2017年06月14日

横浜バレエフェスティバル2017 初日

2017年6月9日(金)19時 神奈川県民ホール
第1部フレッシャーズ・ガラ
ドンキホーテ バジルのソロ 松浦祐磨
ラ・バヤデール 影のソリスト第1ヴァリエーション 大岩詩依
SOLI-TER 振付ジョゼ・マルティネズ オーギュスト・パライエ
ラ・バヤデール ソロルのヴァリエーション 二山治雄
Mononoke 振付シディ・ラルビ・シェルカウイ 加藤三希央
Les Brillants ジュンヌバレエYOKOHAMA 振付 遠藤康行 ピアノ 蛭崎あゆみ

第2部ワールドプレミアム
スターズ&ストライプス 二山治雄 竹田仁美
アラジン 飯島望未 八幡顕光
Que Seraより〜 柳本の場合 〜*+81新作 振付 柳本雅寛
ジゼル 倉永美沙 清水健太
ジュリエットとロミオより 振付マッツ・エック 湯浅永麻 アントン・ヴァルドヴァウワー
眠れる森の美女 近藤亜香 チェンウ・グオ

横浜バレエフェスティバルは芸術監督の遠藤康行さんが中心となって始められた手作り感あふれる企画で、今回で三年目。箱が大きくなり、二日間というのもチャレンジング。
オーディションやワークショップを開催して若人の育成も行い、日本ではなかなか見られないコンテの新作を上演したりと、商業主義ではできないことをしていて素晴らしいです。
集客が心配ですが、客層はやはりバレエを習っている人が多いようです

バレエファンの間で注目されている二山君とか、久しぶりの八幡さんのアラジンとか、倉永さんのジゼルとかがお目あてでありましたが、終わってみて一番印象に残ったのは若いダンサーたちでした。
特にトップバッターの松浦祐磨さん。中学生2年生とはとても思えない落ち着きぶりと、確かなテクニック、身長も170以上ありそうだったし、このままぐんぐんと良き成長をとげて頂ければ、すごいダンサーになりそうです。
遠藤さんがロゼラハイタワーで見て気に入って連れてきたオーギュスト・バライエは身長2メートルちかくあるとか。コンテは上手でした。クラシックはどうなのか、わかりませんが、今やバレリーナの巨大化が進むにつれ、身長の高い男性ダンサーは世界的に不足ぎみなので、彼の将来も気になります。これをきっかけに日本に来たらどうでしょうね。クラシックが踊れてサポートができれば、新国立劇場とか、Kバレエとかで採用してもらえそう。
オーディションで選ばれたジュンヌバレエYOKOHAMAのメンバー(川本真寧 縄田花怜 中島耀 中村りず 
竹内渚夏 丸山萌 亥子千聖 生方隆之介)たちも、素直な踊りで身体能力も高く、すがすがしかったです。
二山さんは、一時より太ももがすこし細くなった?パリオペラ座での経験は役に立ったのでしょうか。以前ほど開脚を強調した踊りではなくなっていたようです。
ソロルのヴァリエーションは良かったですが、スターズ・アンド…の衣装、特にブーツは、脚の短い日本人体型には苦しいと思います。壊滅的にスタイルが悪く見える。彼の今後の去就が気になります。日本のバレエファンに注目されているのだから、Kバレエとかに入ったらどうなんでしょうか。身長が高くないから相手役を選ぶけど、みんなが見たいと思うダンサーなのだから。

アラジンを踊る八幡さんを見れて良かった…八幡さんはもう新国立退団するっていう噂がありますし、このパドドゥは男性が踊るところが少ないけれども、八幡さん、踊りたかったのかな…と感じました。彼の代表作ですしね。お相手の飯島望未さんは初めて見たのですが、清楚でたおやか、それでいて芯の強さも感じられるようなステキなバレリーナで、八幡さんよりもむしろ飯島さんに魅了されました。アラジンはいろんなダンサーで何度も見ましたが、新国立劇場で踊られるのと少しニュアンスが違っていて、「ああ、こんな風に踊るのもあるんだなぁ」と感心しました。飯島さんの作る世界が美しかったです。

柳本さんの作品はいつも笑わせてくれるのですが、今回は幕があくと、アラジンの帽子がポツンと置いてあって、それをネタにして踊り、途中で八幡さんが回収に来て、面白かった。他のダンサーとのコラボレーションが、普通のガラとは違うところ。会場もこの作品が一番受けていた。

そのお笑いの雰囲気が残る会場を一気にジゼルの世界に変えてしまった倉永&清水組はさすがでした。まるで体重がないか空気のようにふわふわとただようジゼル、清水さんの職人技のサポートが光っていました。

マッツ・エックのジュリエットとロミオ。2014年に木田真理子さんがこの作品を踊ってブノワ賞を受賞したことが話題になりました。
ジュリエットもロミオも、簡素でシンプルな衣装で、クラシックバレエとはまったく違うアプローチで踊ります。踊るというよりは、じゃれる。キスする寸前まで近づいて、離れる。子猫のようにくっついたり、追いかけたり。好きな人といるだけで、幸せ…っていう気持ちがあふれてくるような振付でした。

ラストの作品、眠れる森の美女は、オーストラリアバレエの二人が格調高く踊りました。

この公演、オープニングがあって、それぞれのダンサーたちがポーズをとって幕開きなのですが、フィナーレも遠藤さんの振付で、「テーマとヴァリエーション」の音楽に載せて、ダンサーが総出演します。
このフィナーレが良かったです!ジュンヌバレエのダンサーが客席に降りてきたりもあって盛り上がりました。お得感がありました。

会場が大きすぎるので、もう少しアットホームな大きさの劇場でやった方がいいのではないかという事と、私の大好きな米沢唯さんが今回は出演されていなかったのが残念でしたが、来年の企画にも期待しています。







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2017年06月12日

ボリショイバレエ2017「白鳥の湖」ステパノワ&オフチャレンコ

2017年6月8日(木)13:00 東京文化会館

オデット/オディール ユリア・ステパノワ
ジークフリード王子 アルチョム・オフチャレンコ
悪魔ロットバルト ミハイル・クチュチコフ
道化 ゲオルギー・グーセフ
王妃(王子の母)ヴェラ・ボリセンコワ
花嫁候補たち
ハンガリー アナ・トゥラザシヴィリ
ロシア アナスタシア・デニソワ
スペイン ダリーヤ・ポチコーワ
ナポリ ブルーナ・カンタニェデ・ガッリャノーニ
ポーランド オルガ・マフチェンコワ
3羽の白鳥 オルガ・マルチェンコワ マルファ・フョードロワ アリョーナ・コワリョーワ

グリゴローヴィッチ版の白鳥は初めて見ましたが、マイムが少なく、踊りまくり。
ダンサーのレベルがとても高いので、群舞の見ごたえがあって楽しい。
衣装もゴージャスで、さすがボリショイ!!

日本に初お目見えのオフチャレンコ、「おさる」とか言われてますが、なかなかどうしてハンサムじゃないですか!メイクの効果か猿顔には全然見えませんでした。
登場してすぐのソロでは、ふわっと軽く高い、しなやかなジャンプで、心の中でワォ!と叫んだぐらい。筋肉の質が柔らかいようで、アントルラッセの後ろ脚がとても高くあがるし、ランベルセがきれい。
男性としてはやや華奢な体つきですが、ノーブルなダンサーだと思います。
もっとオレ様かと思っていたのですが、上品でした。

オデット/オディールのステパノワは、すごく体を絞っているようで、胸のあばら骨が浮いて見えるほどです。終始丁寧に踊っていましたが、緊張感が伝わってきて、なんというか見ている側としては、初主役のダンサーを応援しているような気分になりました。湖畔のシーンで、斜めに並んだ白鳥たちに沿ってアラベスクとリフトを繰り返すところで、王子のサポートがちょっとイマイチだったのか、一瞬緊張感が途切れそうになったので、「がんばれ!集中して!」と念を送っていたところ、なんとか持ち直しました。

経験不足なのか、主役としてのオーラがまだステパノワには身についておらず、踊りはすべてなんとかこなしていましたが、役に入り込むとか、自分自身の解釈とかとはほど遠い出来でした。
でもお顔は美しくて好みのタイプだし、脚のラインやプロポーションも過不足はないので、これから精進していけば立派なプリマになれそうです。
オフチャレンコも、もう少し愛ある態度で接してあげればいいのに…
彼は最初のソロが一番良くて、後半になるに従い、普通になってしまいました。お仕事モード?オデットに対する情熱、バレエに対する情熱があまり感じられなかった。

グリゴローヴィッチ版の特徴は、踊りまくるところと、ロットバルト(悪の天才)が、王子の心の闇の部分の具現化なんだそうです。私が感じたのは、通常の版だとロットバルトは実在のものとして描かれていて、舞踏会ではオディールの父として現れますが、この版では、ロットバルトが見えるのは人間では王子だけ(あとはオデット/オディール)で、他の人にはその姿は見えてないようでした。
ロットバルトは最初から、王子を破滅させる、あるいは深く傷つけるのを目的としているようで、オデットはそのための道具。むしろ自分の娘のオディールを第1幕のオデットに化けさせて、王子を誘惑させた、という解釈も成り立つような気がしました。

ラストは悲劇です。オデットを裏切った王子を一人残し、ロットバルトはオデットを連れ去ります。
呆然とした王子がひとりポツンを取り残される、寂しい幕切れ。
旧ソ連時代は、国策として、ラストはハッピーエンドにしなくてはならなかったそうで、グリゴロ版も当時はハッピーエンドでしたが、その後バッドエンドに変えられたそうです。
チャイコフスキーの音楽は、悲劇で終わるのにふさわしいと思うので、それはそれでいいのですが、それまでが賑やかしいので、なんだか不釣り合いな幕切れだと感じてしまいました。

白鳥の湖はいろいろなバージョンを見てきましたが、ボリショイのグリゴロ版は、ドラマティックさよりも、グランドバレエとしての楽しさを重視していて、それはバレエが日常的な娯楽に溶け込んでいるロシアならではの、芸能として昇華しているもの。
日本ではバレエは裏芸能界だそうで、テレビ放映もめったにないし、バレエを見ないで一生を終わる人も多い。でもロシアではバレエダンサーは、日本で言うと野球選手みたいに人気があって、テレビにもしょっちゅう出ていて知名度も高い。日本のテレビタレント並み。
その文化事情の違いを、さまざまと感じさせるようなボリショイ公演。

花嫁候補たち、スペインボーイズなど、日本ならば主役を踊れるような実力と容姿の持ち主たち。
ここぞとばかりに自己主張して100%のパフォーマンスを見せる。
面白くないわけがない。
踊っていない場面は演奏がやたら早くなる。踊りにあわせて演奏がやたら遅くなる。
こんなに遅く演奏したら音楽がわからなくなるんじゃないかってくらい。
そしてダンサーが退場する時の演奏は速いこと速いこと、ついていくのが大変。
オディールの見せ場のフェッテだけは高速演奏。めちゃめちゃ速かった。
ステパノワは最初ダブルで、あとはシングル。でもその速さについていっていた。

花嫁候補がこれでもかってくらい踊りまくる。
ハンガリー、ロシア、スペイン、ナポリ、ポーランド。ロシアのデニソワはかわいい。
スペインのポチコーワの横っ飛びがすごい。こんなお転婆な花嫁ってどうよ。
道化のグーセフはすごいテクニシャン。
群舞の踊っている間を、スパイスのように縦横無尽に駆け抜けて踊る。
ワルツなどの群舞って、それだけだとつまらなくなりがちだけれど、道化のテクニックを利かせることで、場面を引き締めている。

ドラマとしてのつじつま合わせとかにはこだわっていないみたい。
白鳥の湖のストーリーなんて、ロシアでは100%の人が知っているという前提。
普通の版と違うのは、第1幕で王妃が王子に誕生日プレゼントとして贈るのは弓ではなく、剣とキラキラの宝石がついた首飾り。だから弓をもらって湖に行こうというのではなく、なんとなくロットバルトの導きによって湖にたどりついた感じ。最初から王子を操り、一緒にシンクロして踊り、王子を罠にはめる。
ロットバルトが王子の闇の具現化だとすると、あえて堕ちるとこまで堕ちてやろうというような人間の心理ってことなのかな。
そして最後はそんなことしても何にもならない。
自分の闇にとらわれるのはむなしい、で終わるということ?

この日のソワレがザハロワ様登場で、素晴らしい演技だったらしいけど。
ザハロワのようなスーパーなプリマが出てしまうと、そこに意識が集中してしまって、他の素晴らしいダンサーたちがかすんでしまうという現象も起きるので、このマチネはボリショイのたくさんのダンサーたちを堪能するには良い公演だったと思います。











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2017年05月06日

新国立劇場バレエ「眠れる森の美女」米沢&ムンタギロフ

2017年5月6日(土)14:00 オペラパレス
オーロラ姫 米沢唯
デジレ王子 ワディム・ムンタギロフ
リラの精 木村優里
カラボス 本島美和
誠実の精 寺田亜沙子
優美の精 丸尾孝子
寛容の精 飯野萌子
歓びの精 五月女遥
勇敢の精 柴山沙帆
気品の精 寺井七海
エメラルド 細田千晶
サファイア 寺田亜沙子
アメジスト 広瀬碧
ゴールド 渡邊峻郁
フロリナ王女 小野絢子
青い鳥 福岡雄大

昨年度新しく作られたウェイン・イーリング版の再演です。
この版が通常と違う大きなところは、
1.妖精さんが一人多い(気品の精)
2.王子がオーロラを目覚めさせた後に「目覚めのパ・ド・ドウ」がある。
3.結婚式のディベルティスマンに親指トムが出てくる
あたりなのですが、特筆すべきところは、舞台装置が豪華です。
まるで本物のヨーロッパの王宮のようなセットです。お金かかってそう…

衣装もよく見ると細かいディテールが凝っていたり、玉虫色の布地を多用していたりして豪華なのですが、そのセンスはどうかと思うところも多いです。
妖精さんとリラのお付きの衣装がほとんど一緒なので見分けがつけにくいことと、森の精の衣装が鮮やかな緑なのがジャングルブックか!とツッコみたくなるし、遠目の雰囲気がカラボスとかぶっているので、「森の精はカラボスの手下なのか?」と感じます。

秀逸なのはカラボスの衣装と乗り物。大きなクモなんです。これはハリーポッターを連想させましたが、いいアイデアだし、すごく効果的でした。そう言えば、マンガ「テレプシコーラ」の中で、カラボスをクモに見立てて、六花が歌舞伎のクモの糸を出すところがありましたが、あれ、まんま使われています。パクリ?(笑)

「目覚めのパドドゥ」、これは要らないと思います。必然性がありますか?いきなりネグリジェでオーロラが踊るって…百歩譲って、これはオーロラの心の中の情景だとしても、振付が様式美なので固すぎます。逆に心の中の情景とわかるように、ネオクラシックな振付(ロミジュリみたいな)にすればいいかもしれません。とにかくこのシーンは、製作者の「いいだろう、これ。うっとりするだろう」という押しつけがましさでやってるだけで、まったく面白くなく、前回同様、眠くなりました。
眠りの森の美女は、プティパのクラシックの様式美で貫くところがいいのです。
こういう中途半端なのはカットして欲しいです。

6人目の妖精さんは、狩りのシーンの音楽を利用していますが、今日踊った寺井さんが、それはもう上品で優雅でしたので、これはこれで、よろしいです。
親指トムは、八幡さんへのあてがきなのかもしれませんが、常に「テクニックに優れているけれども王子には身長が足りないダンサー」という人材はいるので、まあこれはこれで、よろしいです。ただ、八幡さんはプリンシパルなんですよね。プリンシパルが村人と親指トムって、役付き酷くないでしょうか。

私の理想としては、舞台装置はこのままで、目覚めのパドドゥはカットして、妖精とプロローグの貴族と、1幕の王様の変な帽子と森の精の衣装を変更してくれたら、なかなか豪華で新国立劇場にふさわしいプロダクションではないかと思います。
けれども、大金を支払って、海外の人に新制作をお願いするよりも、眠りだったら、超スタンダードなヴァージョンと振付で、舞台装置と衣装を凝ったつくりにするだけで充分だし、その方が日本人好みだと思うんですけどね。イーリング版じゃなくて、大原版でよかったのに。大原先生は自分のバージョン作らないつもりなのでしょうか。牧先生は白鳥とかバヤデールとかライモンダとか作りましたよね。はっきり言ってイーグリング氏なんて日本では無名だし、箔づけにならないですけどね。なんか裏があるのかしら。

プロダクションのことはさておいて、今日の公演ですが、
唯さんとムンタギロフさんは素晴らしかったです。
初演時の唯さんは、もっとお堅い感じ(格調高くいこうと意識していたのか)でしたが、今日はもっと優美で、音にピタッとはまって、ヴァリエーションにしびれました。
唯さんの踊りを見ると、純度の高い水を飲んだみたいにスカッとするんです。

唯さんが他日にカラボスをやるそうですが、唯さんがカラボスをやる意味って何でしょう。
演技力の向上のため?唯さんにカラボスって、あまり似合わない感じがするのですが…
むしろリラとか踊ってもらったらいいんじゃないかしら。
カラボスは木村優里さんが似合いそうです。
木村優里さんのリラの精は、あの花びらいっぱいのヘッドドレスをかぶってもなお小顔で、抜群のスタイルで美しいです。でもリラの精の慈愛のようなものは全く感じられません。
堂々としているから、そこはいいのだけれども、リラの精はもう少しベテランのダンサーに踊ってもらった方が良いとおもいます。

本島さんもプリンシパルだから、唯さんにもカラボスを踊らせて、この役はプリンシパルがやる役なんだと重要づける意味なのかもね。登場のシーンはいいけど、やっつけられるシーンが尻つぼみで、印象に残らない。
プリンシパルがやる役なら、フェッテを入れるとか、もうちょっと踊るようにしてほしい。

その他、印象に残ったことですが、
寺田亜沙子さんの誠実の精が素晴らしかった。上体をうまくつかってニュアンスをつけて、こんな風に踊れるなんて、研修生の時から見ているけれども、ダンサーとしてすごく今充実しているなぁと感じます。
もともとスタイル抜群だし、かわいいし、推しメンにしようかしら…と思っていたら、宝石でまさかのイタリアンフェッテ失敗!ありゃりゃ…

宝石の渡邊さん、横っ飛びジュッテが高くて幅広くて、びっくりするくらいでした。あのジュッテはすごい!

小野絢子さんのフロリナ、出てきた時のオーラがパっときて、これでは主役みたいになっちゃうなと思っていたのですが、ヴァリエーションはかわいらしくて、フロリナってこう踊るものだっていうお手本みたいでした。フロリナってふつう、主役一歩手前の人が踊る踊りだから、フレッシュな感じを期待しますよね。ちゃんと絢子さんはそれを理解していて表現していました。さすがバレリーナ脳の持ち主。









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2017年05月05日

東京バレエ団「ドン・キホーテの夢」沖&宮川

2017年4月30日(日)13:30 東京文化会館
今までは夏に「めぐろバレエまつり」という催しを行っていた東京バレエ団が、新たに上野でも「上野の森バレエホリディ」というイベントを開催。
子供向けのドンキホーテ公演と合わせて、上野公園でのフラッシュ・モブ、野外でのダンサー振付作品パフォーマンス、そして会館のホワイエではバレエ用品のお店や、バレリーナによるファッション・ショー、ティアラのワークショップ、初めてのバレエレッスン、裏方の仕事体験…など盛りだくさんな内容。
めぐろバレエまつりの10倍パワーで開催されました。

ホワイエでは、通常のチケットもぎりの位置がクロークのあたりまで後退し、公演チケットをもっていない人でも気軽にバレエ用品のお店を覗くことができます。
私は開演15分前くらいに着いたのですが、どのお店も大賑わいでした。
職業としてのバレエが定着しているとはいいがたい日本ですが、バレエを習う人口は多く、この盛況さを見ると、マーケットとして伸びていく期待が持てます。

キトリ 沖香菜子
バジル 宮川新大
ドン・キホーテ 木村和夫
サンチョ・パンサ 中村瑛人
エスパーダ ブラウリオ・アルバレス
キューピッド 足立真里亜

改訂振付のワシリーエフ氏が、ドンキのエッセンスをぎゅっと詰め込んで、子供でも絶対飽きないようにしたこの作品、年々ブラッシュアップされて、バレエというより、お子様向けミュージカルみたいな、優れたエンターテインメントになってきたように感じます。
今回は、馬の声をワシリーエフ氏が担当したそうで、カーテンコールにもワシリーエフ氏が登場してノリノリで踊っていました。
大人としては、見どころのオンパレードで、少しはしっとりしたところもないと息ができないほどなのですが、クラシックバレエとしての踊りもたっぷりあって、満足できます。
沖さんのキトリは気が強いというよりも、かわいらしいキトリ。宮川さんは踊りは文句ないけれどもお顔が大きいのがどうも…
アルバレスさんのエスパーダが、白いタイツがめちゃくちゃ似合っていて、カッコよかったです。
やはり外人だけあって脚の長さが段違い。190センチぐらい(実際はそんなに高身長ではないでしょうが)に見えました。
足立さんのキューピッドも、ジャンプも軽やかでキュートでした。
足立さんは、公演後のパフォーマンスで、秋山瑛さんと木村和夫さん振付の「ハミングバード」を踊りましたが、ふたりともかわいい系の美人で清潔感があってステキでしたね。
この作品では、サンチョパンサがお話しをしながら進行役を務めますが、中村さんは声も良く、観客つかみのタイミングも絶妙だし、バレエダンサーというよりプロの役者さんのようにお見事でした。
なんと、中村さんはこの公演を最後に東京バレエ団を退団なさったそうです。
「これからも東京バレエ団をよろしくお願いいたします!」ってカーテンコールで言っていましたね。
いい団員が辞めちゃうのは残念。
でも、7,8年前と比べて、すごく新陳代謝が進んでいるのはいいことかもしれません。


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2017年02月21日

新国立劇場バレエ「ヴァレンタイン・バレエ」2月17日

2017年2月17日(金)19時 オペラパレス

「テーマとヴァリエーション」米沢唯 福岡雄大

登場した瞬間の唯さんが美しく鳥肌がたった。
軽やかで、まるで体重がないかのよう。きびきびとして、しかし優雅な方向転換、びくともしないバランスの妙。雑味のないクリアな踊り。
手脚が長く、スリムなプロポーションの女性ダンサーたちのコールドはとてもよく揃っている。
前後2列になって同じ振付を踊る時、正面からは二人なのに一人のように見えるほどのシンクロニシティ。
これだけ揃えられるのは日本人ならではだと思う。
たぶん、本家のアメリカでは、これほど揃うことはないだろうし、それよりも個々のダンサーの個性が見えるような踊りをよしとしていると思う。2008年の新国立バレエのワシントン公演では、バランシンの「セレナーデ」を持って行って同様なシンクロニシティを発揮したけれども、現地の評判はそれほど大絶賛でもなかったように記憶している。
個人の見えない無機質なシンクロニシティ。でも私はこれこそが、新国立のバランシンとして素晴らしい所だと感じている。
ただし、これは女性ダンサーに関してのみ。
「テーマとヴァリエーション」でも、男性が出てきたとたんにがっくりきた。
福岡さんは的確に破たんなく、連続ピルエットもぴたっと決めていた。しかし彼の脚のラインはごつごつしていた。コールドの男性たちは、小さかった。どうにか前列の男性4人は高身長で揃えてきたが、それも、最近は王様役とかになってきた貝川さんも含めてだ。
女性陣の美しさに匹敵するくらいの、すらっとして太もものラインもムキムキでない、マリインスキーの男性たちのようなダンサーたちがいたら。
マンガ「テレプシコーラ」にも、男性ダンサーの身長についての話が何度も出てくる。
いわく、「まず体格の変化は女性にあらわれるのではないかしら」
日本の男性ダンサーが、新国立の女性ダンサーに肩を並べるくらいのプロポーションを得る日はいったいいつになるのだろうか。
そうはいっても、全世界的に高身長の男性ダンサーは不足していて、まるで「金の卵」扱いだ。
マシュー・ゴールディング、ワディム・ムンタギロフ、エヴァン・マッキー、デヴィッド・ホールバーグ、ロベルト・ボッレなど、踊りとサポートが上手で高身長なダンサーは世界のプリマからひっぱりだこ。
バレエ以外に目を向ければ、背の高い男性はたしかに最近は結構存在する。スポーツ界とか、一般でも。
うちの息子も183くらいあるから。でも彼をバレエダンサーにしようなんて、まったく考えたこともなかったし、彼自身にもそんな気は毛頭なかっただろうから、そこはやはり「バレエ」という芸術がもう少し広く大衆にアピールするものになって、それで稼げる、という状況にならなければ難しい。

日本ではまずバレエのテレビ放映が少ない。
ロシアではバレエダンサーは、日本でいう野球選手ぐらい人気があって、しょっちゅうTVにも出ているそうだ。
以前、モデルプロダクションのオスカーの社長に話を聞いた時、宝塚とかバレエとかは「裏芸能界」だと言っていた。お金を稼げないという意味なのだろう。
上戸彩のようなタレントなら、小さい時から育てて、14くらいでデビューさせて、年何億と稼いでくれる。
バレエダンサーが一人前になると思える20才ぐらいは、タレントでいうともう旬を過ぎた年増だ。




「ドン・キホーテ」グラン・パ・ド・ドゥ 柴山沙帆 井澤駿

新国立劇場バレエのドンキは何度見たことか。あの赤いチュチュもそろそろデザインを変えてもいいのじゃないかというくらい。そのなかでもとびきり退屈だった。ガラで踊るドンキって、余裕綽綽の中で、遊びでバランス技を見せたり、回転技を見せたりするものだと思っていたけど、柴山さんはかなりいっぱいいっぱいで、最大限にひっぱったゴムみたいだった。
フェッテは前半はダブル、ダブル、シングル、後半はダブル、シングルのパターンを繰り返して、テクニックのあるところを見せたが、最後は曲が終わる前に止まってしまった。たしかに踊れてはいるけれども、顔がおてもやんみたいで好みじゃないし、つまらなかった。早く終わって欲しいと思うドンキなんて。
井澤さんはイケメンで怪我明けを感じさせない軽やかさでとても良かったのに。もっとイケイケの相手を組ませてあげてはどうかしら。ドンキならば、五月女さんなんかでもイケるのでは。
そういえば、井澤&小野絢子ってあまりないですね。 

「ソワレ・ド・バレエ」米沢唯 奥村康祐

唯さんと奥村さんの組み合わせ、大好きなんです。この二人って、清潔感と踊りの軽やかさが近くてお似合い。2年前の横浜バレエフェスティバルで感動した演目なので、ぜひまた見たいと思っていました。
グラズノフの可愛らしい音楽、きらめく星空の下、さらりと超絶技巧を織り交ぜ、楽し気に踊る唯さんと奥村王子。
童話みたいな、ディズニーみたいな、愛にあふれる世界。
きっとこういうの日本人みんな好きだと思うから、ぜひ全幕を新国立で採用してレパートリーにして欲しい!
日本の国立劇場なんだから、日本人の作品もレパートリーにあってしかるべきだし、それもこんな素晴らしい振付家がいるのだから。
もう大原先生はクビにして、深川先生が次の芸術監督でもいいんじゃないか、というくらいこの作品気に入ってます!
衣装は、横浜の時よりも、プリンセス風味で、私は以前のもうちょっと大人っぽいのが良かったけれど、まあこれもディズニープリンセスの世界としてありかなと思いました。
何気に方向変換とか、緩急のスピードを変えての回転技とか、飛び上がる脚をパドシャにするマネージュとか、ちょいと変わった技巧的な振付も面白いですし、それを難しいと感じさせないで踊りこなすお二人も素晴らしい。
唯さんは、「テーマとヴァリエーション」で福岡さんにリフトされたときは、なんだか窮屈そうで急に重さを感じましたが、この作品で奥村さんにリフトされるときは、生き生きとして伸びやかでした。
ぜひ全幕で見たいです。新国立劇場ファンの皆様、劇場へソワレ・ド・バレエの全幕を見たい、レパートリーにしてくれというメールを送りましょう。
ご意見・ご感想がメールできます→ こちら


「タランテラ」小野絢子 八幡顕光

これは以前ニューイヤーガラで唯さん奥村さんを見ました。
久しぶりの八幡さん登場でしたが、絢子さんとサイズ的にぴったり合いますね。
かわいらしさ、というよりもベテランのサービス精神が伝わってきました。
これ、大変疲れる踊りだから、未熟者がやると、ヘロヘロになって、観客を楽しませようというどころじゃなくなっちゃいそうだけど、そこのところ、さすがプリンシパルは配慮たっぷりでした。

「トロイ・ゲーム」

新国立劇場バレエをいっぱい観ていた10年前〜5年前くらいまでは、コールドもほとんど顔がわかったのだけれど、今はもう全然誰なのかわかんなくなってしまいました。
そういうことで、わからないダンサーたちがわからない踊りを、身体的にめちゃめちゃ酷使する振付で、これはイロモノに属するのかなと思いながら見ていました。
私は美しいものが見たくて劇場に来ているので、こういう作品だと事前に分かっていたら幕間に帰っていたかもしれません。
しかし、こういう試みは、普段後ろの方でコールドを踊っているダンサーにとっては、身体能力を思いっきりアピールできる場としていいのではないのかと思う次第です。







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2016年12月27日

2016スターダンサーズバレエ団くるみ割り人形

2016年12月25日(日)14:00 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

クララ 渡辺恭子 
王子 吉瀬智弘

鈴木稔演出のスタダンのくるみは、とても良いという評判だったので、ぜひ見たいと思っていました。
テアトロ・ジーリオ・ショウワは駅から近いし、1800席ほどでこじんまりしていて、段差もあって、どの席からでも見やすそうな劇場です。

鈴木版の特徴は、第1幕がクララの家のパーティではなく、ドイツの街中のクリスマス・マーケットだということ。そうそう、公演がはじまる20分ぐらいまえから、芸術監督の小山さんのプレトークがありました。
このプレトークはどの公演でも行っているらしく、公演を見るうえでのポイントなどをわかりやすく解説してくださいます。

今回のプレトークでは、第1幕の場面になっているクリスマス・マーケットにはどんなお店があるのか、役の数が140ぐらいあるけれどもダンサーは半分以下だから、みんな2役や3役をやっていることとか、衣装はすべてイギリスに注文して、人形役は、人間用と人形用と同じデザインで注文しているとか、兵隊さんはキャストに4人しか載っていないけれども、衣装は8人分用意しているので、そのからくりを見破って欲しいとか…、衣装については舞台をみていてなるほどと思いました。

そのご自慢のクリスマス・マーケットのシーン、くるみ割り人形とナッツを売るお店、スパイスを売るお店、クリスマス・オーナメントを売るお店、ホットワインを売るお店…
小道具もそれらしく凝っていて、本当にドイツのクリスマス・マーケットにいるような気分になります。

通常の版のくるみと違って、コロンビーヌやムーア人の踊りはありません。
そのかわりに、大道芸人が芸を披露するというシーンになっております。

そのあと、ドロッセルマイヤーが人形劇用の大きなワゴン車を運んできて、子供たちに人形劇を見せます。
そのあたりは通常版と近いですが、ねすみが走る音楽のときに、人形劇を見ているこどもたちだけではなく、マーケットの大人たちも一斉にリアクションするのが、「いったいなにが起こったの?」と思わせます。

人形劇にねずみが出てきたのなら、子供たちだけがリアクションすればいいことですが、関係ない大人たちもリアクションするので、「地震かかみなりでも起きたという設定」なのかと思ってしまいましたが、そうでもないようです。この部分、納得できませんでした。

人形劇で使うから、プレゼントにもらったお人形を貸してとドロッセルマイヤーに頼まれたクララでしたが、人形劇が終わっても大事なお人形を返してもらえないので、人形を探しまくって、家族ともはぐれてしまい、最後には人形劇用のワゴンに忍び込みます。

そこで人形の世界に足を踏み入れるというお話です。
ねずみにとらわれていた人形たちを解放してやり、危機一髪のくるみ割り人形を助けるために、ねずみ大王にくるみをぶつけて大活躍。呪いが解けたくるみ割り王子に誘われて人形の国へ行きます。

その途中、雪の国を通ります。スタダンでは雪のシーンは、ポワントを履かないモダンダンスです。
衣装も円錐形のアシメントリーなスカート。

コーラスの子供たちはとても上手でした。

ここまでの第1幕、私はなんだか不思議な感覚がしていました。
クラシックバレエを観たというよりは、お芝居かミュージカルプレイを観たような感覚です。
あまりにも、クラシックな振付が少ないせいでしょうか。

20世紀初頭のクリスマス・マーケットの雰囲気と対照をなす、モダンなスノーフレークスの踊り。

私の好みでいうと、ここはやはり白いチュチュで、美しいクラシックバレエを見せて欲しいのです。

第2幕は、通常版とそれほど変わってはいませんでした。
各国の踊りや花のワルツの後、くるみ割り王子にプロポーズされて、人形の世界にとどまるように言われたクララは、悩んだ末、人間の世界に戻ることに決めます。
そして、自分の代わりに、大事なお人形を、人形の国に差し出すのでした。

クララの渡辺恭子さんは演技も踊りもしっかりしていたし、王子の吉瀬さんはスマートで温かみのある王子でした。
クララのお友達や花のワルツに新国立劇場バレエ研修所出身の鈴木優さんがいて、とても可愛らしく、柔らかい優雅な踊りで素敵でした。
すごくきれいなので、彼女ばっかり見てしまいました。

歴史のあるバレエ団だと、団内のヒエラルキーで役が決まってしまうところがあります。
団歴を重ねないと、なかなか上にあがれないし、役もつかない。
東京バレエ団でさえそうです。
今やライジングスターの沖香菜子さんも、入団後しばらくは役がつかず、子供のための眠りで抜擢されたのは入団2年目でした。それでも異例の速さです。
バレエダンサーって旬の時期が短いし、後ろでコールドばかり踊っていると、素質があっても、コールドがなじんでしまい、みずからが光を発しなくてはならない真ん中のオーラがなくなって主役にふさわしくなくなってしまうことも、よくあることです。

だから、芸術監督は、よ〜くダンサーの資質を見極めて、キャスティングするべきなのです。

それが…
スポンサーのごり押しとか、しがらみなど、いろいろな事情で、おかしなことになるケースも良くあります。
芸術監督が男性だと、「お気に入り」の意味を勘ぐられたりすることもしばしばだし…
まあ、それは古くからよくあることだけれども。

何年もバレエ公演を見続けていると、そういう裏側もなんとなくわかってしまうのが、なんだかなぁです。

私は純粋に美しいバレエが見たいし、芸術監督も絶対的な美を追求して欲しい。
素晴らしい舞台を作りあげるためだけに判断して欲しい。そう願うだけです。














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2016年12月22日

東京バレエ団「くるみ割人形」シムキン&沖 

2016年12月18日(日)14:00 東京文化会館 
クララ 沖香菜子
くるみ割り人形/王子 ダニール・シムキン

東京バレエ団はこの版とベジャール版の二つのくるみを交互に上演しています。
このワイノーネン版はオーソドックスですが、衣装や装置などはかなり古色蒼然としています。
今回はライジングスター沖香菜子さんとダニール・シムキンの注目ペア。

このふたり、シムキンの愛らしさにさらに倍増で愛らしい香菜子さんで、ビジュアル的な取り合わせは大変に良好です。シムキンは170センチないくらいだと思いますが、香菜子さんも160ぐらいだと思われますので、身長の取り合わせもよく、愛らしさ抜群の沖さんとのペアでシムキンが王子力をいかんなく発揮できるという。


シムキンはさすがのエレガントな踊りで、まったく音のしない高いジャンプや、美しいランベルセで魅了します。沖さんも負けていません。脚が180度さっと上がるし、美しいポーズや愛らしさで、堂々と渡り合っていたと思います。

シムキンはエレガントで素敵でした。沖さんも踊りでも負けていませんでした。このお二人の取り合わせはとても良かったです。

お二人は踊りの時にまったく足音がしないのですが、雪のシーンや花のワルツではポワントの音が目立ちました。このあたり、もう少し頑張って欲しいです。でもユカリーシャの薫陶のおかげか、コールドのアンサンブルはとてもそろっていたようでした。

ひとつ残念なのは装置と衣装です。
くるみ割り人形は、最近は年末の風物詩として、日本でも各バレエ団が工夫をこらしています。
この東京バレエ団のワイノーネン版は、装置や衣装が古めかしく、「古色蒼然」
特にお菓子の国の装置は、オレンジ色のろうけつ染めのような装置で、ダンサー達はとても良いパフォーマンスをしているのに、古めかしい感じがして残念でした。

プロジェクション・マッピングを導入していますが、それは一部なので、もう少し効果的に使用するとか、現代に即した「くるみ割り人形」としての演出、装置、衣装を新たに作って欲しいと思いました。


スペインの岸本さんのキレの良さ、コロンビーヌの人形っぽさがとてもツボにはまってよかったです。







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2016年11月10日

新国立劇場バレエ「ロミオとジュリエット」米沢&ムンタギロフ

2016年10月30日(日)14時 オペラパレス
ジュリエット 米沢唯
ロミオ ワディム・ムンタギロフ
ティボルト 中家正博
マキューシオ 福田圭吾
ベンヴォーリオ 奥村康佑
乳母 楠本郁子
キャピュレット夫人 本島美和

