけでなく、ヒストリカル・ダンス、
キャラクター・ダンス、スパニッシュ、ボディ・コンディショニング、
演劇基礎、バレエ史、劇場史、バレエと音楽、
身体解剖学、マナー、茶道、ノーティション、美術史、
デッサン、栄養学、英会話など
様々なことをその道の一流講師から学べて、
バレエやオペラなど、新国立劇場での公演をたくさん鑑賞できる、
というのが研修所のよさだと思います。

これが普通に、一般のバレエ教室に通っている場合だと、
昼間は学生ならば学校で、フリーターならバイト、
あるいは子どもの教えなど、先生の助手や、お教室の雑務をこなし、
その間に自習やリハーサルに追われ、夜はまたレッスンの助手などで、
バレエ以外の一般教養を勉強したり、公演を見に行ったりするヒマなど
ほとんどないのが実情ではないでしょうか。

バレエ・ダンサーの表現力は、結局はその人の持っている内面が
現れるもの。
色々な芸術や人間に触れて、内面を豊かにしなくてはならないのに、
その余裕がないのが日本の多くのバレリーナの卵の現状です。

その点、新国立バレエ研修所は素晴らしい教育をしていると思います。
ただ、どうなんでしょう、ここへ来て、研修所は
確かにスタイルの美しいダンサーを採っているけれど、
それは、新国立バレエ団のコールド向けの素材であって、
真にプリマとしてトップを取れるような素材とはちょっと違うのでは
ないか、という気がしてきました。

たとえば、吉田都さんが、仮に今18才の頃にタイムスリップしたとして、
新国立バレエ研修所は落とされるのではと思います。
身長とスタイルの点で難ありとして。

牧先生好みのプロポーションからはみ出ていても、
強烈な個性を持った素晴らしい素材を見落としているのでは?
それとも、そういう個性は新国立では必要ないのか?
海外へ行くしかないのか?

というような事を考えてしまいました。
第2部の後半は、第5期生のパ・ド・ドゥ集だったのですが、
別にヘタではありませんが、税金をかけて、
すごい倍率をくぐって選ばれたにしては…以下自粛。

そうそう、予科生たちは、とてもきれいでした。
彼女たちは、ちょっとだけ出てきて、すぐ引っ込んでしまったので
残念でした。名前の紹介もなかったし。
むしろ予科生の方が将来有望に見えました。
彼女たちが研修生になる(であろう)2年後が楽しみです。

ぴかぴか(新しい)
















posted by haru at 21:33| Comment(4) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする