2014年11月05日

NBAバレエ「ドラキュラ」

2014年10月25日(土)18時30分 ゆうぽうと

演出・振付 マイケル・ピンク
音楽 フィリップ・フィーニー
美術 レズ・ブラザーストーン

ドラキュラ 大貫勇輔
ジョナサン・ハーカー 久保紘一
ルーシー 田澤祥子
ミナ・ハーカー 峰岸千晶

久保紘一さんが芸術監督に就任してから、NBAは変化をとげつつあります。
今回のドラキュラ日本初演も、大変野心的な試みですばらしいと思います。
全幕バレエではありますが、クラシックバレエというよりも、演劇に近いような作品です。

第1幕はジョナサン・ハーカーがトランシルヴァニアでドラキュラ伯爵にとらわれて、
命からがら帰ってきたもの悪夢になやませられる、というような話で、
セットは暗く、音楽も不安をかきたてるようなパーカッションを多用していますが、
話がよくわかりませんでした。
なぜ2回も結婚式をやるのか、とか、あとでロビーのあらすじを読まなくてはならなかったです。
HPに書いてあるものと、ロビーのものは内容が違いました。
ドラキュラと芸監である久保さんの男性二人のパ・ド・ドゥは、鬼気迫る感じで印象的でした。
そのあと三人の女ドラキュラがハーカーのベッドの下から出てくるところで、はじめてドラキュラっぽさを感じました。
ルーマニアの民族舞踊的なものは、長すぎて退屈しました。

階段を中央に置いた高低差のあるセットに、背景の海の青さが美しいのが第2幕です。
第2幕は1幕とは違って明るく、ルーシーを中心に、クラシックバレエのテクニックを使ったダンスが続き、ルーシーの田澤さんは、難易度の高い振り付けを踊りこなして上手でした。

第3幕は、また暗い感じのセットになります。上手側の高い所に精神を病んだ男がいて、
その高さからドラキュラがあらわれて、セットにぶらさがりながらゆっくり下まで降りてくる、
そのゆっくりさ加減がなんとも不気味でした。

この公演の成功は、ひとつは大貫勇輔という、ものすごいダンサーをドラキュラに据えたことにあります。
まだ26才、本格的にバレエのレッスンを始めてからまだそんなに経っていないそうですが、
180センチ以上ある恵まれた体躯に加えて、世界的に見ても高い身体能力、表現者としての自覚とその目指しているレベルの高さ、観客をとりこにする身にまとったオーラとカリスマ性。
(カリスマ性は、このドラキュラという役には絶対に必要です)

ドラキュラをこれだけ完璧にやれるのは彼以外にいないんじゃないか、そんな風に感じました。
残念ながら、クラシックバレエダンサーとしての彼の能力を発揮する機会が少なめで、
もっとソロを踊ってみせてほしかったです。
彼ならば、小さい時から訓練を受けていれば、ルグリにもなれた…そんな気がします。
すごい素質と才能の持ち主です。
峰岸さんとのパ・ド・ドゥでのリフトも上手でしたし。
まだ若いですから、これからどっちの方向へいくのか興味深いです。
ホリプロに入ったそうですから、古典パレエには行かないでしょうね。

大貫さんのずば抜けた素晴らしさに比べて、NBAのメンバーは頑張ってはいましたが、
まだまだレベルアップができると思います。
この作品は面白いし、再演を重ねてNBAの財産にして欲しいと思います。

ぴかぴか(新しい)



posted by haru at 14:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする