2014年11月09日

新国立劇場バレエ「眠れる森の美女」米沢&ムンタギロフ

2014年11月9日(土)2PM オペラパレス
オーロラ 米沢唯
デジレ王子 ワディム・ムンタギロフ
カラボス 本島美和

大原芸監でのシーズンオープニング公演。
どんなゴージャスな眠りを見せてくれるか期待していました。

舞台装置は豪華で、宮殿のセットが袖幕の数でいくつも重なり、1幕は重厚な彫刻、3幕はルイ王朝風の絵画が描かれていて、こんなに立派な眠りのセットは、今まで見たことがないという程。
衣装もお金がかかってそうでしたが、童話のイメージなのか、色合いがなんとも言い難い…
宮殿の男性たちが、ブルーの服に真赤なタイツと靴を履いていたり、女性はワインカラーのロングドレスでエプロン付けてるから、この人たちはみんな召使なの??…とか。

一番残念だったのは、妖精たちの衣装が同じだったこと。
オーソドックスに、パッと見て見分けがつくような色違いのチュチュにして、リラのお付きの妖精たちはリラ色の衣装にして欲しかった。

どうせ新国立劇場のプロダクションでは
大胆なストーリーの読み替えや演出など望めないのだから、装置や衣装にこだわるのは致し方ないにしても、妖精とリラの精たちは、基本を抑えてくれてもいいのに。
バレエを習ってる子達のためにもね。


衣装で良かったのはカラボスですね。
カラボスは蜘蛛の化身なのか、大グモの乗り物も、ハリーポッターみたいでしたが面白かったです。消える時に歌舞伎で使う糸を吐くのも、いいアイデアでした。
でもこれって、山岸涼子「テレプシコーラ」に出てましたね、まさかパクリ?

衣装も良かったけれど、本島さんのカラボスは、美しいし狂気じみた怒りの表情もきまっていて、カラボスと呼ぶより、マレフィセントと呼んであげたい。まさに適役。この舞台で受けた感銘の30%くらいを占めてます。

2幕に森の精たちの素敵なコールドバレエがあるのだけど、衣装が強烈な緑色で、カラボスの衣装も緑だから、この人達はもしかしてカラボスの手下なのだろうか?
むしろその方が面白かったりして。

オーロラの衣装はシンプルすぎませんか?1幕はやはりピンクの方がいいし、3幕は結婚式だから、もっとゴージャスにしてくれないと!!

なぜか2幕の幻想のオーロラが、ブルーのお花などがいっぱいついていて、一番かわいい衣装でした。


100年の眠りから覚めて王子と踊る「目覚めのパドドゥ」では、まるでジュリエットな衣装でしたが、ここで二人がパドドゥを踊ることで、幻想の中でしか会っていなかった二人に、自然に愛の感情が生まれるという、ストーリーの流れができました。ラストに二人のキスで幕が降りるのもロマンチック。

3幕は宝石、猫、赤ずきんと狼、青い鳥、親指トムが出てきました。親指トムというのが珍しいけど、小柄な技巧系ダンサーの為に作った役らしく、八幡さんが、素晴らしいテクニックを披露して、まさにショーストッパー。


宝石の女性3人はキビキビとして良かったのですが、堀口さんがすべって転び、その後ポワントの具合がおかしくなったみたいに見えて心配しました。


青い鳥は小野&管野でさすがプリンシパルの安定感はありましたが、初々しさとか可愛らしさはなかったです。可愛らしさど言えば、以前テレビドラマで石原さとみがバレリーナに扮して青い鳥を踊った時、踊りはともかく雰囲気とか表情がとても可愛らしくて、まさに理想的なフロリナだったので感心しました。

それはそうと、小野さんはもともと小柄で可愛らしい系のプリマだったのに、いつの間にか大人っぽいプリマに変貌してきていますね。もうフロリナが似合わないくらいに。

主役の二人について話しましょう。
ワディムは今や飛ぶ鳥を落とす勢いのライジングスター。
長身でスタイルが良くサポート上手で、実は凄い荒技も繰り出すテクニックと運動能力の持ち主。
通常の540(ファイブフォーティ)にプラスαで、もう半回転ぐらいやっちゃったりします。

そのような荒ぶる技は今回は封印して、端正な王子を70%ぐらいの力で リラックスして演じてた感じです。

ザンレールはきれいに5番にはいるし、ピルエットも10回ぐらいまわっちゃうし、言うことありません。眠りじゃなければ、あの荒技も見たかった。

米沢唯さんは、1幕、2幕、初々しくて清潔感にあふれるオーロラを演じ、ピルエット3回転をピタリと音のなかに入れて、凄いことをやってるのに、あまりにサラリとしてるので、驚きを通り越して、それが普通みたいに思えてしまいます。

でも唯さんの個性なのか、まるで白いハンカチみたいな感じで、あっさりしすぎて物足りないのです。特に3幕。

幸せにあふれた、こぼれるような女性らしい美しさ、満ち足りた雰囲気。
花のかぐわしい香りで舞台をおおうようなオーラが欲しい。

ワディムさんと唯さんとのケミストリーが感じられなかった。
バドドゥの最後のコーダで、ふわっとして重力のないようなリフト、唯さんのフェッテの入った連続技のあたりは、お二人の熱が入っていて、観ているこちらも盛り上がりましたが、ああいう所をもっと早くから出していれば良かったのにね。
唯さんは初役だし、初めて組む相手だったという事もあったのかもしれません。
唯さんは、あれだけのテクニックの持ち主なのだから、これからはプリマとして[美しく存在する]ことも是非勉強して欲しい。と言っても、これは勉強することじゃないけれど。

やはりプリマは美の象徴だから、舞台が終わったら、ジーンズ姿で普通に横にいるような女の子じゃなくて、赤いドレスを着た手の届かないような存在であって欲しい…
これはあくまでも比喩ですけどね、昔のプリマは、マーゴット・フォンティーンやアリシア・アロンソなど皆オーラがあって女優のように美しかった。

今の時代でもタマラ・ロホやアニエス・ルテステュなど見て下さい。



posted by haru at 20:59| Comment(1) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちは。
私もバレエ『眠れる森の美女』をみてきましたので、楽しく読ませていただきました。
私は小野絢子さんの舞台を観てきましたが、配役が変わると、多少感じるところも違ってくるような気がし、この配役でもみたくなりました。
久しぶりの『眠れる森の美女』でしたので、チャイコフスキーの音楽も踊りもよかったです。
私もブログに感想と舞台の魅力を整理してみましたので、読んでいただけると嬉しい限りです。
差支えなければ、ブログにコメントをいただけると感謝致します。
Posted by dezire at 2014年11月19日 04:35
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