2014年08月12日

めぐろバレエまつり「ロミオとジュリエット上映会」

パーシモンホールの小ホールで行われたノイマイヤー版「ロミオとジュリエット」の映像上映会に行ってきました。
この映像は初日の録画で、私が観た舞台は2月8日でしたが、キャストは同じだと思います。
アンコールでノイマイヤーさんも出てきていました。
ジュリエットは沖香菜子さん、ロミオは柄本弾さん。


あらためて、東京バレエ団のロミジュリは素晴らしい!!と感動しました。

主役の二人はもちろんのこと、コールドのすみずみまで、若さがみなぎっていて、大勢のダンサーにもそれぞれ、見せどころがあって、物語のスピーディな展開もいいし、コンテンポラリーといっても、とがり過ぎな振付ではないし。

この2、3年で団員の顔ぶれがかなり変わった、新生東京バレエ団にふさわしい演目だと思います。
ロミオの弾さんは、日本人のダンサーにしては珍しい、たくましい体躯で、頭が多少大きいのですが、王子ではなくこういう役柄なら気にならないですし、男性らしくて、相手の女性ダンサーが可憐に見えるという長所にもなります。
恋の喜びにゴムまりのようにはしゃぐ若者ロミオで、ほほえましくなるぐらいかわいい。
ザ・カブキの弾さんもいいですけれど、ロミオもすごくいい。当たり役だと思います。

ジュリエットの沖さんは、バスタオルを巻いて裸足で踊るシーンの動きがすごくキレがあってvividで、目を惹きつけられます。パンシェの脚がスパッと180度上がるところが気持ちがいいです。
演技も良かった。今の彼女とは年齢も近いし、自然に演じられる役かもしれません。
身体能力が高くて、すごく動けるのに、雰囲気はホワンとしてるのが個性なのかなと感じました。

主役二人のパ・ド・ドゥでは難しそうなリフトもテンコ盛りですが、リフトはたぶん2回目の方がスムーズに行っていたようですが、この初日の方が感情の表出がすごく伝わってきて、最後泣けました。

若いダンサーが大活躍の中で、マキューシオは大ベテランの木村さん。
さすがの演技と踊りでしたが、若手で揃えることはできなかったのでしょうか。
マキューシオを踊れるような若手のダンサーはまだ育っていないという事なのでしょうか。
そのあたりが課題ですね。

ぴかぴか(新しい)








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2014年08月04日

アリーナ・コジョカルドリームプロジェクトAプロ

2014年7月20日(日)3PM ゆうぽうと

「オープニング」
アリ―ナコジョカル
グラズノフのおとぎ話っぽい音楽で星空をバックに、5人のイケメンを従えて踊るお姫様なコジョカル。
さあ、プリンシパル達がっ!と思ったらちょっと違っていて、イケメン達はルーマニア国立バレエ団の芸術監督になったコボーさんが連れてきたダンサー達でした。

「眠れる森の美女」
ローレン・カスバートソン&ワディム・ムンタギロフ
カスバートソンって、この間の冬物語の王妃がすごく良かったので、オーロラには違和感がありました。
おっとりしていて上品だけど、ういういしさや愛らしさが足りないようで。
ムンタギロフはしばらく見ない間に出世して、少年からおっさんぽくなったような(ほうれい線が目出つ)

「HETのための2つの小品」
ユルギータ・ドロニナ、イサック・エルナンデス
出だしはビートのきいた音楽でカッコよかったけれども、後半の静かなパートが長すぎて眠くなりました。
ドロニナは小柄だけれども身体能力高くて美人な魅力的ダンサーです。

「エスメラルダ」
日高世菜、ダヴィッド・チェンツェミエック
日高さん、デカイ!
ダイナミックな個性がありますね。
ヴァリエーションは踊りこなしていて素晴らしかったです。

「ラプソディー」より
吉田都、スティーヴン・マックレー
マックレーはなんて踊りがうまいのでしょう。うますぎる!
アシュトンの細かい振付での方向転換や回転を音楽にぴたりぴたりと合わせて。
もちろん都さんのかろやかさは言うまでもなく。
みんなが一番楽しみにしていたであろう期待を裏切らないスペシャルな出来でした。

「5つのタンゴ」よりソロ
イサック・エルナンデス
ピアソラの音楽に乗って、カッコ良く決めた!!

「リリオム」より ベンチのパ・ド・ドゥ
アリーナ・コジョカル、カーステン・ユング
リリオムはコジョカルとユングにノイマイヤーが振りつけたそうで、どういう場面なのかお話がわからなくてもドラマを感じさせるものがありました。
コジョカル、顔はかわいくても身体能力はギエム並だから、空間を切り裂くその動きにどきっとするんですよね。

「白鳥の湖」 第2幕より
アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー
東京バレエ団
今のコジョカルは、白鳥を踊りたいとは思っていなさそうだけど、マラーホフガラがなくなって、東京バレエ団の抱き合わせ演目が必要だったのかしら。東バの白鳥はフォーメーションがうるさいんですよね。
でも4羽は揃っていて良かったです。
コジョカルは腕の筋肉がムッキムキなので、見た目の造形美があまり白鳥らしくないような。

「海賊」 ディヴェルティスマン
アリーナ・コジョカル、ユルギータ・ドロニナ、日高世菜、ローレン・カスバートソン
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ダヴィッド・チェンツェミエック、
ワディム・ムンタギロフ、イサック・エルナンデス

これは楽しいるんるん
男性のピルエット合戦、勝ったのはマックレー。
女性のフェッテ合戦も見ごたえあり。
みんなの見せ場を上手に作っていました。
最後は観客みんな手拍子。ノリノリでした!
ワディムが540プラス180度で720??みたいな凄い技をやってました。
おっさんぽくなったかと思ったけど、やっぱり若者だったのね。

ぴかぴか(新しい)

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2014年04月30日

英国ロイヤルバレエ「冬物語」ライブビューイング

2014年4月29日(火祝)19:15 海老名イオンシネマ
冬物語
振付 クリストファー・ウィールドン
音楽 ジョビー・タルボット

レオンティーズ エドワード・ワトソン
ハーマイオニー ローレン・カスバートソン
パーディタ サラ・ラム
フロリゼル スティーブン・マックレー
ポーライナ ゼナイダ・ヤノウスキー
ポリクシニーズ フェデリコ・ボネッリ

シェイクスピアの原作を、あのアリスのスタッフがバレエ化!
ケヴィン・オヘア監督の初の物語全幕バレエということで、幕間にインタビューもありました。

第1幕はシシリア王のレオンティーズが、幼馴染の親友ポリクシニーズが妻と不倫をしているのではないかという、猛烈な嫉妬心と猜疑心に突然襲われて、その結果、友も妻も子供もすべて失うという話。

身重の妻が、自分と親友の手をとって、大きなお腹に触らせた瞬間から始まる、狂気のような夫の嫉妬心。
ワトソンが鬼気迫る演技で踊りました。
幕間のインタビューで、振付したウィールドンが、「ワトソンは特殊な筋肉を持っている」と語っていましたが、嫉妬地獄に堕ちるその瞬間、ワトソンの手指がまるでタランチュラのように不気味に動きだし、せむしのように首が引っ込み、膝が曲がった妙なつま先立ちで歩き回り…
ワトソンは、カフカ原作の「変身」を踊って評判になりましたが、その経験がこのシーンで生かされているようで、おそらく振付も彼のアイデアがかなりの部分使われていると感じました。

親友と妻が彫刻を見ながら楽しく話しているだけなのに、それを盗み見しているレオンティーズには二人が不倫している幻覚が見えるというシーンは、照明が暗くなると、一転して二人が絡み合い(レオンティーズの妄想)、明るくなると普通に語らっていて、影でのぞいているレオンティーズがその度に真っ黒な嫉妬心にさいなまされて苦しむ、狂気とただならぬ緊迫感をもった秀逸な場面でした。

その後の身重の妻へのDVシーンは見ているこちらが辛くなります。長いですし。

第2幕は生命の樹のような大きな樹木のセットを中心に、羊飼いたちの生命力と若いパワーあふれる群舞が次々と踊られます。
ここではロイヤルのダンサー達の踊りを堪能できます。
美しいサラ・ラムと、信じられないようなマネージュを見せてくれるスティーブン・マックレーのパ・ド・ドゥもふんだんにあります。
「眠り」では、少し固さがみられたサラ・ラムですが、がちがちのクラシックではない、このぐらいの作品ではとても生き生きとして美しく、マックレーのサポート付きピルエットでは10回転ぐらい軽々と回っています。
この作品では、男性の衣装がほとんどスカート付きで、それが跳躍や回転の時に大きくひるがえって華やかな効果をもたらしているのですが、この幕の群舞では、ただひとりマックレーはスカート履いていませんでした。
彼の場合はスカートの効果なくても踊りがゴージャスですからね。スカートはむしろ邪魔なんで、これは正解です。
2幕はなかなか楽しかったです。

第3幕は、舞台上でミュージシャンたちが、笛やめずらしい楽器を演奏しています。
アコスタ版のドンキでも、舞台上でミュージシャンが演奏していましたが、最近の流行でしょうか。
レオンティーズが悔い改め、ハーマイオニーが自分の娘だとわかり、若い二人が結ばれて、結婚式のお祝いになります。
そこで終わるのかと思ったら、亡くなった妻と息子の彫像を見にレオンティーズが連れて行かれ、そこで彫刻だと思った妻が動き出す(実は妻は生きていた)という短いシーンがあります。
せっかく結婚式の祝祭感があったのに、最後がこの静かなシーンになったので、盛り上がりに欠けると感じました。
シェークスピアの原作通りにしたかったのかもしれませんが、ここは結婚式の場に彫刻を持ってきて、そこで妻が現れて、娘とも再会して、ハッピーエンディング黒ハートの楽しい気分で終わらせて欲しかったのに、なんだかなぁ



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2014年04月27日

新国立劇場「カルミナ・ブラーナ/ファスター」

2014年4月27日(日)2時 オペラパレス

ファスター
闘うFIGHTERS 小野絢子 福岡雄大
投げるTHROWERS 福田圭吾 米沢唯 寺田亜沙子
跳ぶAERIALS 本島美和 菅野英雄 奥村康祐
マラソン 五月女遥 ほか全員

ロンドン・オリンピックの時に作られた作品だそうで、ハイパージャズとでもいうような、早いリズムで押しまくる中、バスケットやフェンシング、陸上、体操、シンクロなどにインスパイアを受けた格好のダンサー達が走る!跳びまくる!!
見ているこちらも心拍数がアップするようなテンションが心地良い。

跳ぶAERIALSのパートで、男性二人にリフトされて、女性が体操の床競技のようなアクロバティックな回転技をスローモーションでおこなうのがとても面白かった。
男性の手のひらだけで支えられて、開脚の姿勢をびくとも崩さない本島さんが実に凛として美しかったです。
同じようにスローモーションでおどられた闘うFIGHTERSのパートは、照明が暗すぎるし、レスリングなのか、よくわからない踊りが繰り返されて退屈でした。

最後のマラソンのパートは、女性はお腹が見える陸上の衣装なので、見事な腹筋が目の保養で、見惚れてしまいました。ランダーのエチュード後半のジュッテの交差シーンのように、走りながらの交差、編成替えが集団行動を思わせて面白い。
スピード感、盛り上がる熱気、そしてマラソンがいつのまにか楽しいダンスのようになっていくシーンの五月女さんの表現が良かったです。

カルミナ・ブラーナ
運命の女神フォルトゥナ 湯川麻美子
神学生1 菅野英雄
神学生2 八幡顕光
神学生3 タイロン・シングルトン
恋する女 さいとう美帆
ローストスワン 長田佳世

カルミナ・ブラーナは合唱付きの音楽にまず酔い知れます。
冒頭の、運命の女神フォルトゥナのシーンは、何度見ても古びないスタイリッシュさがあって、このイメージを作り出した事が作品を成功に導いたと思う。
久しぶりに見たので、だいぶ忘れているところもありましたが、最後に大きな布で舞台を覆って、すべてが無に帰したところで、オープニングのフォルトゥナがまた現れ、同じ踊りがリフレインされ、そして同じ衣装のフォルトゥナがしだいに増殖していくというカタルシスがたまりません!
このカッコ良さは、映画でいうと「マトリックス」で受けたような衝撃と似ています。

フォルトゥナを当たり役にしている湯川さんも、今回は一段と気合が入っていて動きにキレがあり、場を掌握するオーラがありました。
恋する女のさいとう美帆さんがかわいかった。
神学生2の八幡さんは、キレッキレの踊りで凄かったけれど、ダボダボの衣装なので、体のラインが解らなかった点は残念でした。

フォルトゥナと神学生はいいのですが、他の登場人物の設定や衣装のセンスがどうも私にはピンとこないんです。
妊婦と気持ち悪い赤子を背負った母親、時代遅れのヤンキー達はまだ許せるとしても、黒い乳首を描いた
白の全身タイツに男と女の秘部の絵を描いた小さな股エプロンみたいなのしている、裸の象徴的なあのヘンテコ衣装はどうなんでしょう。
イギリス風ユーモアのつもりかもしれないけれど、笑えないんですけれど。


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2014年03月21日

中継:英国ロイヤルバレエ「眠れる森の美女」

2014年3月20日(木)19:15 イオンシネマ
オーロラ サラ・ラム
デジレ王子 スティーブン・マックレー

簡単に感想を。
このプロダクションは、第2次世界大戦が終わって、ロイヤルバレエが再開された時に最初に作られた物の復元だそうです。
そのせいか、舞台美術も衣装のセンスも、どこか時代がかっていて古臭い。
その前に踊られていたダウエル版の方が、しゃれていて好きですね。
スティーブン・マックレーは、音楽的な踊りが素晴らしい。
出番が少ないのが残念。
王子らしい態度とサポートも万全。アラベスクが綺麗です。
サラ・ラムは脚が長くて細くてまっすぐで、彼女もアラベスクがきれいだけど、表現はあっさりだし、古典のテクニックもそれほど強いわけでもないらしく、なんだが全体的に表情も踊りも固い印象でした。
最後の方なんか、なんだかいっぱいいっぱいな感じに見えました。

ロイヤルバレエも、古典をばりばりに踊れるタマラ・ロホとコジョカルが出て行ってしまって、オーロラを踊るのにぴったりな女性プリンシパルがいない!!
サラ・ラムはいまいちだから、ヌニェスぐらいかしら。
だから、大急ぎで育成しようと、高田茜さんやら、小林ひかるさんやら、ユフィさんやらにオーロラを踊らせているらしいですね。
カラボスを踊ったクリスティン・マクナリーが美しくて演技も迫力があって素敵でした!!
リラの精のローラ・マッカロクは全然オーラもないし、踊りも下手だった。
第3幕で宝石の踊りを踊った3人が良かったです。


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2014年03月16日

パリオペラ座バレエ団日本公演2014「ドン・キホーテ」フルステー&エイマン

2014年3月16日(日)3PM 東京文化会館
キトリ(ドルシネア)マチルド・フルステー
バジリオ マチアス・エイマン
エスパーダ ヴァンサン・シャイエ
街の踊り子 サブリナ・マレム
ドン・キホーテ ギョーム・シャルロー
サンチョ・パンサ シモン・ヴァラストロ
ガマーシュ マロリー・ゴディオン
ロレンツォ パスカル・オーバン
キトリの友人 ロレーヌ・レヴィ、カロリン・ロベール
ジプシー マルク・モロー
ドリアードの女王 アマンディーヌ・アルビッソン

パリオペラ座のドンキは、DVDでも見たことがなく、初めて見ました。
特に序幕の演奏から気になったのが、編曲がちょっと変わっている事です。
編曲は、ジョン・ランチベリーです。
ドンキといえば、ミンクスの明るい、単純明快な音楽なのですが、これはいつも聞くのとはだいぶ編曲してあり、たとえば1幕のキトリの踊りのワンフレーズが、本来長調なのに短調にしてあったり、他の部分でもメロディーに細かいトリルなどを付けたしてあったり色々違っていました。
耳慣れたドンキの音楽と比べると、まったくの晴天でなく、時々曇ったり晴れたり、複雑になっています。
ヌレエフは音楽にもこだわりがあったようで、最期には指揮もやっていたぐらいですから、彼好みに、様々なニュアンスを持たせた編曲にしたようですね。

プロローグがとても長くて、ドンキホーテが壁に映った自分の影を曲者と思いこんで、剣で闘いを挑むシーンがあります。これはその後の風車へ突っ込む伏線となっています。

2002年に衣装は一新したようですが、あまりドンキホーテらしくない色づかいで、第1幕の漁師たちはパステルカラー、闘牛士は深いグリーンに赤いマント(補色関係)、第3幕のグランパは、豪華絢爛。
コールドのダンサーは美男美女揃い。踊りも上手で若々しいエネルギーに満ちています。
なかでも美しいのはオニール八菜さん。

キトリ役が次々と降板で、最終的に呼ばれたのは、なかなか昇進できなくて一時サンフランシスコバレエ団に出向しているマチルド・フルステー。
勢いのあるはじけた踊りで、お顔はそれほどかわいくないけれども、キトリにはぴったり。
ジャンプは高くて足音もしない。
マチアスは音符にピッタリはまる気持ちの良い踊りで、パドシャの空中姿勢の形がきれい。

第2幕のジプシーの野営地では、ラ・バヤデールから持ってきた音楽で、キトリとバジリオが恋人同士のパ・ド・ドゥを踊るのですが、こういう抒情的なシーンをたっぷり入れることで、明るいだけのドンキではない、音楽的な幅が出て、全体のメリハリがくっきりすると感じました。
このシーンが終わるとまたドンキの単純(といっては失礼かもしれませんが)な音楽になります。

ジプシーたちの踊りは、照明が暗くて、天井桟敷の私の席からは良く見えませんでしたが、皆ハツラツとしていて、若者のパワーを感じました。
タペストリーのような凝った布の大きなスカートが印象的でした。
キトリが耳飾りを与えて、追いかけてきたガマーシュとロレンツォからかくまってもらいますが、そこにドンキホーテとサンチョパンサもやってきます。
人形劇を見ている間に興奮して暴れて、風車に突っ込みます。

気絶したドンキホーテの前に、ドルシネアが空中浮遊で現れます。
これは黒子がリフトしているのですが、なかなかのアイデアで面白いシーンです。
森の場面は綺麗でした。
ドリアードの女王のアルビッソンは、大きな迫力のある踊りでしたが、着地音もデカイ!
イタリアンフェッテは大成功でした。
キューピットは軽やかでしたし、ドルシネアは、キトリの時とは雰囲気が少し変わって優雅でした。

第3幕では、ジプシーの扮装のままでやってきた居酒屋での狂言自殺があり、キトリを取られたガマーシュとドンキホーテとの決闘あり、それで負けたとたんに、結婚式になります。

ファンダンゴのリードの男女がカッコ良かったです。誰だかよくわかりませんでしたが。
ふつうの版での第1ヴァリエーションに相当する踊りを、パク・セウンさんが踊りました。
軽やかで素晴らしかったです。

グラン・パ・ド・ドゥは、ゴージャスな衣装に身を包んだフルステ―が、アダージオの最後に、ススからアラベスクに脚を上げて、サポートなしの長ーいポワントバランスを披露してくれました。

マチアスのソロの前、待ち構える観客の期待から、館内に静寂の瞬間が訪れ、その静けさと無音の中で、スス(つま先立ち)からそのままアラベスクへ移行して、バジリオのヴァリエーションが始まりました。
ヌレエフの振付は、ダブルのピルエットからアラベスクで静止。それを左右繰り返す。
これって見た目は飛んだり跳ねたりしなくて地味だけれども、ものすごいボディコントロール力が必要です。
この難しい振付をとても綺麗に、音楽にピッタリ乗せてこなすマチアス・エイマンの技術は大したものです。
そして小さめの軌道のマネージュも、体をほとんど水平に傾けていました。

フルステーのキトリのヴァリエーションも、扇をシャッシャッとさばきながら、キビキビとしていてとても良かったです。
超スローなテンポからはじまるパッセの連続は「ゆっくりポワントに乗って、ゆっくりポワントから降りる」という、これも見た目地味だけれど、スムーズにやるのは超難しい技。
男女とも、マニア向けの振付か?と思うほどダンサー泣かせの鬼振付じゃないですかね、これって。

コーダでの32回転のフェッテ、マチルドは前半は全部ダブル、後半はシングルで、テクニシャンぶりを見せてくれました。
マチアスも負けずに相当回っていました。
彼の踊りは、押しつけがましさがなくてエレガントだし、つま先も綺麗です。
お姉マンっぽさがあるので、キトリの恋人というよりは弟みたいな感じではありましたが、ヌレエフの鬼振付をさらっと踊ってしまうヴィルトオーゾぶりを堪能致しました。
マチルドもしっかりした技術があって、この役のキャラにもあっていましたし、コールドのレベルの高さや、美術や衣装、こだわりの音楽とともに、大変に楽しめた公演となりました。
さすが、パリオペ!!


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2014年02月24日

新国立劇場バレエ「白鳥の湖」堀口&トレウバエフ

2014年2月21日(金)14時 オペラパレス
オデット/オディール 堀口純
ジークフリード王子 マイレン・トレウバエフ
ロートバルト 輪島拓也
道化 小野寺雄
パ・ド・トロワ 長田佳世 細田千晶 江本拓
小さい4羽の白鳥 さいとう美帆 五月女遥 大和雅美 石山沙央理

久しぶりの新国立劇場の白鳥。
1列目だったので、オペラグラスなしに、美しい1幕のワルツや、白鳥の群舞を堪能しました。
1幕の友人たちの群舞やパ・ド・トロワは、バレエを見始めた昔は退屈に感じてましたが、最近はこういう場面がとてもきれいだと感じます。
優しい色あいの衣装と、柔らかく上品なダンサー達の踊り。
道化の小野寺さんは、健闘していましたが、道化はもっとはじけていてもいいと思います。
私はキュートな道化が好きですね。道化とは、退屈な宮廷をなごませる役目だから、いつも何かおかしな事をしていて、ずっと見ていても飽きないかわいさがあって欲しいです。
踊りはとても良かったし、八幡さんの32回転には届かないけれど、しっかりした回転軸だったから、これから色々工夫していったら将来有望です。
パ・ド・トロワの江本さん、長田さんは明るい雰囲気でとても良かったです。
細田さんは表情がお葬式みたいなので、もっと笑えばいいのにと感じました。
プロなんだし、このシーンの祝祭感が出ないです。ああいう顔で踊っていると、上手でも発表会みたいに見えるものですね。
細田さんは大活躍で、1幕はパ・ド・トロワ、2幕は大きい4羽、3幕はルースカヤ、4幕の2羽も踊っていました。ルースカヤと白鳥は笑わなくても大丈夫ですし、白鳥のポーズはとても美しかったのでそちらは良かったです。

マイレンは、キュラクター系の濃い役のイメージが強いので、この正統派王子というのがなんだが不思議な感じだけれども、若々しさはなくても落ち着いていて、踊りも安定しているし、演技も丁寧。
1幕でにぎやかな仲間が去ってひとりきりになるシーン。
自分はどうしたらよいのか…と心の不安を押し隠すように、机の上の花(これは花嫁を選べという命令の象徴)をまず手に取り、匂いを嗅ぎ、いややはり違うとその花を置いて、本を手に取る(これは大人になれという象徴)が、読もうとしても内容が心に入ってこない様子。
そこで今度は本を置いて、弓を手に取って、そうだ、このもやもやを晴らすために狩りに行こう!(まだ大人になりたくないし、結婚もいやだということの象徴)
…という王子の気持ちの流れがすごく良く解りました。
このシーンでこんな風に王子の気持ちが伝わってくることって少ないです。
たいがいは憂いを帯びた表情で踊っているだけが多いですから。
マイレンさん、さすがでした。

オデットの堀口さん。触ると壊れてしまいそうな繊細な白鳥でした。
去年のガラで観た白鳥が、ちょっと寂しすぎる印象を受けたので、どうなるかと思っていましたが、その時よりもずっと良かったですし、ポーズで静止する時間が長くて、きっちり踊ろうとする意志を感じました。
様式美だったり、女王様だったり、とらわれの身だったり、色々なタイプの白鳥がありますが、堀口さんの白鳥は、「オルゴールの上で踊っている繊細なガラス細工のバレリーナ人形」のようなオデットで、彼女のキャラに似合っていると思いました。
ただ、黒鳥オディールとの演じ分けが、まだできていないようでした。
あの繊細なオデットとの対比ですから、うんと人間くさくて泥臭いとか、いじわるで自己中とか、これはもう自分の中の黒い部分を思いっきり拡大していくしかないと思います。
誰にでもオデットのような白い部分と、オディールのような黒い部分がありますからね。
でも、若いバレリーナだと、たいがいはオディールの方が演じやすいはずなんですよ。
若さからくる未熟さとは人を傷つけるものですから、それがオディールにつながる。
オディールよりもオデットの方がうまく表現できる堀口さんって、すごく心の清い方なのかもしれません。

白鳥のコールドは、よく揃っていて美しかったです。
とくに小さな4羽の白鳥はぴったり。今まで見た中でもダントツと感じました。

この牧版の欠点は、やはりラストのロートバルトとの対決です。
王子がオデットをリフトすると、「最終兵器オデット」のようにロートバルトが苦しみ出すんです。
二人の愛の力でロートバルトをやっつけたという事らしいですが、それならそれで、照明でビーム砲が二人からロートバルトへ照射されるように工夫するとかしたらどうなんでしょうか。


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2014年02月10日

東京バレエ団「ロミオとジュリエット」沖&柄本2日目

2014年2月8日(土)2時 東京文化会館

ジュリエット 沖香菜子
ロミオ 柄本弾
マキューシオ 木村和夫
ティボルト 森川芙央
ロザリンデ 渡辺理恵
僧ローレンス 岸本秀雄
キャピュレット夫人 奈良春夏
ベンヴォーリオ 杉山優一
パリス伯爵 梅沢紘貴

素晴らしい舞台でした。感動しました!!
ノイマイヤー版のロミオとジュリエットは初めて見ましたが、展開がスピーディで現代的な味つけがあり、衣装や舞台装置など、スタイリッシュだなと感心するシーンがいくつもありました。
シルエットをうまく使ったり、葬儀のシーンで黒い頭巾を全員にかぶらせたり…ジュリエットの寝室(ロミオとの初夜)は、まるで現代の都会のホテルの一室みたい(笑)でした。

ジュリエットが裸にバスタオル1枚で登場するシーンは、ジュリエットの走りや動きを、あえてバレエの動きではなく、素の動きでやらせているそうで、沖さんのはねまわるようなお転婆ぶりの演技もあいまって、新鮮な驚きがありました。
タオル1枚の入浴シーンといえば、新国立劇場の「アラジン」の中にも似たような場面がありますが、ビントレーは、ノイマイヤーのこのシーンからヒントを得たのでしょうか。

ロミオが当初恋こがれているロザリンデは、落ち着いた美しい完璧な女性ですが、従妹のジュリエットはまだまだ幼いドジっ子ちゃんで、舞踏会で階段からずっこけるわ、テンパって踊りの振りを忘れるわ…14才ぐらいの女の子って、そんなもんですよね。
マクミラン版だと、ジュリエットの幼さを表わすのに、乳母と人形を取り合うシーンがあるのですが、14才になってお人形遊びなんかやっている子いるわけないじゃないですか。せいぜい9才ぐらいまででしょう。
だから私はいつもそこに違和感を感じていたんですが、ノイマイヤー版なら、納得です。

リアルな14才の女の子が恋をして、別の相手との結婚を押し付けられて、どうしたらいいかわからなくて、知り合いの僧ロレンスに相談したら、「この薬を飲んだら、死んだみたいになるから、みんなに死んだと思わせておいて、ロミオとどこか遠くに行って幸せになったらいい」とか言われ、その計画にのったけれども、行き違いがあってロミオは死んでしまったので、ジュリエットも後を追った。

このストーリーの中には、両家の対立という要素は少なくて、ロミオとジュリエットも、家のこととかあまり重要に考えていなくて、その場その場の感情でどんどん行動していく。
ロミオがティボルトを殺してしまったのもそうで、まさに若さとありあまるパワーでスピーディに物語が動いていく。

その象徴ともいえるシーンが、結婚を押し付けられたジュリエットがロレンスの元に相談に行く場面。
文字通り、「走る」「走る」「走る」「走る」。舞台を全速力で、バレエ的でない素の動きで、走って横切って袖幕に入り、また走って反対側の袖幕に入るのを4回ぐらい繰り返す。
こんなシンプルな振付を大胆に全幕バレエに入れたノイマイヤーの革新性にびっくりします。
これを見たときはなんという振付だろうとあきれたけれども、あとあとになって思い返すと、すごく印象に残っているのが不思議です。

両家の対立の犠牲になった悲劇の恋人たち、というよりも、若さでつっぱしった恋人たちの物語なんだと思います。だから、最後もジュリエットが自殺して、ロミオの手に自分の手を重ねてすぐに幕が下りる。
両家の人たちが二人を見つけて、悔いて和解するというような場面はあえていれていないのでしょう。

この版には、ノイマイヤー作品の特徴である「劇中劇」や二重構造もいくつか使われています。
広場に旅芸人が来て、ロミオとジュリエットの悲劇のお芝居をする。
ロレンスが秘薬の説明をする時に、旅芸人がロレンスの計画をわかりやすく演ずる。
ジュリエットが秘薬を飲む前に踊ると、ロミオが表れてシンクロして踊る。
秘薬を飲んだジュリエットが、薬のもたらす幻覚の中でロミオと、ついで死んだマキューシオと踊る。
こういうシーンがあるから、登場人物も多くて、ソロの見せどころも用意されているので、東京バレエ団がレパートリーにしたということは、とても良い判断だったと思います。大切に育てていって欲しいと思います。

ダンサーについてですが、沖香菜子さんは素晴らしかったです。
浴室でのはつらつとした踊りや、柔軟な肢体を生かした美しいポーズ、大きな目で語る喜怒哀楽の表現、ジュリエットになりきった演技もとても良かったし、ノイマイヤー版のジュリエットは彼女にぴったりのはまり役でした。香菜子さんは、古典だけではなく、コンテンポラリーも良さそうです。
子どものための眠り、ラ・シルフィード、ザ・カブキ、ロミジュリと大きな役が続いていますが、一段一段プリマへの階段を昇っているように感じます。これからが楽しみです。

柄本弾さんは、ザ・カブキの時とはがらっと変わって、ちょっとおバカさんな等身大の明るい若者を好演していました。ニコニコしながら三バカトリオの踊りを一番元気に踊っていたシーンがかわいくて忘れられません。
ジュリエットとのパ・ド・ドゥは難しそうなリフトがてんこもりなのですが、このペアでの2日目のせいか、踊りの流れをとぎらせるような不自然さはほとんど感じませんでした。
カーテンコールの時に、弾さんが、沖さんにうやうやしくかしずいて、優しく手にキスしていた(それも2回も)のが印象的でしたが、柄本さんにとっても、それほど役にのめりこめた舞台だったのだと思います。

マキューシオの木村さんは、さすがでした。演技も踊りも。でもこの舞台ではちょっと老成しすぎていて浮いていたような気がしました。ノイマイヤー版に求められている、若さからくる馬鹿さかげんを表現するには、現実に若いダンサーでなくてはだめなのかもしれません。

ティボルトの森川さんは、すごくかっこよくてしびれました。森川さんがこんなに背が高くて、ちょっとダークな役が似合うとはと認識を新たにしました。ロミオに刺されて、2階から落っこちるというドラマティックな演出でしたが、あれ大丈夫なんでしょうか。
キャピュレット夫人の奈良さん、ティボルトが死んだシーン、ティボルトの上半身を無理やり起こして踊る場面は、マクミラン版の死体とのダンスシーンのようで、ド迫力でした。白塗りも怖かった。

ロザリンデの渡辺さんは、完璧な女性というこの役にぴったりで、美しくて優雅でした。ロミオに惚れられて、まんざらでもなかったのに、あら私のこともうお忘れになったのちょっと残念だわ、という表情、良かったです。

なかなかに適材適所な配役だった一方、女性はいいとしても、男性陣がやはり人材不足の感は否めませんでした。中堅どころが大量に抜けたのは痛かったですね。マキューシオにもっと若い人をキャスティングできなかったし、パリス伯爵はロミオの対抗馬としては、もっと長身イケメンでなくちゃ。ベンヴォーリオも目立たなかったです。長身男子が欲しい!!

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2013年10月19日

Kバレエ2013Autumn「白鳥の湖」遅沢&浅川

2013年10月19日(土)14時 東京文化会館大ホ−ル
オデット/オディール 浅川紫織
ジークフリード 遅沢佑介
ロットバルト 杉野慧
ベンノ 井澤諒
パ・ド・トロワ 日向智子 池本祥真 佐々部佳代

Kバレエの白鳥を見るのは2年ぶりです。
今回は衣装がいろいろ新調されていたようで、ベンノがやっと舞踏会用の衣装をもらえたことは良かったですね。花嫁候補の衣装はスカートがプリーツ仕様に変更されていました。
振り付けでは、1幕の王子のソロがなくなっていました。これは熊川さんの負担を減らすためかなと思います。

浅川さんは、昨年末に怪我をして、シンデレラの仙女で復帰した時に、踊りが柔らかくなったと感じましたが、さらにオデットでは女性らしくなっていました。
2幕の最後の方、王子と逢引していたのをロットバルトに見つかり、ロットバルトの魔力のせいで、急に腕の動きがピキピキ、カクカクとなるところは、彼女なりの工夫なのかしら?
ああいう風にやるのは初めて見たので面白かったです。
オディールは生き生きとしていて、楽しそうに王子をだます様子がとても良かったです。
遅沢さんは、舞台前のレッスンを見学した友人によると、足に湿布をしていて、ストレッチしかしていなかったという話でしたが、ちゃんと飛んで回って、熊川振り付けの難しい踊りをきちんとこなしていました。

今日一番の発見はロットバルトの杉野慧さん。
とてもがっしりした体躯で、男性らしいし、動きがスピーディで、楽しそうにロットバルトを演じていました。キャシディのロットバルトはとてもいいいけれど、杉野さんのロットバルトも負けず劣らずいいと感じました。こんなダンサーがKバレエにいたとは!
Kバレエブログによると、杉野さんは小学生の頃からKバレエでロットバルトを演じるのを夢見てきたということですが、主役を目標にするのではなく、キャラクターダンサーを目標にするというのもありですよね。
そういえば、山岸涼子の漫画「アラベスク」にも、『良いキャラクターダンサーになるのは、主役になるより難しい』というようなことが書いてありました。
それにしても、Kバレエの白鳥の湖も、初演からもう10年ぐらいたつんですね。

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2013年10月18日

英国ロイヤルバレエ「ドン・キホーテ」シネマ中継

2013年10月17日19時15分 イオンシネマ
カルロス・アコスタ版「ドン・キホーテ」
バジル:カルロス・アコスタ
キトリ:マリアネラ・ヌニェス

評判が良いという、アコスタ版ドンキ。
映画館での中継…と言っても、時差があるので、生中継ではありません。
それならば途中の休憩時間はカットしてくれれば、早く帰宅できるのに。
3時間以上で長いっ!!

でも、とっても楽しかったです。
特にバルセロナの広場(第1幕)と酒場(第3幕)、いろいろな登場人物が生き生きと動き、踊る様子が、多様な人種がいるロイヤルバレエにはぴったりでした。
マノンに出てくるようなベガーズ(乞食たち)4人が結構目立つ踊りをします。
冒頭にすごい高速ピルエットをするのは、そのベガーズの一人、アクリ瑠加君。
ベガーズは4人で、蔵健太さんもその一人。

キトリのマリアネラ・ヌニェスは、明るいオーラで、ラテンだし、テクニックも万全だし、表情もかわいくて、ノッリノリ。アコスタとの掛け合いも息がばっちりで、サポートピルエットは超高速で8回転がデフォ、フィッシュダイブもとってもスムーズ。

特典映像でアコスタのインタビューがありましたが、アコスタはこのドンキを作るにあたって、世界中のヴァージョンを研究したそうな。
リハーサルでは、すべてのパートを自ら踊って見本を見せていて(もちろん女性のパートも)、それもすごい!
アコスタのバジルは男らしいし、演技も面白いし、でもどこかエレガントだし、跳躍技や回転もなんかすごいことやっていました。
平野亮一さんがエスパーダだったのですが、長身ですごくキレのあるかっこいい踊りでした。
ただあごひげを生やして、切れ目のメイクをすると、まんま中国の薬売りみたいで違和感が…
でも踊りはカッコ良くて最高でした!
闘牛士たちもみんなカッコ良くて、迫力があったなぁ。
しかし、メルセデスが踊る、いわゆる「ナイフの踊り」(ナイフの間を踊るやつね)は、ナイフでなくて、ビアマグみたいなのになってた!!ありゃりゃ!!
ナイフだと刺さらなくて倒れちゃったりするし、床が痛むのかな〜ここも違和感でしたが、メルセデスのラウラ・モレーラはねちっこい踊りで目力がすごかったわ。

アコスタ版では、第2幕の冒頭で、バジルとキトリのパ・ド・ドゥがあります。その音楽が、ラ・バヤデールのたぶん最後の方の部分で、ここもちょっと違和感。同じ作曲家(ミンスク)だから使ったのかしら。
ジプシーの踊りが何度もあって長すぎるかしらね。
そして舞台上にギタリストが3人ぐらい出てきて、本当にギターを弾いて演奏するのはいいんだけれども、そこで演奏している間に、ドンキおじさん一人が、風車のことが気になって、サンチョに「おい、あそこに怪物が…」と言うも相手にしてもらえず、一人でおろおろ、フラフラとしているのが可愛そうでした。
そしてついに風車に向かって突進、というくだりになるんですが、このあたりちょっと冗漫だったかな。

その後、舞台下手に倒れているドンキホーテが、幕が開いて美しい女性たちの群舞が始まると、まるで幽体離脱するように倒れているところからもう一人のドンキホーテが立ち上がって、女性たちの所に行き、この、いわゆる〈森のシーン〉が終わると、また倒れている自分の体のところに戻っていく…という、『幽体離脱』の演出は、どういう風に入れ替わったのか、まったくわからなくて、倒れているのはてっきり人形だとおもったら、それが最後に起き上がったので、すごいトリックでした。

〈森のシーン〉は、意外と普通でした。というか、コールドが揃っていないので(ロイヤル・クオリティかもしれませんが)あまり美しく感じられませんで少々退屈でした。また、キューピッドがキューピッドらしくなくて、他の人と同じようなチュチュの衣装なのでした。私はキューピッドの格好でカツラつけて出てくる方が好きだなぁ

第3幕は酒場のシーンからで、ここは登場人物大集合で、また楽しい!
キトリとメルセデス、バジルがテーブルの上に乗って踊るのも良い演出だと思います。
で、ロレンツォがバジルとの結婚を許した後、ドンキホーテとガマーシュが決闘して、ガマーシュが負けて酒場の女の子にプロポーズするという演出があり、奥が開けて、結婚式のグラン・パ・ド・ドゥに突入。
アントレのコールドの中に、2011年のローザンヌコンクールのマヤラ・マグリさんがいました。

アコスタ版ドンキの良かったところのまとめ
@いろんな登場人物が生き生きとしていて、たくさんのダンサーがそれぞれ踊りでの見せ場がある。
Aドンキホーテの幽体離脱
B酒場のシーンでテーブルに乗って踊るところ

でしょうかね。
ドンキホーテがドルシネア姫に恋焦がれていることを説明する工夫もありましたが、そのあたりのつじつま合わせのつけ方は、熊川版の方が上手ですし、ドンキホーテとガマーシュの決闘シーンもありますが、そこも熊川版の方が面白く作ってあります。

演出としては、熊川版の方が総合的にすぐれていると思いますが、ロイヤルは、主役はもちろんのこと、キャラクテールやベテランや新人ダンサーが素晴らしく、贅沢にそれぞれの見所たっぷりに配置していて、みんなノリノリで演じているのがたまりませんでした。


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2013年10月13日

新国立劇場バレエ研修所 第9期生・第10期生発表公演

2012年10月13日(日) 15時 新国立劇場中劇場

『トリプティーク〜青春三章〜』
第9期生(足立真里亜 関晶帆 吉田早織 佐野和輝 吉岡慈夢)
第10期生(木村優里 清水理那 土方萌花 森田理紗 長谷怜旺 山本達史)
予科生(中島瑞生 渡邊拓朗 赤井綾乃 廣川みくり 横山柊子)
第8期終了生(中西夏未)

この作品は、2013年11月にボリショイバレエ学校240周年記念として、ロシアで行われる国際バレエ学校フェスティバルで披露するそうです。
男子の若々しい踊りから始まり、いくつかのグループが出てくるネオ・クラシック風のスピーディな曲の間に、しっとりしたデュエットと、もう一組増えて4人の踊りがあります。
デュエットを踊ったのは8期生の中西さんと吉岡さん。もう一組のペアは、木村さんと佐野さん。
中西さんは、怪我で終了公演に出られなくて残念でしたが、さすが上級生だけあって、抜群の安定感があります。
そして、木村さんは、小鹿のように細くて長い手足と長い首、顔もちっちゃくて、バレリーナとして理想的なスタイル。やわらかいポールド・ブラも素敵でしたし、脚も高くあがる。
どうやら今回、牧先生のイチ推しは彼女のようです。
男性では、10期の山本君が、とても軸のきっちりしたピルエットを見せてくれました。

バレエ研修所の様子のビデオ上映

クラシックバレエ、コンテンポラリー、パ・ド・ドゥ、ヒストリカル・ダンス、キャラクラー・ダンス、スパニッシュ・ダンス、ボディ・コンディショニング、演劇基礎研修、デッサン、ノーティション、茶道、身体解剖学、栄養学、美術史、劇場史、バレエ史、バレエと音楽、劇場史、マナー講座、英語など、一流の教師から教えを受けられる、すばらしい環境だということがよくわかります。

『パ・ド・フィアンセ』
吉田早織 木村優里 清水理那 土方萌花 森田理紗 横山柊子

ジョン・カーター振り付けらしいですが、衣装もおかしな色合いだし、頭の髪かざりもブルーバードみたいだし、振り付けも、やけに無駄にむずかしく、そのわりに音楽を効果的に使っていないような気がしました。
これだったら、眠りの妖精たちでも踊った方がいいように思いました。

『カルメン』
関晶帆

プティのカルメンにちょっと似ていましたが、牧阿佐美振り付けだそうです。
関さんは、背が高くて舞台栄えのする美人ですね〜。カルメンの妖艶さまでは表現できなかったですが、コケティッシュだし美しくて、いつまでも見ていたいと思わせる。
彼女にとても似合っていると思いました。

『ラ・バヤデール』より第2幕パ・ダクション
ガムザッティ 足立真里亜 ソロル 佐野和輝
ピンク・チュチュ 清水理那 森田理紗 廣川みくり 赤井綾乃
ブルー・チュチュ 木村優里 土方萌花 横山柊子 中西夏未
長谷怜旺 山本達史 中島瑞生 渡邊拓朗

ガムザッティの足立さんは上品な雰囲気で、ヴァリエーションもフェッテもきちんと踊っていましたが、なんというか、真ん中としての吸引力がないんです。
全体的に、トリプティークと比べて、練習不足なのか、面白みが感じられませんでした。

バレエ研修所も10期となり、バレエ団のコールドの半分を研修所出身者が占めるようになりました。
小野絢子さん、八幡顕光さんのような素晴らしいプリンシパルもここから生まれ、実績を作ってきています。
かなり初期から見ている身としては、やはり研修生のレベルも粒ぞろいな時とそうでもない時と様々だと感じています。
研修所の時は牧先生の推しだったのに、バレエ団ではそれほど活躍できていない人もいるし、研修所ではそれほど目立たなかったのに、バレエ団で順調に役がついている人もいます。
新国立以外へ行って活躍している研修生もいます。
東京バレエ団へ入った入戸野さんは、大きな役をもらっていますし、Kバレエへ入った山田蘭さんは、スタイルが群を抜いて美しく目立っています。

本来、バレエ団付属のバレエ学校は、そのバレエ団のカラーに染める教育をするわけで、それから言うと、今のバレエ研修所(牧阿佐美)VSバレエ団(ビントレー)という、まったく違う嗜好の〈ねじれ〉は、ねじれ国会と同じで、よろしくない状況です。
まあこれは、次期監督の大原先生になれば解消され、牧路線になるんでしょう、きっと。
私は牧先生の振付と演出は気に入りませんが、舞台装置や衣装、ダンサーに関しての、牧阿佐美の上品な美意識は大好きです。

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2013年08月09日

東京バレエ団子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」

2013年8月9日(金)11:30 めぐろパーシモンホール
オーロラ姫 沖香菜子
デジレ王子 松野乃知
リラの精 高木綾
カラボス 奈良春夏
カタラビュット 岡崎隼也

子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」の企画は大成功だったと思います。
カタラビュットに語らせることによって、わかりやすく、子供も飽きないような工夫がなされ、時間も短縮。でもローズ・アダージオと最後のグラン・パ・ド・ドゥ、リラの精の踊りはきちんとあって、バレエファンの大人も一応満足できるレベルを保っています。

そして若手を積極的に起用することによって、ベテラン勢が大量に退団してかなり危機的状況にある東京バレエ団のダンサー達の中から、これから真ん中をしょって立つプリマを養成することができるという一石二鳥。
東京バレエ団の場合は、本公演だといつも海外からのゲストを呼ぶことが多いので、中々主役を踊る人材を育てにくかったという事情があります。
その点、団員だけで上演するこどものための公演は、簡単な舞台装置で全国を回って回数多く上演できるのも強み。

初演時に入団2年目で大抜擢された沖香菜子さんと、松野乃知さんのフレッシュペアは、その企画にぴたりとはまって、期待以上の素晴らしい成長を見せてくれました。
特に沖香菜子さんは、「ラ・シルフィード」での主演を経て、見事なプリマとしての格段の進歩が感じられ、驚きと嬉しさで涙がでるほどでした。

初演の時は、時々「これでいいのかしら?」というような不安を見せていた大きな目の使い方もこなれていて、場面場面にそって自然な表情で、16才の姫らしく愛らしかったです。
ローズ・アダージオでは、ちゃんとアンオーまで手をもっていって、最後は長いアラベスクのバランスも見せてくれましたし、パンシェできれいに脚が180度あがるし、スタミナも最後まできちんと続いて、ほぼ完璧な踊りでした。

登場の場面での、はじけるような軽やかなフレッシュな脚さばき、そして毒がまわって苦しくなるところの演技なども良かったです。
松野さんも、若々しく、高くあがるアラベスクの脚のラインがきれいでした。
このお二人は組んで踊る時も、とてもしっくりとサポートがうまくいっていて安定感があります。

東京バレエ団では2015年2月にマラーホフ版の「眠れる森の美女」を上演するそうですが、ぜひこのお二人の主役で観たいと思いました。


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2013年07月21日

バレエ・アステラス2013

平成25年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業
バレエ・アステラス2013
海外で活躍する日本人ダンサーを迎えて

2013年7月21日(日)15時 オペラパレス

「FANDANGOS Y BLERIAS」
新国立劇場バレエ研修所修了生・研修生
ギターと生歌がカッコ良くて、ダンサーの方たちもきれいで良くまとまっていました。
新国立劇場らしく、そつなく美しく、演目として見ごたえがありました。

「アントレ」
カザフスタン共和国立アルマティ舞踊学校
男女6人ずつで踊るクラシックの演目。黒髪でアジア系の顔立ちの方が多い。
ジャンプやフェッテ、回転技など、テクニックを見せる振付で、少々荒けずりだけれども、中々レベルは高かったです。

「ハイオト」−人生
民族衣装を着た女の子が踊るソロ。動きが柔らかくて上手でしたが、ウズベク民謡が流れて、歌謡ショーみたいな雰囲気になってました。

「エル・トゥラン」−闘いの荒野
カザフスタン共和国立アルマティ舞踊学校
女の子も入ったスパルタクス。同じ振付がいっぱい。勢いがありました。

第2部
「くるみ割り人形」よりアダージオ
カザフスタン共和国立アルマティ舞踊学校
マーシャと王子&男性4人で踊るアダージオでした。これは以前の新国立版のくるみにもありましたが、うーん、この年頃の子が踊るには難しいかな。振りをこなすのに精いっぱいで、幸福感とか出すまでに至らず。

「ジェンツァーノの花祭り」パドドゥ
唐沢秀子&ケンドル・ブリト(バレエ・メンフィス)
黒人のケンドルさんはしなやかで、唐沢さんはかろやかで丁寧な踊りで、好感のもてるカップルでした。

「海賊」パドドゥ
小笠原由紀&クラウディオ・カンジアローシ(ドレスデン・ゼンパーオーパー・バレエ団)
特にどこが悪いわけでもないのですが、アピール力というか、私にはオーラがあまり感じられませんでした。

「白鳥の湖」第2幕アダージオ
堀口純&貝川鐡夫
堀口さんがすごく痩せていて、筋肉の筋が全部わかるくらいになっていましたが、この白鳥を踊るために落としたのでしょうか。
静謐で、幽玄さも感じるような、悲壮感のある白鳥でした。オデットは白鳥の女王ですから、もうすこし太って、あでやかさも備えていた方がいいような気がしますが、堀口さんのこの踊りにかける真摯な気持ちがすごく伝わってきて感動しました。ぜひ彼女で白鳥の全幕を見てみたいと思いました。

「ダイアナとアクティオン」グラン・パ・ド・ドゥ
寺田翠&大川航矢(ウクライナ国立オデッサ歌劇場バレエ団)
2011年のローザンヌに出場して注目された大川さんですが、今はこのバレエ団のプリンシパルだそうです。
彼はジャンプがびっくりするぐらい高くて、540(ファイブフォーティー)にプラス90度?180度?のひねりを加えたり、ダブルのザンレールに続けて540をやる技を2連続でかましたりとか、笑っちゃうぐらいすごい事を色々やってくれました。身長が低いですが、身体のバランスは取れていると思います。
大技をやろうとするあまり、コントロールが少し失われていました。
ポテンシャルは、熊川哲也並みではないでしょうか。
もう少し技を控えて、ボディコントロールを重視したらもっと美しくなるのでは。
でも彼の持つ陽性な雰囲気は好きです。
寺田さんも、軸がしっかりしたテクニシャンで、バネのようにパッと180度開脚するスピードが素晴らしい。
二人とも、勢いがあって、若々しくて、素敵なバレエ・カップルです。
ドンキホーテ全幕とかで観てみたいです。

第3部
「サタネラ」
寺田亜沙子&奥村康祐
寺田さんは手足が長くて抜群のプロポーションの持ち主。こういうかわいい演目を踊るのを見たのは初めてでしたが、とても似合っていたし、奥村さんも清潔感があってかわいい(笑)。
お人形さんと男の子という感じで、お二人にぴったりの演目でした。

「眠れる森の美女」第3幕のパドドゥ
オニール八菜&フロロン・メラック(パリオペラ座バレエ団)
パリオペの正式団員になったオニールさん。容姿端麗で、オーラもキラキラ。
オーロラにしてはシンプルな衣装だったのですが、本人の輝きで十分。
お相手のメラックは少々ヘタレさんで、最後の方、全然飛べてませんでした。

「トリスタン」よりパドドウ
海老原由佳&ウラジミール・ヤロシェンコ(ポーランド国立歌劇場バレエ団)
コンテンポラリーだったのですが、海老原さんは脚のラインが美しく、ウラジミールさんは長身でカッコ良かったです。

「タランテラ」
佐久間奈緒&ツァオ・チー(バーミンガムロイヤルバレエ団)
なぜこの演目を?と少々チャレンジングな気がしましたが、さすがベテラン。踊りこなしていました。

「白鳥の湖」より黒鳥のパドドゥ
高橋絵里奈&アリオネル・ヴァーガス(イングリッシュ・ナショナルバレエ団)
やはりプリンシパルは魅せ方を良く知っていると思いました。
高橋さんのフェッテは、上げた脚が90度ぐらいの高さでまっすぐにアラスゴンドまでいくのが綺麗です。

フィナーレ
「バレエの情景」
出演者全員が少しずつ踊ってフィナーレとなりました。

玉石混合とでも言いましょうか。若い世代の育成事業ならば、佐久間さんや高橋さんなどのベテランは入れなくてもいいような気がしますが…
ブルガリアのバレエ団にいる方とか、まだまだ素晴らしい日本人ダンサーが海外にはいると思います。
興味深い企画なので、また来年も観たいです。

ぴかぴか(新しい)









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2013年06月23日

新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」小野&菅野

2013年6月23日(日)2PM オペラパレス

キトリ 小野絢子
バジル 菅野英男
ドン・キホーテ 古川和則
サンチョパンサ 八幡顕光
ガマーシュ 輪島拓也
ロレンツォ マイレン・トレウバエフ
キトリの友達(ジュアニッタ)堀口純
キトリの友達(ピッキリア)細田千晶
エスパーダ 福岡雄大
街の踊り子 寺田亜沙子
メルセデス 湯川麻美子
カスタネットの踊り 厚木三杏
森の女王 本島美和
キューピッド 五月女遥
第1ヴァリエーション 奥田花純
第2ヴァリエーション 長田佳世

いつも感じるのだけれども、小野絢子というバレリーナは、バレエ本能を持っているので、どんな役でも、そのエッセンスを直観的に理解し、表現することに長けています。
それを初めて感じたのは、「アラジン」で、囚われの身になった姫が、脱出するためにマグレブ人を誘惑する場面。それまで純真なお姫さまだったのに、ガラッと変わって急に妖艶な雰囲気を出したのです。そう、誘惑するんだから、それぐらいやらなきゃねと私はかなり納得しました。その時に姫役にキャストされたダンサーの中で、そんな風に演じたのは彼女だけだったのです。

今日のキトリにしても、キトリは街一番の美人で人気者。ちょっと気が強いけれども、コケティッシュでまわりをパッと明るくするような人柄…という、「キトリとはこうあって欲しい」という私のツボにはまる踊りと演技を見せてくれました。

ジュッテしながら、上にあげた手を開く時のアクセントの付け方とか、その緩急、首の付け方、ほんとにちょっとしたことなのですが、それがキトリらしさに繋がっていきます。
踊りも万全だし、華やかでつややかで、唯さんが白いプレミアムコットンのハンカチーフだったら、絢子さんは艶のあるバラ色のシルクのスカーフのようです。(個性の違いであって、どちらがいいとかいうことではないです)

ドンキでは「魅せる」ことも重要だとわかっている絢子さん、グランパのヴァリエーションでは、長いポワントパランスでのアラベスクをしていたし、コーダのフェッテでは、シングル、シングル、ダブルの時に両手を腰に当てるという技を披露してくれました。
バジルの菅野さんは、とても安定していて、サポートも上手。
もうちょっとバジルとしては、はじけても良かったかな。

今日のMVPは、マイレンのロレンツォ。
バチャン!というものすごい音でトレイを落として、そのあと、キトリとバジルの仲を許さないぞ、と怒るその表情が「ワンピース」かっ?というくらいコミカルすぎて、マイレンに釘付けでした。

たぶんテクニックの強さでは米沢唯さんの方が上かもしれませんが、プリマとしての魅せ方を心得ているという点では小野さんの方に一日の長があると思います。
小野さんはオールマイティですね。何をやってもいい。
キトリでも白鳥でもマノンでも。
来期のシーズンチケットのご案内パンフも、新制作を除いて全部小野さんの写真だし。
凄いプリマですよ。
バレエ研修所卒業公演の時は、これほど大物になるとは思いませんでした。
今年はバーミンガムロイヤルへの客演も果たしたし、世界へはばたくバレリーナになって欲しいです。

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新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」米沢&福岡

2013年6月22日(土)2PM オペラパレス
キトリ 米沢唯
バジル 福岡雄大
ドン・キホーテ 山本隆之
サンチョパンサ 吉本泰久
ガマーシュ 古川和則
キトリの友達(ジュアニッタ)長田佳世
キトリの友達(ピッキリア)奥田花純
エスパーダ マイレン・トレウバエフ
街の踊り子 寺田亜沙子
メルセデス 本島美和
カスタネットの踊り 西川貴子
森の女王 厚木三杏
キューピッド 竹田仁美
第1ヴァリエーション 早乙女遥
第2ヴァリエーション 堀口純

バレエ通の中でも大変人気の高い米沢唯さん、私はまだ全幕で見たことがなかったのですが、余裕でさらっと凄いことをやってくれました。
注目のフェッテはシングル、シングル、ダブルの繰り返しの中で、2回転の時に扇子を持つ手を上から下におろしてひらひら、ということを4回ぐらいやって、そのあともダブルをいれながら、ほとんど位置もずれずにきれいに回っていました。
唯さんは踊りもとっても軽やか。ジャンプもふわっとあがるし、ポワントのバランスもきっちりと取れる。
たぶん、サポート付きのピルエットだって、7回転ぐらいいけるんじゃないかと思いますが、だいたい無難に4回転。ポワント・バランスも、おそらくもっとなが〜く余裕で立ってられると思いますが、さほど延ばさない。
もてる能力の85%ぐらいで踊って、その分の余裕で、音楽にピタッと合わせる。
とても気持ちの良い踊りだし、まったく押しつけがましさがありません。
あれだけ凄いことをやったら、どうだっ!て少しは得意げになっても良さそうなのに…。
その、清潔感があってさらりとしたところが、彼女の個性なんでしょう。
まるで、洗いたての洗剤の香りのする、真っ白なプレミアムコットンのハンカチーフみたい。

彼女は、タマラ・ロッホみたいに、技術だけで観る人を感動させることのできるバレリーナだと思います。
でも、タマラは85%じゃなくて、いつも全力で、彼女の持つ力を見せてくれているような気がします。
私は米沢唯の100%が観たい!!

今回のドンキでは、王子様だったはずの山本さんがドン・キホーテをやったり、プリンシパルのマイレンがエスパーダ、本島さんがメルセデス、その他脇を固めるキャストがベテランだし、すごくレベルの高い舞台になっていました。
主役をやるような人がごろごろ脇で踊っているというのは贅沢ですね。
福岡バジルも、すごく身体を絞っていて、ノリノリでした。
西川貴子さんのカスタネットの踊りが、哀愁があって良かったです。
新国立劇場も、だいぶ世代交替が続き、今シーズンで去るダンサーもたくさんいると聞きました。
気付いたら、コールドのメンバーはほとんど研修所出身者になっていますしね。
初日といつものパートナーを唯さんにとられた小野絢子さんが、どんなキトリを踊るのか楽しみです。


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2013年06月16日

東京バレエ団「ラ・シルフィード」沖&松野

2013年6月16日 15時 東京文化会館
ラ・シルフィード 沖香菜子
ジェイムズ 松野乃知
エフィー(花嫁) 河谷まりあ
マッジ 後藤晴雄
パ・ド・ドゥ 奈良春夏 原田祥博

シルフィードに抜擢された沖香菜子さんは入団3年目。ジェイムズの松野乃知さんは入団2年目。
子供の為の「眠り」で主役を踊っていますが、本公演ではふたりとも主役デビューです。
シルフィードと言えば斎藤友佳里さんの十八番。
今回はモスクワ音楽劇場でもこの作品の振付指導にあたっていた、ユカリーシャから熱血指導を受けたそうで、その模様やインタビューが東京バレエ団のブログやツイッターで発信されていました。
期待に応えて、主役、コールドのアンサンブル共に素晴らしい舞台を作ってくれて、特に沖さんは「プリマ誕生exclamation×2」という言葉が浮かんだほどです。

「ラ・シルフィード」は、結婚相手のエフィーがいるのに、シルフィードに目移りしたジェイムズが、シルフィードを捕まえようとして彼女を殺してしまい、すべてを失うという物語。
このシルフィードは、「ジゼル」で出てくる怖いウィリーとは違って、悪い妖精ではないそうです。第1幕が人間の世界、第2幕が森の中の妖精の世界という意味では構成が良く似ています。
二人の女性に目移りする男というのもよく似ています。もっとも古典バレエの物語では、「白鳥の湖」のジークフリード王子もそうですし、「ラ・バヤデール」のソロルも二股男。

「ラ・シルフィード」は、東京バレエ団やパリオペが上演しているラコット版と、デンマークロイヤルなどが上演しているブルノンヴィル版の二つが有名ですが、ラコット版は、ジェイムズとエフィーとシルフィードの三人で踊るオンブル(影)のパ・ド・トロワと、第2幕でシルフたちが目まぐるしくフォーメーションを変えるのが特徴だそうです。

幕があくと、椅子でうたたねをするジェイムズをシルフィードがじっと見つめています。
軽やかに椅子の周りを踊るシルフィード。香菜子さん、とっても軽やかで妖精らしいですぴかぴか(新しい)

松野さんは、長身ですが、男らしいというより、中性的な感じでかわいらしく、こちらも妖精のような(笑)ジェイムズです。
アントルラッセの後ろ脚がとても高くあがって綺麗ですし、ソロの時の足さばきも、ジャンプも大きさがあって踊りはのびやかです。ただ、マイム演技と表情がいささかパターン化しているのが残念。
香菜子さんと松野さんは、子供の為の「眠り」でずっと組んでいるせいか、二人のパ・ド・ドゥは安定感があります。
エフィーが加わってのオンブルのパ・ド・トロワは、少し不安定で、エフィーのリフトがちょっと持ち上げられなかった?っていう所もありました。松野さんの精神的なものも影響しているのでしょうか。
いつも組んでいる香菜子さんとは大丈夫だけれど、まりあさんとは緊張するとか?
それともやっぱりオンブルは難しいということなのか。 

まりあさんのエフィーはかわいらしくて、はまり役。
まりあさんも次世代のホープとしてこれからどんどん起用されてきそうです。

ただ私は井脇幸江さんが踊ったエフィーがとても印象深く残っています。
それはなぜかというと、井脇エフィーは妖精という〈非現実の世界〉と対比する〈現実の世界〉をいやでも常に意識させられる、可愛いだけでない、いわばちょっと「うざい」存在として際立っていたから。

第2幕は、森の妖精の世界にやってきたジェイムズとシルフィードたち。
香菜子さんと松野さんは、どんどん物語の世界に入りこんでいくようでした。
香菜子さんは、目千両。
目がものすごくぱっちりと大きくて、これまでは少々もてあましぎみな所もありましたが、舞台の上でシルフィードと同化していくにつれ、表情がナチュラルになり、効果的にその目力を使えるようになっていました。
彼女は柔軟な身体で、脚が高くあがるし、タフさもあって、踊りの場面が多くキツイこのバレエ、最後まで軽やかで、2幕のプリゼとパドシャを繰り返すパも、バネが跳ねるようで見事でした。
主役のお二人は、一人で踊るヴァリエーションも良かったですが、二人で組んで踊る時も安心感があり、香菜子さんをスムーズにふわっとリフトしていて、シルフィードの浮遊感が出ていました。
観客として見ているこちらも、主役二人の熱演に惹き込まれました。

幕が開いたときと比べると、ラストではあきらかに二人ともダンサーとして一段高いところに立っていたと感じました。ひとつの舞台でも成長する、これが若さなんでしょうか。
このような〈演じる役の人生を舞台で生きる〉経験を積み重ねることによって、プリマとして輝いていくという、その実例を今日は見たような気がします。
カーテンコールで、ユカリーシャが香菜子さんにお祝いのキスをすると、香菜子さんの大きな瞳に涙があふれました。
それを見て私も「プリマ誕生」の瞬間に立ち会ったという感動を受けました。



ぴかぴか(新しい)










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2013年02月23日

新国立劇場バレエ「ジゼル」ダリア・クリメントヴァ&ワディム・ムンタギロフ 2月22日

2013年2月22日(金)7PM 新国立劇場オペラパレス
ジゼル ダリア・クリメントヴァ
アルベルト ワディム・ムンタギロフ
ミルタ 堀口純
ハンス 古川和則
バチルド 楠元郁子
村人のパ・ド・ドゥ 寺田亜沙子 江本拓
ドゥ・ウィリ 丸尾孝子 厚木三杏

指揮 井田勝大 東京交響楽団

今バレエファンの間で注目のペアの主演日を観に行ってきました。
昨年のコジョカル・ガラで素晴らしい「くるみ」を踊った二人。
ムンタギロフは1990年4月16日生まれの22才。ダリアは1971年生まれですから、19才の年の差があります。
イングリッシュナショナルバレエに入団1年目のワディムと組む予定のパートナーが怪我で降板し、急遽ダリアと組んで「ジゼル」を踊ったら、これがフォンティーン&ヌレエフを彷彿とさせる、奇跡のパートナーシップの誕生となったそうです。

第1幕
ダリアは高く甲の出る足先がとても美しく、踊りは体重がないかのように軽やかです。
この記事を書くために調べて年齢を知ったのですが、オーバー40とは思えない、かわいらしい少女そのものでした。
内気で恥ずかしがり屋のジゼルで、控えめで地味。
いつも大人しくみんなの中に混じっているのに、踊る時だけは嬉しそうに、ほんのチョットだけ前に出る、あまり自己主張をしいない子。クラスにもこういう地味な子ってかならずいますよね。

アルブレヒト(この版ではアルベルトですが)の役作りは、ダンサーによって色々なタイプがあり、ルグリのようにブルーブラッドな貴族のお遊びタイプ、マラーホフのような純愛タイプ…
ワディムの場合は、そういう役作りなどあまり考えていないようでした。
プレイボーイというわけでもなく、それほど貴族らしいわけでもなく…育ちのよいおぼっちゃまという感じ。

ジゼルとの微笑ましい恋人同士のやりとりは、とっても自然で、ほんわかとした幸福感に満ちています。
古川さんのハンスが上手で、この三角関係を引き立てています。
ジゼルへの想いははっきりしているけれど、やりすぎず、バランスがいい。

アルベルトの正体がばれ、バチルドが「彼は私の婚約者なのよ」とジゼルに言うと、ジゼルは「嘘、嘘よ!」と信じられないようで、アルベルトはやむなくバチルドの腕を取ります。
ワディムはこのあたり、場の空気に流されるがままに行動しているようでした。

その様子をみて、ついにジゼルは倒れてしまいます。
この時、ジゼルの頭をなぜるようにして、母親のべルタがピンを取ってジゼルの髪を変えるのですが、その途中、くいっと一回ダリアは頭を上げたのです。あれは演技?それとも音楽のきっかけを間違えたのかな?
最初は座り込んで花占いのことを思い出し、それからだんだん激しく動きだします。
ダリアのジゼルは、とっても〈内気〉な女の子だから、「あの大人しい子があんな風になるなんて…」というように、狂気のシーンの〈激しさ〉が対照的に際立っていました。

第2幕
ミルタの登場、まるで宙に浮かんでいるかのようにスーッと移動するパドブレが見事でした!
以前、寺島ひろみさんがミルタを演じた時にも、浮遊しているごとくのパドブレで登場して肝を抜かしましたが、今回の堀口さんのミルタも凄かったです。
堀口純さんのミルタは、浮遊しているパドブレも良かったし、直線的な腕の使い方で、ミルタの冷たさや厳しさを表現していました。動きが大きくて、ウィリーの女王らしい威厳もありました。ジャンプもダイナミックで素晴らしいミルタだったと思います。

アラベスクで交差するシーンがある、ウィリー達のコールドバレエは、息を飲むほど幻想的で、まさにこれぞ新国立劇場バレエ団の真骨頂というものを見せてもらいました。

ウィリーの衣装のダリアは、細いのに筋肉サイボーグのような身体つきでちょっとびっくりしましたが、長年つちかった、バレエだけに必要な筋肉でできているのでしょうね。
万全のボディコントロールがなくては、物語に破綻をきたしますが、彼女の場合、そういう心配は全くありません。
決してテクニックをひけらかすタイプでもなく、脚を高く上げるわけでもないですが、美しく甲の出た足先と、上品で軽やかで優雅な踊りは、昔のタリオーニもかくや、と思わせます。
アルベルトとのアダージオで、ジゼルを前バランスでアラベスクさせる所が3回ほどありますが、そのポーズがまさに古典的で、「マリー・タリオーニのシルフィード」の絵のようでした。
Marie-taglioni-in-zephire.jpg

お墓に来たアルベルトは、ジゼルの気配を感じて近寄りますが、気配は感じても実体のないウィリーになったジゼルとは、抱き合おうとしても、すーっとすれ違ってしまいます。
人間であるアルベルトと、精霊であるジゼルとの違いがくっきり表れたシーンでした。
このあたりから、二人のマジックにかかってしまいました。

ブログなどを書いていると、どうしても素直に観賞できなくなっている事があり、どうしてこんなに素晴らしいのかと分析しながら観てしまうことが多々あるのですが、今回はそんなこと全部頭から追い払ってしまうぐらい、舞台に引き込まれた、涙が止まらなくなった二人のパ・ド・ドゥでした。

この二人は、こう踊ろうとか、こう解釈しているんだとか、そういう押し付けがましさがみじんもなく、とても自然に、物語を生きているのです。
もちろん踊りが素晴らしいことは言うまでもありません。
ワディムのリフトでふわっふわっとダリアは浮かんでいるようですし、彼のアントルシャシスのつま先はとってもきれいだし、ジャンプも高くてダイナミック。
ダリアは決して派手ではないけれど、優雅で気品のある、丁寧な踊り。

プロフィールを見ると、ワディムはバレエダンサー一家に育っているのですね。
だから、バレエの物語の中に自然に溶け込むのがうまいのかもしれない。
ダリアの魅力が、彼の清潔感のある控えめな個性で一段をきわだっているし、特に役作りをしなくても、二人がお互い、その場の一瞬一瞬に呼応しながら、自然にふるまっているのが、あの舞台を作りだしているのでしょうか。確かにマジカルなペアです。
朝の鐘が鳴り、アルベルトの命が助かった時のジゼルの表情ですが、特に微笑むではなく無表情だったのが、逆に精霊らしさを感じました。

期待にたがわぬ素敵な舞台で、大変感動しました。
このペアで、「ロミオとジュリエット」もぜひ観てみたいです。



ぴかぴか(新しい)









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2013年02月17日

エトワールへの道程2013 2月17日(日)

2013年2月17日(日)3PM 新国立劇場 中劇場
新国立バレエ研修所の成果
指揮 アレクセイ・バクラン
管弦楽 新国立劇場アンサンブル

第1部 クラシカルバレエ
「ワルツ」 牧阿佐美振付
スワニルダ以外の予科生・研修生が総出演する短い演目です。
爽やかで、研修生たちの若々しさ、みずみずしさが感じられました。

「眠れる森の美女」第3幕パ・ド・ドゥ
オーロラ姫 佐藤愛香 デジレ王子 逸見智彦

愛香さんの女性らしさと上品で温かい雰囲気は、18か19才という彼女の年齢を考えると、驚くほどです。最近の風潮で、女性は特に強くなっているので、少し古風なほどの「女らしさ」というものがとっても貴重になっていると思います。
観る人に、ほんわかとした幸福感を与えるような優しい存在感が、とっても好印象で素敵でした。


「ドン・キホーテ」第3幕グラン・パ・ド・ドゥ
キトリ 榎本朱花  バジル 中家正博
第1ヴァリエーション 足立真里亜
第2ヴァリエ―ション 朴 智願

中西夏未さんが怪我で降板のため、昨日に引き続き、榎本朱花さんがキトリを踊りましたが、今日は一段と踊りが冴えていて、また表現ものびのびとしていて、全幕の一場面を観たような気分になるほど、プロフェッショナルな出来でした!
アダージオのバランス技もあったし、タメや見栄の切り方も実に堂々としていたし、昨日ちょっと失敗したフェッテも今日はダブルをバンバン入れて成功させていました。
キトリのヴァリエーションは扇を持ってパッセを繰り返すヴァージョンでしたが、きびきびとした脚の動きが見事でした。
彼女がヒートアップして素晴らしい演舞でひっぱったせいか、男性のヴァリや、第1、第2ヴァリエ―ションも昨日よりも良くて、全体が盛り上がりました。
第1ヴァリの足立さんは、脚がとても高くあがるし、ふわっとした大きなジュッテが良かったです。
第2ヴァリの朴さんの音楽的な踊り方も素敵でした。


第2部
研修生振付作品
「MY STORY」振付 鈴木舞
出演 鈴木舞 鈴木優、榎本朱花、島田沙羅

自分の分身が次々現れてくるというテーマの作品で、最初に現れる舞さんのムーブメントがまず美しく、あとの3人とも息がぴったりです。暗めの照明と、白い衣装でシンプルな舞台なのですが、動きの中にある緩急と、振付のスピード感が心地よく感じました。
2分というのは短すぎるぐらいで、もっと観ていたいと思わせる作品でした。

「TOUCH」振付 佐藤愛香
出演 佐藤愛香
座っていて始まる最初はちょっと面白くなりそうな気がしましたが、次が予想できるような振付で、愛香さんはとても生き生きと踊っていたのですが、彼女の殻を破ってみせるような驚きのある作品ではなかったように思います。

ビデオ「最近の研修の様子」
タチヤナ・テーレホワをロシアから招いて行ったクラシックレッスンの様子や、能の講義、音楽を聴いて絵を描く演習や、パ・ド・ドゥのレッスンの様子が紹介されました。

「コッぺリア」第3幕ディヴェルティスマン
スワニルダ 鈴木優
フランツ清瀧千晴
夜明け 榎本朱花 佐藤愛香 鈴木舞 島田沙羅
祈り 関晶帆 朴智願 木村優里
仕事 足立真里亜 吉田早織 森田理紗 廣川みくり
闘い 佐野和輝 吉岡慈夢 中島瑞生 長谷怜旺

優さんのスワニルダは、初々しくて可愛らしいし、踊りもとても上手になって安定してきて、パンシェやアラベスクのポーズがとても美しいです。難しいリフトもきれいに決まっていました。第3幕だけでなく、第1幕のヴァリエーションもすごく似合いそうなので、ぜひ全幕で観てみたいと思いました。
優さんはそのチャーミングな表情と可愛らしさをもっと出していったら、より魅力的になるでしょう。

「夜明け」は、スワニルダ以外の8期生が踊りました。沙羅さんは小顔でホントに手脚が長い、そしてちょっと音を早取りして踊るので、モダンに感じられます。沙羅さんのあの素晴らしかった白鳥第2幕は忘れられません。いつかぜひ全幕でオデット/オディールを踊るのを観てみたいです。
舞さんは、昨日のアクシデントで、すごい舞台度胸と精神力の強さを見せてくれました。あれだけの事があっても格調高くオーロラを踊りきったのは一生の財産になるでしょう。

「祈り」は、背が高くてスリムな9期生の関さんと同じくスリムな予科生の木村さん、そして音楽性が素晴らしい朴さん。関さんと木村さんは、スタイル抜群な研修生の中でも目立つぐらいの細さですね。
「仕事」では、脚が良く上がる足立さんが目立ってました。
「闘い」の男性4人は、衣装がローマ時代の戦闘服みたいでしたが、勇壮な感じは出ていました。
だけど、まだこの人がこれだっという個性は感じられませんでした。

最後にこれで卒業となる8期生の挨拶がありました。
島田沙羅さんが、「これまでは舞台を経験するたびに何かを得ていたけれども、これからプロになったら、今度は私が舞台を観る方に何かを与えられるようにならなければならない」と言っていたのがとても印象的でした。

そして、バクランさんが、最後のカーテンコールに粋な計らいで、幕が閉まるまで生演奏をしてくれたのが特別な日の締めくくりにふさわしかったです。

8期生の皆さん、卒業おめでとうございます。
牧先生がこだわって育てた、美しい宝石とも言えるバレリーナたちの、これからの活躍を期待しています!!

ぴかぴか(新しい)





posted by haru at 22:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年02月16日

エトワールへの道程2013 2月16日(土)

2013年2月16日(土)3PM 新国立劇場 中劇場
新国立バレエ研修所の成果
指揮 アレクセイ・バクラン
管弦楽 新国立劇場アンサンブル

この公演で卒業となる8期生の6人のうち5人は、当時新設された予科制度から入所し、4年間バレエ研修所で学んだ子たちです。
「良い子はみんな海外へ行ってしまう」という日本のバレエ界の状況に危機感を抱いた牧先生が、どうしても新国立劇場で育てたいと思った逸材ぞろいだと思います。
大変残念なことに、唯一予科生でなく、研修所から入った中西夏未さんが怪我で出演できなくなったので、今回はその5人が中心の公演となりました。
生オーケストラで、卒業生全員にパ・ド・ドゥを踊らせる、しかもバクラン氏の指揮で、という豪華な、普通のバレエ学校では考えられないほど恵まれた卒業公演となりました。


第1部 クラシカルバレエ
「ワルツ」 牧阿佐美振付

「眠れる森の美女」第3幕パ・ド・ドゥ
オーロラ姫 鈴木舞 デジレ王子 逸見智彦

鈴木舞さんは、まだ何も描かれていない真っ白なキャンバスのようなイメージが浮かびます。
恵まれた美しい容姿と、音楽性の豊かさがあり、これからその上にどのような魅力を身につけていくのかが大変楽しみです。
バレリーナとしての経験や、人生経験を積み重ねていって、自分だけにしかない、色々な絵をそのキャンバスに描いていって、それが個性となっていくと思います。
アダージオの途中で信じられないようなアクシデントがありました。
逸見さんの衣装のホックが舞さんのチュチュにひっかかってしまい、とれなくなったのです。
逸見さんが思い切り引っ張ってとりましたが、あんなの初めて見ました。
踊り終わってレべランスに行こうとした時も、またひっかかり、はずすのにだいぶ時間がかかりました。

ただでさえ緊張するパ・ド・ドゥで、サポートするべき大ベテランが足をひっぱってはいけませんよふらふら
それでも舞さんは、大崩れしても仕方のない場面で、しっかりと持ちこたえ、何もなかったかのように、りっぱに踊りきりました。
その精神力の強さと、バレエへの情熱がつたわってきて、大変に感心しました。


「ドン・キホーテ」第3幕グラン・パ・ド・ドゥ
キトリ 榎本朱花  バジル 中家正博
第1ヴァリエーション 足立真里亜
第2ヴァリエ―ション 朴 智願

榎本さんのテクニックはプロの域に達していると思いますし、明るく華やかさを感じさせる個性も備わっています。キトリのヴァリエーションは軽やかだし、かわいくて素晴らしかったと思います。
第2ヴァリを踊った朴さんは音楽にぴたっと合った踊りをする方で良かったです。

第2部
研修生振付作品
「MY STORY」振付 鈴木舞
出演 鈴木舞 鈴木優、榎本朱花、島田沙羅

自作自演だと、一人で踊るというパターンばかりだったので、
4人で踊るというのは初めて見ました。
白い衣装(スカートが少し変形)も良かったし、素敵な作品でした。
以前の発表会でやったコンテ作品よりも、私はこの方が好きです。

「TOUCH」振付 佐藤愛香
出演 佐藤愛香

ビデオ「その後の研修生の様子」

「コッぺリア」第3幕ディヴェルティスマン
スワニルダ 島田沙羅
フランツ清瀧千晴

前回の発表会で、素敵な白鳥を踊った沙羅さんですが、衣装がチュチュではなかったので、あの長くて美しい脚が隠れていたのは残念でした。それにだいぶ緊張していたようで、キャラクター的に合うと思うスワニルダなのに、その世界にうまく入り込めなかったようです。でも彼女のスター性は際立っていると思います。

明日は佐藤愛香さんがオーロラを、鈴木優さんがスワニルダを踊ります。
素敵な舞台を期待しています!

ぴかぴか(新しい)







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2013年01月06日

東京バレエ団子どものためのバレエ「ねむれる森の美女」

2013年1月6日(日)12:30 ゆうぽうと
オーロラ姫 沖香菜子
デジレ王子 松野乃知
リラの精 渡辺理恵
カラボス 川島麻実子
カタラビュット 氷室友

昨年初演した、子供の為の眠り公演、好評だったらしく、今度は会場も大きめとなり、前回の微妙に発表会的な雰囲気よりもだいぶプロの公演っぽくなってました。
会場は小さな子供たちでいっぱい。でもみんなマナーよく観賞していて感心感心。
終演後は、カーテンコールがわりに、ダンサー達が客席を回ってくれて、子供たち大興奮でした。
この作品は、もともと4時間近くかかる「眠り」をかなり大胆にカットして時間短縮してあり、カタビュラットにしゃべらせてマイムやストーリーの説明をするという工夫で、子供にもわかりやすく、飽きさせない工夫は素晴らしいと思います。
1幕の妖精たちの踊りがエッセンスだけになったのは少々残念ですが、ローズ・アダージオとか、最後のグラン・パドドゥはきちっと見せてくれるので、大人でも結構楽しめます。
この夏は、これで全国巡業するそうですが、バレエの入門としては良いのではないでしょうか。

本日オーロラを踊った沖さんは、初演に続きの主役で、入団3年目にしては大抜擢です。二階堂さんが降板したために、二日連続で踊ったそうで、その疲れが出たのか、スロースターターなのか、1幕は少し固かったですが、2幕のグラン・パ・ド・ドゥは素晴らしかったです。

松野さんとの息が良くあっていて、3連続のフィッシュダイブはきれいでしたし、落ち着いた雰囲気で、柔らかな表情が女性らしい美しさを際立たせていました。
沖さんは、顔立ちが華やかで、目がぱっちりと大きくて、〈かわいい系〉というより、〈きれい系〉のダンサーです。体が柔らかいので、脚がよくあがるし、パンシェなどのポーズがとても美しくきまります。
たぶん彼女に足りないのは自信だと感じました。
バレエは実力の世界だと言っても、東京バレエ団のような歴史のあるバレエ団では、やはり年功序列(入団順?)だから、上野水香さんのような飛び込みプリンシパルは別として、「私が主役なんかやっていいんでしょうか?」という感じなのではと推測します。

抜擢されたからには、そのチャンスをものにして欲しいですね。
自分の個性が何なのか、まだよく自分でつかんでいないようにも思えますが、私には、日本人離れした、あでやかな女性っぽさが、彼女の中に潜んでいるような気がします。
〈目千両〉というほど印象的な大きな目の使い方、視線の動かし方や目力の威力をもっと研究して欲しいです。

デジレ王子の松野さんは、王子としては少し中性的な感じでしたが、闘うシーンは男らしくて良かったです。ヴァリエーションもきれいでした。
リラの精の渡辺さんは、強さというより優しい雰囲気でした。カラボスの川島さんは美しかったです。
フロリナ王女を踊った河谷まりあさんは、お顔もかわいいし、フロリナはぴったりでした。

カタラビュットの氷室さんは、とてもいい声で、上手でしたが、前に見た時の高橋さん、松下さんの方が、間の取り方などが絶妙で面白かったです。

初演時は、とりあえず在庫の衣装を使ったようなオーロラと王子たちの衣装は、新調したようで、1幕のオーロラと4人の王子たちの衣装ときたら…、フリルやらレースやらで、まんま童話から抜け出てきたみたいで、ちょっとやりすぎな感じがしました。



ぴかぴか(新しい)









posted by haru at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする