2016年12月27日

2016スターダンサーズバレエ団くるみ割り人形

2016年12月25日(日)14:00 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

クララ 渡辺恭子 
王子 吉瀬智弘

鈴木稔演出のスタダンのくるみは、とても良いという評判だったので、ぜひ見たいと思っていました。
テアトロ・ジーリオ・ショウワは駅から近いし、1800席ほどでこじんまりしていて、段差もあって、どの席からでも見やすそうな劇場です。

鈴木版の特徴は、第1幕がクララの家のパーティではなく、ドイツの街中のクリスマス・マーケットだということ。そうそう、公演がはじまる20分ぐらいまえから、芸術監督の小山さんのプレトークがありました。
このプレトークはどの公演でも行っているらしく、公演を見るうえでのポイントなどをわかりやすく解説してくださいます。

今回のプレトークでは、第1幕の場面になっているクリスマス・マーケットにはどんなお店があるのか、役の数が140ぐらいあるけれどもダンサーは半分以下だから、みんな2役や3役をやっていることとか、衣装はすべてイギリスに注文して、人形役は、人間用と人形用と同じデザインで注文しているとか、兵隊さんはキャストに4人しか載っていないけれども、衣装は8人分用意しているので、そのからくりを見破って欲しいとか…、衣装については舞台をみていてなるほどと思いました。

そのご自慢のクリスマス・マーケットのシーン、くるみ割り人形とナッツを売るお店、スパイスを売るお店、クリスマス・オーナメントを売るお店、ホットワインを売るお店…
小道具もそれらしく凝っていて、本当にドイツのクリスマス・マーケットにいるような気分になります。

通常の版のくるみと違って、コロンビーヌやムーア人の踊りはありません。
そのかわりに、大道芸人が芸を披露するというシーンになっております。

そのあと、ドロッセルマイヤーが人形劇用の大きなワゴン車を運んできて、子供たちに人形劇を見せます。
そのあたりは通常版と近いですが、ねすみが走る音楽のときに、人形劇を見ているこどもたちだけではなく、マーケットの大人たちも一斉にリアクションするのが、「いったいなにが起こったの?」と思わせます。

人形劇にねずみが出てきたのなら、子供たちだけがリアクションすればいいことですが、関係ない大人たちもリアクションするので、「地震かかみなりでも起きたという設定」なのかと思ってしまいましたが、そうでもないようです。この部分、納得できませんでした。

人形劇で使うから、プレゼントにもらったお人形を貸してとドロッセルマイヤーに頼まれたクララでしたが、人形劇が終わっても大事なお人形を返してもらえないので、人形を探しまくって、家族ともはぐれてしまい、最後には人形劇用のワゴンに忍び込みます。

そこで人形の世界に足を踏み入れるというお話です。
ねずみにとらわれていた人形たちを解放してやり、危機一髪のくるみ割り人形を助けるために、ねずみ大王にくるみをぶつけて大活躍。呪いが解けたくるみ割り王子に誘われて人形の国へ行きます。

その途中、雪の国を通ります。スタダンでは雪のシーンは、ポワントを履かないモダンダンスです。
衣装も円錐形のアシメントリーなスカート。

コーラスの子供たちはとても上手でした。

ここまでの第1幕、私はなんだか不思議な感覚がしていました。
クラシックバレエを観たというよりは、お芝居かミュージカルプレイを観たような感覚です。
あまりにも、クラシックな振付が少ないせいでしょうか。

20世紀初頭のクリスマス・マーケットの雰囲気と対照をなす、モダンなスノーフレークスの踊り。

私の好みでいうと、ここはやはり白いチュチュで、美しいクラシックバレエを見せて欲しいのです。

第2幕は、通常版とそれほど変わってはいませんでした。
各国の踊りや花のワルツの後、くるみ割り王子にプロポーズされて、人形の世界にとどまるように言われたクララは、悩んだ末、人間の世界に戻ることに決めます。
そして、自分の代わりに、大事なお人形を、人形の国に差し出すのでした。

クララの渡辺恭子さんは演技も踊りもしっかりしていたし、王子の吉瀬さんはスマートで温かみのある王子でした。
クララのお友達や花のワルツに新国立劇場バレエ研修所出身の鈴木優さんがいて、とても可愛らしく、柔らかい優雅な踊りで素敵でした。
すごくきれいなので、彼女ばっかり見てしまいました。

歴史のあるバレエ団だと、団内のヒエラルキーで役が決まってしまうところがあります。
団歴を重ねないと、なかなか上にあがれないし、役もつかない。
東京バレエ団でさえそうです。
今やライジングスターの沖香菜子さんも、入団後しばらくは役がつかず、子供のための眠りで抜擢されたのは入団2年目でした。それでも異例の速さです。
バレエダンサーって旬の時期が短いし、後ろでコールドばかり踊っていると、素質があっても、コールドがなじんでしまい、みずからが光を発しなくてはならない真ん中のオーラがなくなって主役にふさわしくなくなってしまうことも、よくあることです。

だから、芸術監督は、よ〜くダンサーの資質を見極めて、キャスティングするべきなのです。

それが…
スポンサーのごり押しとか、しがらみなど、いろいろな事情で、おかしなことになるケースも良くあります。
芸術監督が男性だと、「お気に入り」の意味を勘ぐられたりすることもしばしばだし…
まあ、それは古くからよくあることだけれども。

何年もバレエ公演を見続けていると、そういう裏側もなんとなくわかってしまうのが、なんだかなぁです。

私は純粋に美しいバレエが見たいし、芸術監督も絶対的な美を追求して欲しい。
素晴らしい舞台を作りあげるためだけに判断して欲しい。そう願うだけです。














posted by haru at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月22日

東京バレエ団「くるみ割人形」シムキン&沖 

2016年12月18日(日)14:00 東京文化会館 
クララ 沖香菜子
くるみ割り人形/王子 ダニール・シムキン

東京バレエ団はこの版とベジャール版の二つのくるみを交互に上演しています。
このワイノーネン版はオーソドックスですが、衣装や装置などはかなり古色蒼然としています。
今回はライジングスター沖香菜子さんとダニール・シムキンの注目ペア。

このふたり、シムキンの愛らしさにさらに倍増で愛らしい香菜子さんで、ビジュアル的な取り合わせは大変に良好です。シムキンは170センチないくらいだと思いますが、香菜子さんも160ぐらいだと思われますので、身長の取り合わせもよく、愛らしさ抜群の沖さんとのペアでシムキンが王子力をいかんなく発揮できるという。


シムキンはさすがのエレガントな踊りで、まったく音のしない高いジャンプや、美しいランベルセで魅了します。沖さんも負けていません。脚が180度さっと上がるし、美しいポーズや愛らしさで、堂々と渡り合っていたと思います。

シムキンはエレガントで素敵でした。沖さんも踊りでも負けていませんでした。このお二人の取り合わせはとても良かったです。

お二人は踊りの時にまったく足音がしないのですが、雪のシーンや花のワルツではポワントの音が目立ちました。このあたり、もう少し頑張って欲しいです。でもユカリーシャの薫陶のおかげか、コールドのアンサンブルはとてもそろっていたようでした。

ひとつ残念なのは装置と衣装です。
くるみ割り人形は、最近は年末の風物詩として、日本でも各バレエ団が工夫をこらしています。
この東京バレエ団のワイノーネン版は、装置や衣装が古めかしく、「古色蒼然」
特にお菓子の国の装置は、オレンジ色のろうけつ染めのような装置で、ダンサー達はとても良いパフォーマンスをしているのに、古めかしい感じがして残念でした。

プロジェクション・マッピングを導入していますが、それは一部なので、もう少し効果的に使用するとか、現代に即した「くるみ割り人形」としての演出、装置、衣装を新たに作って欲しいと思いました。


スペインの岸本さんのキレの良さ、コロンビーヌの人形っぽさがとてもツボにはまってよかったです。







posted by haru at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月07日

「フランケンシュタイン」英国ロイヤルバレエ(NHKプレミアムシアター)

ヴィクター・フランケンシュタイン フェデリコ・ボネッリ
エリザベス ラウラ・モレーラ
怪物 スティーブン・マックレー

今年5月に初演されたリアム・スカーレットの初めての全幕作品。
彼の小品は見たことがありますが、ソロやデュエット、群舞それぞれ変化に富んでいて、バランスよく作品を構築する力のある振付家だと思います。

前半はヴィクターがフランケンシュタインを生み出すまでの家族の話、恋人の話、学校の話など。
19世紀のコスチューム・プレイも楽しめる衣装の数々が美しい。ダウントン・アビーみたい。
振付としては、マクミランを彷彿させる、コンパスのようにポワントの先を使って回転するパや、多数の男性にリフトされるシーン(マノンみたい)が多用されています。
フランケンシュタインという題材の暗さから、「マイヤーリング」に似ているかも。

全編これダンサーが踊りっぱなし。
特に踊りっぱなしなのがヴィクター役のボネッリ。出ずっぱりで、濃い演技をしながら踊らなくてはならない、大変にハードな役。
それからラウラ・モレーラ。年増だからお姫様役は似合わないけれども、女性らしいこなれた動きのねばっこさが独特な味を醸し出す。美人ではないけれども魅力的。
難しいリフトや休みなしの激しい踊りがてんこ盛りなのだけれども、抜群のパートナーシップが見事で物語を語ってゆく。

ヴィクターが怪物を作り出す実験解剖室のシーンは、プロジェクション・マッピングや手品のような火花の効果で大変に面白い。

マックレイ先輩の踊りがキレキレなのはデフォルトとして、怪物がヴィクターの弟を殺してしまうシーンや、犯人と間違えられてつるし首になるジュスティーヌのシーンは、見ていてつらい。

しかしこの作品の白眉は、ヴィクターとエリザベスの結婚式で、踊る友人たちの間に怪物が現れたり消えたりするトリッキーなシーン。映像だから、よけい不思議に見えるのかもしれないが、群舞の中にいつのまにかまぎれて踊っている怪物が、またいつのまにか友人と入れ替わっていて、観客もヴィクターと同じく錯覚の迷宮に入ってしまうようなカタルシスがあった。衣装と照明も効果的に使われていて、ここは実際の舞台でぜひ見てみたいと思った。

そして終盤のヴィクターと怪物の男パ・ド・ドゥ。最近はやりの男パ・ド・ドゥ(笑)
なんだか二人がキスでもするんじゃないかと、ドキドキしましたわ。
二人とも大柄ではないけれども、男性をリフトするのって、大変そう。
ちょっと重そうだった。

私の好みは「後味の良い作品」なので、これは好みにはずれているのですが、踊りが多いことや、面白い演出や構成があったので、あとは音楽ですね。音楽がわかりにくい。
ホラーって、一部では人気のある分野だから、もう少しキャッチーな音楽で、殺人や処刑のシーンをどうにかしたら、一般受けする作品になるような気もします。
シリアスドラマは、英国ロイヤルバレエという、ドラマティックバレエを得意とするバレエ団の特徴にはあっているかもしれないが、一般受けは難しいんじゃないかしら。
以前、NBAバレエ団がやった「ドラキュラ」の方がもう少し一般受けする作品だったと思います。

お化け屋敷的作品、という路線はありかもしれない。
いっそのことフランケンシュタイン、ドラキュラ、オオカミ男、ゾンビとか、全部出てきたりして。
ハロウィーン期間上演で。















posted by haru at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。