2017年02月21日

新国立劇場バレエ「ヴァレンタイン・バレエ」2月17日

2017年2月17日(金)19時 オペラパレス

「テーマとヴァリエーション」米沢唯 福岡雄大

登場した瞬間の唯さんが美しく鳥肌がたった。
軽やかで、まるで体重がないかのよう。きびきびとして、しかし優雅な方向転換、びくともしないバランスの妙。雑味のないクリアな踊り。
手脚が長く、スリムなプロポーションの女性ダンサーたちのコールドはとてもよく揃っている。
前後2列になって同じ振付を踊る時、正面からは二人なのに一人のように見えるほどのシンクロニシティ。
これだけ揃えられるのは日本人ならではだと思う。
たぶん、本家のアメリカでは、これほど揃うことはないだろうし、それよりも個々のダンサーの個性が見えるような踊りをよしとしていると思う。2008年の新国立バレエのワシントン公演では、バランシンの「セレナーデ」を持って行って同様なシンクロニシティを発揮したけれども、現地の評判はそれほど大絶賛でもなかったように記憶している。
個人の見えない無機質なシンクロニシティ。でも私はこれこそが、新国立のバランシンとして素晴らしい所だと感じている。
ただし、これは女性ダンサーに関してのみ。
「テーマとヴァリエーション」でも、男性が出てきたとたんにがっくりきた。
福岡さんは的確に破たんなく、連続ピルエットもぴたっと決めていた。しかし彼の脚のラインはごつごつしていた。コールドの男性たちは、小さかった。どうにか前列の男性4人は高身長で揃えてきたが、それも、最近は王様役とかになってきた貝川さんも含めてだ。
女性陣の美しさに匹敵するくらいの、すらっとして太もものラインもムキムキでない、マリインスキーの男性たちのようなダンサーたちがいたら。
マンガ「テレプシコーラ」にも、男性ダンサーの身長についての話が何度も出てくる。
いわく、「まず体格の変化は女性にあらわれるのではないかしら」
日本の男性ダンサーが、新国立の女性ダンサーに肩を並べるくらいのプロポーションを得る日はいったいいつになるのだろうか。
そうはいっても、全世界的に高身長の男性ダンサーは不足していて、まるで「金の卵」扱いだ。
マシュー・ゴールディング、ワディム・ムンタギロフ、エヴァン・マッキー、デヴィッド・ホールバーグ、ロベルト・ボッレなど、踊りとサポートが上手で高身長なダンサーは世界のプリマからひっぱりだこ。
バレエ以外に目を向ければ、背の高い男性はたしかに最近は結構存在する。スポーツ界とか、一般でも。
うちの息子も183くらいあるから。でも彼をバレエダンサーにしようなんて、まったく考えたこともなかったし、彼自身にもそんな気は毛頭なかっただろうから、そこはやはり「バレエ」という芸術がもう少し広く大衆にアピールするものになって、それで稼げる、という状況にならなければ難しい。

日本ではまずバレエのテレビ放映が少ない。
ロシアではバレエダンサーは、日本でいう野球選手ぐらい人気があって、しょっちゅうTVにも出ているそうだ。
以前、モデルプロダクションのオスカーの社長に話を聞いた時、宝塚とかバレエとかは「裏芸能界」だと言っていた。お金を稼げないという意味なのだろう。
上戸彩のようなタレントなら、小さい時から育てて、14くらいでデビューさせて、年何億と稼いでくれる。
バレエダンサーが一人前になると思える20才ぐらいは、タレントでいうともう旬を過ぎた年増だ。




「ドン・キホーテ」グラン・パ・ド・ドゥ 柴山沙帆 井澤駿

新国立劇場バレエのドンキは何度見たことか。あの赤いチュチュもそろそろデザインを変えてもいいのじゃないかというくらい。そのなかでもとびきり退屈だった。ガラで踊るドンキって、余裕綽綽の中で、遊びでバランス技を見せたり、回転技を見せたりするものだと思っていたけど、柴山さんはかなりいっぱいいっぱいで、最大限にひっぱったゴムみたいだった。
フェッテは前半はダブル、ダブル、シングル、後半はダブル、シングルのパターンを繰り返して、テクニックのあるところを見せたが、最後は曲が終わる前に止まってしまった。たしかに踊れてはいるけれども、顔がおてもやんみたいで好みじゃないし、つまらなかった。早く終わって欲しいと思うドンキなんて。
井澤さんはイケメンで怪我明けを感じさせない軽やかさでとても良かったのに。もっとイケイケの相手を組ませてあげてはどうかしら。ドンキならば、五月女さんなんかでもイケるのでは。
そういえば、井澤&小野絢子ってあまりないですね。 

「ソワレ・ド・バレエ」米沢唯 奥村康祐

唯さんと奥村さんの組み合わせ、大好きなんです。この二人って、清潔感と踊りの軽やかさが近くてお似合い。2年前の横浜バレエフェスティバルで感動した演目なので、ぜひまた見たいと思っていました。
グラズノフの可愛らしい音楽、きらめく星空の下、さらりと超絶技巧を織り交ぜ、楽し気に踊る唯さんと奥村王子。
童話みたいな、ディズニーみたいな、愛にあふれる世界。
きっとこういうの日本人みんな好きだと思うから、ぜひ全幕を新国立で採用してレパートリーにして欲しい!
日本の国立劇場なんだから、日本人の作品もレパートリーにあってしかるべきだし、それもこんな素晴らしい振付家がいるのだから。
もう大原先生はクビにして、深川先生が次の芸術監督でもいいんじゃないか、というくらいこの作品気に入ってます!
衣装は、横浜の時よりも、プリンセス風味で、私は以前のもうちょっと大人っぽいのが良かったけれど、まあこれもディズニープリンセスの世界としてありかなと思いました。
何気に方向変換とか、緩急のスピードを変えての回転技とか、飛び上がる脚をパドシャにするマネージュとか、ちょいと変わった技巧的な振付も面白いですし、それを難しいと感じさせないで踊りこなすお二人も素晴らしい。
唯さんは、「テーマとヴァリエーション」で福岡さんにリフトされたときは、なんだか窮屈そうで急に重さを感じましたが、この作品で奥村さんにリフトされるときは、生き生きとして伸びやかでした。
ぜひ全幕で見たいです。新国立劇場ファンの皆様、劇場へソワレ・ド・バレエの全幕を見たい、レパートリーにしてくれというメールを送りましょう。
ご意見・ご感想がメールできます→ こちら


「タランテラ」小野絢子 八幡顕光

これは以前ニューイヤーガラで唯さん奥村さんを見ました。
久しぶりの八幡さん登場でしたが、絢子さんとサイズ的にぴったり合いますね。
かわいらしさ、というよりもベテランのサービス精神が伝わってきました。
これ、大変疲れる踊りだから、未熟者がやると、ヘロヘロになって、観客を楽しませようというどころじゃなくなっちゃいそうだけど、そこのところ、さすがプリンシパルは配慮たっぷりでした。

「トロイ・ゲーム」

新国立劇場バレエをいっぱい観ていた10年前〜5年前くらいまでは、コールドもほとんど顔がわかったのだけれど、今はもう全然誰なのかわかんなくなってしまいました。
そういうことで、わからないダンサーたちがわからない踊りを、身体的にめちゃめちゃ酷使する振付で、これはイロモノに属するのかなと思いながら見ていました。
私は美しいものが見たくて劇場に来ているので、こういう作品だと事前に分かっていたら幕間に帰っていたかもしれません。
しかし、こういう試みは、普段後ろの方でコールドを踊っているダンサーにとっては、身体能力を思いっきりアピールできる場としていいのではないのかと思う次第です。







posted by haru at 22:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/447228475
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック