2014年08月17日

イルミナートバレエ「白鳥の湖」

2014年8月17日(日)2PM パルテノン多摩大ホール
演出・指揮 西本智美
オデット 中村美佳
ジークフリード王子 法村圭緒
オディール 寺島ひろみ
王子の友人 吉田旭

新国立劇場時代にずっと応援していた寺島ひろみさんが、出産後、初めて出演する舞台を観に行ってきました。
指揮者の西本さんとは、ワガノワ留学時代に同じ寮に住んでいたご縁だそうです。
今回の公演は、ワガノワに留学していたダンサーや、西本さんの幼馴染のダンサーなどが多数出演しているそうです。
西本さんの演出では、オデットとオディールは別人です。
誰しも心の中にある2面性を表現しているそうです。

観客はふだんバレエを見ている人よりも、西本ファンや関係者が多いように見受けられました。
西本さんの指揮は、ご自身のブログでおっしゃっているように、ダンサーの妙技に拍手する暇もないほど、曲間が短く、テンポが速めでサクサクと進行します。
バレエの舞台の場合は、ダンサーが踊りやすいように、テンポを揺らして遅くしたりすることがよくありますが、西本さんの場合は、そういうことはせずに、音楽の完成度の方を重要視しているように感じました。
曲のテンポが速すぎて踊りきれない部分は振付の方を変えて調整していたようでした。
逆に、王子のソロなど、遅すぎて踊りにくそうな所もありました。
西本さんはバレエを習っていたこともあるそうですし、おそらく音楽を重視しながらも、ぎりぎりダンサーが踊れるような絶妙のテンポだったのではないかと思います。
こういうアプローチのバレエ公演は、初めてのような気がします。
音楽は伴奏ではなく、音楽もバレエも共に同じレベルで主役、という意味で、西本さんの目指している所は共感できました。

この公演には男性ダンサーが4人しか出てきません。
王子、友人、道化、ロットバルトです。
夏休みは男性ダンサーの稼ぎ時。
あちこちの発表会にひっぱりだこだから、大勢揃えるのが難しいのかもしれません。
それで演出で、たとえば3幕の舞踏会の部分では、ディベルティスマンをその都度、王子や道化、王妃なども入れて踊るような工夫をして、男性が少ないのをカバーするようにしていました。
日本のバレエ団は常に男性不足ですから、こういうのは上手ですね。
王子役の法村圭緒さんは、踊りもサポートもそつなくこなすノーブルタイプのダンサーですが、演技がわりとあっさりめで少し物足りない感じでした。もっとオデットへの愛が伝わってくるとよかった。
友人役の吉田旭さんは、ジャンプが高くて着地音もしないし、イケメンだし、なかなかいいダンサーでした。
道化役の末原雅広さんはジャンプやピルエットのキレがよく、テクニックがあってとても上手でしたが、道化としては、もっともっと愛嬌とか、可愛らしさがある方が私の好みかな。
ロットバルトのビクトルさんはガタイが良くて男らしくてカッコ良かったです。オディールとのパ・ド・ドゥも、頭上リフトの安定感があって、オディールがきれいに見えました。

ダンサーたちは、関西の方が多いようでしたが、コールドの皆さんは、にこやかに踊っていて良かったです。
4羽の白鳥は最近見た中でもダントツに揃っていました。
オデットの中村美佳さんは、昔新国立劇場で主役を踊っていたダンサーだそうですが、悲嘆の中で感情を抑えつけてしまったオデットなのか、登場の時に地味に感じました。
踊りはとてもしっかりと踊っていましたが、尼僧のようなかたくなさと控えめさとでもいうのでしょうか。
ダンサーによって色々なオデットがあって、ザハロワのあでやかなオデット、マリーアニエスジローの女王のようなオデット、ロパートキナのクールビューティなオデット……ですから、そういうオデットもありだと思いました。

肝心のオディールですが…ゴージャスでした
スタイルも現役時代と遜色なく、脚のラインも美しく、華やかで衣装と同じくキッラキラでした。

今回の誘惑者・オディールの役はぴったりで、別格な印象を観客に与えたようです。
3幕の後にカーテンコールがあって、各国の踊りのソリストなどが出てきました。
ひろみさんは智美さんに投げキッスを送って、大受けでした。

先日の松岡梨絵さんの記事にも書いたのですが、日本では子どもを産んで第一線で活躍するプリマがいません。
この公演も、音楽は一流かもしれませんが、男性ダンサー4人しかいないし、舞台美術は新国立劇場などには及びません。
せっかく長い時間をかけて技術と表現力を磨いていたダンサーが、人生経験を積んでさらに魅力的に踊れる時期だというのに、この状況は残念でなりません。
円熟期を迎えた素晴らしいプリマが、第一級の舞台美術と衣装、音楽の備わった舞台で踊るのを観たい!!
(もちろん相応しい相手役と、脇役、その他コールドも一流で)
というのはファンとしての正直な気持ちです。

ゲストプリンシパルとか、年に数回だけ舞台に出る契約とか、ママさんにとって負担の少ないやり方で劇場、バレエ団と契約はできないのでしょうか。

ママさんプリマの側にとっても、子供を預けるところとか、家事とか、周囲の理解とか、色々とハードルがあるでしょうが、少しずつでもいいから、この状況が変わっていくようにと願っています。
ぴかぴか(新しい)


posted by haru at 21:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/403893749
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック