2012年09月30日

東京バレエ団「オネーギン」エヴァン・マッキー&吉岡美佳

2012年9月30日(日)15時 東京文化会館
オネーギン: エヴァン・マッキー
レンスキー: アレクサンドル・ザイツェフ
タチヤーナ: 吉岡美佳
オリガ: 小出領子
グレーミン公爵: 高岸直樹

評判のエヴァン・マッキーのオネ―ギンが観たくて、そしてラドメイカーのレンスキーも観れてラッキーと思っていましたが、残念ながらラドメイカーは病気で降板となりました。
さすがエヴァンのレンスキーは、その美しい舞台姿からして説得力があります。
190近い長身だし、踊りもきれいです。
オネーギンはこうあるべき、というような演技で感心しました。1幕でタチヤーナを優しくエスコートしていながら、「この田舎娘が!」と横を向いた瞬間に見せる表情とか、オリガにちょっかいを出して、レンスキーへのいやがらせをしてやろうと楽しんでいる笑顔とか。

吉岡さんは、とても透明感のあるバレリーナで、ジゼルとかは似合うのですが、タチヤーナはあまり合っていないように感じました。
リアリティのある感情が感じられないのです。
1幕の夢見る夢子ちゃんは、まだいいとして…
3幕の手紙のパ・ド・ドゥでの、一度は焦がれた男性から愛を告白されて、昔の感情が心の奥から湧きあがって、揺り動かされて、理性と感情のはざまでもだえる…という感じはまったくしませんでした。
吉岡さんのキャラ自体が、ちょっとこの世とは違ったところに存在して、あまり愛とか情熱とかにがんじがらめにならないようなイメージがあるので(不思議ちゃんぽい)、こういうリアリティのある役柄は似合わないのではないでしょうか。
グレーミンとのパ・ド・ドゥが一番良かったですが、その後のオネーギンとのシーンでは、エヴァン・マッキーとのケミストリーが全然ありませんでした。

むしろ、小出さんがとっても良かったので、(団の中ではキャラじゃないと思われているのかもしれませんが)小出さんがタチヤーナをやったらエヴァンと似合っていたような気がします。
そう小出さんのタチヤーナが観たかった。
レンスキーのザイツェフは、演技は良かったし、かわいい顔をしていましたが、外人にしてはたいしたプロポーションじゃないので(エヴァンとつい比べてしまいます)、あまり見栄えがしませんでした。

東京バレエ団のオネーギンは初めて見ましたが、この作品は、後ろのコールドの人達、特に男性陣がもっと背が高くてがっしりしていて男らしい体型の方々じゃないと、なんだか学芸会みたいで舞台の重厚さが感じられません。踊りはまあ、みなさん上手ですけれど、この作品の持つヨーロッパの文化の香りをかもしだすには、男性の身長が180ぐらいないと。(努力でどうしようもない身長のことを言って申し訳ない)
コールドの中に長身組の柄本弾さんと二階堂由衣さんと松野乃知さんがいましたが、そのあたりは良い景色でした。

せっかくエヴァンが出演しているのに、こんなもんかな〜?という吸引力の無い舞台で、これだったらいっそゲストなしの東バオンリーキャストの方がまとまりがあるのかもと思いました。

ぴかぴか(新しい)




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2012年09月01日

こどものためのバレエ劇場「シンデレラ」新国立劇場バレエ団

2012年9月1日(土)15時 茅ケ崎市民会館大ホール
「シンデレラ」全2幕
振付 小倉佐知子
音楽 セルゲイ・プロコフィエフ
音楽構成 福田一雄

シンデレラ 小野絢子
王子 福岡雄大
姉娘 湯川麻美子
姉娘 長田佳世
仙女 堀口純
ダンス教師 古川和則
春の精 井倉真未
夏の精 川口藍
秋の精 細田千晶
冬の精 小村美沙
道化 高橋一輝

新国立劇場バレエ団の「こどものためのバレエ劇場」、地方巡業シリーズの第2弾、「しらゆき姫」に続いて、「シンデレラ」です。この作品の初演はバレエ研究所の卒業公演でした。
しらゆき姫と違って、セリフや解説はありません。
アシュトン版ほどではないですが、美術や衣装が美しい色彩で、子供向けのけばけばしさがなかったのが良かったです。
演出も1時間半でオーソドックスかつコンパクトにまとめていました。
主役の二人、姉娘たち、ダンス教師、仙女などがベテラン〜中堅で見ごたえがありました。
今シーズンの最後の公演でしたから、ダンサーも頑張っていたのかもしれません。

小野絢子さんは、盤石の安定感で、キラキラしてました。
王子の福岡さんは、少々体躯が太めになった感じでしたが、登場の瞬間から客席で「わぁ〜ステキ〜!」と声があがるほどに恰好良い王子ぶり。
姉娘たちとダンス教師の芸達者ぶりは言うまでもなく…
堀口純さんの仙女も適役でした。

季節の精以下の方々は、やはりソロの経験のある人とない人の差を感じましたが、このような舞台で、少しずつ一人で踊る経験を積むことができるのはよいと思います。
男性陣は研修所出身者の活躍が目立ちました。

休憩時間に横の通路で、エシャペやパッセ、アラベスクを繰り返して嬉しそうに踊っていた8才ぐらいの女の子が二人いて、この舞台に触発されて踊りたくなっちゃったんだな〜、バレエ漫画「Swan」の真澄みたい、と微笑ましく見てました。

この夏はバレフェスとか、すごいものをいっぱい観たのに、素晴らしい舞台を見て思わず自分も踊りだしたくなる気持ち、私は少し忘れていたような気がします。
実はこのところバレエレッスンにモチベーションが湧かず、お休みしていたのです。
あの子たちに教えられました。
あんな風に楽しく、純粋にバレエを楽しみたいな。

ぴかぴか(新しい)














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2012年08月19日

小林紀子バレエシアター「アナスタシア」

2012年8月19日(日)14時 新国立劇場オペラパレス
皇女アナスタシア/アンナ・アンダーソン:島添亮子
皇后アレキサンドラ:萱島みゆき 
ニコライ2世:澤田展生
ラスプーチン:後藤和雄
クシェシンスカヤ:高橋怜子
クシェシンスカヤのパートナー:アントニーノ・ステラ
オフィサー:奥村康祐 
アンナの夫:中尾充宏 
アンナの夫の弟:冨川直樹 

ケネス・マクミランが英国ロイヤルバレエを去ってドイツに行っているときに、1幕ものとして作り、その後また英国ロイヤルバレエに戻った時に1、2幕を付けたして全幕物にした作品だそうです。
1幕と2幕はアナスタシアの家族紹介、ラスプーチンと皇后アレキサンドラ、ニコライ2世とクシェシンスカヤの不倫関係、革命の始まりなどがコスチューム・プレイで描かれ(マノンやマイヤリングのようなスタイル)、3幕は無機質な精神病院で、処刑をのがれたアナスタシア(アンナ・アンダーソン)の苦しみをコンテンポラリー風味で描いています。(マッツ・エックのジゼルやオーストラリアバレエの白鳥の湖の精神病院風)

1、2幕の間に休憩を入れずに連続して上演した方が、3幕との対比ですっきりしたと思います。ネオクラシックスタイルとコンテ風で違いすぎるし、1、2幕は状況説明だけで何も物語が進行しないという意見もありますが、私はなかなか面白かったです。あとから付け足しただけあって、ちぐはぐな感じはしましたが、もう少し伏線が入れられれば良かったと思います。

素晴らしかったのは島添亮子さんです。少女時代、娘時代、革命後の3つのキャラを演じ分け、マクミランの舞踊言語を完全に自分のものとして流暢に踊っていました。
1幕目に、三人の男性の頭上に飛び込んでリフト、そこでバウンドしてさらにその後ろにいた4人に頭上リフトされるという、信じられないような超絶リフトがあったのですが、きれいにこなしていました。

小林紀子バレエシアターは、マクミラン物をよく上演しますが、そのわりにマクミランの舞踊言語をマスターしているダンサーは少ないようで、マクミランがよく使う、コンパスのように脚を開いてオフバランスで回転する振付をうまくできないダンサーがほとんどでしたが、島添さんはとてもクリアでした。

このような、世界でも上演することが珍しいマイナーな演目にチャレンジするとは、すごい事です。
結構お客さんも来ていて、1、2階はほぼ満席でした。ただびっくりしたのは、男性率の多いこと。
通常のバレエ公演、たとえば新国立劇場バレエだったら、男性は30人に1人ぐらいなのに、10人に1人ぐらい。60代ぐらいの人が多かったのは、ダンサーのおじいちゃん??
バレエ団内でチケットをさばくので、親戚一同を呼んだ結果ということでしょうか。

ダンサーにチケットノルマがあるのは、プロのバレエ団とはいえないと思いますが、その意味でいうと、小林紀子バレエシアターは、プロのバレエ団ではない。けれども、チケットノルマがあるからこそ、集客を心配せずにこのような野心的な作品にも取り組める、という図式です。

小林紀子先生の目指す舞台芸術は、とても高いところにあり、それに取組む真摯な姿には感動を覚えます。
舞台を作るうえで、大変に厳しい指導をなさると聞いています。ダンサーにとっては辛いけれども、それを乗り越えて素晴らしい舞台を作り上げていく過程をいったん経験するとやめられない。
だから多くのダンサーが先生についていっているのだと思います。
これからもぶれずにこの路線を突き進んでいっていただきたいと思います。

今回の公演は、音楽やオペラ、バレエに大変造詣の深い知人にチケットを譲っていただきました。
おかげで実りある時間を過せ、感謝しております。


ぴかぴか(新しい)



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2012年08月18日

2012世界バレエフェスティバル ガラ本編

2012年8月16日(木)17時 東京文化会館
第1部
「眠れる森の美女」 振付:ナチョ・ドゥアト
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ

プティパの古典の見本みたいなガチガチの様式美からは脱却していると思いましたが、それが成功しているかというと、いつもの振りを見慣れた目には、え〜フィッシュダイブないの?物足りない…と感じてしまいます。でもノヴィコワはとても丁寧に、足先を出す時も美しく甲を見せていて、サラファーノフも実際のカップルだけあって優しいまなざしで、ホンワカとした幸福感がありました。
サラファーノフがザンレールをしたあとに、足をきっちり5番に入れてゆっくりと膝を伸ばすという振りがあって、そのポジションがとてもきれいなのが印象的でした。
そのあともかなり難しい技をやったりマネージュしているのに、観客の拍手がない…
どうやらファニーガラまで体力を持たすために観客もセーブしてるのか…


「水に流して...」 振付:イヴァン・ファヴィエ
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン

人工芝のような緑色のマットを持ってきてその上で踊る二人。
アニエスは編み込みみつあみに、可愛い黒のミニドレス。あっという間に終わりました。

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"  振付:ジョージ・バランシン
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス

このダイヤモンドの振付って、出だしから、二人でゆっくり歩くだけ。そして手をつないでパドブレ(ポワントで歩く)みたいな感じで、いわば歩いているだけなのに、どうしてあんなに美しいのでしょう。
バレエをやっていると、意外と「歩く」のが難しいことに気づきます。
簡単そうに見えることが実は一番難しいってことです。
単に歩くことをあれだけ優雅に、しかも余計なニュアンスを加えずに、まさに純粋なダイヤモンドのように踊れるのはロパートキナだけでしょう。


「雨」 振付:アナベル・ロペス・オチョア
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン

金髪の二人が、肌色のミニマムな衣装で踊ると、まるで金色の輪の中で異星人が動いでいるような、まったくの別世界が出現します。激しいコンテンポラリーでしたが躍動する筋肉の美しさが絵のようでもありました。

「カルメン」 振付:ローラン・プティ
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー
これはかなり色々と違和感のあるカルメンでした。ゼレンスキーは頭頂部が高齢化してきたことが残念でしたし、セミオノワは色気が1ミリもなくて、しかも黒い短髪だと頭の小ささがよけい目立って、頭だけ縮尺が狂って小さすぎるものを載せちゃったような感じがいつまでも抜けませんでした。



第2部
「愛と死」 振付:モーリス・ベジャール
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン

ベジャールらしいパフォーマンスで、オスカー・シャコンは良いダンサーだと思いました。
シャルキナはとってもかわいい顔してるけど、もう少し訴えかけるものが欲しい感じでした。


「海賊」
上野水香 マシュー・ゴールディング

水香さんにしては、音をはずさずにきちんと踊っていたし、フェッテもダブルを織り込み安定したテクニックを見せていました。水香さんは、横に脚を上げるデヴェロッぺが180度ぐらいに高くあがるんですよね〜すごいわ。
これぐらい踊ってくれたら、まあ、日本代表のプリマと言ってもよいか。
ゴールディングは、素敵でした黒ハートブラッドピット似のハンサムでスタイルもいいですが、誰からも好かれるような性格の良さが感じられる、くせのない伸びやかな踊りもいい。
ピルエットは軸がしっかりしていてジャンプも高く、男性的なダイナミックさがありながらきれい。
そして全然足音がしないのです。
今回の男性陣の中で、一番素敵だと私は思いました。

「ネフェス」 (「ホワイト・シャドウ」より) 振付:パトリック・ド・バナ
マニュエル・ルグリ パトリック・ド・バナ

4階席から見ていたので、オペラグラスを最初は使わずに、シンクロで踊っている二人のどちらかがいいかな〜と見比べていました。ほとんど同調した動きではありますが、ほんの少しニュアンスが加わって味わいのある踊りになっていたのは右側のダンサー。
顔を確認したらルグリではなく、バナでした。さすが、自分が振付しただけの事はあります。
脚が見えないあの袴衣装では、ルグリの負け(笑)
ルグリはちょっと太くなったような…でも裸の上半身は筋肉だらけのようで、どこに脂肪がついているのか全然わかりませんでした。
芸術監督になったから、以前ほど舞台に立つ機会もなくなるし、現役ダンサーの時のスレンダーさを保つのは無理なのかもしれません。
今回はギエムが参加していないし、バレフェスも世代交代の時期を迎えているのでしょう。


「感覚の解剖学」 振付:ウェイン・マグレガー
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト

最初は無音で、網にとらわれているような照明が床の二人にあたっていましたが、起き上がって踊りだすと、衣装が網模様のレオタードでした。
どこが「感覚の解剖学」なのかよくわかりませんが、オレリーは素敵です。
彼女の顔の美しさとオーラに惹きつけられました。


「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ 振付:ジョン・ノイマイヤー ピアノ:高橋望
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメーカー

日本で椿姫をやると、ピアノ演奏でがっかりすることが多いのですが、今回はそんなことはなく、ドラマティックなピアノ演奏と二人の雄弁な踊りで涙が出そうになりました。
前回椿姫をみたのはコジョカルガラでした。コジョカルは身体能力の高さを見せていましたが、アイシュバルトはむしろ演技力で観客を椿姫の世界に引き込みました。素晴らしかったです。

第3部
「白鳥の湖」 第2幕より 
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ  東京バレエ団

ヴィシニョーワは囚われの身の白鳥というよりは、白鳥たちの上に君臨する巫女…卑弥呼のようでした。
東バの白鳥コールドの振付は、真中の二人がしっとりと踊っているのに、せわしく動くのがどうもよくないです。せめてアダージオの時はじっとしていて欲しいです。
マラーホフはベルリン国立で使用している軍服的衣装(トップス)で白タイツでしたが、噂通りかなり胴周りが太くなっていました。それでいて脚が驚異的に長いので不思議なバランス。
サポートばかりで全然踊りませんでしたが、手の使い方、視線、表情、歩き方などすべてジークフリード王子そのもので、ロマンティックな物語を表現していたのは、さすがマラーホフ!!

「モノ・リサ」 振付:イツィク・ガリリ
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

フォーゲルというと、「さらさら金髪のイケメン君」というイメージが私の中にあって、このオネーギン仕様の短い茶髪はどうも受け入れ難いです。
このフォーサイスばりのスピーディなコンテは、お二人が思いっきり身体能力を使いまくって、特にセミオノワはノリノリで、観客受けも大変よく、カーテンコールを一回余分に貰っていましたが、私はそれほど面白いとは思いませんでした。ちょっと荒っぽいというか…心に響いてこないというか…陰影がなさすぎ??
セミオノワには、もう少し奥ゆかしさとかロシア的繊細さとかを取り戻して欲しいです。
ABTに移籍らしいので、まあ、アメリカの観客にはきっと受けるでしょう。ABTの海賊とか似合いそうです。


「ヴェニスの謝肉祭」("サタネラ"パ・ド・ドゥ)
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ

オブラスツォーワもガニオも久しぶりに見ました。ボリショイとパリオペの二人だからしょうがないのかもしれませんが、衣装のちぐはぐ具合はもうちょっと何とかならなかったものなのか…
ジェーニャはベージュと黒の道化風チュチュでゴールドの飾り。マチューは白ブラウスに黒ベストでシルバーの飾り。金と銀、ベージュと白だから全然噛み合っていない。
IT時代なんだから、事前に衣装の写真でも送って打ち合わせすればいいのに。
そこが一番気になりましたが、踊りはとても良かったです。
ジェーニャはチャーミングだし、マチューも甘さのある王子様で。(でも少しおっさん臭くなった)


「トリスタンとイゾルデ」 振付:クシシュトフ・パストール
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ

ザハロワは、このような世界一流のダンサーが集うなかでも、とびきり美しいバレリーナなんだと再確認致しました。赤ちゃんを生んだというのに、以前よりほっそりした体型だし、脚の美しさは極め付き。
ポリーナを1演目にして、ザハロワに古典とコンテの2演目を踊ってもらえばよかったのに。
メルクーリエフも少々胴体が太くなっていました(涙)…彼はハンサムだし表現力もあるのに、今やドロッセルマイヤーとかエスパーダとか、王子役から離れちゃったようで残念です。


第4部
「マルグリットとアルマン」より"田舎で" 振付:アシュトン ピアノ:金子三勇士
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー 高岸直樹

こちらのピアニストさんは、さらにドラマティックな演奏で盛り上げてくれました。
タマラは回転テクニックではなくて、その女優っぷりで魅せてくれました。
マックレーは踊る場面が少ないですが、あれだけ踊りがうまいのに意外と俺様キャラではなく、マナーの良いジェントルマンで好感がもてます。
ロホの白いドレスですが、襟元と裾の三か所、白いテープを互いに編み込んで市松にしてからフリンジにしていたのですが、それが遠目では、安っぽいショーダンサーの衣装のように見えれしまって、凝ったつもりなのでしょうが、普通のフリルの方が良かったような気がします。


「シンデレラ物語」より  振付:ジョン・ノイマイヤー
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

バレエ漫画「テレプシコーラ」第2部で六花ちゃんがコンテの課題に選んだシンデレラ物語。漫画のシーンとは違ったようですが、きれいな作品でした。長いドレスなのでブシェの美脚が拝めませんでした。


「マノン」より"寝室のパ・ド・ドゥ" 振付:ケネス・マクミラン
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

コジョカルは可愛い系よりも、ニキヤとかマノンとか、大人の女性がすっかり似合うようになったのですね。
これから最盛期を迎える彼女にとって、コボーはすこし年齢を重ねすぎているから、今後誰をベストパートナーに選んでいくのか、これからの彼女に注目していきたいと思います。
もちろんこれは良かったですが、他のダンサー達が素晴らしいので、想定の範囲内でした。

「ドン・キホーテ」
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ

おそらくもう何百回と踊っているであろうドンキ。かっとび系のお二人に思う存分かっ飛んでもらいたかったけれども、それほどでもなかったような。
まあ、一般的なドンキと比べれば、十分びっくりなんですが、期待値が高すぎるんでしょう。
ハッとさせられる瞬間がなかったです。
オシポワは、アダージオでもっとポワントバランスを見せるかと思ったけど、特になく(もしかしたらポワントバランスはそれほど得意でもないのかもしれない)
ワシリーエフは540三連発ぐらいやるかと思ったけれど、なかったし。
マネージュは、アラベスクに脚を上げながら回転するもの…KバレエのドンキDVDで熊川さんがやっている技です。同じ技でも、熊川さんの方がずっときれいです。
それでもこの二人の発するパワーというか生命力というか、爆発力のようなオーラはありました。
世界バレエフェスティバルの大トリといっても、この二人にとっては踊りなれたことを軽くやりました、ぐらいの感じだったのかもしれません。あまり思い入れは伝わってきませんでした。
そうそう、オシポワのフェッテについて。
出だしは3回転で、前半はダブル連続。後半はシングルシングルダブルのペースでした。
場所もほとんどずれずに、きっちり回っていました。


この後、休憩をはさまずに第5部のファニーガラに突入しました。
お客さん達もファニーガラ目当てだし、舞台進行が伸び伸びになって終演が遅くなるのも困るからと、最初のうちから拍手をセーブして、意図的にカーテンコールの回数を増やさないようにして主催者に協力していた感があります。
そのおかげか、サクサクと進行して、ファニーガラが終わっても10時25分ぐらいでした。
カーテンコールの回数が増えるのは面倒だけど、演技中のマネージュとか、素晴らしいものにはもっと拍手しても良かったと思うんですけどね。

これだけのスターダンサーが一堂に会すガラもないですが、マラーホフ、ルグリなとの常連達が引退年齢になり、次回は世代交代になりそうです。ビッグネームだけのガラじゃつまらないですから、勢いのある若手や、世界と名打つからには、めったに見られない国やバレエ団のダンサーも呼んで欲しいです。
もちろんレベルは世界トップの人達を。キューバやサンフランシスコ、ルーマニアとかの東欧はどうでしょうか。

ぴかぴか(新しい)

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2012年08月17日

2012世界バレエフェスティバル ガラのおまけ

世界バレエフェスティバルが終わりました。昨晩のガラはすごく面白くて大満足でした。
とりあえず忘れないうちに、みんなのお楽しみ、ファニーガラについて書いておきます。

第4部が終わって、最後の曲を演奏しはじめたオーケストラに裏方スタッフが「まだあるから…」と言ってオケを止めて、NBSの男性(高橋氏)が挨拶に出てきました。
佐々木さんは体調が悪いので代理だということで、オーケストラの皆さまはお帰りください、次は3年後によろしくお願いいたしますと…そして第5部のプログラムと出演者を読み上げて、ほとんどリハーサルもないぶっつけ本番だというように話していました。

第5部《ファニーガラ》
「オネーギン」
上手にベッド、中央奥に鏡。ベッドにゴメスのタチアナが寝ていてゴロゴロ。
ベッドから出て踊るゴメスは美脚でポワント使いがとっても上手。
下手の机のところで、手紙を書きだすが、めんどうなのでipadでメールにする。
鏡のところへ行くと、向こう側にオデブなタチアナ登場(ラドメイカーが肉じゅばん着用)
オネーギン(アイシュバルト)を取り合いつつ踊る二人のタチアナ。
下手に中近東の女性のように顔をかくした掃除人がいて、バケツの中からいろんなものを取りだす。
出てきたマックポテトをほおばるゴメスタチアナ。

レンスキー(下がり眉毛をつけたサレンコ)登場、3部の白鳥でマラーホフの着ていた王子の衣装で美しくレンスキーのソロを踊るが途中で掃除人に銃で撃たれて死ぬ。

二人のタチアナに迫られまくって困るアイシュバルトのオネーギンはコミカルでカッコよく、宝塚のように男前でした。
最後に掃除人がマスクを取ると、オレリー・デュポンだったのにはびっくり。

「ラ・シルフィード」
キルトとベレー帽、透けるショールを持ったジェームズはコジョカル(ちっちゃくてかわいい!)
そのうしろをシルフィード姿で横切って笑いを誘うのはコボー。
シルフィードに逆にリフトされるジェームズ。
コボーが踊るシルフィードのソロは、明るい小川のバージョンでした。
彼もポワントが上手で、ポワント立ちのままで小さなジャンプをしてました〜すごいな〜男なのに。
そういえば「ザ・レッスン」で、つま先立ちしてましたよね。
最後の方に、白と黒のシマウマ柄みたいなフード付き全身タイツを着た謎の人物が出てきて、この二人を邪魔しました(ワシリーエフ)

「居酒屋間呑(マノン)」
下手にベッドがあり、シーツの下に大きな人物が寝ているよう。
上手は「間呑」と書かれたのれんのかかった屋台で男装の5人ほどが酒飲み中。
シーツから出てきたのは、ゴールドと黒のゴージャス衣装のウェスト太いマラーホフマノン。
寝室のマノンの踊りをポワントで踊るけど、さすがにポワントは完璧で、でもところどころ笑いをとりながらのバランス感覚が素晴らしい。役者です!
男装の5人は、ちっちゃい組の女性ダンサーで、タマラ、アイシュバルト、サレンコ、オブラスツォーワ、ノヴィコワ。
彼等を誘惑しながらお茶目に踊るマラーホフマノンが踊り終えると、5人が衣装を脱がして、その下に着ていたのはド派手な金色のチューブトップミニドレス(どんだけずん胴なんだってぐらい)で5人に加わって呑み始める。

白いライモンダチュチュのメルクーリエフが現れ、ライモンダの手を打つヴァリエーションを踊る。
手を打つところとか、凄い音で笑いを取りつつ、でも踊りは完璧。ピルエットもダブルだし、そのまま全幕踊れるんじゃないかっていうぐらい。
コミカルさを入れているんだけど、上手すぎて笑いにならないレベル。

キトリ第1幕のヴァリエーション
突然かっ飛びの人が来たからびっくりしたら、頭に大きな赤いバラをつけたキトリ衣装のワシリエフ。
何だ、何が始まったんだ?!というぐらい最初の大ジャンプはすごい高さでした。
短いヴァリだけども、輪っかのようにそるジャンプは頭と足がつくぐらい。柔らかいのね〜
そして連続ペアテでは後ろに5人のちっちゃい組女性ダンサーがマント持ってリズミカルに動かしていました。

赤い衣装のニキヤ(ゴメス)が表れ、婚約式の時の悲しみの踊りを踊る。
これも凄い。ポワントで立ったまま、アラベスクに移行したりとか、かなりマジ。
ゴメスのニキヤで全幕見たいわ〜〜

壺の踊り
パリオペの素敵な衣装で壺ならぬ、寿用の真赤な酒桶を頭に乗せているのはオファルト。美脚でポワントも上手でした。二人の少女役はフォーゲルとマチュー。酒くれ、酒くれ〜とまとわりつく。
ジョシュアのチューブトップのブラが下がって乳首が見えてくるのが気になっていたら、周りのダンサーが近付いてきて直してくれました(でもまた下がっていた)

ブロンズアイドル悟空
オレンジ色の衣装(「亀」って書いてある)で髪も逆立てたドラゴンボールの扮装で、時々叫びながらスーパーサイヤ的ブロンズアイドルを踊るのはシムキン。側転や空中前転など入れながらあの曲でアクロバティックに踊りながらもエレガントなんです。最後に酒場のみんなに向かって大声で「カメハメハーー!!」。
シムキン君、これやりたかったのね。似合ってた。

花かごの踊り
ひとかかえもある巨大な花かごをオルガ先生がゴメスニキヤに渡して、花かごの踊り。ロシア版ではなくてマカロワ版の音楽でした。花かごの中からへびならぬワニが出てきて喰いついて、ゴメスニキヤがエイ、エイ!と叩きまくってやっつけたのはいいけど、毒がまわって倒れてしまう。
そこでマラーホフが毒消しのビールを飲ませると、もっとちょうだいって言って、すっかり元気になり、みんなに加わって酒盛り。(このビールとか本当に飲んでました)

順番とか多少違っているかもしれないけれど、まあ大まかにはそんなところです。
一番印象に残ったのはゴメスかしら。
男性ダンサーでも、実際の舞台でポワント履いた事のある人は本当にポワントが上手。
「明るい小川」「シンデレラ」とか、男性でポワント履く演目ってありますからね。
ポワントが慣れていない人はたぶんそういうキャスティングされたことないのでしょう。
トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団とか、グランディーババレエ団とか、男性がポワントで踊るコメディバレエもあるけれど、やはり超一流のダンサーは、そんなのとは格段に上手ですわ。

ついでにフィナーレの事も書いておきます。
おそらく終演後に打ち上げパーティがあるようで、ドレスアップしているダンサーが多数いました。
(アニエスは2幕が終わった時には着替えてもうホワイエにいたし。彼女は黒いぴらぴらしたフリンジのミニドレスで、編み込み三つ編と似合ってステキでした)
ヴィシニョーワは、白鳥二羽が向き合って、その長い首がくるくるとねじれている模様の、不思議なロングドレスでした。独特なセンスです。
水香さんはピンクのミニワンピ。ザハロワは黒のロングドレス(美)。
ファニーガラの扮装のままの人も結構いました。
マラーホフは黒のシースルーのシャツに着替えてました(速っ!でもヴィシのエスコートしなくちゃだし)
メルクーリエフは、なぜかまたコンテの衣装に戻ってました。(私服に着替えるより簡単だったからなのか?)
ダンサー全員に花束が渡されて、恒例の手ぬぐい投げがあって、コジョカルが舞台脇のグランドピアノの隙間を通って、わざわざオケピの前まで来て、ファンに花束をあげていた。(もらっていたんじゃなくて)

3年後に逢いましょうの垂れ幕はありましたから、ちょっと安心しました。

本編の感想は後ほど。

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2012年08月09日

世界バレエフェスティバル全幕プロ「ラ・バヤデール」コジョカル&コボー

2012年8月8日(水)18:30 東京文化会館
ニキヤ アリ―ナ・コジョカル
ソロル ヨハン・コボー
ガムザッティ 田中結子
マクダヴェーヤ 松下裕次
大僧正 木村和夫
ブロンズ像 ダニール・シムキン

今やギエムの後を継いで世界最強のバレリーナではないかと思われるコジョカルがニキアを踊る!!
どんなニキアなのか、すごく楽しみでしたが、期待を裏切らない素晴らしい舞台でした。

コジョカルのニキアは、登場の瞬間から悲壮感が漂っていて、自分は幸せになる運命ではないと知っているよう。指先のひとつひとつ、足先まですべてのムーヴメントに非常に神経を使って丁寧に踊っているのが感じられます。
繊細、と言っても日本人バレリーナのような繊細さとはちょっと質が違うのですが、コジョカルの強靭なボディ・コントロール力によって抑圧された動きは、まさに巫女という抑圧された状況にあるニキアそのものと重なり、鳥肌が立つような感覚に襲われました。
最初の静謐なソロは特にそれが際立っていましたが、コジョカルのすごいところは、繊細に踊りながらも、ジャンプは高いし、横飛びのジュッテもただならぬ飛距離だし、もちろんパンシェの脚は180度あがるし、デヴェロッぺも180度に近い「6時の時計のポーズ」

ポワントバランスも強靭で、婚約式での踊りでは、トゥでススに立ったそのままで、支えなしに片足をゆっくりと上げてアラベスク。そのゆっくりさ加減が凄い!!あんなことやる人見たことない。
トゥからデュミに降りるときも実にゆっくりなんですよ。

コジョカルのニキアは、ソロルと愛し合っているけれども、それは神につかえる巫女としては許されないこと。だから幸せにはなれないだろうと予感していて、でもソロルと逢う時は、巫女という境遇の自分には唯一の嬉しい時間。
ガムザッティとソロルとの婚約式で踊る時も、ほぼあきらめの境地。
毒へびに噛まれた解毒剤を大僧正がくれたけれど、ソロルがガムザッティと立ち去るのを見て、このまま死ぬことを選択する。

コジョカルのニキヤは、そんな風に最初から運命を受け入れているようだったから、幻影の場で出てくる時も、ソロルに何の恨みもなく、ただ《真っ白な魂》として存在しているようでした。
衣装も、極めてシンプルで体にピタッとフィットしたボディ(ふちにラインストーンがついているだけ)と、上品な白の飾りのないチュチュで、それがすごく似合ってました。
コボーのサポートも素晴らしく、まるで体重がないかのようにふわっふわっと空中に上がるのです。
コボーの演技は、ラジャに「うちの娘と結婚しろ!」と言われた時からひたすら困惑モード。
ガムザッティと踊っている時も、心ここにあらずという表情で。
婚約式でも、全然ニキヤを目を合わせられないぐらい困っている。
ソロルにとっては、結婚を強要された時から非現実の世界に入ってしまって、だから最後に死んでニキアと一緒になれて幸せだったというように感じられました。

それにしても、コジョカルの踊りの大きい事。
カーテンコールの時に見たら、コジョカルの身長は田中さんと同じぐらいか、ちょっと低い位。
それなのに、踊っていると、ものすごく大きく見える。
空間支配力がハンパないです。
日本人の小さめのダンサーさんは、あれをぜひ見習って欲しい。(そういえば、新国立劇場の小野絢子さんが観に来てました)

本日の目玉でもあるゴールデン・アイドルを踊ったダニール・シムキン。
彼にとってはこんなのお茶の子済々といった風で、ロボットのお手本のように隅から隅まで完璧でした。

ガムザッティの田中さんは、コジョカルと対等には張り合えませんでしたが、ガムザッティとしての役割はきっちりとこなしていたと思います。
でも、英国ロイヤルバレエだったら、ガムザッティはプリンシパルが踊る役なんですよ!
だから、ここはぜひ、タマラ・ロホに踊って欲しかったです。

そのタマラは、何と私のすぐ前の席にマックレーと一緒に座ってました(感激!)
その隣はワシリエフとオシポワでした。タマラはオシポワは無視して、右隣りのエレーヌ・ブシェ&ボアディンに話しかけていました。

東バのコールドは皆さんよく揃っていたし、とても美しかった。
影の王国では、トップバッターに現れたのは二階堂由依さんでした。(やっぱりね)

コジョカルの素晴らしさ、凄さを見せつけられた公演でした。
コジョカルといえば、シンデレラとか、可愛い系の印象が強いけれど、この作品では可愛いを全く封印して、別のバレリーナのようでした。
次はコジョカルの白鳥が観たいですね。

ぴかぴか(新しい)








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2012年08月05日

地元の発表会

世間では世界バレエフェスティバルで盛り上がっていますが、私は地元の発表会を4回、見ていました(笑)
ここは生徒さんが500人以上いるので、毎年4回ぐらいに分けて公開レッスンという形で行っています。
今年はスペシャルなプログラムが一回あって、ABTの加治屋百合子さん、元Kバレエの清水健太さん、新国立バレエの八幡さん、貝川さん、輪島さんがゲストでした。
貝川さんが自作自演のコンテを踊り、八幡さんと元Kバレエでこのバレエスクール出身の北爪弘史さんの二人のデュエットも振付ていました。
自作自演の作品はちょっとナルシスティックでしたが、体のキレも良くカッコよかったし、八幡さんと北爪さんへの作品は、ユーモラスですごく面白かったです。貝川さんはクラシック王子を踊っているより、コンテンポラリーの方が似合っているし、才能があるようです。
加治屋百合子さんと清水健太さんは、コッぺリアのパ・ド・ドゥを踊り、また発表会最終日には白鳥の湖の2幕のアダージオを踊りました。
例年ですと、このバレエ団出身の寺島まゆみさんが主役なのですが、今年はおめでたなので、同じぐらいの身長で、ローザンヌコンクールで清水さんと一緒だった加治屋さんにお願いしたようです。
コッぺリアも華やかで良かったのですが、白鳥の湖が素敵でした。
清水さんのサポートが良いせいか、とても丁寧で大きな踊りで、ポーズのひとつひとつが美しくて、以前白鳥を見た時には、ぎすぎすしていたような印象がありましたが、そんなことはまったくなく、たおやかさも感じられるほどでした。
パートナーでこんなに違うのでしょうか、以前見たときは、ジャレット・マシューズでしたが。
清水さんのノーブルで包容力のある王子のおかげで、加治屋さんの日本的な部分が引き立てられたような気がします。
加治屋さんは体は細いながら、とてもパワフルで華のあるバレリーナだと思います。
アメリカだと、派手なパフォーマンスが重視されがちで、加治屋さんもその風潮につられているようですが、本来の日本人的なたおやかさをもっと開発したら、きっと一段と光るような気がします。
今回はその片鱗が見えました。
バレリーナの埋もれている資質を引き出すことができる清水健太さんというダンサーの凄さもまた感じました。
その清水健太さんは、12月に旗上げされる井脇幸江さんのバレエ団、IBCのジゼル公演でアルブレヒトを踊るそうです。これは、必見です!!

ぴかぴか(新しい)






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2012年07月23日

バレエ・アステラス2012

2012年7月22日(日)15時 オペラパレス

海外で活躍する日本人ダンサーと、新国立劇場研修生のPRのための企画である、このバレエ・アステラスは2009年から始まり、3回目(2011年は大震災の影響で中止)らしいです。
出演ダンサーは公募(つまりは自薦)で、相手役も自分で調達。女性ダンサーの場合は、だいたい自分の彼氏を連れてくることが多いようです。
アステラスはギリシャ語で「星」という意味だそうですが、ギリシャ語だとアステールと発音するから、これは「明日照らす」とかけたタイトルなんでしょう。
つまり、新国立バレエ研修生が明日のスターになって欲しいという願いですよ。

第一部
『トゥリプティーク〜青春三章〜』
振付:牧阿佐美 音楽:芥川也寸志
新国立劇場バレエ研修所修了生・研修生

牧先生の振付は本当に退屈で困りました。
男女のダンサーがかわるがわるグループで、またはデュエットで出てきて踊る、「エチュード」みたいな感じの作品(ただし劣化版)研修生たちはほっそりして美しいスタイルで上品でしたが、あまり訴えかけるものはない(振付のせいかも)
衣装も女性はオレンジで男性は水色って、よく解りませんでした。
エチュードを目指したなら、衣装も白と黒にすればよかったのに。


『THE AGE OF INNOCENCE』パ・ド・ドゥ
振付:エドワード・リアン 音楽:フィリップ・グラス
菅野真代(ディアブロ・バレエ)
ローリー・ホーエンスタイン(ジョフリー・バレエ団)

菅野さんのムキムキな肉体と、筋肉質のたくましい脚がすごく印象に残りました。
日本人の感覚だと、これでバレリーナと言えるのか?と目が点になりましたが、コンテだから、これもアリなんでしょう。

『ライモンダ』パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/牧阿佐美  音楽:アレクサンドル・グラズノフ
本島美和(新国立劇場バレエ団)
マイレン・トレウバエフ(新国立劇場バレエ団)

本島さんて、純クラシックはダメなんですね、やっぱり。
背中が板でも入れているように硬くて、踊りにニュアンスがつかないし、軸脚変えの回転はスムーズに見えないし、トドメはリフトで落っこちそうになったことです。
新国立のプリンシパルがこれではマズイでしょう。
本島さんは、ライモンダは、その昔ワシントン公演の時に1回主役を踊ったきりです。
なぜ海外公演に主役経験のない人をキャスティングするのか謎だったし、案の定出来も悪かったそうですが、この踊りを見る限りは、やっぱりこういう作品には向いていない。
きっちりと踊れなくてもアラが見えない演目にするべきでした。

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
佐久間奈緒(バーミンガル・ロイヤルバレエ団)
厚地康雄(新国立バレエ団)

ライモンダのお口直しに、素晴らしい一品でした。
厚地さんは、水色の衣装がすらりとした体型に良く似合って、さわやか好青年。
彼の魅力が出ていました。
佐久間さんは、すべてにピタピタとはまる小気味よい踊りで、まさに盤石。
たおやかで繊細な見かけでありながら、強靭さとパワーを秘めたバレリーナです。

『白鳥の湖』より”黒鳥のパ・ド・トロワ”
振付:マリウス・プティパ/ルドルフ・ヌレエフ版
藤井美帆(パリ・オペラ座バレエ団)
ヤニック・ビッタンクール(パリ・オペラ座バレエ団)
グレゴリー・ドミニアク(パリ・オペラ座バレエ団)

藤井美帆さんは、2010年もビッタンクールとこのガラに出ているんですね、彼氏なのかしら…
それはまあ置いておいて、せっかくイケメン二人を従えたヌレエフ版トロワだったのに、脚は全然上がらないし(パンシェでもせいぜい135度)、黒鳥らしいあでやかさや妖しげな色気もないし、フェッテは20回で落ちちゃうし、もうすべてにおいていっぱいいっぱいな感じで、がっかりでした。
天下のパリオペでも、いったん入団すれば、あんなに踊れなくてもクビにならないんだ…とか、コールドばっかり踊っていると、真ん中が踊れなくなっちゃうのか…とか、もしかしてどこか怪我でもしているのか…とか、あんまりなパフォーマンスに頭の中でいろいろな疑問が湧いてきました。
男性二人はビジュアルは良かったですが、踊りは、王子のビッタンクールは頑張ってます的な感じだったし、ロットバルトのドミニアクの方がキレがあったとは思いますが、まだまだこれからでした。


『ロメオとジュリエット』バルコニーのパ・ド・ドゥ
振付:アザーリ・M・プリセツキー
伊藤友季子(牧阿佐美バレエ団)  中家正博(牧阿佐美バレエ団)

まあ、大人しめのロミジュリといったところでしょうか。
狂おしいような情熱の発散という振付ではありませんでしたね。
中家さんはとても上手でしたし、伊藤さんは、か細い体型が少女らしくて良かったです。

第二部
『SPINAE』
振付:マイルズ・サッチャー
音楽:フィル・クライン&メアリー・エレン・チャイルズ
サンフランシスコ・バレエ学校 研修生

男性5人女性7人の出演でしたが、一人ガタイの良すぎる女性がいましたが、あとはみな美しく、身体能力も高くて見ごたえがありました。中国人らしい男性ダンサーが、すでにプロフェッショナルのレベルの踊りで、彼に目を奪われました。スピーディな展開のコンテで面白かったです。

『アダージェット』
振付:レナート・ツァネラ  音楽:グスタフ・マーラー
菅野茉里奈(ベルリン国立バレエ団)  
ライナー・クレンシュテッター(ベルリン国立バレエ団)

菅野さんはスタイルが良く、つま先も美しいダンサーですが、この演目は以前SHOKOさんと旦那さんで観た事があり、あの時は一瞬たりとも目を離せないようなオーラと吸引力がありましたが、今回はそれほどではなかったです。時々眠くなりました。

『海賊』パ・ド・ドゥ
小野絢子(新国立劇場バレエ団)
八幡顕光(新国立劇場バレエ団)

このお二人は古典ばっちりです!!小野さんの丁寧な踊りの素晴らしさといったらもう…これでこそプリンシパルです。
八幡さんは、540の三連発という、ちょっとやそっとじゃできない超難易度技を披露していました。
これができる人はなかなかいないでしょう。惜しむらくは、もう少し身長があればもっと技が映えるのにという事です。

『瀕死の白鳥』
田北志のぶ(ウクライナ国立キエフ・バレエ団)

田北さんは手足が長い日本人離れした体型だし、ロシア流の白鳥の腕の動きがなめらかでしたが、この演目は、バレエを良く知らない人に披露するならこの程度でいいかもしれませんが、今日の観客相手には、もっとスペシャルな何かがなくては感動を与えられないと思いました。

『ドン・キホーテ』パ・ド・ドゥ
高橋絵里奈(イングリッシュ・ナショナル・バレエ団)
ズデネク・コンヴァリーナ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ団)

高橋さんを見るのは初めてでしたが、それなりにテクニックもあり、ポワントのバランスを長くとったり、フェッテではシングル、シングル、ダブル(の時に扇を頭上に上げる)という技をやったりと、魅せ所を心得ていると思いました。
コンヴァリーナは以前世界バレフェスに相手役要員で参加していますが、可もなく不可もなくといった印象でした。なぜか会場の空気が少し冷やかで、せっかく片手リフトやっても拍手もないし、高橋さんが頑張ってましたが、トリのわりには盛り上がりに欠けたようです。なぜでしょうね。
観客にも、もう少し盛り上げてあげようという感覚がなかったのかもしれません。

フィナーレに、全員が出てきて少し踊りました。

るんるん

今回のガラは、それほどPRしたわけではないのにほぼ満席だったし、値段も安いので結構バレエ愛好者が来ていたのかもしれません。つまりは見る目のある観客だったということで、それならばトリは、佐久間奈緒さんにした方が盛り上がったでしょう。

るんるん

今回出演していなくても、海外組の、名前の知られてないけど素晴らしいダンサーはもっとたくさんいるはず。日本のバレエ界の現状を見ても、まだまだ良い子が海外へ行ってしまう(つまりは、バレエダンサーを職業とするためには海外でなくては食っていけない)という現実は存在しています。
だから、いっそのこと研修生も研修生出身のダンサーも出演させずに、そういった海外でプロとして踊っているダンサーだけを、20人ぐらい見せるという企画にして欲しいと思います。
(今回なんて、たったの6人だけでしたから)
「バレリーナへの道」という雑誌を読むと、ブルガリアの国立バレエ団とか、ポーランドとか、アメリカ、ルーマニア、ドイツ…あらゆる国で日本人ダンサーが活躍しています。
まだ20代で若い子が多いですが、今回の主演ダンサーのように、いちおう確立した地位を確保しているような人たちよりも、フレッシュな新しい才能を見てみたいと願います。

ぴかぴか(新しい)

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2012年05月11日

新国立劇場バレエ「白鳥の湖」小野絢子

2012年5月11日(金)14時 オペラパレス
オデット/オディール 小野絢子
ジークフリード王子 福岡雄大
ロートバルト 厚地康雄
道化 福田圭吾
パ・ド・トロワ さいとう美帆 長田佳世 江本拓

小野絢子さんは、2年前に初オデットを踊り、今日で3回目だと思いますが、ほぼ完璧に近い、素晴らしいパフォーマンスでした。
彼女が白鳥で登場した時の、驚くほど細やかなパドブレに始まり、白鳥の羽ばたきの柔らかい腕の使い方や、時々羽つくろいをするようなしぐさや、音楽の取り方、すべて、「白鳥はこう踊って欲しい」という私のツボにことごとくはまっていました。
以前から感じていたのですが、彼女は本能的に、この踊りはこう踊るべきというのがわかり、またそのように踊れる才能があると思います。バレリーナ本能の持ち主だとでもいうべきでしょうか。
役に必要とされているものが何かをイメージできて、さらにそのイメージ通りに踊ることができるバレリーナです。
彼女の踊りを見て、すごくツボにはまって白鳥らしいと感じ、オペラグラスで表情を見てまた衝撃を受けました。ほぼ無表情でした…白鳥はそうでなければならないと常々私は感じていました。
悲しい、苦しい…というような表情でオデットを踊るダンサーもいますが、白鳥に変えられたオデットはこの世のものではない存在なので、あまり人間らしい表情を見せると、なまなましくなってしまいます。
ザハロワもオデットはほとんど無表情で踊ります。
表情で語るのではなく、体で(踊りで)語るのが白鳥だと思います。
小野さんの音楽の取りかたもぴったり合っていて心地良かったです。
アダージオは本当に素敵でした。ヴァリエーションも良かったです。

黒鳥では、フェッテの最後の方が左に移動してしまって、最後でちょっといきなり終わった感がありましたが、うまくごまかして結果オーライでしたね。
ダブルを5回入れていて、スピードもありました。
むしろ黒鳥は、ちょっと模範的黒鳥すぎるので、もっと彼女らしい工夫、何かアクセントのようなものがあれば、もっとすごみが出ると思います。たとえば、王子の頬をさっと撫ぜていくとか…
そのあたりが絢子さんの課題でしょうね。色っぽさが必要です。

その他のダンサーでは、特にパ・ド・トロワを踊った、さいとう美帆さんが軽やかで良かったです。
スペインの楠本さんも良かったですわーい(嬉しい顔)
白鳥のコールドも、日を追うごとに揃ってアンサンブルが向上していくようで美しかったです。
ルースカヤは米沢唯さんでしたが、ルースカヤというと、前回の湯川さんのように、思い入れを込めて踊る人が多いけれど、その逆で、むしろちょっと爽やかでした。ピルエットなど回り物が余裕だったせいでしょうか。
道化の福田さんは、踊りは上手だけれども、道化としての彼なりの個性とかがあまり感じられませんでした。やはり道化は八幡さんの名人技にはかなわない!!
ロートバルトは素敵でした。ちょっとしか踊らなかったけど、なんかスタイリッシュな感じでした。
キレがあるし、アラベスクのキープも長いし。顔が見えないのが残念ですね。

第4幕に、ロートバルトがなぜ滅ぶのかが、何度見ても解らないのが、この版の最大の欠点なので、これはどうにかして欲しいです。王子とロートバルトが闘って、白鳥のコールドたちが大勢で襲いかかるとか…
もうちょっと見てる人にわかるようにしないと、何だかわけがわかりません。

ぴかぴか(新しい)





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2012年05月09日

新国立劇場バレエ「白鳥の湖」ワン・チーミン主演

2012年5月8日(火) 19時 オペラパレス
オデット/オディール ワン・チーミン
ジークフリード王子 リー・チュン
ロートバルト 貝川鐡夫
道化 八幡顕光
パ・ド・トロワ 川村真樹 本島美和 江本拓

世界のプリマ、ザハロワ女王が愛娘に原発の影響が及ぶのを心配してキャンセル、その代わりに呼んだのが無名に近い中国人プリマ、ワン・チーミン。といっても、草刈民代プロデュースのローラン・プティ公演に参加していて、そのメイキングはTVでも放映されたから、知っている人は知っていたのかも。
私もそのTV放送を見て、素敵なバレリーナだなと記憶していました。
でも、ザハロワの代わりですから、てっきりロシアのバレリーナを牧ラインで呼ぶか、あるいはロイヤルのバレリーナをビントレーラインで呼ぶかかなと予想していたので、ちょっとびっくりです。
まさかの草刈ライン。これはまさか将来、草刈さんを新国立の芸監ルートに乗せるための布石じゃないでしょうね?

そのワン・チーミンは中国国立バレエのプリンシパルで、相手役のリー・チュンは学生時代から一緒に組んでいるパートナーであり夫だそうで、さすがに息もぴったり、サポートも全く危なげなく彼女を美しく踊らせて、一番良かったのは、2幕のアダージオでした。

日本人だと、痩せると洗濯板のように横から見て薄っぺらい体になってしまいがちなのですが、ワン・チーミンは腕などは細いのに、体の厚みはほどほどにあって、体幹が実にしっかりしていて、ちょっとやそっとじゃぐらつかない強靭さがあります。
黒鳥のヴァリエーションでも、アティチュードターンのあと、少しバランスが斜めになって、次のステップまでに普通だったらぐらついてしまいそうな瞬間がありましたが、スッと伸ばした足先に見事にポワントでのって何事もなかったかのように次に続いていきました。
その強靭さを隠して、上体は柔軟で柔らかくなめらか、下半身は、上げた脚を降ろすスピードが、コンマ1秒ぐらいゆっくりなので、とてもねばっこく見えます。素晴らしく見事なボディコントロールだと思いました。
黒鳥の32回のフェッテは、音楽のスピードがかなり速かったのですが、ダブルを5回ぐらいいれて、きっちりとスピーティに回りました。位置がほとんど変わらなかったのも凄い。
表情や雰囲気などはわりと淡々としていましたが、踊りの素晴らしさで十分白鳥らしさを表現していました。

白鳥というのは難しい役で、わりとどのダンサーも白鳥よりも単純な黒鳥の方がやりやすいようで、見ているこちらとしても、このダンサーは白鳥よりも黒鳥の方が良いと感じることが多いのですが、ワン・チーミンさんは断然白鳥の方が良かったです。

王子役のリー・チュンさんは、ノーブルな雰囲気は良く出ていましたが、ソロで踊るところは華がなくて、別に主役に見合わないほど下手ではなかったですが、せっかく彼女が素晴らしいので、王子ももっとアピール度の高い人で観たかったという感じがしました。

その他のキャストについては、道化の八幡さんがとても良かったです。32回転もジャンプも540も決まっていて、もう名人芸の域に達しています!!ロサンジェルスバレエでも人気を博したというのも当然です。
今回は私の好きだったダンサー、寺島まゆみさんや西山裕子さんなどがいなくなってしまって、かなり残念ではありましたが、プリンシパルの川村さん、本島さんがパ・ド・トロワ、マイレンさんがスペインや友人、湯川さんがルースカヤ、その他にもベテランダンサーがたくさん出演していて、大変に楽しめました。
大和雅美さんがチャルダッシュを踊っていて、こんなにこの踊りが面白かったと再発見しました。
堀口純さんが2羽の白鳥を踊っていましたが、彼女は顔が小さくて手足が長くて、雰囲気がまさに白鳥!
彼女にぜひオデットを踊って欲しいものです。

今回は立ち役(貴族)で、アシスタント・バレエミストレスの遠藤睦子さんまで出演していました。
こういうところを見ると、牧先生の配慮を感じます。
新国立劇場では、月給制でなく、ギャラが1舞台ごとに支払われるらしく、牧先生が芸監をしていた時は、ダンサー達がまんべんなくお金が貰えるように、キャストに入らなかったダンサーは立ち役に配置するなど細やかに配慮していたようですが、ビントレー芸監になってからは、そのような配慮があまりなくて、同じ人が何度も舞台に出て、一部の人たちはずっと舞台に出られなかったり(特に、出演人数の少ない舞台の場合とか)、トリプルビルなのに、特定のダンサーばかり何演目もだぶって出ていたり…と、はたから見ていても、困っているダンサーもいるんじゃないかと感じます。

今回の白鳥の湖は、おそらくあまりビントレーさんがタッチしていないと思われ…この版を作った牧さんにかなりのキャスト決定権があったのでしょう。
まあ、パリオペラ座みたいに月給制にして、昇級もコンクールにして、社会保険や年金などもつけて、まともに安心して働けるようにしてもらえれば、こんな配慮は無用なんですけどね。
ダンサーも国家公務員でいいと思いますけど。文化というのは国の誇れる財産だし、素晴らしいダンサーは国の宝でもあると私は思います。
いつになったらそんな日が来るのだろうか。ぴかぴか(新しい)





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2012年04月29日

ウィーン国立バレエ団2012年日本公演「こうもり」

2012年4月29日(日)1:30PM 東京文化会館
振付・演出 ローラン・プティ
舞台美術 ジャン=ミッシェル・ウィルモット
衣装 ルイザ・スピナテッリ

ベラ マリア・ヤコヴレワ
ヨハン ロマン・ラツィク
ウルリック マニュエル・ルグリ
チャルダッシュ 木本全優

NBSのバレエの祭典会員の知人にチケットを頂きました!
しかもルグリの出る日なんて黒ハートラッキー黒ハート

プティの「こうもり」は、今年2月に新国立劇場で上演されています。
こちらからその情報を見ることができます。
ウィーンの版は、舞台美術も衣装も同じデザイナーで、ほとんど同じです。
ちょこっと色合いが、新国立の方がカラフルかなというぐらいで。

ということで、どうしても新国立と比べてみてしまいますが…
全体的におとなしめでした。もっとはじけているかと思った。
主役の二人は、新国立のゲストできていたベゴーニャ・カオ&テューズリーの方が良かったです。
テューズリーはとにかくカッコ良かったし、踊りもキレがあって完璧だったし、カオは肉体の迫力があって、ねっとりした色気がありました。

ウィーンの二人は、ラツィクは踊りがもっさりしているし、ヤコヴレワはスタイルが良くて美しいけど、なんだかあっさりしすぎています。
ルグリはもう別格で、軽やかなステップ、正確なピルエット、音楽にピッタリ合ったマイム…すべてが素晴しい。

ウルリックは神出鬼没で謎の人物ですが、どうもベラを好きらしく…というか、ルグリ先生は、視線がベラに釘付けになりすぎです!
どうみても素敵なのは地味な旦那よりウルリックだから、そっちを選んだ方がいいのに…と思っちゃいました。

2幕のチャルダッシュの木本さんは、背が高くて正統派のきれいなバレエを踊っていて良かったですが、ちょっとまじめすぎる印象を受けました。
カンカンを踊っていた橋本清香さんも、美しさで外人にひけをとらなくて、これからが楽しみです。

コールドだけで踊るシーン、チャルダッシュやその後の仮面舞踏会のシーンは、ダンサー達の表情が乏しく、退屈でした。
踊るだけでいっぱいいっぱいなのか…、プティのエスプリを理解していないのか、理解していてもそれを表現しようとしていないのか、楽しさがあまり伝わってこなかったです。
この点、新国立のダンサー達は、もっと表情豊かに、コミカルにやっていて上手だったし、アンサンブルで魅せようという意識も高かったように思います。

シュトラウスの音楽の本場、ウィーンのダンサーによる「こうもり」は、とびっきりエスプリがあって、ウィーンの香りがして、日本人のやる「こうもり」とは段違いの大人の雰囲気があるのだろうと想像していましたが、意外なことに、私の見るところ《新国立の方が上》という軍配が上がりました。

プティの振付はクラシックを元にしているから、結構難しい振付もあったりして、それでいっぱいいっぱいということは、ウィーンのダンサー達はクラシックのレベルはあんまり高くないのでしょうか。
ベラ役のヤコヴレワは白鳥とか、正統派のクラシックを踊った方がむしろ似合いそうでしたけど…プリンシパルのプロフィールを読むと、ほとんど旧ソ連系の方たちなのですよね。
プリンシパルの女子はクラシック寄りで、その他はコンテ寄り?
まだ新生ウィーン国立バレエ団にぴったりな演目を模索中なのかな。

ルグリはすごいんですけどね、相変わらず。あんなに踊れるのに、あの役はもったいない。
というか主役を食ってしまうから、素直にヨハンを踊った方がよい気がしますけど。ぴかぴか(新しい)

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2012年03月18日

新国立劇場バレエ「アンナ・カレーニナ」

2012年3月18日(日)14時 中劇場

アンナ: ニーナ・ズミエヴェッツ
カレーニン: オレグ・マルコフ
ヴロンスキー: オレグ・ガヴィシェフ

ボリス・エイフマン作品の再演。
2年前の時には、エイフマンバレエを初めて見たので、作風のスタイリッシュさにびっくりし、新国立劇場のダンサーによるコールドの素晴らしさに感動を覚えました。

エイフマンの振付は、肉体を最大限に酷使するような動きのもので、ジャンプの頂点で体をひねり、両足を横に突き出すとか、女性が男性に飛び込んで行って、そのまま空中で大回転するなど、大変にアクロバティックでドラマティック。時には体操競技のように見えたり、カンフーのように見えたりするほどです。
コールドのダンサー達は、出入りはすべて走っているし、場面ごとに着替えているので、舞台裏では相当あわただしいことになっているのではと想像されます。

エイフマンバレエ団では、男性は180センチ以上、女性も170センチ以上の身長じゃないと採用されないらしく、今回のゲストの男性もおそらく185以上、主役を踊った二―ナもおそらく175センチぐらいありそうで、この3人が踊ると、肉体のかもしだす迫力が半端じゃない勢いで迫ってきます。

新国立劇場のダンサーたちも、今回の作品では身長が高い人が選ばれているようですが、それでもカレーニン役のオレグ・マルコフが中心になって踊ると、周りの男性たちが小学生、いやそれは可哀そうだから、中学生みたいに見えてしまうのは致し方ない事です。
とにかく、体の《厚み》が全然違いますから。日本人は身長があっても薄っぺらい体型なんです。
この作品、本家のエイフマンバレエのダンサーのコールドで観たら、すごいでしょうね。
でも、新国立のダンサー達もとても良くやっていました。酒場のシーンなんて、ユーモラスでとても面白かった。(本当に酔っぱらっているような古川さん、最高!)
何といっても、男性陣が生き生きと、実に楽しそうに踊っているのが好感度大でした。

女性たちも、だいぶ以前とメンバーが変わったようですが、湯川さん(リーダー的にひっぱっていましたね〜素晴らしい黒ハート)とか西川さん、丸尾さん、千歳さんとか、ベテラン組がびしっと締めてくれていたように思います。難しいところは、やっぱり初演を経験しているメンバーが活躍していました。

最後の、機関車をダンスで表現しているシーンはやはり圧巻です。
機関車の効果音がだんだんと大きくなって、耳をつんざくほどに劇場を満たすと、そこで一転アンナのダイブと同時に無音になる。このカタルシス。たまりません。

エイフマンの作風はコンテにしてはとても解り易く、アンナ・カレーニナにしても、原作のエッセンスは残しつつも、三角関係の不倫物語なのね〜という単純な解釈もできますし、初見の時に少々違和感を感じた「アンナの妄想シーン(全裸)」も、それ以前のシーンでも寝室が何回も出てきたことから、現代的にSEXを物語のキーとして入れ込んでいるのだと今回観ていて感じました。

この作品は、新国立劇場バレエ団に合っているし、傑作だと思います。
バレエ団員キャストでは観た事がないのですが、これからもちょくちょく再演して、重要なレパートリーのひとつとして定着していって欲しいと思います。


ぴかぴか(新しい)











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2012年03月11日

モナコ公国モンテカルロバレエ団「シンデレラ」

2012年3月10日(土)19時 東京文化会館
「シンデレラ」プロローグ付き全3幕
振付:ジャン・クリストフ・マイヨー
音楽:プロコフィエフ
衣装:ジェローム・カプラン

仙女:サラ・ジェーン・メドレー
父: アルヴァロ・プリート
シンデレラ:アンハロ・バレステロス
王子:ジェローン・ヴェルブルジャン


マイヨーがモンテカルロバレエ団の芸術監督に就任したのは1993年だそうです。
以前に私は「ラ・ベル」という、眠りの森の美女の改訂版を観た事があります。
大きな泡の中にオーロラ姫が入っているという演出が斬新でした。

古典の改訂というと、ストーリーを重視したもの、まったくの読み換えのもの、衣装美術だけ直したもの…と様々ですが、マイヨーの作品は、まったく新しい発想のポイントが一つあって、そこから全体を膨らませているように感じられます。
「ラ・ベル」の時は、《泡に入ったオーロラ》から、そしてこの「シンデレラ」は、《キラキラと輝く素足》ではないでしょうか。

シンデレラが仙女に言われて、レンズ豆の入った大きなガラスボールに足を入れると、ラメで足がキラキラと光るのです。
普通は、いわゆるシンデレラ=ガラスの靴という図式がありますが、マイヨーはそれを壊して、素足を持ってきました。

たしかに、靴は単なる履物ですから、素足の方が、シンデレラ自身が美しいことの象徴としては良いかもしれないと感じました。
《キラキラ輝く素足》から発想がひろがって、全身がキラキラと輝く仙女につながっていったのでしょうか。

マイヨーの改訂版は、衣装も斬新で、ゴルチェ風のビスチェに、ボーンを入れて馬の背やサソリの尾のように造形したスカートをつけたり、劇中劇では布製の人形のような衣装だったりと面白いです。

演出としては、「なぜ、シンデレラに、劇中劇でシンデレラの物語をあらかじめ教えるのか」とか、「なぜ、死んだはずの母が仙女になって、最後に父と結ばれるのか」とか、色々分からないところがありますし、肝心の《キラキラ輝く素足》の方も、遠くから見たのでは良く分からないので、いっそのこと蛍光塗料でも塗って、ブラックライトでも当てたら、もっと効果的では?とも思いましたが、退屈するほどではなかったです。

コンテ系はあまり好きではないのですが、キラキラした足のシンデレラと王子、全身キラキラの仙女と父の2組のカップルが同時に踊るパ・ド・カトルは素晴らしく美しいシーンでした。

この新しさを知ってしまうと、古典の眠りがすごくカビ臭いものに感じられてしまいます。
いえいえ、でも私は古典の中の古典が大好きだし、クラシックバレエの王道である「眠り」で、ダンサーたちが、ぴっちりとしたクラシックテクニックを見せてくれるのが、たまらなく素敵だと思うのですが、そんな自分の感覚が、古臭いものなのではないのか、という疑問が湧いてきました。

モンテカルロバレエ団のレパートリーを見ると、マイヨー作品と、コンテンポラリーの名作がずらりとあって、いわゆる古典物は入っていません。
ポワントを使って踊るので、基礎としてクラシックレッスンはやるのでしょうが、現代作品だけを上演するカンパニーなのですね。
モナコで、ガルニエが設計した豪奢で、小じんまりした劇場で、こういう斬新なダンスを上演するというのは、すごくおしゃれだし素敵だと思います。


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2012年03月05日

東京バレエ団「ねむれる森の美女」沖香菜子&松野乃知

2012年3月4日(日)13時 めぐろパーシモンホール

オーロラ姫  沖香菜子
デジレ王子  松野乃知
リラの精   二階堂由依
カラボス   伝田陽美
カタラビュット 氷室友

2回観てわかったことは、カタラビュット役のダンサーが、それぞれの解釈や工夫を加えて演じているということ。
氷室さんは松下さんよりたくさんマイムを紹介しながら解説していたし、一番違うのは、「なぜカタラビュットはカラボスを招待客リストに入れなかったのか」という点の解釈。
松下さんは、悪い魔法使いカラボスを呼ぶと、悪い贈り物をくれそうだから、あえて呼ぶのはやめようと決め、けれどその判断が本当にいいのだろうかと悩みながら床につく。
氷室さんは、呼ばないとまずい事になりそうだから、やっぱり呼ぼうとしてペンを探しているうちに、その事をすっかり忘れてしまったという筋書き。
ファーストキャストの高橋竜太さんはどのように演じたのでしょうか。
それぞれのダンサーの演目への思いが感じられてとても面白かったです。

前日オーロラを踊った二階堂由依さんがリラの精で、踊りはともかく、やはり目を惹きます。
大役を終えた安心感からか、後半になってどんどん良くなっていってキラキラしてました。
長身の彼女は存在感といい、その人間離れした美しさといい、リラの精にはぴったり。

一幕で登場してきた沖香菜子さんのオーロラは、はじけるようなパドシャやステップが若々しく、とてもフレッシュな感じ。
筋力があるし、ボリショイに留学していただけあって、正統派クラシックの技術をしっかり持っているようでした。
小さな失敗が1個ありましたが、16才のオーロラらしい若さや可愛らしさがあり、ローズアダージオも余裕はなかったようですが、破綻なく踊りきりました。
彼女は入団2年目。プリンシパルでさえ主役を踊る機会の少ない東バで、おそらく今まで一度もソロも踊らせてもらったこともないでしょうに、いきなりの主役。たいへんなプレッシャーだったと思います。


東バのブログでは、仲のいい松野さんと組んでのパ・ド・ドゥが一番安心して踊れると書いてありましたが、二人のアダージオは素敵でした。

とてもフレッシュだったし、筋力も、体力もあるようだから、技術をさらに磨いて、経験値をあげていけば大丈夫、いいダンサーになれると思います。

沖さんはとても小顔で、目が大きいので、舞台では可愛い系というよりは、華やか系に見えます。
あの目を生かす《目力》が使えるようになれば、将来ヴィシニョーワのような艶やかなプリマになるのも夢ではないと思います。

王子の松野さんは、登場した時にどうにも王子には見えず、マイムも演技も〈バレエを習っている高校男子〉にしか見えなかったのですが、踊り出したら結構脚も上がるし回転も上手だし、ジャンプも高くて良かったです。

この回のカラボス(伝田陽美さん)がとても良かったです。セリフが聞こえてくるように分かりやすいマイムと演技で、ドラマティックでした。
またその他のダンサーで良かったのは河谷まりあさん。音楽の掴み方が好みでした。
白雪姫の渡辺理恵さんも、出番は少しでしたが柔らかい踊りで素敵でした。

ファーストキャストは見なかったのですが、子供の為のバレエ公演はとても良い試みですので、これからもどんどん公演できるといいと思います。
ちなみに私の席の横の家族連れは、母親と4才と6才ぐらいの女の子二人で、はじめてのバレエ観賞だったようでしたが、二人とも舞台に穴があくぐらいに真剣に舞台に見入っていたのが印象的でした。



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2012年03月04日

東京バレエ団「ねむれる森の美女」二階堂由依&柄本弾

2012年3月3日(土)16:00 めぐろパーシモンホール
オーロラ姫  二階堂由依
デジレ王子  柄本弾
リラの精   渡辺理恵
カラボス   矢島まい
カタラビュット 松下裕次

東京バレエ団が新しく子供のために制作したバレエ「ねむれる森の美女」
未就学児は入場できない一般の公演と違って、4才から入場可能でチケット代はS席(1階)で大人5000円、子供2500円と格安。
音楽は録音ですが、お子様向けにカタラビュットが見どころを解説したり、役によっては着ぐるみを使用したり、照明のマジックや登場人物が客席から登場したりと、舞台と見る側の一体感を演出するという触れ込みでした。

照明のマジックや客席から登場するダンサーはなかったようですが、カタラビュットにナビゲートさせるというアイディアはとても効果的でした。
セカンドキャストのこの回では、ソリストはカタラビュットを演じる松下裕次さんだけで、あとはすべてアーティストのランクのダンサーが出演します。

童話本の表紙のようなかわいらしい緞帳が会場の雰囲気を盛り上げます。
幕が開くと、カタラビュットの寝室で、明日のお姫様が生まれたお祝いパーティーにカラボスを呼ぶかどうかを悩んでいるところです。
子供たちへ巧みにマイムを織り交ぜながら解説する松下さんは、よく通るいい声だし、セリフ回しや間の取り方もうまくて、彼はクラシック・テクニックが抜群に上手なだけでなく、役者としてもやっていけそうな才能を持っているんだとびっくりしました。
舞台での魅せ方というものを良く知っています。そこが経験値の浅い他のアーティスト達とは全然違っていて、彼がいるおかげで舞台が引き締まりました。

舞台美術は絵本作家の永井郁子さんが担当したそうですが、原画のマンガっぽさは少しトーンダウンしていて、大人の観賞に耐えるような色調に作ってあったのは良かったです。
宮廷の場面では、舞台装置が絵本のページを開いたように置いてあったので、高身長の今回の主役二人には少々手狭な感じではありましたが、なにせ出演者が少ないので、そうでもしないと舞台がスカスカに感じられたことと思います。

プロローグではカラボス(矢島まい)が楽しそうに生き生きと演じていて良かったです。
妖精のヴァリエーションは、リラ以外は全部カット(涙)
最初に妖精が登場する時に、それぞれの特徴的な振りをちょこっと踊るだけでした。
リラの渡辺理恵さんは、エレガントで、アラベスクの脚が高くあがって、ポーズがきれいで…彼女のオーロラも良さそうだと思いました。
そして、今回のお目あて、二階堂由依さんは、ありえないほど目を惹きつけられます!!
柳腰とでもいうラインを描く細長い体つきは、楊貴妃を描いた昔の絵のようで、西洋的でなく東洋的な不思議な美しさ。
普通のダンサーと全然違う印象なのです。なんでしょう、この感じは…。スターウォーズに出てきたカミーノ星人にも似ている(笑)というのは失礼だけど、長くて細い脚がきれいで見惚れます。
登場の瞬間に、観客の目を奪いとる、なんというスター性!!

でも踊りは…、オーロラを踊るにはパワー(体力)も筋力も技術も足りないと感じました。
サポートピルエットの時にかなり軸が傾いたぐらいで、特に失敗はせずに踊りきったので、舞台度胸はあると思いますが、あれだけのスター性があるのだから、もっと軸をキュッと絞って、その宇宙人のような恵まれた肢体を最大限に生かすような技術を身につけて欲しいと思います。
東バとしても、次代のホープとして彼女に期待しているはず。

バレエは最初と最後に問題になるのが容姿だという、すごく厳しい芸術。
自分の努力だけではどうにもならない、《すぐれた容姿》という神様のギフトに恵まれた人は、それに見合うだけの技術を身につけることが、引き立ててくれる人たちや応援している観客に対しての義務だと思います。

二階堂さんにしても、このままでは、見かけだけ良いから役をもらうダンサー、ということになりかねません。ぜひぜひ踊りを鍛錬、精進して、国際的に通用するプリマになって欲しいと思います。


王子の柄本弾さんは、カブキの時はすごく良かったのですが、王子というにはちょっとノーブルさが足りなかったです。頭が大きすぎるのでしょうか。


美術と演出は新しいものでしたが、衣装は全部新調したようには見えませんでした。
在庫品から選んだものもあったようです。
特にオーロラの衣装、妖精たちの衣装は、アマチュアの発表会用みたいなありきたりのもので、プロの舞台にしてはチープ感がただよっていました。
オーロラぐらいは、もっとゴージャスなものを新調すればよかったのに。

いろいろ苦言も書きましたが、演出は、妖精の踊りをカットした事以外はおおむね良くて楽しめました。大人も気楽に見られるものに仕上がっていたと思います。
東京バレエ団も、ゲストを迎えての公演が多くて、若手がなかなかソロを踊る機会がないので、このような企画で経験を積むのはとても良いことだし、バレエ観賞人口の裾野を広げることにも繋がるので、どんどんこの方式で公演を打てばいいと感じました。


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2012年02月22日

アり―ナ・コジョカル ドリーム・プロジェクトBプロ

2012年2月21日(火)6:30PM ゆうぽうとホール

「ラリナ・ワルツ」
振付:リアム・スカーレット 音楽:チャイコフスキー
アり―ナ・コジョカル、ローレン・カスバートソン、ロベルタ・マルケス
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ワディム・ムンタギロフ、セルゲイ・ポルーニン

クラシックのテクニックを見せる振付で、女性はチュチュ。
みんな良かったです。今回のメンバーはテクニックの強いダンサーが多くて、それを堪能できるような作品でした。私はマックレーがやっぱりうまいと思いました。
コジョカルの上半身がムキムキの筋肉マンみたいになっていてちょっとびっくりしました。
首の怪我で休んでいた間に筋トレでもやったのでしょうか。


「タランテラ」
振付:バランシン 音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
ロベルタ・マルケス、スティーヴン・マックレー

マックレーの凄さを見せつけられました。
この速い曲も音にぴったりで余裕の脚さばき。
タップを踏んでいるように軽快で洒脱。
途中からタンバリンを持って踊るのですが、マルケスはテクニシャンだけれども音に乗り切れていなくて、ずれて叩いていましたが、マックレーはタイミングぴったり、完璧でした。


「くるみ割り人形」よりグラン・パ・ド・ドゥ
ダリア・クリメントヴァ、ワディム・ムンタギロフ

ダリアの女性らしくエレガントな踊りで、優雅なくるみ割りの世界に引き込まれました。
ゆったりと音を使いながら、テクニックもしっかりとあったし、女王らしい輝きもあって素晴らしかったです。
初めて見たダンサーでしたが、イングリッシュナショナルバレエのプリンシパルなんですね。
相手役の彼も正統派で、この二人のくるみはすごく良かったです。


「ディアナとアクティオン」
振付:アグリッピーナ・ワガノワ 音楽:チェーザレ・プーニ
ローレン・カスバートソン、セルゲイ・ポルーニン

ローレンは初めてみましたが、性格の良いお嬢さまという感じで、こういう野性味のある役にはちょっと似合わない感じがしましたが、伸びやかな踊りで高感度高いです。
ジュッテもすごく高くて、いい感じだったのに、連続でやるべきところを3回目でつまづいたのか止めてしまって、怪我でもしていないか心配でしたが、大丈夫だったようです。
噂のポルーニンは、左肩に大きなタトゥーをしていて、ドーランで隠してましたが、彼は野生味ありますねぇ。
前々から思っていたのですが、マックレーが陽なら彼は陰のオーラって感じです。
身体能力もすごくて、野性味のある540ワザをざっくりと右左右と三連続していました。


「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ノイマイヤー 音楽:ショパン
アり―ナ・コジョカル、アレクサンドル・リアブコ

まず登場シーンからの二人の芝居でぐっと引きこまれました。
ガラだというのに、こんな最初から思わず涙が…
コジョカルはハンブルグバレエに客演してこの作品をリアブコと踊ったそうです。
だから相手役はコボーじゃなく、わざわざこの為にリアブコを呼んだようです。
年増女と若いつばめという雰囲気ではありませんでしたが、男と女が心をぶつけあうという迫力がありました。
コジョカルもこんな演目が似合うように進化していたのですね。
素晴らしかったです。
残念なのは、クライマックスで携帯音が鳴ったのと、あのピアニストさんが最後の方、例のごとくメタメタな演奏だった事です。
もうちょっとクリアに弾ける人だったら、ミスタッチを気にせず盛り上がって見れたのに、という感じでした。



「ザ・レッスン」
振付・デザイン:フレミング・フリント 音楽:ジョルジュ・ドルリュー
教師:ヨハン・コボー
生徒:アリ―ナ・コジョカル
ピアニスト:ローレン・カスバートソン

King of Dance公演などで上演されている「ザ・レッスン」、一度観てみたいと思っていたのが叶いました。
コボーはしょっぱなからかなり怪しく、コジョカルはひたすらかわいく、カスバートソンは謎の人物でした。まだ公演が終わっていないので、ネタバレはやめておきますが、サイコ風の物語で、後味はあまり良くなかったですが、こういうバレエの方向性もあるのだなぁと思いました。
大変印象的な作品でしたし、三人のダンサーは素晴らしい熱演でした。


「ドン・キホーテ」ディヴェルティスマン
アリーナ・コジョカル、ローレン・カスバートソン、ダリア・クリメントヴァ、ロベルタ・マルケス、
ヨハン・コボー、スティーヴン・マックレー、ワディム・ムンタギロフ、セルゲイ・ポルーニン

ドン・キホーテの中から最後のパ・ド・ドゥとソロを色々なダンサーが踊りました。
メインはコジョカル&コボー。
コジョカルが、たっぷり10秒ぐらいのトゥバランスを2回、トゥからそのままアラベスクへ脚をあげるバランス技など、すごいことを色々見せてくれました。
最後のコ―ダの回転技は、男性4人同時に、そして女性4人同時にやって面白かったです。
女性4人とも赤いキトリのチュチュでしたが、やはりコジョカルの来ていた黒いレースの長そでが一番素敵でした。チュチュの端が赤いレースになっていて、くるくるまわると可愛いんです。



るんるん


演目もダンサーもとても充実していたお得感たっぷりの公演でした。
あれだけ踊って、まったく疲れを感じさせないコジョカルのパワーに感心しました。
タイプは違うけれど、ギエムの後につづく、世界最強のバレリーナは、ザハロワとコジョカルかもしれません。


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2012年02月02日

ボリショイバレエ2012「スパルタクス」

2012年2月1日(水)18:30 東京文化会館

指揮パーヴェル・ソローキン
ボリショイ劇場管弦楽団

スパルタクス: パヴェル・ドミトリチェンコ
クラッスス:ユーリー・バラーノフ
フリ―ギア:アンナ・ニクーリナ
エギナ: マリーヤ・アレクサンドロワ

このユーリー・グリゴローヴィチ版の「スパルタクス」は1068年にボリショイで初演されたそうです。
女性主体であったそれまでの全幕バレエの常識からすると、いかに衝撃的な作品であったかと今さらながらに感じます。
男性ダンサーは女性の持ち上げ役以上の可能性がある、ということを壮大なスケールで表現し、さらに持ち上げる場合は、こんなこともできちゃうんだよ〜とでも言いたげなアクロバティックなリフトも色々出てきます。

当時はまだ旧態然のソ連時代。
この作品が海外でいつ最初にお披露目されたのかは解りませんが、1061年に西側に亡命したヌレエフも、きっとどこかでこの作品を見て、影響を受けたのではないでしょうか。
ヌレエフはパリオペラ座の芸術監督となって、古典作品の改訂演出を作る時に、男性ダンサーが踊るシーンをたくさん挿入しています。
そしてバレエにおける男性の重要性はますます増してきています。
女性主体から、男性主体へ。その流れの中で、熊川さんの『海賊』なども入るでしょう。
その源流がこの作品ではないかと思います。熊川版の海賊にも、このスパルタクスの中の振付が採用されているようでした。

演出としては古色蒼然とした部分があって、それはコールドのダンスが終わったら後ろが暗くなって、前方でソロがあり、それが終わったら後ろでまたコールドが始まる、の繰り返しで単調でした。


女性の群舞もありますが、とにかく兵士たちの群舞が多いですし、白鳥などの一糸乱れぬコールドではなく、パワーと力、跳躍と飛び散る汗です。もっとも私は4階で見たので汗は飛んできませんが、上階からでもすごい迫力でした。

スパルタクスを演じたドミトリチェンコは、脚が長くすらっとした素晴らしいスタイルです。
跳躍は高くて美しくしなやか。回転も軸がまったくぶれません。
踊りは迫力満点ですが、演技は繊細で、クラッススの命令で剣の試合を行い、自分が殺した相手の兜を取ったら親友だったと知って悲しむ場面など、強い悲哀が伝わってきました。
今回のボリショイ公演では、イワン・ワシリーエフのスパルタクスが目玉のようでしたが、私はあえて避けて正解でした。

エギナを踊ったマリーヤ・アレクサンドロワがなんともゴージャスで舞台を支配していました!
踏み出す足の一歩一歩がすごく大きいのです。踊りが大きい。
これは映像では決してわからないと思います。生の舞台を見なくては、彼女の凄さは伝わらない。
見ていて胸がすくようなスカッとした踊りです。
でも決して雑ではない。男前というのとはちょっと違う女性的魅力もある。
スケール感の違いです。普通の人がセンチ単位を基準として動いているとしたら、彼女の基準はインチ(2.5センチ)単位って感じです。

以前にガラで彼女を見た時は、これほどイイと思わなかったのですが、やはりボリショイバレエ団の全幕物の中でこそ、アレクサンドロワの長所は最大限に発揮できるのだと思います。

彼女は牧阿佐美バレエ団の「ノートルダム・ド・パリ」で代役で主演するそうですが、あのスケールで動かれたら、日本人の中で浮きまくるのではないでしょうか。
それ以前に、日本男子は彼女をリフトできるのか?うーん、かなり興味が湧いてきました。

フリ―ギアを踊ったニクーリナも女性らしくて良かったのですが、いかんせん、マーシャの前では陰が薄くなってしまいました。対抗できるオーラをもつのはザハロワくらいか??

今回はオケの威勢の良さもハンパなかったです。
これぞハチャトリアン、というティンパニーの雷ではじまり、まあ響くこと響くこと。
物語としては第1幕が一番波乱万丈でしたが、第2幕は男性の群舞に少々飽きて…、第3幕はまたマーシャが活躍で目が覚めました。棒を持ちながらの踊りは、なんかポールダンスみたいなエロティックさを感じて面白かったです。


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2012年01月30日

エトワールへの道程2012 2日目

「エトワールへの道程2012」
新国立劇場バレエ研修所の成果

2012年1月29日(日)3PM 新国立劇場 中劇場

指揮 アレクセイ・バクラン
新国立劇場アンサンブル

1.シアトリカル・ダンス
「I'll Met By Moonlight 月夜にとんだ鉢合わせ」
〜ウィリアム・シェイクスピア『夏の夜の夢』より〜
振付: キミホ・ハルバート
脚本・演出・美術:三輪えり花
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン

タイターニア:フルフォード佳林
オべロン:小野寺雄
パック:島田沙羅
インドの子:鈴木優
ボトム:横山翼


バレエ研修所の発表会は何度か観に行っていますが、生オーケストラ付きは初めてです。
しかもオペラパレスの本公演でもよくバレエを振っているバクランさんの指揮、そしてオペラ研修所もソロやコーラスで参加するという豪華さです。
オケは寄せ集め?っぽいですが、とても上手でした。
ただ、演奏中に、オケピから携帯の着信音が2、3回鳴ったというのは、あるまじきことです。
中劇場は圏外じゃないのですね。それも不思議ですけど。

セリフの訓練をしてこなかったバレエダンサーにとって、セリフを言い、そして踊るというこのシアトリカルバレエは大いなるチャレンジです。
今回の研修生たちは、セリフ回しが上手で、見られる形になっていたと思います。
タイターニアのフルフォード佳林さんは、実に堂々として、踊りもステキでしたし、表情やセリフも良かったです。
オべロンの小野寺さんは、以前見た時より踊りが凄く上手になっていたので、最初は研修生じゃなくてゲストなのかと思ったぐらいでした。
印象に残ったのは、パックを演じた島田沙羅さん。
とてもキュートで、くるくる変わる表情がかわいかった。

研修生たちはみんな細くてスタイルが良く、それこそ妖精のようだし、エッジの効きすぎない、ほどよいコンテンポラリーな振付と、わかりやすい演出、風船がたくさん浮かんでいる可愛い美術などで、牧阿佐美先生好みの、一般受けのする、品の良い作品に仕上がっていたと思います。
私は結構楽しみましたが、きっとこれはビントレーの好みではないでしょう。


2.クラシカル・バレエ
『眠れる森の美女』ハイライト

優しさの精 佐藤愛香
元気の精 古川ゆりか
鷹揚の精 中西夏未
呑気の精 吉田早織
勇気の精 木村優里
リラの精 榎本朱花

パ・ド・カトル
金の精 小野寺雄
銀の精 鈴木舞
サファイアの精 横山翼
ダイヤモンドの精 鈴木優

長靴をはいた猫と白い猫 島田沙羅、宇賀大将

青い鳥とフロリナ王女のパ・ド・ドゥ 三宅里奈、碓氷悠太

オーロラ姫とデジレ王子のグラン・パ・ド・ドゥ 直田夏美、斉藤拓


パ・ド・ドゥを踊った二組はどちらも良かったです。
フロリナを踊った三宅里奈さんは、個性的で、彼女ならではのフロリナを表現していたと思います。オーロラ姫の直田夏美さんは、ひとつひとつの動きを丁寧に踊っていて、全体として大変品が良い印象を受けました。

最初に出てきた6人の妖精の中では、やはりリラの精を踊った榎本朱花さんの技術がしっかりしていたのが際立っていました。

宝石のパ・ド・カトルは、双子の鈴木舞さんと優さんが並んで踊りましたが、このお二人は本当に姿形が美しく、なんだかそれこそ宝石のようにキラキラと輝いていました。

お二人は、普通のダンサーがどんなに努力しても手に入らない《容姿と華》を生まれつき持っているのですから、それに釣り合う《踊りの上手さ》を是が非にでも身につけて欲しいと思います。
それが、これまでひきたててくれた人たちや、彼女たちの成長を楽しみにしている観客の人たちへの義務だと思います。



清潔で上品で、容姿の美しいダンサーが好きな牧先生のセンスと、時にはグロテスクな表現をする英国風ユーモアの持ち主ビントレーの乖離、それが研修生たちの今後にどう影響するのか、ちょっと心配です。

ぴかぴか(新しい)














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2012年01月16日

「眠れる森の美女」日本バレエ協会神奈川ブロック自主公演

2012年1月15日(日)4PM 神奈川県民ホール
日本バレエ協会神奈川ブロック自主公演
「眠りの森の美女」
オーロラ:大滝よう
デジレ王子:清水健太
リラの精:樋口ゆり

2012年の初バレエ観賞は、「眠りの森の美女」でした。
眠りは久々に見た気がします。
夏山周久さんによる再振付で、ほとんどスタンダードな演出ですが、ゲストの4人の王子の見せ場も作ってあったり、いろいろ配慮があり、やはり眠りはこういう普通の演出が楽しめますね。

大滝ようさんは、初めてお名前を聞いた方でしたが、ニュージランドバレエ団にいたこともあるそうです。かなり小柄で、ローズのバランスやもろもろのテクニック的なことはきちんとやっていましたが、これだけの規模の公演での主役という責務からなのか、終始表情が硬く、オーロラの幸せ感が伝わってきませんでした。

デジレ王子の清水健太さんが、登場の瞬間のジュッテからして軽やかで、それまでのやや発表会的な雰囲気がガラっと変わって舞台がビシッと引き締まりました。
やはり海外でも活躍しているプロダンサーの力はすごいです。

清水さんは踊りも演技も、サポートも一流ですが、今のバレエ界では貴重な上品さと清潔感があって、きっと誠実ですごく性格のいい方なんだろうなと観る人が感じ、好感黒ハートを持つ。
天性の「華」というか、人を引き付ける魅力を持っている方だと思います。

Kバレエを退団して、日本であまり見られなくなったのは残念な事です。
(クリスマスシーズンは、ロサンジェルスバレエでくるみの王子を踊っていたそうです。)


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2011年11月09日

「パゴダの王子」小野&福岡 千秋楽

2011年11月6日(日)2PM オペラパレス

さくら姫 小野絢子
王子 福岡雄大
皇后エピーヌ 湯川麻美子
皇帝 堀登
北の王 八幡顕光
東の王 古川和則
西の王 マイレン・トレウバエフ
南の王 菅野英男
道化 吉本泰久


「パゴダの王子」という作品は、ニネット・ヴァロワがイギリス人による全幕物のバレエを作ろうとして、ブリテンに曲を依頼し、クランコに振付をさせたものが最初だったそうです。
その後マクミランがダーシー・バッセルの為に同じ曲を使って「パゴダの王子」を作りなおしましたが、どちらもあまり成功はしなかったそうです。

それは、物語がすっきり筋が通っていなかったのと、曲をカットしたりするのが、ブリテンが存命中は許さなかったから、コンパクトにまとめられなかったという事らしいです。

今回はそのあたりを意識して、とかげに変えられた兄と、その妹と、魔法使いの継母のお話。
色々なおとぎ話がまざっている感じです。

美術が素敵です。フィリップモリス風の舞台装置と、浮世絵のような、きり絵のような東洋的世界が不思議と調和しています。
西洋人の目でみた、東洋的美しさというところでしょうか。
富士山のきり絵と、燈色の太陽(日の丸のようです)が印象的。

この作品に出てくるとかげは、黒白のシマ模様で、日本人にとってあまりポピュラーでない種類ではないかと思います。
南の王(アフリカ)がシマウマのようなボディペインティングをしているので、それとかぶるのが気になりました。もっとも、南の王は宝塚みたいなダチョウの羽根をしょっているのがもっと気になりましたが(笑)

第2幕のディベルティスマンでの空と海のシーンは、女性たちのチュチュがかわいかったです。
あのチュチュでくるみ割り人形の雪をやったらいいのに!という友人の意見や、深海役のかぶりものは、赤塚不二夫の漫画「天才バカボン」に出てくるウナギイヌに似ている、という意見にはまったく同意です。(もっとも、今の若い子たちはウナギイヌって知らないでしょうが)
ウナギイヌ、もとい深海とタコに化けたエピーヌの場面はユーモラスで大好きです!

第3幕は、伝統的なパ・ド・ドゥの形式をとっていて、最後に大円団で盛り上がるのが良いですね!
これは、もともとの音楽がそのように作られていたのでしょう。

小野さんはおとなしくても芯の強いプリンセスを好演していたし、エピーヌの湯川さんは堂々としてまさにこの演目の中心でひっぱっていたし、福岡さんはガタイが良くて踊りもきれいです。
女性陣はあとはほとんどコールドで、男性はソロを踊るのは4人の王と道化のみという感じでしたが、新国立劇場のダンサーは皆揃っていてアンサンブルも良かったです。

とても面白く楽しみましたが、「アラジン」と比べると、まず音楽が少し難解で、耳にすぐ残るようなメロディーラインがないこと、物語自体が、アラジンのように誰でも知っている話でないことから、家族連れへのファミリー・バレエとしては「アラジン」に軍配が上がるのではないかと思いました。

けれども新国立劇場バレエ団のオリジナルとして発信するにふさわしい、シックでおしゃれ、かつユーモラスな秀作ができたと思います。バーミンガムバレエ団でも上演されるそうですが、むしろこれは外国人にはすごく受けるかもしれないです。


ぴかぴか(新しい)













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