私が新国立劇場バレエのロミジュリを見たのは2回目です。
前回は小野絢子さんとマトヴィエンコを見ましたが、マトヴィがどうもロミオに見えず、小野さんの熱演もいまひとつしっくり来ず、モブシーンはバーミンガムバレエ版のせいか、舞台に乗っている人数がロイヤル版よりも少なくて、スカスカしているような印象が残っていました。

今回も同じバーミンガムバレエ版なので、やはり人数少な目ではありましたが、主役の二人が素晴らしくて、あまり気になりませんでした。
最近お気に入りのプリマ、米沢唯さん。
お稽古場だとピルエット5,6回転してしまうという抜群のテクニック。端正で丁寧な踊りが魅力です。
古典の見せ場、連続フェッテなどでさらりとすごい技をやってしまうのがたまりません。
演技もわりとあっさり目という感じなので、今回のロミジュリ観に行こうかどうしようか悩みました。
ロミジュリだと古典のテクニックを見せるようなシーンはあまりなくて、演技が重要ですから。

でも観に行って良かったです!
唯さんの初登場シーン、ジュリエットの寝室。乳母とたわむれる唯さんのかわいらしいことといったら!!
いたずらっこの14歳そのもの。そのキュートさにハートを射抜かれました。

ワディムのロミオは、ひとりとびぬけて別人種の体型。腰の位置が他の男子より30センチくらい高くて、ゴージャスなヒップとすらりとした太ももが目を惹きます。あんなタイツのラインが出るのは日本人ではめったにいないでしょう。肉体の持つ力がすごい。もう立っているだけで美しい。その上踊りも端正で上手。

こんな素敵なロミオだったら、恋に堕ちなくてはいられないよね
バルコニーのシーン、ロミオの腕を取り、自分の胸が「ほら、こんなにドキドキしている」と
教える唯ジュリエットを見ていると、こっちもドキドキしてしまう。
ワディムロミオも恋に落ちた情感たっぷりで、唯ジュリエットを見つめる目が輝いている。

そう、恋をするって、こうだよね〜
ロミオとの恋に浮きたつそのまま、唯ジュリエットはまるで羽根のようで、リフトされてもまったく重力を感じさせません。

こんなに唯さんが、感情を踊りに乗せて解放しているのを見たことがあったでしょうか?
思う存分身体を伸ばして踊り、安心して思い切り飛び込んでいけるワディムロミオだから。
今まさに舞台の上でジュリエットとして生きている唯さん。
これです!
こういう米沢唯を見たかったのです!
こんな風に素晴らしく踊れるなんて!
この瞬間、世界は二人のためにある!
ワディムも唯さんも超一流レベルのヴィルトオーゾなダンサーですが、その二人がテクニックどうのこうのを超越したZONE状態に入ったようなバルコニーのパ・ド・ドゥでした。

良かったね、唯さん、こんな風に踊ることができて…といつの間にか涙がぽろぽろ流れてきて止まりませでした。そう、いままで唯さんの踊りをみて何か物足りない、米沢唯はこんなものではない、もっと出し惜しみをしないですべてを出し尽くして欲しいと感じていたフラストレーションが一気に解決されました!

それが古典作品ではなくて、ロミジュリだったのは意外でしたが、こういう演技が重要な役を演じることによって、つぎに古典作品を踊る時には、殻をやぶってさらに高いレベルのものを見せてくれるのではないでしょうか。
プリマ米沢唯が次のステージに上がった

唯さん以外のことについて。
今回はサイド席だったので、舞台を上から見下したのですが、そうすると、広場でのモブたちの配列や動線が良く見えて面白かったです。コールドはああいう風にカウントで斜め一列に出てくるんだな〜とか、それが紗に交差する具合とかも、段取りっぽい感じがありすぎて、もう少しその中でもそれぞれが芝居とか個性的な動きとかをするとだいぶ違ってみえてくるのだろうと思います。
でも、マクミランのロミジュリやマノンなど、コールドに至るまで演技を求められる作品をやることは、バレエ団の向上のためにはとても良い経験だと思います。
観客の動員率もよかったようだし、男性の観客も多かったので、もっと回数多く上演できるといいですね。
いっそのこと、舞台装置と衣装も新調して、2年に1回ぐらいやればいい。

ロミオ、マキューシオ、ベンヴォーリオの三バカトリオ。
ワディムロミオは上手なのですが、日本人男子はアンディオール不足。どこがというと、トリオの振付では、片足を上げて前から横、後ろへとぐるっと足を回すようなパが多用されています。女性のパでいうと、フェッテのようなパですが、前から横へ開くのって、日本人は苦手みたいです。
英国ロイヤルバレエのマックレイなどはここが実にクリア。吉田都さんのラストジュリエットの時は、マックレイ、マロニー、ポルーニンで三人とも見事でした。
体型の差はいかんともしがたいですけれど、三人の雰囲気は悪くなかったです。

マキューシオの福田さん。福田さんは道化役とかよくやるテクニシャンだと認識していましたが、あまりキレがありませんでした。この役は熊川哲也さんの当たり役だったそうで、思わず熊川さんだったら、さぞかし派手に演じるんだろうなぁと重ねて見てしまいました。チャンバラシーンは楽しいですね!音楽に乗ったリズミカルなチャンバラは、ロミジュリの名シーン。

本島美和さん、キャピュレット夫人、お似合いです。クッションダンスも美しいし、ティボルトの死を嘆くところも迫力がありました。本島さんも、もう主役は踊らなくなってしまって、キャラクターばっかり。以前の湯川さんのポジション的になってますね。











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2016年08月22日

東京バレエ団「ドン・キホーテの夢」秋元&川島

2016年8月21日(日)14:30 めぐろパーシモンホール
キトリ/ドゥルシネア姫 川島麻実子
バジル 秋元康臣
サンチョ・パンサ 氷室友
ガマーシュ 岡崎隼也
エスパーダ 岸本秀雄
キューピッド 森田理紗

午前公演と比べると上位ランクのダンサーが多く出演していました。
サンチョパンサは、この子供ドンキではお話しをする進行役ですが、氷室さんは昨年もやっていてもうベテラン。とても上手だけれども、慣れちゃっているのでちょっと偉そうな感じ。午前中のサンチョの中村さんは、その点頼りないサンチョで可愛かったな。声も良く通っていたし。

安定の秋元&川島ペアだけども、想像以上に素晴らしかったのは岸本エスパーダ!
身のこなしに品格とオーラがある!そう、エスパーダとは誰もがなれる地位ではない。
闘牛士の頂点エスパーダには品格とみんなが憧れるオーラがあるべき。
岸本さんには、役に求められているのはどんな事なのかをきっちりと把握して表現できる力があります。
エスパーダのソロの途中で、2,3歩普通に歩く所があるのですが、そこで素のエスパーダとして歩く歩き方が、ちょっとぶっきらぼうで男らしいのもエスパーダっぽい!変なところにツボりました。
岸本さんは踊りも丁寧だけれども、役になりきる力が素晴らしい。
宮川さんよりこちらの方をもっと主役にして鍛えて欲しい!!
ルグリにも気に入られていたそうだし、すごく良いダンサーになる伸びしろがあると思います。

川島さんはテクニシャンだし、キトリはお手のものという感じですが、もしかして初役なのかしら?
だとしたら大したものです。グランパのフェッテは扇を開くという技も3回ぐらい入れ込んでいたし、他の大技も危なげなし。もっとも秋元さんはとてもサポートがうまいらしいから、安心して踊れるということもあるのかもしれません。沖キトリがほわんとしているのと比べて、川島キトリは気が強そう。

そしてお目当ての秋元さん。彼は本当に踊りがうまい。そのうまさ加減といったら、ヴァリエーションで、ザンレールの後ピタッとアラベスクで静止するとこなど、熊川哲也さんのうまさ加減にも匹敵するくらい。
才能なんでしょうね。踊りにキレがあるので、彼だけ輪郭が他のダンサーよりくっきりと見える。
どうしても目が秋元さんを追ってしまう。
演技はわりと薄めなんだけれど、踊りですべてを物語ってしまうから、それで事足りる感じ。
背は高くはないけれども、体幹がしっかりしていて、胴が厚くて顔が小さく、太ももが発達しすぎていなくてすらっとしている。体のバランスがいいんです。
サポートも上手で、女性が踊りやすいように、さりげなく次に動く方向へ押したりしてます。
おそらく、Kを退団したあと、ロシアのバレエ団で数多くの舞台で鍛えられたのでしょう。
日本と比べ年間の公演数が桁違いに多いロシア。「ダンサーは舞台の上でしか成長しない」とはよく言われる事です。もとからの才能が、舞台でさらに鍛えられて開花したのでしょう。
9年ぐらい前、NBAバレエ団にいたころも上手ではありましたが、今は段違いのレベルだと思います。

秋元さんは、おそらくどんな作品も、どんな役も踊りこなすことができると思いますし、どんな相手役でも上手にサポートすると思います。東京バレエ団はもちろんプロフェッショナルなんだけれど、他のダンサーとはレベルが違う、「超」のつくぐらいのプロフェッショナルダンサーだと感じます。
だから、彼の踊りをみると感心するし、もっと見たいと思う。

けれどもですね…そのプロフェッショナル具合が、時には物足りなさも感じさせるのです。
もっと一生懸命に、いちずに役になりきって欲しい。
踊ることへの情熱、踊ることが楽しくて仕方ない、というような気持があまり伝わってこないダンサーでもあります。お仕事でやってま〜す、というのが、上手なだけに他のダンサーよりも伝わってしまう。

たとえば、上でひきあいに出した熊川さんも、時にはセーブモードで踊ることもあります。
でも、踊りに対する情熱は常に伝わってくるのです。バレエに対する「愛」というようなものが。
そこのとこが、秋元さんの場合は足りないように感じます。
そこが残念。
もしかしたら、Kバレエを退団したのも、バレエを愛する熊川さんと、バレエをお仕事としてしかとらえていない秋元さんとの感覚の違いがその原因になっていたのかもしれないと妄想してしまいました。
真実は当事者じゃなければわかりませんし、秋元さんにもバレエへの情熱があるのかもしれないけれども、それならもっと役に没頭して欲しい、120%くらいを見せて欲しいと思うのです。















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2016年08月21日

東京バレエ団「ドン・キホーテの夢」沖&宮川

2016年8月21日(日)11:30 めぐろパーシモンホール

キトリ/ドゥルシネア姫 沖香菜子
バジル 宮川新大
サンチョ・パンサ 中村瑛人
ガマーシュ 山田眞央
エスパーダ 森川茉央
キューピッド 足立真里亜

二年目の子供ドンキ。マイナーチェンジはあれど、子供を飽きさせない工夫と飛びきりの楽しさを届けよう!
という意気込みが伝わってくる舞台。
本公演では目立たないコールドのダンサーがたくさん出ているし、今回は、ロシナンテとお嫁サンバという二匹の馬の足をやっているダンサーが、カーテンコールで出てきて、馬の足の衣装のまま、大ジャンプとか540とか、回転技とか、バクテンとか、思い切り好きな事やりまくっていたのが面白かった。
馬の中に入っていたフラストレーションを爆発させたみたいで、とっても微笑ましかった。
むしろ今回初めてそこに一番ツボったというか...

沖さんはすっかりプリマらしくなって、わがままでも気が強くもないけれども、かわいらしくてキュートなキトリ。むしろ、柔らかい腕の動きなど、とても女性らしさを感じる。
踊りも盤石。フェッテも危なげなくダブルをたくさん入れていた。
目が大きいので、視線の行先がはっきりみえて、細かい演技が分かりやすい。
去年より演技がとても自然になっている。
これから20代後半はバレリーナとしてぐんぐん伸びる時期だから、色々な演目を踊っていってほしい。
ジゼルなんか似合いそう。

宮川さんは、初めて見ましたが、踊りはまあまあ、頭が大きいのが気になります。
演技も薄いんですよね。昨年のドンキで沖さんと組んだ梅ちゃんがイケメンオーラがあって芝居上手で良かったのに、退団してしまって残念!
沖香菜子を、より輝かせてくれる相手役は誰だ?
岸本君じゃだめなんですかね?
まあ、12月のくるみでシムキンと組むからこれからは海外有名ゲストと組むことが増えるのかもしれない。

森川さんがエスパーダ、サラリーマンみたいな髪型で出てくるから、誰だか最初分からなかった。
なんか踊りが緩いのです。こんなダンサーだったっけ?もっと男性的な個性だった記憶があるのですけど。

足立さんのキューピッドが素敵でした!軽やかで、かわいらしくて、足音も全然しないし、スタイルも新国立基準だから抜群。
これからはどんどんソロにキャスティングされるといいですね。くるみの配役に期待します。

今日は午後の部とのダブルヘッダーなので、このへんで。


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2016年08月03日

オールスターガラBプロ最終日

2016年7月27日(水)18:30 東京文化会館

「ラプソディ」(振付:F.アシュトン) 
アレッサンドラ・フェリ
エルマン・コルネホ
[ピアノ:中野翔太]
「白鳥の湖」より第2幕アダージォ(振付:M.プティパ) 
ニーナ・アナニアシヴィリ
マルセロ・ゴメス
「Fragments of one's Biography」より(振付(振付:F.アシュトン) 
ジリアン・マーフィー
マチアス・エイマン
「ジゼル」(振付:M.プティパ) 
スヴェトラーナ・ザハーロワ
ミハイル・ロブーヒン
「リーズの結婚」(振付:F.アシュトン) 
ジリアン・マーフィー
マチアス・エイマン

休憩

「プレリュード」(振付:N.カサトキナ) 
ウリヤーナ・ロパートキナ
アンドレイ・エルマコフ
「フー・ケアーズ?」より(振付:G.バランシン) 
ジリアン・マーフィー
マチアス・エイマン
「ディスタント・クライズ」(振付: E.リャン) 
スヴェトラーナ・ザハーロワ
ミハイル・ロブーヒン
「レクリ」(振付:V.チャブキアーニ〜ジョージアの民族舞踊に基づく) 
ニーナ・アナニアシヴィリ
「ル・パルク」(振付:A.プレルジョカージュ) 
アレッサンドラ・フェリ
エルマン・コルネホ
[ピアノ:中野翔太]
「眠りの森の美女」(振付:M.プティパ/A.ラトマンスキー) 
カッサンドラ・トレナリー
マルセロ・ゴメス

フェリ、ニーナ、ロパートキナ、ザハロワ…バレエ界のレジェンドになるであろう方々のガラ。
同世代だとあと目ぼしいプリマはギエム、ヴィシニョーワ、オレリー・デュポン、ダーシー・バッセル、ユリア・マハリナとか?
ジリアン・マーフィーも素晴らしいけど、少し小粒。
タマラ・ロッホ、コジョカル、ルシア・ラカッラ、テリョーシキナ、アレクサンドロワ、ヤンヤン・タンも大好きなんですが…

ダンサーの旬の時期は本当に短い。テクニックの充実を追いかけていた若い頃を過ぎて、表現力が伸びてくると、今度は身体が思うように動かなくなってくるというせめぎあい。
だから、テクニックと表現力が両方とも熟してきた旬の時期のバレリーナの舞台にあたるのは至福の時となる。

まさに今旬の時期であろうザハロワ。
10年前ぐらいは新国立劇場バレエにゲストとしてたびたび来ていた。そのころはポテンシャルに恵まれている事の方が際立っていたが、今はそれに加えて踊りに深みがぐっと増している。
ジゼルは「孤高の」とでもつけたくなるように、ひんやりと冷たい空気をまとっている。
ゆっくりとデベロッペした脚を6時のポーズまであげて、アラベスクへ移行する、様式美のような端正さ。
たとえばギエムが6時のポーズに脚を上げるのは、どこか挑戦的なイメージがつきまとうが、ザハロワはあくまでも白いバレエらしく、たおやかさの中にすっと細く長い芯が通っている感じだ。
シャンジュマンの高さがすごい。ジュッテも軽い。開脚は180度を越えて200度ぐらい。
身体能力を出し惜しみせずに120%くらい見せてくれているような踊りだ。

容貌も卵型の顔で目鼻だちも上品に整っている。腕の細さ、脚の長さとしなるカーブの曲線、高く出た甲。出産後はガリガリに痩せすぎていたが、今は少し戻している。しかし、驚くほど細い体のどこにあれだけのスタミナがあるのだろうか。

ロパートキナも細い体型をずっと維持し続けている。fragment…はあまり踊りらしい踊りはなかったが、それでも踊り終わったあと、まったく息が荒くなっていないのには驚かされる。

ニーナの白鳥は、体型がコマのようになっていたが、情緒たっぷりの素晴らしい白鳥で、動作のひとつひとつに伝えたい思いがこもっているように感じられた。
回転技は健在で、サポートがなくてもくるくると回ってしまえそうだった。
ニーナの場合は、細い軸というよりはぶっとい軸があるようだ。

踊る女優フェリ。まさにレジェンド。女らしいオーラをまとっているし、見事な甲は相変わらず。だが、背中はやはり50を越えると固くなるようで、アラベスクのラインは良くなかった。
「ラプソディ」ではコルネホのソロが、精緻なピルエット、小気味よく決まる方向変換と、ラテンのイケメンオーラで実に素晴らしいかった。

マチアスとジリアンは、テクニシャンで踊り上手どうしなので、アシュトンの細かいパもものともせず踊りまくりで楽しかった。マチアスの見せ場をもっと見たかった。
ゴメスの見せ場ももっと見たかった。
基本、女性を見せるガラなので、そこが少々残念。

ラストの眠りは、ラトマンスキー版で、ちょこちょこ違和感を感じた。
トレナリーは、この女性陣の中で一人若くて、ハツラツとしていた。
このメンツならば、トレナリーでなくて、ジェリーケントとか呼んだらよかったかもしれない。



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2016年06月21日

新国立劇場バレエ「アラジン」奥村&米沢

2016年6月19日(日)14時 オペラパレス
アラジン 奥村康祐
プリンセス 米沢唯
ランプの精ジーン 福田圭吾
魔術師マグリブ人 マイレン・トレウバエフ

アラジンは2008年、2011年に次ぐ3度目の上演。
初演時は、新国立劇場のダンサーにあてて振りつける新作ということで、大変に盛り上がり、私も楽しみでならず、プレビューも含め合計4回、3キャスト制覇しました。
初演ペアは、山本隆二&本島美和、八幡顕光&小野絢子、芳賀望&湯川麻美子の3キャスト。
八幡&小野をイメージして作られた作品ですが、私は細やかな演技の山本アラジンが好きでした。

新国立劇場には、コールドでも主役を踊れるような優れたダンサーがたくさんいます。この作品ではソロの踊りが多く、それぞれに見せ場があり、ダンサー達を生かす構成となっています。
ディズニーアニメでおなじみのお話ですし、ジーンの宙釣りや魔法のじゅうたんの飛翔など、舞台装置に工夫があって、ミュージカルのように大人も子供も楽しめる傑作。
まあ、チャイコフスキー大先生の古典に比べると底が浅いのは致し方ないけれど、ファミリーバレエとして毎年子供の日を中心にゴールデンウィーク上演してはどうかと私は思っていました。

ところが、前回、そのゴールデンウィークに上演したところ、ガラガラだったそうで…
6年もお蔵入りになってしまってました。
今回はなぜか大入り満員でチケット争奪戦が起きるほどの人気。
評判も上々だったですけども、なぜでしょうね。
だって、ロイヤルと牧とザハロワとかぶっているんですよ。
楽日の客層は、男性の姿も多く、子供さんも多かったです。
お母さんとではなく、お父さんと見に来ていた少女もいました。父の日だから?
それなら「父の日はお父さんも子供に帰って、娘と一緒にアラジンを見よう!」という主旨で毎年上演もありでしょうか。
せっかくビントレーさんが作ってくれた宝物なのですから、有効活用して欲しいものです。

というわけで満員御礼の楽日は、奥村&唯。
このペアは、昨年の横浜バレエフェスティバルで見て気に入ったので、期待しておりました。唯さんはムンタギロフ、菅野さん、福岡さん、井澤さんなどと組んでおりますが、私は奥村さんとのペアが相性がいいように感じております。なんというか、ふたりとも男女の匂いを感じさせないし、顔芸とか濃い演技はやらずに踊りの素晴らしさで魅せるタイプというところが似ている。

今回も第2幕の結婚式のパ・ド・ドゥが美しかったです。
その振付で、二人が向かいあってキスをするかと思わせて、手でお互いの口をふさぐ、というのがあるのですが、お子様向けにキスNGなのかと不思議でした。
自然な流れだと、あそこはキスなんですけど、普通じゃつまんないからなのかしら。
ちょっと気になります。気にならせるためにあえて?かもしれません。

この作品、第1幕が秀逸です。
マグリブ人が、アラジンを大金持ちになれるぞとそそのかすシーン。
黒子が二人うしろについて、アラジンの動きにあわせて衣装を変えます。
帽子を取り替え、足を後ろにあげるタイミングで靴を替え、マグリブ人がさっと自分のはめていた指輪をはめ… まったくアナログなトリックなのですが、マジックみたいに見えるところが面白い。

砂漠のシーン。茶色いオンディーヌみたいな衣装の女性たちが砂漠の精として現れ、アラジンをもてあそぶように、風のように現れたり消えたりして踊る。風に舞い上がる砂をよく表現していて、幻想的で大好きです。

洞窟に行かされたアラジンが、体の向きを変えると、視点が洞窟の外→内と反転して、恐竜の骨のような階段があらわれるシーン。
その後の宝石たちのディベルティスマン、スピーディーで目まぐるしく次から次へと宝石たちが現れる、たたみかけるような高揚感がすごい!最後に出てくるダイヤモンドの鋭角的な振付がたまらない!
ランプをこすってジーンが現れるところ、今回はすこしフライングで、こする前からジーンが入口を開けているのが見えちゃいましたが、これは3階サイド席だったせいでしょうか?

家に帰ってきたアラジンが、お母さんに冒険を語るシーン。この時のアラジンの演技がダンサーによって少しずつ違っていて、山本隆二さんがとても丁寧にジェスチャーしていたので好みでしたが、奥村さんの演技も空間を大きく使っていてなかなか良かったです。

ランプをこすって、ジーンの影が長く伸びていって、宙吊りのジーンが現れるシーンも楽しい。

その後街に出かけたアラジンはプリンセスの姿を見て、マグリブ人が見せた女性だと気づく。

ここまでが第1幕の展開、これだけでお腹いっぱいですよ。

第2幕は、ひとめぼれしたプリンセスに会いたさに浴室に忍び込む(なんで浴室なんでしょう、まあ、面白いからだろうけど)アラジンがとっつかまって死刑になりそうなところ、お母さんが命乞いに現れて宝石を見せて王様に結婚の許しをもらい、ジーンとお付きのイケイケダンスシーン、続くアラジンとプリンセスの結婚のパ・ド・ドゥ。

これでめでたしめでたし、もうさらにお腹いっぱいなので、ここで終わってもいいくらいなのですが、そうはいかない後日談となるのが第3幕。

結婚して幸せな日々を送っていた二人ですが、マグリブ人にランプを奪われ、プリンセスも塔に幽閉されます。助けに来たアラジンと協力して、マグリブ人に毒を飲ませて逃げようとする二人。
この時、マグリブ人を油断させるために、プリンセスが色仕掛けの踊りをするのですが、ここが私の定点観測ポイント。
今まで清純で、いやよいやよと拒んでいたマグリブ人をだますため、一転して色っぽい踊りで誘惑するのです。ダンサーによって振り切れ度合に差があります。もともと色っぽい本島さんや湯川さんはあまり差が出ないのですが、小野絢子さんはガラリと変わります。女性の中のいろんな面をかいま見たような感じです。
唯さんも、ガラッととまではいきませんが、なかなかセクシーなところもありました。もっと吹っ切れてやれるようになるといいんじゃないかな。

マグリブ人が塔から落ちて、王宮に帰る二人が乗るのが空飛ぶ魔法のじゅうたん。
ディズニーアニメが刷り込まれていると「ちっちゃ!」というサイズのじゅうたんですが、まあ、装置の都合です。

王宮に帰ってめでたしめでたし、ランプの精ジーンを自由にしてやるところもアニメと一緒。
ここはもっと派手にジーンが踊ってもよかったと思いますけど。
第1幕の宝石シーンと比べると、ちょっと尻つぼみなエンディングは否めません。

第1幕だけでも完結しているし楽しいから、全幕上演が難しいなら、他のものと組み合わせてトリプルビルぐらいにして頻繁に上演する手もあると思います。
今回の上演が評判が良くてとても嬉しいです。









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2016年05月08日

新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」木村&中家

2016年5月7日(土)14時 オペラパレス
キトリ(ドゥルシネア)木村優里
バジル 中家正博
ドン・キホーテ 貝川鐵夫
サンチョ・パンサ 八幡顕光
キトリの友達 柴山紗帆 飯野萌子
エスパーダ 小柴富久修
街の踊り子 寺田亜沙子
メルセデス 本島美和
カスタネットの踊り 堀口純
キューピッド 五月女 遥
森の女王 細田千晶
第1ヴァリエーション 奥田花純
第2ヴァリエーション 柴山紗帆

新国立劇場バレエ研修所から一足飛びにソリスト採用されたライジングスター、木村優里さんの全幕初主演。
今しか見られない若さの輝きがあることを期待して行ってきました。

まだ若干20歳。32回転のフェッテを含む、難しい技がてんこ盛りでスタミナも必要なキトリ役を、ほぼパーフェクトで演じ切りました。それだけでも大したものです。劇場側の期待にも答えて、今後ますます役付きが良くなるでしょう。「20歳の新星!」とうたわれて次々と主役の座と射止める姿が目に浮かびます。

木村優里さんは164センチ。体重はわかりませんが、新国立劇場のダンサーの中でも飛びぬけてスレンダーで、手脚が長く細く、小顔でかわいく、少々立ち耳なのが気になるぐらいで、抜群の舞台映えがする容姿です。

小学生の頃からバレエコンクールの上位に何度も入賞しています。その後新国立劇場バレエ研修所に予科生から入って2015/16シーズンよりソリストです。バレエ研修所時代にボリショイ劇場で行われた世界のバレエ学校の集まる公演にも参加してソロパートを踊っていました。小学生の頃もかなりスレンダー体型ですので、そのまま変わらずに体型を維持しているようです。海外留学はしていないようですが、留学時に太ってしまう子も多いので、彼女の場合は留学しなくて良かったと言えるのかもしれません。

肝心の踊りですが、アティチュードやアラベスクを上げる角度は常に125度ぐらいで高いです。
森のシーンで、森の女王の細田さんが前、木村さんが後に並んで同じ振り付けでアラベスクをしますが、細田さんが110度くらいなのに対して125度。デフォルト125度と、まるでパズルのピースをかちっとはめるようにそのポジションに持っていきます。
アラベスクなどでのキープも十分にあります。
そして回転系のテクニックもあって、第1幕の闘牛士たちの前をペアテで進んでいくところもお見事でしたし、第3幕のグランパのフェッテは、シングル・シングル・トリプルを3セットで、ウェストの所で扇を開いて閉じてをつけていました。その後はシングル・シングル・ダブル。途中でちょっと傾いて、立て直そうとした時に、十分にロンデせずに正面でパッセに脚を巻き込んだのは汚い印象でしたので、そこが唯一残念なところでした。

優里さんの脚が十分にアンドォールしていないという人もいるので、どうなのかなぁと見てみました。
草刈民代さんもアンドォールできていないと言われていて、確かに写真で見るとアラベスクに上げた脚の膝が下を向いています。優里さんの場合は、それほどではなく、ほんのわずかな問題だと思いますが、たとえば米沢唯さんの踊りと比べると、優里さんの踊りが端正ではないと感じられるのは、そのあたりに原因があるのかもしれません。

演技に関しては、キトリという役柄は庶民的で年齢的にも近く、等身大で素直に演じれば良いので、普通にかわいくて良かったです。相手役の中家さんとは、橘バレエ学校の発表会で組んだこともあるようですし、サポートが上手ですので、やりやすかったことでしょう。

全幕主演がドンキというのは、若さと勢いで押し切れるので彼女にはぴったりでしたね。
それぞれ主役を張れる実力のある新国立のソリストやプリンシパルたちを脇役にして、盛り上げてもらって、その中心として、ちゃんと存在感のある演舞ができる、その精神力の強さに驚きます。
自分の実力を、舞台で常に100%、いや120%発揮できるダンサーになるのは、公演回数を重ねて経験を積んでいく中で(普通は)つちかって行くものなんでしょうが、それをこのように最初からできるというのは、熊川哲也みたいな物おじしない性格?(褒めてます)
むしろその精神的タフネスさを、私は賞賛したいと思います。観客の期待を背負うプリマの資質として。

これからは米沢唯さんの端正さや小野絢子さんの勘の良さなどを見習い、繊細で美しい表現ができるように鍛練していって頂きたいと願っています。

木村優里さんのことばかり書いてしまいました。
新国立のドンキ、そろそろ10年位経つと思いますので、ここらで新制作してはいかがでしょうか。
衣装も見飽きてきました。
以前も書いたように、この版は、ストーリーを追う楽しみがないのが欠点です。
東京バレエ団のドンキは「お祭りドンキ」と銘打っているくらい楽しいですし、Kバレエのドンキは、ストーリーと登場人物に工夫があって面白いです。
新国立の上手なダンサーたちが引き立つような楽しいオリジナル版、奇をてらわなくていいので、お子様でも楽しめるような普通のストーリーで、衣装と装置をぜいたくに!!











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2016年05月05日

新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」米沢&井澤

2016年5月3日(火)14時 オペラパレス
キトリ(ドゥルシネア)米沢唯
バジル 井澤駿
ドン・キホーテ 貝川鐵夫
サンチョ・パンサ 橋一輝
キトリの友達 柴山紗帆 飯野萌子
エスパーダ マイレン・トレウバエフ
街の踊り子 長田佳世
メルセデス 本島美和
カスタネットの踊り 堀口純
キューピッド 五月女 遥
森の女王 細田千晶
第1ヴァリエーション 奥田花純
第2ヴァリエーション 寺田亜沙子

まず、この公演で二つ強烈に印象に残ったことを申し上げます。
@マイレンエスパーダが登場の時に、帽子をポーンと天高く放り投げて、それがセットの上3分の2ぐらいの上方に、ありえないくらいに高くあがって、どっかに消えた!!(さすがマイレン、笑わせてくれます)
A唯さんの凄技フェッテ


新国立劇場のドンキは何度も見ていますが、版の特徴としては、バジルの狂言自殺で恋人達の物語の決着がついてしまったあとに、ジプシーのシーンやらキホーテの風車への突進、森のシーンがあります。
物語を語っていく事よりも、たくさんのダンサーが出てきて踊りで見せて行く方に重点が置かれています。

普通ならばメルセデス一人で演じるところを、街の踊り子とメルセデスで分けあっているので、エスパーダにとってはどっちが本命?とわからなくなり、さらにエスパーダはカスタネットの踊り子にも色目を使っています。(もしかしたらマイレン独自の演技かもしれませんが)

新国立劇場バレエ団のオノラブル・ダンサーであり、数々の王子を踊ってきた山本隆之さんがドン・キホーテを踊った時も衝撃でしたが、今回は貝川さんがドン・キホーテ役で、「ダンサーの旬の時期の短さよ…」と、いつの間にか王子がおじいさんになってしまったという哀愁を感じてました。(いえ、貝川さんはとっても上品で素晴らしいドン・キホーテを演じていらっしゃいました。王子役よりはまっていたかも。笑)

今回は脇やらチョっとだけ踊る役にもプリンパルやらファーストソリスト大量投入でした。
キャラクターや脇役はとても重要であり、舞台のなんたるかを知りつくしたベテランがそういう役をやることで、舞台の重厚さがぐっと増すことはわかっていますが、あれだけ踊れるプリンシパルの八幡さんがサンチョ・パンサとは… エスパーダをやらせてあげてもいいんじゃないでしょうか。

そして、オデットを踊ったこともある堀口純さんがカスタネットの踊りですからね…
キャラから言ったら森の女王とかが(ランクからしても)順当なんですけど。
それならいっそ長田佳世さんがこの踊りをどう踊るか見たかったです。
東バならばジプシーの踊り、新国立ならカスタネットの踊りは、ちょっとメインストリームからはずれた異質の踊りなんですけど、ここで魅せられるダンサーはなかなかいなくて、「上手いけど綺麗じゃない」「綺麗だけど面白くない」というパターンが多いんです。
堀口さんは、どちらかというと「綺麗だけど面白くない」方のパターンでしたけど、不思議な透明感があって、ジプシー女でなくて白鳥が踊ってるみたいでした。

メルセデスの本島さんは、さすがの華やかさでぴったりでした。上体が固くて、あまり大きくそらないのが残念ですけど(その点はたぶん堀口さんの方が柔らかいと思います)
本島さんも、すっかりベテラン扱いで主役が回ってこなくなりました。プリンシパル8名のうち、主役を常に踊る人が実質2,3人で後はキャラクテール要員というのは、バレエ団としてどうなんでしょう??

とまあ、いろいろ思うことはあるのですが、そのような重厚な脇役をしたがえて真ん中で踊る二人は、飛びぬけたオーラはありませんが、主役としての責任はちゃんと果たしていたと思います。
井澤王子は、演技は薄めでしたが、片手リフトもちゃんとこなし、ソロもきれいで見ごたえがありました。
そして、米沢唯さんは、盤石のテクニックを持っていますから、どの踊りも安心して見ていられます。
高度なテクニックがあるから、その分余裕があって、音にぴったり合わせることができる。それが観客にとっては胸のすくような爽快感を感じさせます。

第1幕でバジルと同じ振りで回転を入れて踊る所、男性の方が早く回転して女性が遅れることが多いのですが、そこもぴったり二人で揃っていました。
あまりこれみよがしなことはしないのですが、バランスも長くて、すべての踊りが端正で、雑なところがないというのは凄いことです。

第3幕のフェッテは、トリプル‐シングル‐シングルで、トリプルの最中に手を上にあげてから腰に下ろすと同時に扇を開いてひらひらするという大技を3セット入れていました。
あんな技をさらっと涼しい顔でやるんですから、もう観客大熱狂でした。

アンサンブルや脇役まで舞台を盛り上げていて、とても楽しい公演でした。


















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2016年05月02日

東京バレエ団「ラ・シルフィード」沖&松野

2016年4月30日(土)14時 東京文化会館

ラ・シルフィード:沖香菜子
ジェイムズ:松野乃知
エフィー(花嫁):河谷まりあ
ガーン(ジェイムズの友人):和田康佑
マッジ(魔法使い):森川茉央

ラコット版のラ・シルフィードが面白いのは第1幕にあるオンブル(影)のパ・ド・トロワ。
ジェイムズとエフィーが婚約パーティで踊るところに、いつの間にかシルフィードが入り込む。
シルフィードが見えるのはジェイムズだけ。
ジェイムズ以外の人間たちにはパ・ド・ドゥに見えるが、ジェイムズとシルフィードにとってはパ・ド・トロワ。
エフィーにはシルフィードは見えないけれども、ジェイムズの気持ちがどこかまっすぐ自分に向っていないことを感じながら踊る。

ジェイムズは、かわいくて愛らしいエフィーと、蠱惑的なシルフィードのはざまで、どちらを選ぶかという悩みをかかえながら、二人の相手をして踊る。
沖香菜子のシルフィードは静謐で、この世のものならぬほど美しい。踊っている間にも、その魔力のようなものにジェイムズがどんどん惹かれていくのが感じられた。

そしてついにジェイムズはシルフィードを追って森の奥へ行ってしまう。
松野乃知はアントラッせの後脚が高くあがるし、繊細ながらダイナミックな跳躍が素晴らしい。

第2幕、フライングなどもあり、森でのシルフィード達の踊り。
フォーメーションの移動もきれいで、体の角度もぴったり揃っていて、極上のコールドバレエだった。
芸術監督、斉藤由佳里の指導が行き届いていることがうかがえる。

マッジにそそのかされて、ヴェールをシルフィードにかけると、羽根が取れて急速に弱っていく。
そして、シルフィードの細い腕が、力なく下がると、パサッと中身がなくなって蝉の抜け殻になったようで、この臨終シーンは今まで見た事のない表現であった。
そして、その後のジェイムズの慟哭。
 
沖シルフィードと松野ジェイムズは、これが2回目のラ・シルフィードだったが、特にこの第2幕後半は二人とも役に入りこんでいて、観客もどんどん舞台の世界に引き込まれて行きました。

舞台の素晴らしさを堪能した公演でした。





 








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2016年04月01日

パレエ・プリンセス

2016年3月31日(木)18:30 新宿文化センター
オーロラ姫(眠れる森の美女):米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
白雪姫:木村優里(新国立劇場バレエ団ソリスト)
シンデレラ:池田理沙子(バレエスタジオDUO)
王子(シンデレラ):橋本直樹
王子(眠れる森の美女):浅田良和
リラの精(眠れる森の美女):長田佳世(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
ヴィラン:高岸直樹
義姉(シンデレラ):樋口みのり(谷桃子バレエ団) / 義姉(シンデレラ):樋口ゆり  
宝石(眠れる森の美女):副智美 / 宝石(眠れる森の美女):田中絵美(谷桃子バレエ団)
白い猫(眠れる森の美女):松本佳織(東京シティ・バレエ団) / 赤ずきん(眠れる森の美女):塩谷綾菜(アートバレエ難波津)
フロリナ姫(眠れる森の美女):五十嵐愛梨(山本禮子バレエ団)
宝石(眠れる森の美女):西野隼人 / 狼(眠れる森の美女):小山憲(バレエスタジオHORIUCHI)
長靴をはいた猫(眠れる森の美女):荒井成也(井上バレエ団)
道化(シンデレラ):田村幸弘(バレエスタジオDUO)
ブルーバード(眠れる森の美女):二山治雄(白鳥バレエ学園)

三大プリンセス物語をくっつけちゃったバレエ少女向け公演。
幕があくと、少女(10歳前後)たちのレッスン風景で、親たちが迎えに来て、一人取り残された少女が童話を読みだすと、その世界がバレエで展開するという趣向。

最初は「白雪姫」
小人の踊りの後に小屋から出てきたのは、シルフィード!!!
でなく白雪姫なのね、あ〜びっくりした。お話が変わったのかと思った。
でも頭に付けた花かざりといい、キラキラした白い衣装といい、どうしても私には白雪姫(ディズニー)よりもシルフィードにしか見えなかった。
ということはさておき、木村優里さんは、柔らかいアームの動きがきれいで、目を惹きつけられました。
一流プリマのような堂々とした雰囲気があるんですよね。小さいころから数々のコンクールに上位入賞し、新国立劇場でもソロばかり踊ってるわけだけど、それにしてもダンサーとしてはまだ駆け出しなのにこの強心臓。
そこへ絶世の高岸美女(白雪姫の継母)登場。ガタイも大きいけれど、踊りも演技も大きい。舞台の半分ぐらい専有しているような存在感がハンパない。

白雪姫が毒リンゴを食べてエンド。
また少女が現れ、今度はシンデレラの絵本を読む。

ボロ服のシンデレラが義姉たちにいじめられて、すぐに舞踏会の場面。ここではコールドも登場。
橋本王子が素敵に登場してソロを踊って、義姉や継母にからまれそうなところを道化が救う。
しばらくしてシンデレラが登場。王子と踊る。
12時になって子供たちが登場して時計の精の踊り。これはなかなか良かった。
ガラスの靴を落として王子が拾うところでエンド。
第1幕終わり。
第2幕はほぼオーロラ第3幕。
高岸カラボス(美女!)が現れ、リラと王子がカラボスを倒す。
オーロラに口づけして目覚めたら、さっさと結婚式のシーン。
リラのヴァリ、宝石、白い猫、青い鳥、赤ずきん、グランパ。

眠ってしまったバレエ少女をママがお迎えに来てエンド。
フィナーレに、チラシの萩尾画伯の絵と同じような衣装、ポーズのプリンセス。

思いっきりいいとこどりの演出で、子供も退屈する暇なくて良かったと思います。

高岸さん、濃い顔だちの方ですが、あれほど女装が美しいとは!!悪役三連続お見事でした。

プリンセスたちは、白雪姫の木村さんは華やか、シンデレラの池田さんはかわいい、オーロラの米沢さんは端正でした。

王子の橋本さんと浅田さんは、少女たちが「キャ〜〜」というようなアイドルタイプではないけれど、プロの王子としてそつなくまとめておりました。でもご両人がKバレエで輝いていた時代を観ていた者としては、何か物足りない。それはやはり、団員の競争のなかでの切磋琢磨とか、熊川ディレクターの厳しい目を意識する緊張感とか、そういったものなんでしょうか。

男性ダンサーは、有名バレエ団に在籍してある程度立つと、生活の為なのかフリーになる方が多いですが、フリーランスだと先生からの指導が団員のようには受けられないだろうし、よっぽど自分の目標が高くなければ、主に技術面で上に行くのは難しい。

一流バレエ団でプリンシパルとして踊っている長田さんや米沢さんは、プロフェッショナルとして、そのただずまいからして違っています。まず、脚の筋肉が、無駄のない美しいラインをしています。長田さんの脚なんかもう、ほれぼれします。とぎすまされている。プロってそういうもの。

その点、池田さんは、まだまだ舞台経験の足りない上手なアマチュアといった感じです。
小顔でバランスのいい体型だし、清水冨美加に似たかわいい顔立ちなので、これから精進して欲しいですが、正直言って、ソリスト入団しなくてもコールドからでいいと思いました。

ニ山治雄君は、出てきただけで拍手喝さいで人気があります。
彼の開脚はアクロバティックで、見ているだけで楽しいし、すがすがしい。
だけども、踊っている本人は笑顔が出なくて、あまり楽しそうじゃないのが気になります。高校卒業して調理師免許も取ったそうだけど、進路に悩んでいるのかしら?
彼は背が低いから、たとえば新国立バレエ団に入っても、王子ではなくて道化にキャスティングされてしまいそう。
そういう役も重要ではありますが、彼の素晴らしい素質を良い方向に育ててもっと開花させる道はないものかと思います。

フロリナを踊った五十嵐愛梨さん、小顔でかわいらしく、プロポーションも良く達者な踊りでとても良かったです。彼女のシンデレラでもよかったかも。

カーテンコールで並ぶと、木村さんは驚異の小顔で、首が長くて宇宙人みないに人間離れしたプロポーションですね。こんなスタイルのダンサーはめったにいないから、大原監督が引き立てたいのも分かります。

客席に中村祥子さんがいました。すらりとして大変美しく注目の的でした。
あたりを払うようなオーラがありました。
今私が観たいのは祥子さんの踊るプリンセスだなぁ、とついつい思ってしまいました。









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東京バレエ団「白鳥の湖」秋元&渡辺

2016年2月7日 2PM  東京文化会館

オデット/オディール:渡辺理恵
ジークフリート:秋元康臣
ロットバルト:森川茉央
道化:山本達史
パ・ド・カトル:吉川留衣、沖香菜子、原田祥博、入戸野伊織
アダージオ: 河谷まりあ

四羽の白鳥:安西くるみ、松倉真玲、中島理子、平松華子
三羽の白鳥:三雲友里加、崔美実、榊優美枝

花嫁候補:二瓶加奈子、政本絵美、崔美実、川淵瞳
四人の道化:海田一成、高橋慈生、中村瑛人、井福俊太郎
スペイン(ソリスト):伝田陽美
スペイン:安田峻介、吉田蓮、杉山優一、入戸野伊織
ナポリ(ソリスト):金子仁美
チャルダッシュ(ソリスト): 乾友子、矢島まい、松野乃知、古道貴大
マズルカ(ソリスト):奈良春夏、木村和夫

ブログに感想を書くのが遅れていましたが、期待値が高かったわりにそれほどでもなかったというのが正直なところです。
ブルメイステル版を持ってきて、モスクワ劇場バレエからユカリーシャが一着一着衣装を選んで借りてきて等々、大変力のこもった宣伝がなされていました。
確かに、この版を取り入れて良かったと思えることとして、第3幕のキャラクターダンスがみんなとても上手になっていた事です。このキャラクターダンスって日本人は振りをなぞるだけで、その血沸き肉踊る内側からのパッションみたいなエッセンスがなかなか表現できないのです。
だから、ロシアのバレエ団のキャラクターダンスは観ていて面白いけれど、日本のバレエ団のは退屈で、「早く終わって…」となります。
今回の第3幕は、その演出もあいまって、飽きさせないドラマが展開されてワクワクしました。マジックのようにあちこちからオディールがパッパッと現れて。大変面白かった3幕。

それに反して、1幕がつまらない。幕が開くと村人と王子がいて(王子の存在薄っ!)遊んでいると、王妃とお付きの女官たちが来て、歩いてばっかりいましたが、これは歩いて宮殿に行ったということなのか??…
村人たちがいるような外の広間で踊るにしてはパ・ド・カトルの方々の衣装がティアラ付きでフォーマルで場違いではと感じらましたし、慣れ親しんだ通常版の第1幕が私は好きです。妙技で魅せるパ・ド・トロワ。夕暮れが近付いてランタンを持って帰っていく村人たち…という。ブルメイステル版の第1幕は、音楽と振付があってなく、踊りも少なくて歩いているばっかりに感じられました。

第2幕は通常のイワノフ版だそうで、コールドはきれいでした。第4幕は、王子とオデットが結ばれない運命を嘆きながら踊る「ショパンのように」という曲がなかったのは残念です。

今回は秋元王子目当てでしたが、やはり踊りが本当に巧い。けれど演技の方は相変わらず大根だと思います。いえ、彼の場合は踊りですべて語れるダンサーだと思います。王子の踊りが少ないので、もっとガンガン踊らせてください。

どうせならユカリーシャさんが秋元王子の見せ場をふんだんに取り入れつつ、(そうすることで、東バの他の男子のクラック技術向上にも役立つ)、プルメイステル版の第3幕を頂戴しつつ、いいとこ取りで自分のオリジナルバージョンを作ってしまえば良かったのに、と思います。芸術監督として駆け出しだから、そこまでの権限はまだないのかもしれませんが、白鳥の湖はバレエ団のドル箱なのですから、ぜひお願いします。

渡辺理恵さんは、こんなにスタイル良かったでしたっけと思う位、腕や脚の長さが際立って大変に美しかったです。(魅せ方が上手になったのかな)オデットははまり役ですが、オディールは技術的に少し苦しい。フェッテのスピードがなくて迫力不足で盛り上がらない!!特にこの演劇的ヴァージョンでは、あのフェッテでガンガン攻めて王子のハートをノックアウトするのがポイントだというのに!!

道化の山本さんはとても達者でした!東京バレエに入団して正解でしたね。




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2016年01月12日

ニューイヤーバレエ@新国立劇場

2016年1月9日(土)18:00 オペラパレス
新年初バレエを観てきました。観客層は、いつもと違ってシニア男性が多かったです。
振付指導のパトリシア・ニアリーさんが黒スパンコールのゴージャスなミニドレスで近くに座っていました。
アラ還だと思われますが、若々しい!

第1部 
「セレナーデ」
前半にジャンプをたくさん飛ぶロシアンガールは細田千晶さん、遅刻する女性は寺田亜沙子さん、男性は菅野さん、男性を奪っていく女性は本島美和さん。
幕が開き、コールドが薄白色のクラシックチュチュを着てただずんでいるだけで、まるで絵画のような静謐な美しさ。ダンサー達はみなスタイルが良くて、軽やかにフォーメーションを変えていく。
日本人ダンサーだと外人のような肉感的な押し出しが薄いので、あくのない澄み切ったスープか、マイナスイオンたっぷりのミネラル・ウォーターのような味わい。
特に細田さんの透明感と、控えめなアクセントとして効いていたのが、寺田さんの大人の女性っぽい誘うような表情でした。
細田さんの軽やかさをみると、ラ・シルフィードで主役を踊るのも納得だし、きっといいだろうなあと思います。寺田さんも、こんな味わいのある表現ができる成熟したダンサーにいつの間にかなっていだんだなぁと感慨深く感じました。

第2部 
「フォリア」
貝川さん振付のコンテ。照明が暗くて、衣装が黒で、スタイリッシュさを目指しているのかと思えば、
そうでもなく、どこかしらナチョ風でもある。

「パリの炎」八幡顕光&柴山紗帆
八幡さんならもっと超絶技巧を繰り出すかと期待しておりましたが、やや控えめでした。柴山さんは達者に踊っていたけれども、八幡さんの相手としてふさわしいかどうか…。もっとキュートなダンサーはいないのか…。この演目は小野絢子さんと踊って欲しかったというのが本音です。

「海賊」木村優里&井澤駿
木村さん目当てで、この日のチケットを取りました。見目麗しい美男美女のペアで眼福でありました。
優里さんは、コンクールなどで踊りなれているのか、ベテランのような落ち着きっぷり。
コンクールぐせとでも言うのか、アラベスクやアティチュードのポーズが、脚を高くあげた一種類の「ポイント」に、形状記憶のように常にはまるように踊っているのは、どういうものか…。
なにか、そのポイントにいくまでの情緒とかニュアンスとかないのか?
白鳥の湖でのルースカヤの方が、もっと自分で踊り方を工夫して考えていたように思います。
コンクールか発表会のような空気を感じた観客もいるのもムリはありません。
それでもコーダのフェッテは4回転から入って、1-1-3の連続技。位置もそれほどずれず。
回転の天才??

「タランテラ」米沢唯&奥村康祐
速いテンポで常に動きまわっている、この難しい演目を、唯さんは音ぴったりに
ユーモラスな表情で魅せてくれました。
やっぱりプリンシパルは違う!!と思わず笑顔になるような魅力たっぷり。
細かく動いていても、ひとつひとつの動きが端正なのですよ。
そこが米沢唯たるゆえん。
そして全然息も乱れない。
奥村さんもチャーミングだったけれども、こちらは最後の方はもういっぱいいっぱいな感じ。
最高に楽しかった!!いいもの見せてもらいました!!

第3部 
「ライモンダ」第3幕 小野絢子&福岡雄大
久しぶりのライモンダ上演です。
昔(2007年~2009年ごろ)は、男性陣のカトルで、トゥール・ザン・レールするところが全滅状態で、あちゃー!!でしたが、今はだいぶレベルがあがってきていますね。
パ・ド・ドゥで主役と後ろの組がまったく同じ振りをするところ、以前は肩上リフトで女性を持ちあげられなかった人がいたりしたのですが、今回はとてもきれいに決まっていました。
小野絢子さんは、後のコールドの人たちに比べ、スタイルの点では小さいけれども、圧倒的なオーラを醸し出していて、一目でこの人が姫だって分かります。
ゴージャスでラストを締めるにふさわしい演目でした。

ところで、「セレナーデ」と「ライモンダ」は、今から7,8年前ぐらいの、私が一番新国立バレエにはまっていた時期に上演されていて、今回はとても良い公演だったとは思いますが、すっかり「昔は良かった…(遠い目)」モードになってしまいました。
寺島ひろみさんのライモンダや、日替わりでロシアンガールをひろみさんとまゆみさんが踊った時のセレナーデの凄烈な感動は今でも忘れられません。
本当にバレエダンサーの旬の時期は短い。そしてその時に素晴らしい舞台を観ることができたのは、とても贅沢だったし、今でも宝石のように心の糧になっていると改めて感じました。



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2015年11月03日

東京バレエ団「ドン・キホーテ」沖&梅澤

2015年10月31日(土)2時PM 神奈川県民ホール
キトリ 沖香菜子
バジル 梅澤紘貴
ドン・キホーテ 木村和夫
サンチョ・パンサ 氷室友
ガマーシュ 岡崎隼也
メルセデス 川島麻実子
エスパーダ 秋元康臣
キューピッド 吉田早織
キトリの友人 河谷まりあ 二瓶加奈子
ドリアードの女王 三雲友里加

沖さんと梅澤さんは、このところずっとペアを組んでいるだけあって、息がぴったり、第1幕のかけあいも微笑ましく、フレッシュでかわいいカップル。
ヒムロサンチョは、子供版ドンキを見たあとなので、あの達者なおしゃべりはいまかいまかと待ち遠しくなってしまった。(もちろん喋らなかったけれど)
木村キホーテは上品で威厳を保ち(でも子供版みたいに最後ノリノリで踊ってくれてもよかった)
ガマーシュは終始手をひらひらしているのが面白かった。
キューピッドは可愛らしく。
キトリの友人もかろやかで素敵でした。
河谷さんのキトリも見てみたいな。
ドリアードは、ちょっと残念。プロとしての表現がまだ身についてないようだった。
川島メルセデス、キレがいい踊りで華がありました。
奈良ジプシー、場の空気を変えすぎない、それでいて迫力満点。

注目の秋元エスパーダ。
以前よりも下半身ががっちりした感じで、小顔だし全体のバランスが良い。
回転もキレキレで回り、ピタッと決める。
そう、エスパーダってこういう風に踊るものだよね!!と合点するような見事さ。

秋元さんに注目したのは5年ぐらい前から、ゲストで青い鳥を踊ったのを見て、「これぞまさにブルーバード!」跳躍の高さ、軽やかさ、腕の動き、つま先の美しさ…なんてダンサーだ!!とびっくりしました。
そして、当時NBAバレエ団所属だったので、「ジゼル」を観に行き…あまりの演技力のなさにまたびっくりしました。
その後秋元さんはNBAを辞めてKバレエに移り、主役も踊り、突然辞めてロシアのバレエ団に行き、2年ぐらい音沙汰ないな〜と思っていたら、今回のプリンシパル入団です。
Kバレエを辞めた時がまるでバイトのバックレみたいだったとか、ユカリーシャのひいきでプリンシパルになったとか、色々ちまたのうわさがあるようですが、このエスパーダの凄い踊りを見せつけられたら、うん、もうプリンシパルで当然だよね、今の東バでクラシックが一番上手なのは彼だよね、となってしまいます。
演技力が昔より向上したのかどうかは、エスパーダでは良く分からなかったです。
もう少し色男の演技をして欲しかったですが、彼の踊り自体に非常に魅力があったので、あまり気になりませんでした。
コンテンポラリーをどれだけ踊れるかはわかりませんが、たとえば、ザ・カブキの主役を踊れるかどうかは未知数ですれど、ユカリーシャが古典に重点を置くつもりならば、彼のようなダンサーが必要ですものね。
身長はそれほど高くないようですが、顔が小さいのとマリインスキー男子のような見事な下半身でプロポーションが良く見えるのです。
その点、梅ちゃんは下半身が細すぎです。
プリンシパルに昇格してからイケメンオーラが出てきて、とてもカッコイイ梅ちゃんバジルは、新プリンシパルの秋元氏を意識したのか、最初からガンガン飛ばして、最後のパ・ド・ドゥでは少々スタミナ切れだったのか、アダージオで沖さんを回しそこねてしまったようです。フィッシュダイブも抱え直してたし。
梅ちゃんは演技も上手だし、イケメンでも可愛いイケメンというHPがあるので、そんな意識しなくてもよいのに。




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2015年10月09日

創立50周年記念スターダンサーズバレエ団「オール・チューダー・プログラム」初日

2015年9月26日(土)14:00 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

開演の20分前に代表の小山さんがプレトークをなさいました。
叔母である太刀川さんが、チューダーの作品に「こんなバレエがあるのか」と
衝撃を受けて、スターダンサーズバレエ団結成のきっかけになったと。
チューダーの作品は、昔も今も客受けが良くないので、チューダー氏は、すべてチューダー作品だけのプログラムにはせずに、白鳥の湖などと一緒に上演しろと太刀川さんに助言していたと。
簡単な作品の解説もあって、興味深いトークでした。

「Continuo」
林ゆりえ 松本実湖 酒井優
加地暢文 安西健塁 渡辺大地

パッヘルベルのカノンで、ストーリーのないアブストラクトバレエ。
男性の腕の上に全身をまっすぐ足先まで一文字になるような振付がめずらしかったですが、難しそうで失敗しているダンサーもいました。
こういう誰でも知っている音楽で、ゆったりとしているのを魅せるように踊るというのは、よほどの音楽性がないとできないのだな、と物足りなさを感じました。

「リラの薗」
カロライン 島添亮子
その愛人 吉瀬智弘
カロラインの婚約者 横内国弘
彼の過去の女 佐藤万里絵

婚約パーティに男女共にその愛人やら過去の女やら、わけありが現れて…感情のもつれがあるけれども、結局はカロラインは婚約者を選ぶというストーリー。ちょっとマクミランの田園の出来事とかっぽい。
けれどマクミランの、たとえばマイヤリングのようなドラマティックさはない。
日本人ダンサーがあっさりしているからなのか…島添さんはきれいで雰囲気もあったが、そんなに心理的で面白いとも思えなかった。

「小さな即興曲」
鈴木優   加地暢文

シューマンのピアノ曲「子供の情景」に乗せて、雨の日に遊ぶ兄妹を描いた作品だそうです。
鈴木優さんが動き出したとたん、そのすっと伸びた首に長い手脚、つま先までがあまりにきれいなので震えが走りました。スタイルの美しさ、清潔感、かわいらしさ、女の子らしさ、無垢な純粋さ、伸びやかなポーズと…どこをどう切り取ってもきれいで、彼女を見ているだけで幸せな気持ちになりました。
蛭崎さんのピアノも軽やかで、加地さんとの取り合わせも良かったです。
新国立劇場バレエ研修所の時から注目していますが、今回のこの作品は彼女にぴったりで素晴らしかったです。

「ロミオとジュリエット」よりパ・ド・ドゥ
林ゆりえ  吉瀬智弘

音楽もなじみがなく、どういう風にみればよいのかと思っているうちに終わってしまいました。

「葉の色あせて」よりパ・ド・ドゥ
吉田都  山本隆之

チューダーといえば、この作品が有名です。ストーリーのないアブストラクトバレエで、夏の終わりと過ぎし日の美しい想いでをノスタルジックに描いた作品だそうです。
都さんは相変わらずの高安定でしたが、リハーサル不足なのか、リフトが難しいのか、息が合わなかったところがありました。

「火の柱」
ヘイガー 本島美和
姉 天木真那美
妹 西原友衣菜
友達 山本隆之
向かいの家から出てきた男 吉瀬智弘

強圧的で厳しい姉と奔放な妹にはさまれたヘイガーが、オールドミスなる恐怖から向かいの家から出てきた男に思わず身をまかせ、後悔して苦しんでるところを好きだった友達に過去のあやまちを許してもらって救われるという、ちょっとどろどろしたストーリーです。
本島さんの熱演が、ひとり浮いているぐらいで、このような作品ならば、ほかのダンサーも本島さんと同じぐらいの高テンションで演じて欲しかったです。
こういう大人っぽい話をバレエで演じるのには、日本人は体格的に子供っぽいから、かなりあざといぐらいに表現しなくては、見ている観客に伝わりにくいと思います。

今回の公演、8割以上は埋まっていましたが、半分以上は出演者の関係者や、バレエ評論家などで、おそらく3分の1ぐらいは都さん目当てのバレエファンではなかったかと思います。
バレエの歴史の上で重要だという観点からのオール・チューダー・プロでしたが、エンターティンメントとしてバレエを楽しみたい私のような観客にしてみれば、チューダーさんの助言のように、「白鳥と一緒に上演した方がいい」という意見です。

まあ、私の目当ては都さんではなくて、鈴木優さんでした。
新国立バレエ研修所8期生の鈴木優さんは、双子のかたわれの舞さんと共に、群を抜いて美しいその容姿で、将来は新国立劇場で活躍してくれるものと期待しておりましたが、どういうことか、8期生たちはビントレー時代のラストシーズンに準コールトとして採用されたものの、本採用には誰ひとりとして受かりませんでした。
踊りが上手で卒業公演で見事なキトリを踊った榎本朱花さん、女性らしいたおやかなオーロラを踊った佐藤愛香さんは今どうしているのかわかりません。
アレグロの動きがシャープだった中西夏未さんは、今シーズンKバレエに入団して、シンデレラのあたりまではいたようですが、今は名簿から名前が消えているので辞めてしまったようです。
驚異的な脚の長さとコケティッシュなスター性を持っていた島田沙羅さんは、ロゼラハイタワーに留学したそうです。
鈴木舞さんは、シンガポール・ダンスシアターでプロとして踊っています。

バレエ研修所の8期生は、中西さん以外は、この子たちの時に作られた予科生制度出身です。
予科生制度は、牧先生が、海外に将来性のある子が流れないように青田買いするために作った制度だと私は思っていました。
だから、当然、研修所卒業後は新国立劇場に入るのだろうし、牧先生好みの美しい少女ばかりで、他の期と比べてレベルが高いとずーっと感じていました。
ところがビントレーの次に芸術監督になった大原先生は、8期生を採用せず、放り出したのです。
風のうわさでは、立ち役に使いまわしのできるような、高身長の子を取りたかったらしいという事で、確かに高身長の9期の関晶帆さんは採用されて、白鳥やバヤデールのコールドで、一番前で踊っています。
大原先生は背の高い順に前から並べているからです。

しかし、国民の税金を使って育てた金の卵バレリーナなんですよ。
せめて、10年ぐらいはプロのダンサーとして働けるような環境に置いて欲しかったです。
そりゃあパリオペラ座バレエだって、付属のバレエ学校から入団できるのはわずかですよ。
でも、バレエ団に入団できなくても、ヨーロッパなら職業として、他のバレエ団で働けるし、パリオペラ座バレエ学校の卒業生なら就職にそれほど苦労しないでしょう。

でも、日本にはプロといえるバレエ団が3つしかないんですよ。
その中でも一番恵まれていると言われているのが新国立バレエ団です。
研修所の卒業生だったら、とりあえず採用してあげて欲しいです。
あの子たちが、もしも海外に留学していたりしたら、別の道がひらけていたのかもしれないのですから。
その一番重要な時期に、がっちり研修所で確保していたんですから。




posted by haru at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする