2016年05月05日

新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」米沢&井澤

2016年5月3日(火)14時 オペラパレス
キトリ(ドゥルシネア)米沢唯
バジル 井澤駿
ドン・キホーテ 貝川鐵夫
サンチョ・パンサ 橋一輝
キトリの友達 柴山紗帆 飯野萌子
エスパーダ マイレン・トレウバエフ
街の踊り子 長田佳世
メルセデス 本島美和
カスタネットの踊り 堀口純
キューピッド 五月女 遥
森の女王 細田千晶
第1ヴァリエーション 奥田花純
第2ヴァリエーション 寺田亜沙子

まず、この公演で二つ強烈に印象に残ったことを申し上げます。
@マイレンエスパーダが登場の時に、帽子をポーンと天高く放り投げて、それがセットの上3分の2ぐらいの上方に、ありえないくらいに高くあがって、どっかに消えた!!(さすがマイレン、笑わせてくれます)
A唯さんの凄技フェッテ


新国立劇場のドンキは何度も見ていますが、版の特徴としては、バジルの狂言自殺で恋人達の物語の決着がついてしまったあとに、ジプシーのシーンやらキホーテの風車への突進、森のシーンがあります。
物語を語っていく事よりも、たくさんのダンサーが出てきて踊りで見せて行く方に重点が置かれています。

普通ならばメルセデス一人で演じるところを、街の踊り子とメルセデスで分けあっているので、エスパーダにとってはどっちが本命?とわからなくなり、さらにエスパーダはカスタネットの踊り子にも色目を使っています。(もしかしたらマイレン独自の演技かもしれませんが)

新国立劇場バレエ団のオノラブル・ダンサーであり、数々の王子を踊ってきた山本隆之さんがドン・キホーテを踊った時も衝撃でしたが、今回は貝川さんがドン・キホーテ役で、「ダンサーの旬の時期の短さよ…」と、いつの間にか王子がおじいさんになってしまったという哀愁を感じてました。(いえ、貝川さんはとっても上品で素晴らしいドン・キホーテを演じていらっしゃいました。王子役よりはまっていたかも。笑)

今回は脇やらチョっとだけ踊る役にもプリンパルやらファーストソリスト大量投入でした。
キャラクターや脇役はとても重要であり、舞台のなんたるかを知りつくしたベテランがそういう役をやることで、舞台の重厚さがぐっと増すことはわかっていますが、あれだけ踊れるプリンシパルの八幡さんがサンチョ・パンサとは… エスパーダをやらせてあげてもいいんじゃないでしょうか。

そして、オデットを踊ったこともある堀口純さんがカスタネットの踊りですからね…
キャラから言ったら森の女王とかが(ランクからしても)順当なんですけど。
それならいっそ長田佳世さんがこの踊りをどう踊るか見たかったです。
東バならばジプシーの踊り、新国立ならカスタネットの踊りは、ちょっとメインストリームからはずれた異質の踊りなんですけど、ここで魅せられるダンサーはなかなかいなくて、「上手いけど綺麗じゃない」「綺麗だけど面白くない」というパターンが多いんです。
堀口さんは、どちらかというと「綺麗だけど面白くない」方のパターンでしたけど、不思議な透明感があって、ジプシー女でなくて白鳥が踊ってるみたいでした。

メルセデスの本島さんは、さすがの華やかさでぴったりでした。上体が固くて、あまり大きくそらないのが残念ですけど(その点はたぶん堀口さんの方が柔らかいと思います)
本島さんも、すっかりベテラン扱いで主役が回ってこなくなりました。プリンシパル8名のうち、主役を常に踊る人が実質2,3人で後はキャラクテール要員というのは、バレエ団としてどうなんでしょう??

とまあ、いろいろ思うことはあるのですが、そのような重厚な脇役をしたがえて真ん中で踊る二人は、飛びぬけたオーラはありませんが、主役としての責任はちゃんと果たしていたと思います。
井澤王子は、演技は薄めでしたが、片手リフトもちゃんとこなし、ソロもきれいで見ごたえがありました。
そして、米沢唯さんは、盤石のテクニックを持っていますから、どの踊りも安心して見ていられます。
高度なテクニックがあるから、その分余裕があって、音にぴったり合わせることができる。それが観客にとっては胸のすくような爽快感を感じさせます。

第1幕でバジルと同じ振りで回転を入れて踊る所、男性の方が早く回転して女性が遅れることが多いのですが、そこもぴったり二人で揃っていました。
あまりこれみよがしなことはしないのですが、バランスも長くて、すべての踊りが端正で、雑なところがないというのは凄いことです。

第3幕のフェッテは、トリプル‐シングル‐シングルで、トリプルの最中に手を上にあげてから腰に下ろすと同時に扇を開いてひらひらするという大技を3セット入れていました。
あんな技をさらっと涼しい顔でやるんですから、もう観客大熱狂でした。

アンサンブルや脇役まで舞台を盛り上げていて、とても楽しい公演でした。


















posted by haru at 11:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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