2016年12月07日

「フランケンシュタイン」英国ロイヤルバレエ(NHKプレミアムシアター)

ヴィクター・フランケンシュタイン フェデリコ・ボネッリ
エリザベス ラウラ・モレーラ
怪物 スティーブン・マックレー

今年5月に初演されたリアム・スカーレットの初めての全幕作品。
彼の小品は見たことがありますが、ソロやデュエット、群舞それぞれ変化に富んでいて、バランスよく作品を構築する力のある振付家だと思います。

前半はヴィクターがフランケンシュタインを生み出すまでの家族の話、恋人の話、学校の話など。
19世紀のコスチューム・プレイも楽しめる衣装の数々が美しい。ダウントン・アビーみたい。
振付としては、マクミランを彷彿させる、コンパスのようにポワントの先を使って回転するパや、多数の男性にリフトされるシーン(マノンみたい)が多用されています。
フランケンシュタインという題材の暗さから、「マイヤーリング」に似ているかも。

全編これダンサーが踊りっぱなし。
特に踊りっぱなしなのがヴィクター役のボネッリ。出ずっぱりで、濃い演技をしながら踊らなくてはならない、大変にハードな役。
それからラウラ・モレーラ。年増だからお姫様役は似合わないけれども、女性らしいこなれた動きのねばっこさが独特な味を醸し出す。美人ではないけれども魅力的。
難しいリフトや休みなしの激しい踊りがてんこ盛りなのだけれども、抜群のパートナーシップが見事で物語を語ってゆく。

ヴィクターが怪物を作り出す実験解剖室のシーンは、プロジェクション・マッピングや手品のような火花の効果で大変に面白い。

マックレイ先輩の踊りがキレキレなのはデフォルトとして、怪物がヴィクターの弟を殺してしまうシーンや、犯人と間違えられてつるし首になるジュスティーヌのシーンは、見ていてつらい。

しかしこの作品の白眉は、ヴィクターとエリザベスの結婚式で、踊る友人たちの間に怪物が現れたり消えたりするトリッキーなシーン。映像だから、よけい不思議に見えるのかもしれないが、群舞の中にいつのまにかまぎれて踊っている怪物が、またいつのまにか友人と入れ替わっていて、観客もヴィクターと同じく錯覚の迷宮に入ってしまうようなカタルシスがあった。衣装と照明も効果的に使われていて、ここは実際の舞台でぜひ見てみたいと思った。

そして終盤のヴィクターと怪物の男パ・ド・ドゥ。最近はやりの男パ・ド・ドゥ(笑)
なんだか二人がキスでもするんじゃないかと、ドキドキしましたわ。
二人とも大柄ではないけれども、男性をリフトするのって、大変そう。
ちょっと重そうだった。

私の好みは「後味の良い作品」なので、これは好みにはずれているのですが、踊りが多いことや、面白い演出や構成があったので、あとは音楽ですね。音楽がわかりにくい。
ホラーって、一部では人気のある分野だから、もう少しキャッチーな音楽で、殺人や処刑のシーンをどうにかしたら、一般受けする作品になるような気もします。
シリアスドラマは、英国ロイヤルバレエという、ドラマティックバレエを得意とするバレエ団の特徴にはあっているかもしれないが、一般受けは難しいんじゃないかしら。
以前、NBAバレエ団がやった「ドラキュラ」の方がもう少し一般受けする作品だったと思います。

お化け屋敷的作品、という路線はありかもしれない。
いっそのことフランケンシュタイン、ドラキュラ、オオカミ男、ゾンビとか、全部出てきたりして。
ハロウィーン期間上演で。















posted by haru at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | バレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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