2016年08月22日

東京バレエ団「ドン・キホーテの夢」秋元&川島

2016年8月21日(日)14:30 めぐろパーシモンホール
キトリ/ドゥルシネア姫 川島麻実子
バジル 秋元康臣
サンチョ・パンサ 氷室友
ガマーシュ 岡崎隼也
エスパーダ 岸本秀雄
キューピッド 森田理紗

午前公演と比べると上位ランクのダンサーが多く出演していました。
サンチョパンサは、この子供ドンキではお話しをする進行役ですが、氷室さんは昨年もやっていてもうベテラン。とても上手だけれども、慣れちゃっているのでちょっと偉そうな感じ。午前中のサンチョの中村さんは、その点頼りないサンチョで可愛かったな。声も良く通っていたし。

安定の秋元&川島ペアだけども、想像以上に素晴らしかったのは岸本エスパーダ!
身のこなしに品格とオーラがある!そう、エスパーダとは誰もがなれる地位ではない。
闘牛士の頂点エスパーダには品格とみんなが憧れるオーラがあるべき。
岸本さんには、役に求められているのはどんな事なのかをきっちりと把握して表現できる力があります。
エスパーダのソロの途中で、2,3歩普通に歩く所があるのですが、そこで素のエスパーダとして歩く歩き方が、ちょっとぶっきらぼうで男らしいのもエスパーダっぽい!変なところにツボりました。
岸本さんは踊りも丁寧だけれども、役になりきる力が素晴らしい。
宮川さんよりこちらの方をもっと主役にして鍛えて欲しい!!
ルグリにも気に入られていたそうだし、すごく良いダンサーになる伸びしろがあると思います。

川島さんはテクニシャンだし、キトリはお手のものという感じですが、もしかして初役なのかしら?
だとしたら大したものです。グランパのフェッテは扇を開くという技も3回ぐらい入れ込んでいたし、他の大技も危なげなし。もっとも秋元さんはとてもサポートがうまいらしいから、安心して踊れるということもあるのかもしれません。沖キトリがほわんとしているのと比べて、川島キトリは気が強そう。

そしてお目当ての秋元さん。彼は本当に踊りがうまい。そのうまさ加減といったら、ヴァリエーションで、ザンレールの後ピタッとアラベスクで静止するとこなど、熊川哲也さんのうまさ加減にも匹敵するくらい。
才能なんでしょうね。踊りにキレがあるので、彼だけ輪郭が他のダンサーよりくっきりと見える。
どうしても目が秋元さんを追ってしまう。
演技はわりと薄めなんだけれど、踊りですべてを物語ってしまうから、それで事足りる感じ。
背は高くはないけれども、体幹がしっかりしていて、胴が厚くて顔が小さく、太ももが発達しすぎていなくてすらっとしている。体のバランスがいいんです。
サポートも上手で、女性が踊りやすいように、さりげなく次に動く方向へ押したりしてます。
おそらく、Kを退団したあと、ロシアのバレエ団で数多くの舞台で鍛えられたのでしょう。
日本と比べ年間の公演数が桁違いに多いロシア。「ダンサーは舞台の上でしか成長しない」とはよく言われる事です。もとからの才能が、舞台でさらに鍛えられて開花したのでしょう。
9年ぐらい前、NBAバレエ団にいたころも上手ではありましたが、今は段違いのレベルだと思います。

秋元さんは、おそらくどんな作品も、どんな役も踊りこなすことができると思いますし、どんな相手役でも上手にサポートすると思います。東京バレエ団はもちろんプロフェッショナルなんだけれど、他のダンサーとはレベルが違う、「超」のつくぐらいのプロフェッショナルダンサーだと感じます。
だから、彼の踊りをみると感心するし、もっと見たいと思う。

けれどもですね…そのプロフェッショナル具合が、時には物足りなさも感じさせるのです。
もっと一生懸命に、いちずに役になりきって欲しい。
踊ることへの情熱、踊ることが楽しくて仕方ない、というような気持があまり伝わってこないダンサーでもあります。お仕事でやってま〜す、というのが、上手なだけに他のダンサーよりも伝わってしまう。

たとえば、上でひきあいに出した熊川さんも、時にはセーブモードで踊ることもあります。
でも、踊りに対する情熱は常に伝わってくるのです。バレエに対する「愛」というようなものが。
そこのとこが、秋元さんの場合は足りないように感じます。
そこが残念。
もしかしたら、Kバレエを退団したのも、バレエを愛する熊川さんと、バレエをお仕事としてしかとらえていない秋元さんとの感覚の違いがその原因になっていたのかもしれないと妄想してしまいました。
真実は当事者じゃなければわかりませんし、秋元さんにもバレエへの情熱があるのかもしれないけれども、それならもっと役に没頭して欲しい、120%くらいを見せて欲しいと思うのです。















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2016年08月21日

東京バレエ団「ドン・キホーテの夢」沖&宮川

2016年8月21日(日)11:30 めぐろパーシモンホール

キトリ/ドゥルシネア姫 沖香菜子
バジル 宮川新大
サンチョ・パンサ 中村瑛人
ガマーシュ 山田眞央
エスパーダ 森川茉央
キューピッド 足立真里亜

二年目の子供ドンキ。マイナーチェンジはあれど、子供を飽きさせない工夫と飛びきりの楽しさを届けよう!
という意気込みが伝わってくる舞台。
本公演では目立たないコールドのダンサーがたくさん出ているし、今回は、ロシナンテとお嫁サンバという二匹の馬の足をやっているダンサーが、カーテンコールで出てきて、馬の足の衣装のまま、大ジャンプとか540とか、回転技とか、バクテンとか、思い切り好きな事やりまくっていたのが面白かった。
馬の中に入っていたフラストレーションを爆発させたみたいで、とっても微笑ましかった。
むしろ今回初めてそこに一番ツボったというか...

沖さんはすっかりプリマらしくなって、わがままでも気が強くもないけれども、かわいらしくてキュートなキトリ。むしろ、柔らかい腕の動きなど、とても女性らしさを感じる。
踊りも盤石。フェッテも危なげなくダブルをたくさん入れていた。
目が大きいので、視線の行先がはっきりみえて、細かい演技が分かりやすい。
去年より演技がとても自然になっている。
これから20代後半はバレリーナとしてぐんぐん伸びる時期だから、色々な演目を踊っていってほしい。
ジゼルなんか似合いそう。

宮川さんは、初めて見ましたが、踊りはまあまあ、頭が大きいのが気になります。
演技も薄いんですよね。昨年のドンキで沖さんと組んだ梅ちゃんがイケメンオーラがあって芝居上手で良かったのに、退団してしまって残念!
沖香菜子を、より輝かせてくれる相手役は誰だ?
岸本君じゃだめなんですかね?
まあ、12月のくるみでシムキンと組むからこれからは海外有名ゲストと組むことが増えるのかもしれない。

森川さんがエスパーダ、サラリーマンみたいな髪型で出てくるから、誰だか最初分からなかった。
なんか踊りが緩いのです。こんなダンサーだったっけ?もっと男性的な個性だった記憶があるのですけど。

足立さんのキューピッドが素敵でした!軽やかで、かわいらしくて、足音も全然しないし、スタイルも新国立基準だから抜群。
これからはどんどんソロにキャスティングされるといいですね。くるみの配役に期待します。

今日は午後の部とのダブルヘッダーなので、このへんで。


posted by haru at 14:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月03日

オールスターガラBプロ最終日

2016年7月27日(水)18:30 東京文化会館

「ラプソディ」(振付:F.アシュトン) 
アレッサンドラ・フェリ
エルマン・コルネホ
[ピアノ:中野翔太]
「白鳥の湖」より第2幕アダージォ(振付:M.プティパ) 
ニーナ・アナニアシヴィリ
マルセロ・ゴメス
「Fragments of one's Biography」より(振付(振付:F.アシュトン) 
ジリアン・マーフィー
マチアス・エイマン
「ジゼル」(振付:M.プティパ) 
スヴェトラーナ・ザハーロワ
ミハイル・ロブーヒン
「リーズの結婚」(振付:F.アシュトン) 
ジリアン・マーフィー
マチアス・エイマン

休憩

「プレリュード」(振付:N.カサトキナ) 
ウリヤーナ・ロパートキナ
アンドレイ・エルマコフ
「フー・ケアーズ?」より(振付:G.バランシン) 
ジリアン・マーフィー
マチアス・エイマン
「ディスタント・クライズ」(振付: E.リャン) 
スヴェトラーナ・ザハーロワ
ミハイル・ロブーヒン
「レクリ」(振付:V.チャブキアーニ〜ジョージアの民族舞踊に基づく) 
ニーナ・アナニアシヴィリ
「ル・パルク」(振付:A.プレルジョカージュ) 
アレッサンドラ・フェリ
エルマン・コルネホ
[ピアノ:中野翔太]
「眠りの森の美女」(振付:M.プティパ/A.ラトマンスキー) 
カッサンドラ・トレナリー
マルセロ・ゴメス

フェリ、ニーナ、ロパートキナ、ザハロワ…バレエ界のレジェンドになるであろう方々のガラ。
同世代だとあと目ぼしいプリマはギエム、ヴィシニョーワ、オレリー・デュポン、ダーシー・バッセル、ユリア・マハリナとか?
ジリアン・マーフィーも素晴らしいけど、少し小粒。
タマラ・ロッホ、コジョカル、ルシア・ラカッラ、テリョーシキナ、アレクサンドロワ、ヤンヤン・タンも大好きなんですが…

ダンサーの旬の時期は本当に短い。テクニックの充実を追いかけていた若い頃を過ぎて、表現力が伸びてくると、今度は身体が思うように動かなくなってくるというせめぎあい。
だから、テクニックと表現力が両方とも熟してきた旬の時期のバレリーナの舞台にあたるのは至福の時となる。

まさに今旬の時期であろうザハロワ。
10年前ぐらいは新国立劇場バレエにゲストとしてたびたび来ていた。そのころはポテンシャルに恵まれている事の方が際立っていたが、今はそれに加えて踊りに深みがぐっと増している。
ジゼルは「孤高の」とでもつけたくなるように、ひんやりと冷たい空気をまとっている。
ゆっくりとデベロッペした脚を6時のポーズまであげて、アラベスクへ移行する、様式美のような端正さ。
たとえばギエムが6時のポーズに脚を上げるのは、どこか挑戦的なイメージがつきまとうが、ザハロワはあくまでも白いバレエらしく、たおやかさの中にすっと細く長い芯が通っている感じだ。
シャンジュマンの高さがすごい。ジュッテも軽い。開脚は180度を越えて200度ぐらい。
身体能力を出し惜しみせずに120%くらい見せてくれているような踊りだ。

容貌も卵型の顔で目鼻だちも上品に整っている。腕の細さ、脚の長さとしなるカーブの曲線、高く出た甲。出産後はガリガリに痩せすぎていたが、今は少し戻している。しかし、驚くほど細い体のどこにあれだけのスタミナがあるのだろうか。

ロパートキナも細い体型をずっと維持し続けている。fragment…はあまり踊りらしい踊りはなかったが、それでも踊り終わったあと、まったく息が荒くなっていないのには驚かされる。

ニーナの白鳥は、体型がコマのようになっていたが、情緒たっぷりの素晴らしい白鳥で、動作のひとつひとつに伝えたい思いがこもっているように感じられた。
回転技は健在で、サポートがなくてもくるくると回ってしまえそうだった。
ニーナの場合は、細い軸というよりはぶっとい軸があるようだ。

踊る女優フェリ。まさにレジェンド。女らしいオーラをまとっているし、見事な甲は相変わらず。だが、背中はやはり50を越えると固くなるようで、アラベスクのラインは良くなかった。
「ラプソディ」ではコルネホのソロが、精緻なピルエット、小気味よく決まる方向変換と、ラテンのイケメンオーラで実に素晴らしいかった。

マチアスとジリアンは、テクニシャンで踊り上手どうしなので、アシュトンの細かいパもものともせず踊りまくりで楽しかった。マチアスの見せ場をもっと見たかった。
ゴメスの見せ場ももっと見たかった。
基本、女性を見せるガラなので、そこが少々残念。

ラストの眠りは、ラトマンスキー版で、ちょこちょこ違和感を感じた。
トレナリーは、この女性陣の中で一人若くて、ハツラツとしていた。
このメンツならば、トレナリーでなくて、ジェリーケントとか呼んだらよかったかもしれない。



posted by haru at 18:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする