2017年09月04日

バレエ・アステラス2017

2017年7月22日(土)15:00 オペラパレス
第1部
「シンフォニエッタ」新国立劇場バレエ研修所
牧阿佐美先生がバレエ研修所の為に作った作品で、衣装・振り付けともにネオ・クラシックなアブストラクトバレエ。明るくスピーディな流れの中で、群舞や2,3人の踊りが次から次へと入れ変わります。研修所のオリジナル作品として何度か見ています。
私は8期の研修生たちが大好きで将来有望だと思っていたのに、彼女たちが誰一人として新国立劇場に残っていない理不尽さにがっかりして、それ以来モチベーションが下がり最近は研修所の発表会も観に行ってません。
そんなわけで、あまり期待して見ていませんでしたが、ひとり他の方と比べて太目に見えるダンサーが気になったので調べたらパーキンソン赤城さんでした。日本人の子がうすっぺらな体型すぎるので、その中に入ると目立つのですが、胴体がしっかりした外人体型なのです。音楽的な踊りをする方で、魅力的なダンサーになれるのではないかと思いました。

「エスメラルダ」よりグラン・パ・ド・ドゥ 
上草吉子&ルーゼンバーグ・サンタナ(カナダロイヤル ウィニペグバレエ)
上草さんも胴体がしっかりした体型。ピルエットは三回転がデフォのテクニシャン。すごく堂々としていて、観客を楽しませることを知っている。
タンバリンを持ったヴァリエーションは、オケと合わないというか、合わせづらいのか?
サンタナさんは小顔でスタイルいいけれども少し踊りはゆるい感じでした。

「海賊」第2幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
中島麻美&大巻雄矢 (スロヴェニア国立マリボル歌劇場)
中島さんは細くてたおやかでいながら、軸はしっかりして強靭。好きなタイプのダンサーです。
衣装がズボンタイプだったのですが、もっと華やかなチュチュの方が見栄えがしたと思います。
女性的で優美でありながら芯の強さを感じさせるようなステキな踊り。
大巻さんはレヴェランスの時も常に「奴隷のアリ」を演じていて、けれん味たっぷりでテクニックもあって、超絶技巧で会場を沸かせていました。

「Still of King」
高野陽年(ジョージア国立バレエ)
高野さんはスタイルがよく、美しい筋肉。まずその体つきにほれぼれ致しました。
このコンテンポラリーはヨルマ・エロがマルセロ・ゴメスに振り付けたものだそうですが、とても達者に踊り、もっといろいろな踊りを見てみたいと思わせる、素敵なダンサーでした。

「ドン・キホーテ」第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
桑原万奈&金指承太郎(ロシア国立クラスノヤルスクオペラバレエ劇場)
桑原さんは、大阪っぽい押し出しの強いバレエ表現が特徴ですが、足先の表現ひとつでも大きな劇場全体に伝わってくるのが素晴らしいと思います。こういう「伝わる表現力」があるから海外で活躍できるのでしょう。
金指さんは、なかなかのテクニシャンで、昔の熊川さんがやっていたような超絶技巧のジャンプやピルエットを披露していましたが、かなり控えめなので、桑原さんとプラスマイナスでちょうど良いのかもしれません。

第2部
「人形の精」組曲
ワガノワ記念ロシア・アカデミー生
女子6人、男子2人ですが、みんなキレイで上手!!
特に人形の精を踊った7年生のマリア・ホーレワが、信じられないくらい甲が高くて、美しい脚で、その脚をずっと見ていたいと思うほど。この子は将来有望です。
ピエロをやった男の子ふたりは9年生(パーベル・ミヘーエワとニコライ・ヴォロビョーフ)ですが、背も高いしコミカルな演技も上手でした。
その他の子たちも目の保養で、さすがワガノワ!!
若くって美しいって素晴らしい!次のワガノワ公演はぜひ観に行きたいと思います。

「ソワレ・ド・バレエ」
池田理沙子&井澤駿(新国立劇場バレエ)
バレエ・アステラスの主旨として、海外で活躍する若手日本人ダンサーの応援というのなら、もっと海外組をたくさん出演させてあげればいいと思うんです。だってそれこそ色々な国で活躍している日本人ダンサー、いっぱいいるんですから、新国立の推しを無理やりねじ込まなくても…
この演目はディズニープリンセスっぽくて大好きなのですが、ついつい「唯さんはこう踊ってた」とか重ねて見てしまいます。池田さんの踊りには惹かれるところはないのですが、振付を踊りこなすテクニックはあるんですね。ワガノワの生徒の後だと、プロフェッショナルな感じもしますし、この順番は正解です。

「Multiplicity」よりチェロのパ・ド・ドウ
菅野芙里奈&リシャト・ユルバリゾフ(ベルリン国立バレエ)
チェロ 上村文乃
女性をチェロに見立てて、男性が弾くという趣向のナチョ・ドゥアトの作品
その奥に表現しているものを考えると少しエロティックですが、とても美しいし、音楽にもぴったり合っています。菅野さんはとても身体能力が高いダンサーで、すべての瞬間が絵になるようでした。

「ダイアナとアクティオン」
寺田翠&大川航矢(タタールスタン国立ロシアカザン歌劇場)
今回のアステラスの一押し、お目当て!!
モスクワ国際コンクールで一躍大ニュースになったお二人。このペアが出演する効果か客席はほぼ満員。
私も大川さんが2011年にローザンヌに出た時から注目していたので、お二人の快挙は嬉しい。
モスクワ国際コンクールのアーカイブは何度もリピートして見たので、大川さんがかっ飛んでくる登場シーンとかアダージオでふたりが耳に手をやりながら後ずさりするところとか、生で見れて興奮しました。
大川さんは熊川さんばりのジャンプ力とテクニックがあるのに、オレ様でなくて、どこかホンワカしているのが良いです。
コンクールの時よりは少々ジャンプが低めかなとも感じましたが、レベルが高く、まさにプロフェッショナルなお二人の踊りを堪能しました。

「眠れる森の美女」第3幕より
影山茉以&ダビッド・チェンツェミエック(ポーランド国立歌劇場バレエ)
とても端正で美しいオーロラで、特にソロの表情が幸福感があふれてくるようで良かったです。
大川ペアの後でもまったくひけをとらず、この正統派クラシックを格調高くきっちりと踊り、トリにふさわしいパフォーマンスでした。

フィナーレ
「バレエの情景」より
出演者全員が代わるがわる出てきて、さわりの部分を踊ってくれたり、リフトを披露したりしました。
こういうフィナーレは楽しいです。


10演目で、そのうち海外で活躍するダンサーは7組です。少なすぎやしませんか。
ただ、すべてオーケストラがつくのは贅沢で、凄いことです。
全体の時間は短めなので、もう少し長くして、せめて12組くらい海外組にしてはどうなのでしょうか。
パ・ド・ドウじゃなくてもヴァリエーションだけでもいいような気がします。
と言ってもクオリティに差があるし、知名度がないと集客力が弱い。
今回は大川効果で満席でしたが、いつもはもっと空席がある公演です。
でも助成金が出ているのだし、「海外で活躍しているダンサー」が、日本の大劇場で踊れる機会ってあまりないですし、故郷の知り合いにも見てもらえるし…企画としては素晴らしいので、もっとたくさんのダンサーに出演の機会を与えて欲しい、それが日本のバレエ界のトップを走っている≪いちおう国立》の、新国立劇場の役割ではないかと思います。


posted by haru at 09:52| Comment(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする