2009年03月10日

「バレエに育てられて」牧阿佐美著

新国立劇場バレエ芸術監督、牧阿佐美先生の自伝が出版されました。
「バレエに育てられて」



橘バレエ団創設者橘秋子の娘として生まれ、
15才にしてバレエ団を結成(福田阿佐美ベビーバレエ団)、

22才のときにアメリカに渡って、バレエ・リュッスのプリマだった
アレクサンドロワ・ダニロワに学び、1955年に帰国して翌年、
23才にして牧阿佐美バレエ団を設立、芸術監督に就任。

当時の牧阿佐美バレエ団には、大原永子、大井昌子、早川恵美子、
森下洋子など、現在の日本バレエ界の大物が在籍していました。

日本のバレエ界では、小牧バレエ団、谷桃子バレエ団、
東京バレエ団などの有力なバレエ団がありましたが、
50年代〜60年代にかけては、
日本のバレエの揺籃期に誕生した2、3のバレエ団から
まるで細胞分裂するかのようにダンサーの移動、集散があって、
いくつものバレエ団が作られていきました。

新国立バレエ団の最初の芸術監督であった島田廣、
そのパートナーであり、日本バレエ協会初代会長だった服部千恵子、
東京バレエ団を立ち上げた佐々木忠次、
牧阿佐美とのちに結婚した三谷恭三、谷桃子や小林紀子、森下洋子など、
現在のバレエ界の重要人物は、すべてお互いに何らかの形で
かかわりをもっていることがこの本を読むととてもよくわかります。

そして、そのほとんどが高齢であるとはいえ、まだ元気で
日本のバレエ界を動かしているのです。
派閥の力が幅をきかしているのもやむなるかな。

おそらくゴーストライターの手によるものでしょうが、
牧阿佐美先生の半生を描きながらも、
日本バレエ界の研究資料にできるほど、現在までの道のりが
ちゃんと書かれていて面白い本です。

最後の方に、AMスチューデント設立の話があり、
これはアサミ・マキの頭文字をとって、
ほとんど自分だけで教えをする、牧阿佐美直伝のクラス。

草刈民代、成澤淑栄、志賀美佐枝、田中祐子、野間景、酒井はな、
小嶋直也、久保紘一、吉本真由美、吉本泰久、上野水香、
逸見智彦、服部有吉、金森穣、遅沢佑介、本島美和、伊藤有希子など

国内外で活躍する目ぼしいダンサーの8割ぐらいはここの出身かと
思えるほどの面子がずらっと揃っています。

現在の新国立劇場バレエ団でも、このAMスチューデント出身者が
何人かいて、どうして実力がまだそこまででないのに、
あんなに主役に引き立てられるんだろうと思っていましたが、
この本を読んでその理由がわかりました。

「私の生徒がかわいい」からなのですね。
「ダンサーは舞台でしか成長できない」とも書いてありました。
う〜ん、その気持ちはわかるのですけれど…。

ご自分のバレエ団でやるのならいいですけれど、
新国立においては、「国立」なのですから、
日本のバレエ界のことを考えて、公平な目で見て、
たとえ自分の生徒でなくても、一番良いダンサーに主役をふるのが
芸術監督に求められていることではないでしょうか。



ぴかぴか(新しい)








posted by haru at 13:31| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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