2015年02月18日

IBCバレエ団「眠れる森の美女」

2015年2月15日(日) 3PM ゆうぽうと
オーロラ姫 松岡梨絵
デジレ王子 ジュゼッぺ・ピコーネ
カラボス 橋本直樹
リラの精 井脇幸江

井脇幸江さんは、斉藤友佳里、吉岡美佳と同世代で長い間、東京バレエ団の3本柱として活躍していました。
古典ではジゼルのミルタ、眠りのカラボス、ドンキのシプシー、ラ・シルフィードのエフィなどの重要な脇役で、舞台を引き締める役どころで、コンテンポラリーでは春の祭典の生贄など、主役級をレパートリーにしていました。
プリンシパルと言っても、常に主役を踊る斉藤さんや吉岡さんとちがって、キャラクターダンサー的な扱いだったと思います。
実力がなかったわけではなくて(それはIBC立ち上げ公演の素晴らしいジゼルで証明されています)、タイミングや団の事情などによるものだったと推測します。
だいたい東京バレエ団は、海外からのゲストを主役にして公演する事がほとんどだったから、団員を主役として育てる環境があまりなかったとも言えます。
東京バレエ団を辞めずにいたら、ミストレスや、付属バレエ学校の教師(校長)をしながら、時々王妃とかの立役をやるような未来だったかもしれません。

バレエ学校からダンサーとして育ててくれた東京バレエ団を飛び出し、IBCというバレエ団を立ち上げ、ダンサーが心から楽しいと感じて踊る事のできる舞台を作りたいという、井脇さんの野望というか、野心とチャレンジ精神には感服していますし、心から応援したいと思っています。
立ち上げ公演のジゼルでは、井脇さんの目指したような舞台になっていたと思います。
その後、ガラとドンキ全幕などは観なかったのですが、今回は、元Kバレエの松岡梨恵さんがオーロラを踊るというので、楽しみにしていました。

松岡梨絵さんは、キラキラしたオーラを放ち、優雅で上品な美しさあふれるオーロラでした。
Kバレエ時代踊ったオーロラが素晴らしかったと友人に聞いていたので、噂以上の演舞が観られて大変満足です。今、日本のプロフェッショナルなバレエ団を見回しても、松岡さんのような美しい容姿と輝き、正確なテクニック、女性らしい柔らかさを兼ね備えたダンサーはいないと思います。

王子のピコーネさんは、すごいイケメンで長身。松岡さんと身長の釣り合いもいいし、本当に絵に描いたような美男美女。だけど踊りは重かったです。いくつなのかわかりませんが、結構年なのかも?

カラボスの橋本直樹さんは柔軟で伸びやかな跳躍は健在で、マネージュしまくりでした。
カラボスを男性が踊るのはよくある事ですが、役の設定自体が男性というのは初めてです。目からウロコです。
ただ、橋本さんって、もともと持っているオーラが明るいので、憎しみや嫉妬まみれのカラボスのダークさとは相容れない個性なんですよね。踊りそのものが明快で爽快なものだから、どうしても伝わってくるものが陽性なんです。
松岡さんと並ぶとちょっと背が低いけど、夫婦だからサポートは慣れているだろうし、橋本さんが王子でも良かったのにと思いました。
井脇さんのリラの精は、観ていた時は、だいぶテクニックが落ちちゃったなぁと思ったのですが、なぜか舞台が終わった後に、頭の中でぐるぐると浮かんでくるような、不思議な存在感がありました。観客に訴えかけてくる力は健在だったようです。

メインの4人のダンサーと、元東京バレエ団の方々、そしてある程度のレベルに達している数人のダンサー以外は下手すぎて、これはプロの舞台として見ていいのか、それともアマチュアの贅沢な発表会として見た方がいいのか困りました。特に妖精たちのレベルが、先週見た東京バレエ団の踊りと違い過ぎるし、コールドの中に足先も伸びない子がいて興ざめでした。これだったら、私の地元のバレエ学校のジュニアちゃんたちの方がもっと上手じゃないかと思います。
いちおう9千円も払ったし、それだけの舞台になっているだろうと思っていたのですが、これでは高すぎると感じました。ジゼルの時は値段に釣り合わないとは感じなかったのですが、演目の選択の問題でしょうか。

眠れる森の美女のようなグランドバレエでは、まず生オケの演奏、宮殿の豪華なセットと貴族達のゴージャスな衣装、ある程度の人数も揃えないと、見応えのある舞台にするのは難しいようです。
井脇さんの演出は、カラボスを男性に設定し、オーロラが黒バラのトゲに刺される設定により、糸紡ぎうんぬんのシーンをバッサリカット、幻想の森もオーロラのヴァリエーションは無くて、パノラマの音楽も使わず、休憩2回でも3時間のかなりの短縮版。
カタラビュットがカラボスに猫に変身させられたり、赤ずきんちゃんが増殖して狼を追い払ったりと、ユニークなアイデアが光っておりましたが、いかんせん、グランドバレエとしては予算が一桁足りないようでした。
芸術にはお金がかかりますからね。
ジゼルなら男性もそんなに必要ないし、セットも豪華でなくてもよい。
井脇さんのチャレンジと、松岡さんをゲストに呼んでくれたという事はいいのですが、身の丈というか、IBCの現実に即した作品を選んで上演して、レパートリーを増やすよりも質を高めるほうがよいのではないかと思いました。

ぴかぴか(新しい)
posted by haru at 20:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする