2017年05月06日

新国立劇場バレエ「眠れる森の美女」米沢&ムンタギロフ

2017年5月6日(土)14:00 オペラパレス
オーロラ姫 米沢唯
デジレ王子 ワディム・ムンタギロフ
リラの精 木村優里
カラボス 本島美和
誠実の精 寺田亜沙子
優美の精 丸尾孝子
寛容の精 飯野萌子
歓びの精 五月女遥
勇敢の精 柴山沙帆
気品の精 寺井七海
エメラルド 細田千晶
サファイア 寺田亜沙子
アメジスト 広瀬碧
ゴールド 渡邊峻郁
フロリナ王女 小野絢子
青い鳥 福岡雄大

昨年度新しく作られたウェイン・イーリング版の再演です。
この版が通常と違う大きなところは、
1.妖精さんが一人多い(気品の精)
2.王子がオーロラを目覚めさせた後に「目覚めのパ・ド・ドウ」がある。
3.結婚式のディベルティスマンに親指トムが出てくる
あたりなのですが、特筆すべきところは、舞台装置が豪華です。
まるで本物のヨーロッパの王宮のようなセットです。お金かかってそう…

衣装もよく見ると細かいディテールが凝っていたり、玉虫色の布地を多用していたりして豪華なのですが、そのセンスはどうかと思うところも多いです。
妖精さんとリラのお付きの衣装がほとんど一緒なので見分けがつけにくいことと、森の精の衣装が鮮やかな緑なのがジャングルブックか!とツッコみたくなるし、遠目の雰囲気がカラボスとかぶっているので、「森の精はカラボスの手下なのか?」と感じます。

秀逸なのはカラボスの衣装と乗り物。大きなクモなんです。これはハリーポッターを連想させましたが、いいアイデアだし、すごく効果的でした。そう言えば、マンガ「テレプシコーラ」の中で、カラボスをクモに見立てて、六花が歌舞伎のクモの糸を出すところがありましたが、あれ、まんま使われています。パクリ?(笑)

「目覚めのパドドゥ」、これは要らないと思います。必然性がありますか?いきなりネグリジェでオーロラが踊るって…百歩譲って、これはオーロラの心の中の情景だとしても、振付が様式美なので固すぎます。逆に心の中の情景とわかるように、ネオクラシックな振付(ロミジュリみたいな)にすればいいかもしれません。とにかくこのシーンは、製作者の「いいだろう、これ。うっとりするだろう」という押しつけがましさでやってるだけで、まったく面白くなく、前回同様、眠くなりました。
眠りの森の美女は、プティパのクラシックの様式美で貫くところがいいのです。
こういう中途半端なのはカットして欲しいです。

6人目の妖精さんは、狩りのシーンの音楽を利用していますが、今日踊った寺井さんが、それはもう上品で優雅でしたので、これはこれで、よろしいです。
親指トムは、八幡さんへのあてがきなのかもしれませんが、常に「テクニックに優れているけれども王子には身長が足りないダンサー」という人材はいるので、まあこれはこれで、よろしいです。ただ、八幡さんはプリンシパルなんですよね。プリンシパルが村人と親指トムって、役付き酷くないでしょうか。

私の理想としては、舞台装置はこのままで、目覚めのパドドゥはカットして、妖精とプロローグの貴族と、1幕の王様の変な帽子と森の精の衣装を変更してくれたら、なかなか豪華で新国立劇場にふさわしいプロダクションではないかと思います。
けれども、大金を支払って、海外の人に新制作をお願いするよりも、眠りだったら、超スタンダードなヴァージョンと振付で、舞台装置と衣装を凝ったつくりにするだけで充分だし、その方が日本人好みだと思うんですけどね。イーリング版じゃなくて、大原版でよかったのに。大原先生は自分のバージョン作らないつもりなのでしょうか。牧先生は白鳥とかバヤデールとかライモンダとか作りましたよね。はっきり言ってイーグリング氏なんて日本では無名だし、箔づけにならないですけどね。なんか裏があるのかしら。

プロダクションのことはさておいて、今日の公演ですが、
唯さんとムンタギロフさんは素晴らしかったです。
初演時の唯さんは、もっとお堅い感じ(格調高くいこうと意識していたのか)でしたが、今日はもっと優美で、音にピタッとはまって、ヴァリエーションにしびれました。
唯さんの踊りを見ると、純度の高い水を飲んだみたいにスカッとするんです。

唯さんが他日にカラボスをやるそうですが、唯さんがカラボスをやる意味って何でしょう。
演技力の向上のため?唯さんにカラボスって、あまり似合わない感じがするのですが…
むしろリラとか踊ってもらったらいいんじゃないかしら。
カラボスは木村優里さんが似合いそうです。
木村優里さんのリラの精は、あの花びらいっぱいのヘッドドレスをかぶってもなお小顔で、抜群のスタイルで美しいです。でもリラの精の慈愛のようなものは全く感じられません。
堂々としているから、そこはいいのだけれども、リラの精はもう少しベテランのダンサーに踊ってもらった方が良いとおもいます。

本島さんもプリンシパルだから、唯さんにもカラボスを踊らせて、この役はプリンシパルがやる役なんだと重要づける意味なのかもね。登場のシーンはいいけど、やっつけられるシーンが尻つぼみで、印象に残らない。
プリンシパルがやる役なら、フェッテを入れるとか、もうちょっと踊るようにしてほしい。

その他、印象に残ったことですが、
寺田亜沙子さんの誠実の精が素晴らしかった。上体をうまくつかってニュアンスをつけて、こんな風に踊れるなんて、研修生の時から見ているけれども、ダンサーとしてすごく今充実しているなぁと感じます。
もともとスタイル抜群だし、かわいいし、推しメンにしようかしら…と思っていたら、宝石でまさかのイタリアンフェッテ失敗!ありゃりゃ…

宝石の渡邊さん、横っ飛びジュッテが高くて幅広くて、びっくりするくらいでした。あのジュッテはすごい!

小野絢子さんのフロリナ、出てきた時のオーラがパっときて、これでは主役みたいになっちゃうなと思っていたのですが、ヴァリエーションはかわいらしくて、フロリナってこう踊るものだっていうお手本みたいでした。フロリナってふつう、主役一歩手前の人が踊る踊りだから、フレッシュな感じを期待しますよね。ちゃんと絢子さんはそれを理解していて表現していました。さすがバレリーナ脳の持ち主。









posted by haru at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック