2012年12月25日

IBC「ジゼル」

井脇バレエカンパニー「ジゼル」
2012年12月22日(土)18:30 メルパルクホール
ジゼル 井脇幸江
アルブレヒト 清水健太
ヒラリオン 正木亮
べルタ 荒幡今日子
ウィルフリード 浅田良和
バチルド姫 宮下今日子
ミルタ 柴田有紀

東京バレエ団の時は、主役を踊らないプリンシパルとして重要な脇役を踊り、特にドンキホーテのジプシー役や、ジゼルのミルタ役では、客席を彼女の世界に引き込む強烈な表現力を発揮していた井脇幸江さんが、退団後、自分のカンパニーを立ち上げての最初の公演です。
自分のカンパニーと言っても、バレエ団を持つのではなく、公演ごとに出演者をオーディションして参加者をつのり、その公演限りの団員扱い、ということだそうです。
参加者は一定の出演料を支払うけれども、チケットノルマはなしだそうです。
出演料を支払うってことでは、発表会みたいではありますが、井脇幸江という確かな視点と目標を持っているプリマの目指す舞台を一緒に作りだすということでは、プロ並みの経験ができるような気がします。

プログラムの中で、幸江さんはこう書いています。
「自分のダメさを突き付けられ、でも歯をくいしばって精一杯の笑顔で踊るのではなく、ダンサーが心から心地良いと感じる空間を作ることで才能を発揮し、心からの美しい表情で踊る場を作りたいと思っていました。」
第1幕で、この言葉通りの、驚くほどの自然な微笑みを浮かべている舞台の上のダンサーを見た時に、私は心の中で、目からうろこが落ちたようなショックを受けました。
いままでたくさんのバレエ公演を見ましたが、このIBCの村娘のダンサーたちのような、作った微笑みではない、心から楽しげで自然な表情は見た事がなかったような気がしたのです。
残念ながら、緊張感からか固い表情の子もいて、全員がそうだったというわけではないのですが、いつわりのない表情のやわらかさ、明るさには心を打たれました。
踊りは正直、主役級のキャスト以外は、プロと言えるレベルではなく、ぺザントは、せっかく元Kバレエの浅田君がいるのに、なぜ踊らない?と残念でした。彼が踊っていたら、第1幕はもっと引き締まったと思います。

第2幕は、コールド達はウィリー役なので、1幕で私が驚いた笑顔はなかったのですが、踊りは大変揃っていて、アラベスクをしたまま交差するシーンも良かったです。ジゼルのコールドとしては、かなり完璧で素晴らしかったと思います。

ヒラリオンの正木さんは演技、踊りも申し分がありませんでした。出すぎず、引っ込み過ぎず絶妙でした。

ミルタの柴田さんは、踊りが上手で見ごたえがあり、ミルタの冷たさもうまく表現していたと思います。

アルブレヒトの清水さんは、サポート上手で有名ですが、まるで体重がないかのように、サッとジゼルを頭上に高々とリフトしたり、ジゼルがふわっふわっと空中を漂っているようなリフトをしたりが実にスムーズです。
誠実で、ジゼルをもてあそんだりしないタイプに見えます。おそらく、愛のない政略結婚がいやだったのでしょう。
ウィリー達に強制させられて踊る場面での、32回のアントルシャ・シスは圧巻!!
つま先が伸びていてきれいでした…最近は、アントルシャ・シスで踊るダンサーが少ないので見ごたえがありました。

そして最後に井脇幸江さんのジゼルですが…
演技がとても繊細で、感情の動きが手に取るように伝わってきました。
柔らかな腕の使い方も素敵でしたし、第1幕ではすごくかわいらしい少女で、それがアルブレヒトの嘘によって傷付き、心が壊れていく様が丁寧に表現されていました。
第2幕のウィリーになってからのジゼルも、ミルタに呼び出されての高速回転(ヴィシニョーワみたい!)も良かったし、静謐な緊張感に満ちたヴァリエーションも良かったです。
ジゼルとアルブレヒトは、一緒に踊っていても、アルブレヒトはジゼルが目に見えるわけではなく、感じるだけです。だから二人は視線を合わせない。(というのは、マラーホフもそういうように踊っています)

朝の鐘の音が聞こえ、ウィリー達が去り、アルブレヒトを助けることができた…
ジゼルは、「あなたは生きて…」と、アルブレヒトを抱きしめ、
嬉しそうに母親のような柔らかな〈微笑み〉を浮かべます。
このシーン、思わず涙がこぼれてきました。

ジゼルは、二人が花占いをした、幸せだった時の思い出の小さなひなげしを
アルブレヒトの前に残して去っていきます。
(ゆりの花を残していくヴァージョンもありますが、やはりここは、ひなげしでしょう!!)

幸江さんのジゼルは素晴らしかったです。
こんなジゼルが踊れるなら、東京バレエ団にいた時に、踊らせてあげればよかったのに、と思いました。

彼女のジゼルは、今まで経験してきた数々の「ジゼル」公演で、彼女の感性に触れたところを取り入れて出来上がっているのかもしれません。
そういう意味では、皮肉なことですが、今まで踊れなかったことが、むしろ今回の舞台の役に立っていると言えるのかもしれません。ぴかぴか(新しい)







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新国立劇場バレエ「シンデレラ」小野絢子&福岡雄大

2012年12月21日(土)7PM オペラパレス
シンデレラ 小野絢子
王子 福岡雄大
義理の姉たち 古川和則、野崎哲也
仙女 本島美和
春の精 細田千晶
夏の精 西川貴子
秋の精 長田佳世
冬の精 厚木三杏
道化 福田圭吾
ナポレオン 吉本泰久
ウェリントン 小笠原一真

初日と二日目を観た友人から、今年のシンデレラは、上演権保持者のウェンディ・サムズの指導のおかげで、踊りの精度が格段に上がったという感想を聞いていたので、楽しみにしていました。
なるほど、主役からキャラクター、コールドに至るまで、アシュトンの特徴ある直線的でスピーディな動きをくっきり、メリハリつけて踊っていて素晴らしかったです。

脚捌きは細かく、上げた腕をぱっと真横に降ろして開くとか、脚の動きに合わせて手のひらを細かく返すとかの所も、アレグロで音の後取りはゆるさない、というスピード感にあふれていました。
今まで何度か新国立劇場のシンデレラは観た事がありますが、あらためて、アシュトンってこんな振付だったんだ、と新鮮に感じましたし、全体の高揚感がありました。
今まで流して踊っていたのは指導がちゃんとなされてなかったからなんですね。
新国立劇場のダンサーたちは、エイフマンだろうが、アシュトンだろうが、きちんと指導を受ければ踊りこなせるポテンシャルを持っている、大変レベルの高い集団だということがわかりました。

シンデレラを踊った小野絢子さんは、バレリーナとしての本能のようなものを備えているプリマだと、私は常々思っているのですが、この場面ではこういう風に踊って欲しい、と私が思う通りに踊ってくれるので、まったく言う事なしです。軽やかだし、かわいいし、お姉さんたちにいじめられても、全然めげない、自分で幸せを作り出せる、魂の美しいシンデレラで、キラキラしていました。
たぶん手脚の長さやスタイルでは彼女より上のダンサーもいるでしょうが、上体のやわらかな使い方や、キメポーズの美しさ、甲の出たきれいなつま先の、ニュアンスのある使い方(特に一歩一歩の足の差し出し方が丁寧)が素晴らしいです。

王子の福岡さんは、どっしりと男らしい体型で、踊りも伸びやかで悪くはないけど、少しもっさりと感じられるので、絢子さんは、もっとキレ味の良い動きをするダンサーを組んだ方が、相乗効果が生まれるのではと思います。(たとえば、もとKバレエの浅田君とか)あるいは、福岡さんがひとまわりシェイプアップするとか…。

特筆すべきは、ホワイエの充実ぶりです!
まるでお祭りみたい。
イルミネーションで飾られた天井の下にテーブルがいっぱい用意されていて、食事メニューが豊富。
お寿司にオペラパレススペシャル(前菜とサンド)やブルスケッタ(カナッペ)、シュークリームで作るクロカンブッシュ風デザート、プチケーキの盛り合わせ、かぼちゃのクレームブリュレ、特製マフィン。
ドリンクもシャンペンやワインの他に、生のいちごをすりつぶした「あまおうのカクテル」。これは赤ワインかクランベリージュース(ノンアルコール)とその場で混ぜて作ってもらえます。
2階だか3階では、休憩中にパスタが食べられたり、予約制食べ放題ブッフェもあったらしいです。
それから、サンタの格好をしたスタッフが、ホワイエを歩いてマシュマロを売っていました。

お子様向けのネイルサービスもあって大盛況。
サンタの格好のスタッフ(おそらく演劇研修生)が、ガラスの靴を持って「ガラスの靴を落としたお客様はいませんか?」と子供に声をかけて履かせてみたり…

私は「あまおうのカクテル」と「かぼちゃのブリュレ」を食べてみましたが、どちらも劇場でこんなものが食べられるなんて、とびっくりするぐらい美味しかったです。
こんなに美味しいものが食べられるバレエの会場って初めてです!!
それに興奮してしまいました。
たしかに、劇場に行く楽しさって色々ありますが、たとえば歌舞伎だったら、幕間に食べるお弁当も楽しみですね。色んなお土産を売っているから、それを見るのも楽しいし。
バレエでは、いつもせいぜいサンドイッチぐらいしか売っていないので、そういうものとは無縁だと思いこんでいましたが、こんな風に美味しいものも食べられるなら、さらにバレエ観賞が楽しくなる!!
新国立劇場、グッジョブでしたわーい(嬉しい顔)ぴかぴか(新しい)





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2012年12月03日

マリインスキーバレエ2012「オールスター・ガラ」

2012年12月2日(日)18時 東京文化会館

オールスターという割には今回のガラはロパートキナとコールプだけで、
あとはかなり小粒のメンバーとなってしまいました。

《レニングラード・シンフォニー》
娘 スヴェトラーナ・イワーノワ
青年 イーゴリ・コールプ

1961年に作られた、ナチスドイツに侵略された時代のレニングラードを描いた作品だそうです。
青年達(コールプをいれて9人)がTシャツとタイツで踊る出だしから体型の美しさに惚れぼれします。
マリインスキーの男性たちは、太ももが長くて、筋肉がほどよくついていて、もちろんひざ下も長いし、こういうダンサーの群舞はマリインスキーならではだと思います。
作品としては、古臭いソ連時代の雰囲気濃厚ですし、音楽も面白くないですが、男性たちはダイナミックに跳躍技をやるので、迫力はあるし、男性ダンサーを見る演目としてはいいです。
娘役のイワーノワは輝くブロンドが目を惹く美女で、「アラベスク」に出てくるライサみたい。

《アルレキナーダよりパ・ド・ドゥ》
ナデジダ・バトーエワ アレクセイ・ティモフェーエフ
かわいい感じをだそうとしていて、まあまあでした。
マリンスキーだったら、もっとできるのではと感じましたが、
あとの人達を見たら、このカップル結構出来てたということが解りました。

《グラン・パ・クラシック》
アナスタシア・ニキーチナ ティムール・アスケロフ
アダージオはなかなか良かったんです。大きく空間を使って踊っていて、堂々としていました。
だけどこの演目は、この二人にはテクニックが難しすぎたようです。(特に女性)
アスケロフのソロは、足技をどっか省略してないか?という感じでしたし、ニキーチナのソロは、見せ場のアラスゴンドの連続の後半は「6時のポーズ」ぐらいに高く脚を上げられませんでした。
コーダもいっぱいいっぱいな様子で、ニキーチナのフェッテはまったく軸が定まらず、きたないフェッテで、また見どころのアラスゴンド・トゥールも入れることができなかったです。
このあたりは、マリインスキーのダンサーとは思えず、日本のコンクールに出るようなバレエ少女の方がよっぽと上手だとあきれてしまいました。

《チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ》
マリーヤ・シリンキナ ウラジーミル・シクリャローフ
やっとマリンスキーという一流の名に恥じないペアが観られました。
シリンキナは可憐で愛らしい感じのダンサーで、テクニックもあります。
足音がほとんどしないのもいいです。
ソロも軽やかでスピード感にあふれていました。
シクリャローフは、前よりも良くなったとはいえ、やはりサポートがもたついてる感じです。
シリンキナの勢いに負けじと、高く素晴らしいジャンプのソロでしたが、着地の時に衝撃でウッとなりませんでしたか?
ソロはのびのびしているんですけどね〜
顔もかわいいのに、いまいちバシッと決まらないダンサーです。

《海賊》
オクサーナ・スコーリク アンドレイ・エルマコフ
ネガティブ・キャンペーンで失敗映像がyoutubeに上げられているスコーリクですが、ザハロワを彷彿される脚の美しさは、他のダンサーにはない宝です。
若いのにおばさんぽい表情で、はつらつさが感じられない。(ストレスかしら…まあ、ネガティブ・キャンペーンといういじめを受けているんですから)
もっと可愛く笑ったりすればいいのにと思いました。
踊りはパ・ド・ドゥ集を踊った中ではいい方でした。さすが主役にキャストされるだけあって、フェッテもきちんとシングルですが回っていました。
素材としては素晴らしいから、ひと皮もふた皮もむけて、すごいダンサーになって欲しいです。

《ビギニング》
イーゴリ・コールプ
りんごを咥えたり投げたり遊びながら踊るコールプ。
こういう妖しい系をやっぱりやりたかったのかな…。

《ディアナとアクティオン》
エレーナ・エフセーエワ キム・キミン
白塗りのおばさんぽい顔のダンサーは誰かとおもったらエフセーエワでした。
うーん、この作品に求められているはつらつとした躍動感は彼女に合わなかったようです。
もっと色っぽい演目にすればいいのに。
キム・キミンもその点、ノーブルな個性なので、こういう野獣系の演目は似合わないと思いますが、踊りは上手だと思いました。


《パキータ》より、グラン・パ
ウリヤーナ・ロパートキナ
ダニーラ・コルスンツェフ

ロパートキナは格別に美しいです。
今のマリインスキーはコールドでも結構ぽちゃっとしている女の子がいるのに、ロパ様は体脂肪など1ミリも無いようなスリムな体で、節制と自己抑制、自然で完璧なボディ・コントロール、ゆったりした音楽のとらえ方も素敵です。
「至高のプリマ」としてマリインスキーに君臨するその存在感。
彼女を観ることができるのはバレットマンにとって最高の喜びですね。


ぴかぴか(新しい)











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2012年11月28日

マリインスキーバレエ「ラ・バヤデール」ヴィシニョーワ&コールプ

2012年11月26日(月)18:45 東京文化会館
ニキヤ ディアナ・ヴィシニョーワ
ソロル イーゴリ・コールプ
ガムザッティ エカテリーナ・コンダウーロワ
金の仏像 キム・キミン
精霊たち マリーヤ・シリンキナ アナスタシア・ニキーチナ ダリア・ヴァスネツォーワ

俳優が役を演じる時に、その役の理想の姿をイメージして、自分を変貌させようとするタイプと、自分の個性に合わせて役をアレンジして自分に役を引き寄せるタイプとあるとします。
それをバレリーナにも当てはめると、ヴィシニョーワは、どんな役でも自分の個性に合わせて、自分の方に引き寄せるタイプだと思います。
ですから、どんな演目を見てもヴィシニョーワらしいし、踊りは盤石で文句のつけようがないし、ヴィシニョーワというたぐいまれな宝石の輝きに目を奪われて満足してしまいます。

今回のラ・バヤデールもまさにヴィシニョーワのつややかな輝きに魅せられっぱなしの舞台でした。
1幕の、ソロルとの逢引きの場面でみせる、少女のような明るい晴れやかさや、ガムザッティとの対決シーンでの堂々とした迫力。
婚約式での悲哀たっぷりの踊りと、その後の勝ち誇ったような花かごの踊り。
精霊なのに、むしろ生気(妖気?)と美しさを増したように感じられる踊り。
いずれも素晴らしかったです。
ただ、ヴィシニョーワの強烈な個性(強い人間と感じさせる)のおかげで、ニキヤがかわいそうな女性には思えず、むしろガムザッティの方が気の毒に思えるぐらいでした。
だって、婚約式で踊っている時など、ソロルがニキヤと目を合わせないので、ガムザッティも一緒になってしょんぼりしていたり、対決シーンでも、そんなにニキヤをいじめてないのに、なぜナイフまでかざされて逆ギレされるのか…と感じるぐらい、その性格の強さがきわだっていました。

ソロルのコールプは、しなやかな踊りが良くて、顔つきはひとくせありそうな変人風ではありますが、態度はまじめで、婚約式などではニキヤの方を見ることもできないぐらい。
ニキヤの死体に取りすがって号泣してました。

マリインスキー版のラ・バヤデールは初めて観ましたが、ラジャの屋敷で結婚話があったあとに、奴隷とニキヤのパ・ド・ドゥがあったり(白いユリの花を持って、リフトされたニキヤがそれを落とすって…ジゼルみたい)、影の王国が始まる前に、ソロルの寝室に蛇使いが来たり、ちょっと変わった演出がありました。
太鼓の踊りがあるのはいいですね!お祭りのように脳天気でにぎやかな踊りは、全体的に悲劇のこの作品で、ピリッと料理に効かせるとうがらし、あるいはお汁粉に入れるひとつまみの塩のように、舞台をひきしめていました。

影の王国のコールドは、全然揃っていなくて、美しくありませんでした。
個々のダンサーはスタイルもいいし、身体能力も高いのですが、脚を上げるスピードや高さ、脚を戻すタイミングやスピードがまったくバラバラで、そのあたりもっとリハーサルで厳しくやって欲しいものです。
新国立劇場や東京バレエ団の影の王国の方がずっと素晴らしいです。

影の精霊では、1番目のシリンキナと3番目のヴァスネツォーワが良かったです。
金の仏像のキム・キミンは韓国人にしてはスタイル抜群でノーブルな雰囲気があります。ただし、身長がマリンスキー標準からすると低いので、このバレエ団で王子様とかで使ってもらえるのでしょうか?
光沢のある金色じゃなくてマット・ゴールドなのは好きじゃなかったです。

ヴィシニョーワの2幕の「悲しみの踊り」の衣装のブラが小さすぎて、ビキニラインも低く、その露出度のせいで、肋骨の一本一本や、みぞおちでげそっとなったウェストの細さがよく見えすぎて、そのすごい肉体美が気になって気になって踊りの方に集中できなかったのですが、それって私だけでしょうか。
あのブラの小ささは…ヴィシニョーワ仕様なのではないだろうかと思います。
(ロパートキナの写真と比べても、絶対小さい。)

それから、影の王国で、ニキヤがつけている髪かざりが気になりました。
赤いダイヤに続いた白い一本のラインのが、後ろのシニョンの上でクネクネしているんですが、いったいあれは何だろう?と思っていて気がつきました。
影の王国はソロルの夢。ソロルの所に蛇使いが来て、蛇を踊らせているのを見ながらソロルは眠りに堕ちます。
だから、あれはその蛇をかたどっているのだと思います。


ぴかぴか(新しい)

 






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2012年11月23日

マリインスキーバレエ来日公演2012「アンナ・カレーニナ」ヴィシニョーワ

2012年11月22日(木)19時 東京文化会館
アンナ・カレーニナ ディアナ・ヴィシニョーワ
カレーニン イスロム・バイムラードフ
ヴロンスキー伯爵 コンスタンチン・ズヴェレフ
キティ マリーヤ・シリンキナ

新国立劇場バレエが上演しているエイフマン版の「アンナ・カレーニナ」(傑作!)と比べて面白さは10分の1ぐらいでした。
マリインスキーバレエのヴァージョンは、プリセツカヤが夫のシチェドリンに作曲してもらって自ら振りつけたアンナ・カレーニナの音楽を使って、ラトマンスキーが新たに振りつけたものですが、それが95%以上が不協和音の暗かったり不穏な雰囲気の曲で、救いがありません。
ヴィシニョーワは美しくつややかで、マイムと踊りと演技を渾然一体で踊り、あのように音楽で助けてもらえないような作品でも、彼女がいたからもっていたというか、すごい存在感でした。
踊りが美しくても、〈振付〉のままに踊っていると感じられるダンサーも多いですが、ヴィシニョーワは芸術的表現として踊ることができる稀有なダンサーだと感心しました。
ヴロンスキー役のズヴェレフは長身で脚が長く、細身で回転やジャンプのキレ味が良く見えました。
演技はいま一つでしょうか。アンナに対する執着心あるいは愛があまり見えなかったです。カレーニン役のバイムラードフはすごい老けメイクでしたが、冷やかな感じはよく出ていて演技は良かったです。
キティ役の人がすごく軽やかな踊りでチャーミングだったので、誰かと思ったらシリンキナでした。
アンナの息子のセリョージャ役の男の子がかわいかったですが、わざわざ子役を連れてきたのでしょうか。
ダンサーの子供とか?カーテンコールで前に出てきていたし。

男性ダンサーが軍服・ブーツ姿で迫力のあるコールドを踊りますが、こういうシーン、たとえば日本人がやると、脚が短い上にブーツを履くとさらに短く見えて、すごくバランスが悪くお子ちゃまみたいになるのですが、さすがマリンスキーの男性たちは素敵なプロポーションだなとほれぼれするほど恰好良かったです。

1幕では舞台を横いっぱい使うくらいの大きな列車がでてきて、それが回転して内側を見せたり、奥に下がったりして、Kバレエの海賊船と同じぐらいの大掛かりな舞台装置で、おおっとなりました。あの調子でシュッシュッポッポッーと走りだしてくれたらもっとびっくりしたんですが、残念ながらそれはなかったです。
それから舞台の奥がスクリーンのようになって、色々な映像を投影するのですが、私は5階席だったので、よく効果がわかりませんでした。まあ、たぶん下の階で見ても大したことなかったように感じました。

1幕は、大掛かりな汽車の舞台装置でびっくりした以外は退屈でしたが、2幕はオペラの歌劇場で真赤なドレスを着たアンナが、社交界のメンバーからあからさまに、今風に言うと「ディスられる」ところが面白かったですし、その後アンナが追いつめられ、自殺にいたるまでのヴィシニョーワが素晴らしかったです。


ぴかぴか(新しい)










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2012年10月28日

新国立劇場バレエ研修所第8期生・第9期生発表公演

2012年10月28日(日)15時 新国立劇場 中劇場
第1部 
キャラクター・ダンス
・バーレッスン センターレッスン
・ボレロ、カルメンシ―タ、エスパーダ、メルセデス、ジプシーの踊り(ドンキホーテより)
第8期生 第9期生 小野寺雄/横山翼

バーレッスンは9期生中心で男性3名、女性3名。
女性の中央で踊っていた関晶帆さんが、華やかな顔立ちの美人ですごく痩せていて目立ちました。
ドンキホーテより抜粋のキャラクターダンスでは、ギターの踊りの鈴木優さんと舞さんの美しさに惹きつけられっぱなし。
空間に描く体のラインが美しいのです。
踊りとしては、ジプシーとかメルセデス風のニュアンスは感じられませんでしたが…

後半に出てきた榎本朱花さんの雰囲気の出し方が素敵でした。彼女は以前からテクニックがあると思っていましたが、今回はすごく美しくなっていると感じましたし、舞台でのただずまいはプロのような落ち着きと自信にあふれているようでした。


研修生振付作品
『Walking Proud』振付・出演 榎本朱花
音楽:Sweetbox「Every Step」

『AUDACE』振付・出演 島田沙羅
音楽:セルジュ・ゲンズブール「Poupee De Cire Poupee De Son」歌:フランス・ギャル

榎本さんの振付作品は、クリアなテクニックに裏付けされていてメリハリがあって良かったです。きれいな作品でした。

島田さんの作品は、とてもコケティッシュで、彼女のスター性があふれていたと思います。
若々しいエネルギーに満ちた作品でした。

第2部
クラシカル・バレエ

『パキータ』より、パ・ド・トロワ
佐藤愛香/中西夏未/吉岡慈夢
第8期生は女性だけですが、なかなか良いダンサーが揃っていると思います。
佐藤さんは、とても優しい雰囲気を持つ上品なダンサーですし、中西さんは、軽やかにアレグロが踊れるダンサーではないかと思いました。

『海と真珠』
鈴木舞/鈴木優/佐野和輝
鈴木舞さんと優さんの美しさ全開の作品で、二人の描きだす美しいラインとほんわかした雰囲気を感じているだけで幸せになりました。

『白鳥の湖』第2幕よりグラン・アダージオ
島田沙羅/逸見智彦
研修生に白鳥を踊らせるとは、沙羅さんは、かなりの注目株のようです。
今日プログラムを見て一番びっくりした出し物でしたが、素敵でした。
沙羅さんは、日本人離れした長い脚が美しくて白鳥の衣装が良く似合います。
ひとつひとつのポーズを美しく決めて、とても堂々としていました。
ここでも彼女のスター性を強く感じた演目でした。


『ディアナとアクティオン』
榎本朱花/宇賀大将
榎本さんの女性らしさ、ボディコントロール、雰囲気の作り方や音の取り方、どれも素晴らしくてファンになりました。彼女は確実に新国立劇場に入団できるでしょう。

『シンフォニエッタ』
振付 牧阿佐美 音楽:シャルル・グノー
佐藤愛香/鈴木舞/中西夏未/足立真里亜/関晶帆/朴智願/木村優里/森田理紗/廣川みくり/中島瑞生/長谷怜旺/小野寺雄/横山翼

さわやかなアブストラクト・バレエで、予科生も出演しました。
プリンシパル役の佐藤愛香さんの上品な持ち味は、この作品に良く似合っていましたし、研修生たちの若若しさを生かした作品で楽しめました。

今の第8期生は、中西さん以外が予科生からの持ち上がり。
15才ぐらいから青田買いしておかないと、良い子はみんな海外へ行っちゃうという牧先生の危機感で作られたのではないかと想像される予科生システム。
そのおかげか、みなさんとても見ごたえのあるダンサーで、将来が楽しみです。

男性陣のことを書かなかったのですが、みんないちおう難易度の高いジャンプをこなすし、回転技もできる。
だけれども、それ以外にもっと魅力というか、持ち味というか、何か欲しい感じなのです。
おそらく、研修生を希望してくる人たちは、やはり女性の方が圧倒的に多くて、男性はそれに比べ数が少ないのではと思います。
バレエをやっている子の総人口から考えると、そうなりますよね。
だから、女性の方が競争率が高いはず。研修生に男性枠があるとしての話ですが。
やっぱり男性はKバレエを目指すのかしら…
新国立の男性は何か物足りない…

Kバレエの男性と、新国立の女性が一緒になったら最強なんですけど。



ぴかぴか(新しい)




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2012年09月30日

東京バレエ団「オネーギン」エヴァン・マッキー&吉岡美佳

2012年9月30日(日)15時 東京文化会館
オネーギン: エヴァン・マッキー
レンスキー: アレクサンドル・ザイツェフ
タチヤーナ: 吉岡美佳
オリガ: 小出領子
グレーミン公爵: 高岸直樹

評判のエヴァン・マッキーのオネ―ギンが観たくて、そしてラドメイカーのレンスキーも観れてラッキーと思っていましたが、残念ながらラドメイカーは病気で降板となりました。
さすがエヴァンのレンスキーは、その美しい舞台姿からして説得力があります。
190近い長身だし、踊りもきれいです。
オネーギンはこうあるべき、というような演技で感心しました。1幕でタチヤーナを優しくエスコートしていながら、「この田舎娘が!」と横を向いた瞬間に見せる表情とか、オリガにちょっかいを出して、レンスキーへのいやがらせをしてやろうと楽しんでいる笑顔とか。

吉岡さんは、とても透明感のあるバレリーナで、ジゼルとかは似合うのですが、タチヤーナはあまり合っていないように感じました。
リアリティのある感情が感じられないのです。
1幕の夢見る夢子ちゃんは、まだいいとして…
3幕の手紙のパ・ド・ドゥでの、一度は焦がれた男性から愛を告白されて、昔の感情が心の奥から湧きあがって、揺り動かされて、理性と感情のはざまでもだえる…という感じはまったくしませんでした。
吉岡さんのキャラ自体が、ちょっとこの世とは違ったところに存在して、あまり愛とか情熱とかにがんじがらめにならないようなイメージがあるので(不思議ちゃんぽい)、こういうリアリティのある役柄は似合わないのではないでしょうか。
グレーミンとのパ・ド・ドゥが一番良かったですが、その後のオネーギンとのシーンでは、エヴァン・マッキーとのケミストリーが全然ありませんでした。

むしろ、小出さんがとっても良かったので、(団の中ではキャラじゃないと思われているのかもしれませんが)小出さんがタチヤーナをやったらエヴァンと似合っていたような気がします。
そう小出さんのタチヤーナが観たかった。
レンスキーのザイツェフは、演技は良かったし、かわいい顔をしていましたが、外人にしてはたいしたプロポーションじゃないので(エヴァンとつい比べてしまいます)、あまり見栄えがしませんでした。

東京バレエ団のオネーギンは初めて見ましたが、この作品は、後ろのコールドの人達、特に男性陣がもっと背が高くてがっしりしていて男らしい体型の方々じゃないと、なんだか学芸会みたいで舞台の重厚さが感じられません。踊りはまあ、みなさん上手ですけれど、この作品の持つヨーロッパの文化の香りをかもしだすには、男性の身長が180ぐらいないと。(努力でどうしようもない身長のことを言って申し訳ない)
コールドの中に長身組の柄本弾さんと二階堂由衣さんと松野乃知さんがいましたが、そのあたりは良い景色でした。

せっかくエヴァンが出演しているのに、こんなもんかな〜?という吸引力の無い舞台で、これだったらいっそゲストなしの東バオンリーキャストの方がまとまりがあるのかもと思いました。

ぴかぴか(新しい)




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2012年09月01日

こどものためのバレエ劇場「シンデレラ」新国立劇場バレエ団

2012年9月1日(土)15時 茅ケ崎市民会館大ホール
「シンデレラ」全2幕
振付 小倉佐知子
音楽 セルゲイ・プロコフィエフ
音楽構成 福田一雄

シンデレラ 小野絢子
王子 福岡雄大
姉娘 湯川麻美子
姉娘 長田佳世
仙女 堀口純
ダンス教師 古川和則
春の精 井倉真未
夏の精 川口藍
秋の精 細田千晶
冬の精 小村美沙
道化 高橋一輝

新国立劇場バレエ団の「こどものためのバレエ劇場」、地方巡業シリーズの第2弾、「しらゆき姫」に続いて、「シンデレラ」です。この作品の初演はバレエ研究所の卒業公演でした。
しらゆき姫と違って、セリフや解説はありません。
アシュトン版ほどではないですが、美術や衣装が美しい色彩で、子供向けのけばけばしさがなかったのが良かったです。
演出も1時間半でオーソドックスかつコンパクトにまとめていました。
主役の二人、姉娘たち、ダンス教師、仙女などがベテラン〜中堅で見ごたえがありました。
今シーズンの最後の公演でしたから、ダンサーも頑張っていたのかもしれません。

小野絢子さんは、盤石の安定感で、キラキラしてました。
王子の福岡さんは、少々体躯が太めになった感じでしたが、登場の瞬間から客席で「わぁ〜ステキ〜!」と声があがるほどに恰好良い王子ぶり。
姉娘たちとダンス教師の芸達者ぶりは言うまでもなく…
堀口純さんの仙女も適役でした。

季節の精以下の方々は、やはりソロの経験のある人とない人の差を感じましたが、このような舞台で、少しずつ一人で踊る経験を積むことができるのはよいと思います。
男性陣は研修所出身者の活躍が目立ちました。

休憩時間に横の通路で、エシャペやパッセ、アラベスクを繰り返して嬉しそうに踊っていた8才ぐらいの女の子が二人いて、この舞台に触発されて踊りたくなっちゃったんだな〜、バレエ漫画「Swan」の真澄みたい、と微笑ましく見てました。

この夏はバレフェスとか、すごいものをいっぱい観たのに、素晴らしい舞台を見て思わず自分も踊りだしたくなる気持ち、私は少し忘れていたような気がします。
実はこのところバレエレッスンにモチベーションが湧かず、お休みしていたのです。
あの子たちに教えられました。
あんな風に楽しく、純粋にバレエを楽しみたいな。

ぴかぴか(新しい)














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2012年08月19日

小林紀子バレエシアター「アナスタシア」

2012年8月19日(日)14時 新国立劇場オペラパレス
皇女アナスタシア/アンナ・アンダーソン:島添亮子
皇后アレキサンドラ:萱島みゆき 
ニコライ2世:澤田展生
ラスプーチン:後藤和雄
クシェシンスカヤ:高橋怜子
クシェシンスカヤのパートナー:アントニーノ・ステラ
オフィサー:奥村康祐 
アンナの夫:中尾充宏 
アンナの夫の弟:冨川直樹 

ケネス・マクミランが英国ロイヤルバレエを去ってドイツに行っているときに、1幕ものとして作り、その後また英国ロイヤルバレエに戻った時に1、2幕を付けたして全幕物にした作品だそうです。
1幕と2幕はアナスタシアの家族紹介、ラスプーチンと皇后アレキサンドラ、ニコライ2世とクシェシンスカヤの不倫関係、革命の始まりなどがコスチューム・プレイで描かれ(マノンやマイヤリングのようなスタイル)、3幕は無機質な精神病院で、処刑をのがれたアナスタシア(アンナ・アンダーソン)の苦しみをコンテンポラリー風味で描いています。(マッツ・エックのジゼルやオーストラリアバレエの白鳥の湖の精神病院風)

1、2幕の間に休憩を入れずに連続して上演した方が、3幕との対比ですっきりしたと思います。ネオクラシックスタイルとコンテ風で違いすぎるし、1、2幕は状況説明だけで何も物語が進行しないという意見もありますが、私はなかなか面白かったです。あとから付け足しただけあって、ちぐはぐな感じはしましたが、もう少し伏線が入れられれば良かったと思います。

素晴らしかったのは島添亮子さんです。少女時代、娘時代、革命後の3つのキャラを演じ分け、マクミランの舞踊言語を完全に自分のものとして流暢に踊っていました。
1幕目に、三人の男性の頭上に飛び込んでリフト、そこでバウンドしてさらにその後ろにいた4人に頭上リフトされるという、信じられないような超絶リフトがあったのですが、きれいにこなしていました。

小林紀子バレエシアターは、マクミラン物をよく上演しますが、そのわりにマクミランの舞踊言語をマスターしているダンサーは少ないようで、マクミランがよく使う、コンパスのように脚を開いてオフバランスで回転する振付をうまくできないダンサーがほとんどでしたが、島添さんはとてもクリアでした。

このような、世界でも上演することが珍しいマイナーな演目にチャレンジするとは、すごい事です。
結構お客さんも来ていて、1、2階はほぼ満席でした。ただびっくりしたのは、男性率の多いこと。
通常のバレエ公演、たとえば新国立劇場バレエだったら、男性は30人に1人ぐらいなのに、10人に1人ぐらい。60代ぐらいの人が多かったのは、ダンサーのおじいちゃん??
バレエ団内でチケットをさばくので、親戚一同を呼んだ結果ということでしょうか。

ダンサーにチケットノルマがあるのは、プロのバレエ団とはいえないと思いますが、その意味でいうと、小林紀子バレエシアターは、プロのバレエ団ではない。けれども、チケットノルマがあるからこそ、集客を心配せずにこのような野心的な作品にも取り組める、という図式です。

小林紀子先生の目指す舞台芸術は、とても高いところにあり、それに取組む真摯な姿には感動を覚えます。
舞台を作るうえで、大変に厳しい指導をなさると聞いています。ダンサーにとっては辛いけれども、それを乗り越えて素晴らしい舞台を作り上げていく過程をいったん経験するとやめられない。
だから多くのダンサーが先生についていっているのだと思います。
これからもぶれずにこの路線を突き進んでいっていただきたいと思います。

今回の公演は、音楽やオペラ、バレエに大変造詣の深い知人にチケットを譲っていただきました。
おかげで実りある時間を過せ、感謝しております。


ぴかぴか(新しい)



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2012年08月18日

2012世界バレエフェスティバル ガラ本編

2012年8月16日(木)17時 東京文化会館
第1部
「眠れる森の美女」 振付:ナチョ・ドゥアト
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ

プティパの古典の見本みたいなガチガチの様式美からは脱却していると思いましたが、それが成功しているかというと、いつもの振りを見慣れた目には、え〜フィッシュダイブないの?物足りない…と感じてしまいます。でもノヴィコワはとても丁寧に、足先を出す時も美しく甲を見せていて、サラファーノフも実際のカップルだけあって優しいまなざしで、ホンワカとした幸福感がありました。
サラファーノフがザンレールをしたあとに、足をきっちり5番に入れてゆっくりと膝を伸ばすという振りがあって、そのポジションがとてもきれいなのが印象的でした。
そのあともかなり難しい技をやったりマネージュしているのに、観客の拍手がない…
どうやらファニーガラまで体力を持たすために観客もセーブしてるのか…


「水に流して...」 振付:イヴァン・ファヴィエ
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン

人工芝のような緑色のマットを持ってきてその上で踊る二人。
アニエスは編み込みみつあみに、可愛い黒のミニドレス。あっという間に終わりました。

「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"  振付:ジョージ・バランシン
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス

このダイヤモンドの振付って、出だしから、二人でゆっくり歩くだけ。そして手をつないでパドブレ(ポワントで歩く)みたいな感じで、いわば歩いているだけなのに、どうしてあんなに美しいのでしょう。
バレエをやっていると、意外と「歩く」のが難しいことに気づきます。
簡単そうに見えることが実は一番難しいってことです。
単に歩くことをあれだけ優雅に、しかも余計なニュアンスを加えずに、まさに純粋なダイヤモンドのように踊れるのはロパートキナだけでしょう。


「雨」 振付:アナベル・ロペス・オチョア
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン

金髪の二人が、肌色のミニマムな衣装で踊ると、まるで金色の輪の中で異星人が動いでいるような、まったくの別世界が出現します。激しいコンテンポラリーでしたが躍動する筋肉の美しさが絵のようでもありました。

「カルメン」 振付:ローラン・プティ
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー
これはかなり色々と違和感のあるカルメンでした。ゼレンスキーは頭頂部が高齢化してきたことが残念でしたし、セミオノワは色気が1ミリもなくて、しかも黒い短髪だと頭の小ささがよけい目立って、頭だけ縮尺が狂って小さすぎるものを載せちゃったような感じがいつまでも抜けませんでした。



第2部
「愛と死」 振付:モーリス・ベジャール
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン

ベジャールらしいパフォーマンスで、オスカー・シャコンは良いダンサーだと思いました。
シャルキナはとってもかわいい顔してるけど、もう少し訴えかけるものが欲しい感じでした。


「海賊」
上野水香 マシュー・ゴールディング

水香さんにしては、音をはずさずにきちんと踊っていたし、フェッテもダブルを織り込み安定したテクニックを見せていました。水香さんは、横に脚を上げるデヴェロッぺが180度ぐらいに高くあがるんですよね〜すごいわ。
これぐらい踊ってくれたら、まあ、日本代表のプリマと言ってもよいか。
ゴールディングは、素敵でした黒ハートブラッドピット似のハンサムでスタイルもいいですが、誰からも好かれるような性格の良さが感じられる、くせのない伸びやかな踊りもいい。
ピルエットは軸がしっかりしていてジャンプも高く、男性的なダイナミックさがありながらきれい。
そして全然足音がしないのです。
今回の男性陣の中で、一番素敵だと私は思いました。

「ネフェス」 (「ホワイト・シャドウ」より) 振付:パトリック・ド・バナ
マニュエル・ルグリ パトリック・ド・バナ

4階席から見ていたので、オペラグラスを最初は使わずに、シンクロで踊っている二人のどちらかがいいかな〜と見比べていました。ほとんど同調した動きではありますが、ほんの少しニュアンスが加わって味わいのある踊りになっていたのは右側のダンサー。
顔を確認したらルグリではなく、バナでした。さすが、自分が振付しただけの事はあります。
脚が見えないあの袴衣装では、ルグリの負け(笑)
ルグリはちょっと太くなったような…でも裸の上半身は筋肉だらけのようで、どこに脂肪がついているのか全然わかりませんでした。
芸術監督になったから、以前ほど舞台に立つ機会もなくなるし、現役ダンサーの時のスレンダーさを保つのは無理なのかもしれません。
今回はギエムが参加していないし、バレフェスも世代交代の時期を迎えているのでしょう。


「感覚の解剖学」 振付:ウェイン・マグレガー
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト

最初は無音で、網にとらわれているような照明が床の二人にあたっていましたが、起き上がって踊りだすと、衣装が網模様のレオタードでした。
どこが「感覚の解剖学」なのかよくわかりませんが、オレリーは素敵です。
彼女の顔の美しさとオーラに惹きつけられました。


「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ 振付:ジョン・ノイマイヤー ピアノ:高橋望
マリア・アイシュヴァルト マライン・ラドメーカー

日本で椿姫をやると、ピアノ演奏でがっかりすることが多いのですが、今回はそんなことはなく、ドラマティックなピアノ演奏と二人の雄弁な踊りで涙が出そうになりました。
前回椿姫をみたのはコジョカルガラでした。コジョカルは身体能力の高さを見せていましたが、アイシュバルトはむしろ演技力で観客を椿姫の世界に引き込みました。素晴らしかったです。

第3部
「白鳥の湖」 第2幕より 
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ  東京バレエ団

ヴィシニョーワは囚われの身の白鳥というよりは、白鳥たちの上に君臨する巫女…卑弥呼のようでした。
東バの白鳥コールドの振付は、真中の二人がしっとりと踊っているのに、せわしく動くのがどうもよくないです。せめてアダージオの時はじっとしていて欲しいです。
マラーホフはベルリン国立で使用している軍服的衣装(トップス)で白タイツでしたが、噂通りかなり胴周りが太くなっていました。それでいて脚が驚異的に長いので不思議なバランス。
サポートばかりで全然踊りませんでしたが、手の使い方、視線、表情、歩き方などすべてジークフリード王子そのもので、ロマンティックな物語を表現していたのは、さすがマラーホフ!!

「モノ・リサ」 振付:イツィク・ガリリ
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

フォーゲルというと、「さらさら金髪のイケメン君」というイメージが私の中にあって、このオネーギン仕様の短い茶髪はどうも受け入れ難いです。
このフォーサイスばりのスピーディなコンテは、お二人が思いっきり身体能力を使いまくって、特にセミオノワはノリノリで、観客受けも大変よく、カーテンコールを一回余分に貰っていましたが、私はそれほど面白いとは思いませんでした。ちょっと荒っぽいというか…心に響いてこないというか…陰影がなさすぎ??
セミオノワには、もう少し奥ゆかしさとかロシア的繊細さとかを取り戻して欲しいです。
ABTに移籍らしいので、まあ、アメリカの観客にはきっと受けるでしょう。ABTの海賊とか似合いそうです。


「ヴェニスの謝肉祭」("サタネラ"パ・ド・ドゥ)
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ

オブラスツォーワもガニオも久しぶりに見ました。ボリショイとパリオペの二人だからしょうがないのかもしれませんが、衣装のちぐはぐ具合はもうちょっと何とかならなかったものなのか…
ジェーニャはベージュと黒の道化風チュチュでゴールドの飾り。マチューは白ブラウスに黒ベストでシルバーの飾り。金と銀、ベージュと白だから全然噛み合っていない。
IT時代なんだから、事前に衣装の写真でも送って打ち合わせすればいいのに。
そこが一番気になりましたが、踊りはとても良かったです。
ジェーニャはチャーミングだし、マチューも甘さのある王子様で。(でも少しおっさん臭くなった)


「トリスタンとイゾルデ」 振付:クシシュトフ・パストール
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ

ザハロワは、このような世界一流のダンサーが集うなかでも、とびきり美しいバレリーナなんだと再確認致しました。赤ちゃんを生んだというのに、以前よりほっそりした体型だし、脚の美しさは極め付き。
ポリーナを1演目にして、ザハロワに古典とコンテの2演目を踊ってもらえばよかったのに。
メルクーリエフも少々胴体が太くなっていました(涙)…彼はハンサムだし表現力もあるのに、今やドロッセルマイヤーとかエスパーダとか、王子役から離れちゃったようで残念です。


第4部
「マルグリットとアルマン」より"田舎で" 振付:アシュトン ピアノ:金子三勇士
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー 高岸直樹

こちらのピアニストさんは、さらにドラマティックな演奏で盛り上げてくれました。
タマラは回転テクニックではなくて、その女優っぷりで魅せてくれました。
マックレーは踊る場面が少ないですが、あれだけ踊りがうまいのに意外と俺様キャラではなく、マナーの良いジェントルマンで好感がもてます。
ロホの白いドレスですが、襟元と裾の三か所、白いテープを互いに編み込んで市松にしてからフリンジにしていたのですが、それが遠目では、安っぽいショーダンサーの衣装のように見えれしまって、凝ったつもりなのでしょうが、普通のフリルの方が良かったような気がします。


「シンデレラ物語」より  振付:ジョン・ノイマイヤー
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

バレエ漫画「テレプシコーラ」第2部で六花ちゃんがコンテの課題に選んだシンデレラ物語。漫画のシーンとは違ったようですが、きれいな作品でした。長いドレスなのでブシェの美脚が拝めませんでした。


「マノン」より"寝室のパ・ド・ドゥ" 振付:ケネス・マクミラン
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

コジョカルは可愛い系よりも、ニキヤとかマノンとか、大人の女性がすっかり似合うようになったのですね。
これから最盛期を迎える彼女にとって、コボーはすこし年齢を重ねすぎているから、今後誰をベストパートナーに選んでいくのか、これからの彼女に注目していきたいと思います。
もちろんこれは良かったですが、他のダンサー達が素晴らしいので、想定の範囲内でした。

「ドン・キホーテ」
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ

おそらくもう何百回と踊っているであろうドンキ。かっとび系のお二人に思う存分かっ飛んでもらいたかったけれども、それほどでもなかったような。
まあ、一般的なドンキと比べれば、十分びっくりなんですが、期待値が高すぎるんでしょう。
ハッとさせられる瞬間がなかったです。
オシポワは、アダージオでもっとポワントバランスを見せるかと思ったけど、特になく(もしかしたらポワントバランスはそれほど得意でもないのかもしれない)
ワシリーエフは540三連発ぐらいやるかと思ったけれど、なかったし。
マネージュは、アラベスクに脚を上げながら回転するもの…KバレエのドンキDVDで熊川さんがやっている技です。同じ技でも、熊川さんの方がずっときれいです。
それでもこの二人の発するパワーというか生命力というか、爆発力のようなオーラはありました。
世界バレエフェスティバルの大トリといっても、この二人にとっては踊りなれたことを軽くやりました、ぐらいの感じだったのかもしれません。あまり思い入れは伝わってきませんでした。
そうそう、オシポワのフェッテについて。
出だしは3回転で、前半はダブル連続。後半はシングルシングルダブルのペースでした。
場所もほとんどずれずに、きっちり回っていました。


この後、休憩をはさまずに第5部のファニーガラに突入しました。
お客さん達もファニーガラ目当てだし、舞台進行が伸び伸びになって終演が遅くなるのも困るからと、最初のうちから拍手をセーブして、意図的にカーテンコールの回数を増やさないようにして主催者に協力していた感があります。
そのおかげか、サクサクと進行して、ファニーガラが終わっても10時25分ぐらいでした。
カーテンコールの回数が増えるのは面倒だけど、演技中のマネージュとか、素晴らしいものにはもっと拍手しても良かったと思うんですけどね。

これだけのスターダンサーが一堂に会すガラもないですが、マラーホフ、ルグリなとの常連達が引退年齢になり、次回は世代交代になりそうです。ビッグネームだけのガラじゃつまらないですから、勢いのある若手や、世界と名打つからには、めったに見られない国やバレエ団のダンサーも呼んで欲しいです。
もちろんレベルは世界トップの人達を。キューバやサンフランシスコ、ルーマニアとかの東欧はどうでしょうか。

ぴかぴか(新しい)

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2012年08月17日

2012世界バレエフェスティバル ガラのおまけ

世界バレエフェスティバルが終わりました。昨晩のガラはすごく面白くて大満足でした。
とりあえず忘れないうちに、みんなのお楽しみ、ファニーガラについて書いておきます。

第4部が終わって、最後の曲を演奏しはじめたオーケストラに裏方スタッフが「まだあるから…」と言ってオケを止めて、NBSの男性(高橋氏)が挨拶に出てきました。
佐々木さんは体調が悪いので代理だということで、オーケストラの皆さまはお帰りください、次は3年後によろしくお願いいたしますと…そして第5部のプログラムと出演者を読み上げて、ほとんどリハーサルもないぶっつけ本番だというように話していました。

第5部《ファニーガラ》
「オネーギン」
上手にベッド、中央奥に鏡。ベッドにゴメスのタチアナが寝ていてゴロゴロ。
ベッドから出て踊るゴメスは美脚でポワント使いがとっても上手。
下手の机のところで、手紙を書きだすが、めんどうなのでipadでメールにする。
鏡のところへ行くと、向こう側にオデブなタチアナ登場(ラドメイカーが肉じゅばん着用)
オネーギン(アイシュバルト)を取り合いつつ踊る二人のタチアナ。
下手に中近東の女性のように顔をかくした掃除人がいて、バケツの中からいろんなものを取りだす。
出てきたマックポテトをほおばるゴメスタチアナ。

レンスキー(下がり眉毛をつけたサレンコ)登場、3部の白鳥でマラーホフの着ていた王子の衣装で美しくレンスキーのソロを踊るが途中で掃除人に銃で撃たれて死ぬ。

二人のタチアナに迫られまくって困るアイシュバルトのオネーギンはコミカルでカッコよく、宝塚のように男前でした。
最後に掃除人がマスクを取ると、オレリー・デュポンだったのにはびっくり。

「ラ・シルフィード」
キルトとベレー帽、透けるショールを持ったジェームズはコジョカル(ちっちゃくてかわいい!)
そのうしろをシルフィード姿で横切って笑いを誘うのはコボー。
シルフィードに逆にリフトされるジェームズ。
コボーが踊るシルフィードのソロは、明るい小川のバージョンでした。
彼もポワントが上手で、ポワント立ちのままで小さなジャンプをしてました〜すごいな〜男なのに。
そういえば「ザ・レッスン」で、つま先立ちしてましたよね。
最後の方に、白と黒のシマウマ柄みたいなフード付き全身タイツを着た謎の人物が出てきて、この二人を邪魔しました(ワシリーエフ)

「居酒屋間呑(マノン)」
下手にベッドがあり、シーツの下に大きな人物が寝ているよう。
上手は「間呑」と書かれたのれんのかかった屋台で男装の5人ほどが酒飲み中。
シーツから出てきたのは、ゴールドと黒のゴージャス衣装のウェスト太いマラーホフマノン。
寝室のマノンの踊りをポワントで踊るけど、さすがにポワントは完璧で、でもところどころ笑いをとりながらのバランス感覚が素晴らしい。役者です!
男装の5人は、ちっちゃい組の女性ダンサーで、タマラ、アイシュバルト、サレンコ、オブラスツォーワ、ノヴィコワ。
彼等を誘惑しながらお茶目に踊るマラーホフマノンが踊り終えると、5人が衣装を脱がして、その下に着ていたのはド派手な金色のチューブトップミニドレス(どんだけずん胴なんだってぐらい)で5人に加わって呑み始める。

白いライモンダチュチュのメルクーリエフが現れ、ライモンダの手を打つヴァリエーションを踊る。
手を打つところとか、凄い音で笑いを取りつつ、でも踊りは完璧。ピルエットもダブルだし、そのまま全幕踊れるんじゃないかっていうぐらい。
コミカルさを入れているんだけど、上手すぎて笑いにならないレベル。

キトリ第1幕のヴァリエーション
突然かっ飛びの人が来たからびっくりしたら、頭に大きな赤いバラをつけたキトリ衣装のワシリエフ。
何だ、何が始まったんだ?!というぐらい最初の大ジャンプはすごい高さでした。
短いヴァリだけども、輪っかのようにそるジャンプは頭と足がつくぐらい。柔らかいのね〜
そして連続ペアテでは後ろに5人のちっちゃい組女性ダンサーがマント持ってリズミカルに動かしていました。

赤い衣装のニキヤ(ゴメス)が表れ、婚約式の時の悲しみの踊りを踊る。
これも凄い。ポワントで立ったまま、アラベスクに移行したりとか、かなりマジ。
ゴメスのニキヤで全幕見たいわ〜〜

壺の踊り
パリオペの素敵な衣装で壺ならぬ、寿用の真赤な酒桶を頭に乗せているのはオファルト。美脚でポワントも上手でした。二人の少女役はフォーゲルとマチュー。酒くれ、酒くれ〜とまとわりつく。
ジョシュアのチューブトップのブラが下がって乳首が見えてくるのが気になっていたら、周りのダンサーが近付いてきて直してくれました(でもまた下がっていた)

ブロンズアイドル悟空
オレンジ色の衣装(「亀」って書いてある)で髪も逆立てたドラゴンボールの扮装で、時々叫びながらスーパーサイヤ的ブロンズアイドルを踊るのはシムキン。側転や空中前転など入れながらあの曲でアクロバティックに踊りながらもエレガントなんです。最後に酒場のみんなに向かって大声で「カメハメハーー!!」。
シムキン君、これやりたかったのね。似合ってた。

花かごの踊り
ひとかかえもある巨大な花かごをオルガ先生がゴメスニキヤに渡して、花かごの踊り。ロシア版ではなくてマカロワ版の音楽でした。花かごの中からへびならぬワニが出てきて喰いついて、ゴメスニキヤがエイ、エイ!と叩きまくってやっつけたのはいいけど、毒がまわって倒れてしまう。
そこでマラーホフが毒消しのビールを飲ませると、もっとちょうだいって言って、すっかり元気になり、みんなに加わって酒盛り。(このビールとか本当に飲んでました)

順番とか多少違っているかもしれないけれど、まあ大まかにはそんなところです。
一番印象に残ったのはゴメスかしら。
男性ダンサーでも、実際の舞台でポワント履いた事のある人は本当にポワントが上手。
「明るい小川」「シンデレラ」とか、男性でポワント履く演目ってありますからね。
ポワントが慣れていない人はたぶんそういうキャスティングされたことないのでしょう。
トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団とか、グランディーババレエ団とか、男性がポワントで踊るコメディバレエもあるけれど、やはり超一流のダンサーは、そんなのとは格段に上手ですわ。

ついでにフィナーレの事も書いておきます。
おそらく終演後に打ち上げパーティがあるようで、ドレスアップしているダンサーが多数いました。
(アニエスは2幕が終わった時には着替えてもうホワイエにいたし。彼女は黒いぴらぴらしたフリンジのミニドレスで、編み込み三つ編と似合ってステキでした)
ヴィシニョーワは、白鳥二羽が向き合って、その長い首がくるくるとねじれている模様の、不思議なロングドレスでした。独特なセンスです。
水香さんはピンクのミニワンピ。ザハロワは黒のロングドレス(美)。
ファニーガラの扮装のままの人も結構いました。
マラーホフは黒のシースルーのシャツに着替えてました(速っ!でもヴィシのエスコートしなくちゃだし)
メルクーリエフは、なぜかまたコンテの衣装に戻ってました。(私服に着替えるより簡単だったからなのか?)
ダンサー全員に花束が渡されて、恒例の手ぬぐい投げがあって、コジョカルが舞台脇のグランドピアノの隙間を通って、わざわざオケピの前まで来て、ファンに花束をあげていた。(もらっていたんじゃなくて)

3年後に逢いましょうの垂れ幕はありましたから、ちょっと安心しました。

本編の感想は後ほど。

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2012年08月09日

世界バレエフェスティバル全幕プロ「ラ・バヤデール」コジョカル&コボー

2012年8月8日(水)18:30 東京文化会館
ニキヤ アリ―ナ・コジョカル
ソロル ヨハン・コボー
ガムザッティ 田中結子
マクダヴェーヤ 松下裕次
大僧正 木村和夫
ブロンズ像 ダニール・シムキン

今やギエムの後を継いで世界最強のバレリーナではないかと思われるコジョカルがニキアを踊る!!
どんなニキアなのか、すごく楽しみでしたが、期待を裏切らない素晴らしい舞台でした。

コジョカルのニキアは、登場の瞬間から悲壮感が漂っていて、自分は幸せになる運命ではないと知っているよう。指先のひとつひとつ、足先まですべてのムーヴメントに非常に神経を使って丁寧に踊っているのが感じられます。
繊細、と言っても日本人バレリーナのような繊細さとはちょっと質が違うのですが、コジョカルの強靭なボディ・コントロール力によって抑圧された動きは、まさに巫女という抑圧された状況にあるニキアそのものと重なり、鳥肌が立つような感覚に襲われました。
最初の静謐なソロは特にそれが際立っていましたが、コジョカルのすごいところは、繊細に踊りながらも、ジャンプは高いし、横飛びのジュッテもただならぬ飛距離だし、もちろんパンシェの脚は180度あがるし、デヴェロッぺも180度に近い「6時の時計のポーズ」

ポワントバランスも強靭で、婚約式での踊りでは、トゥでススに立ったそのままで、支えなしに片足をゆっくりと上げてアラベスク。そのゆっくりさ加減が凄い!!あんなことやる人見たことない。
トゥからデュミに降りるときも実にゆっくりなんですよ。

コジョカルのニキアは、ソロルと愛し合っているけれども、それは神につかえる巫女としては許されないこと。だから幸せにはなれないだろうと予感していて、でもソロルと逢う時は、巫女という境遇の自分には唯一の嬉しい時間。
ガムザッティとソロルとの婚約式で踊る時も、ほぼあきらめの境地。
毒へびに噛まれた解毒剤を大僧正がくれたけれど、ソロルがガムザッティと立ち去るのを見て、このまま死ぬことを選択する。

コジョカルのニキヤは、そんな風に最初から運命を受け入れているようだったから、幻影の場で出てくる時も、ソロルに何の恨みもなく、ただ《真っ白な魂》として存在しているようでした。
衣装も、極めてシンプルで体にピタッとフィットしたボディ(ふちにラインストーンがついているだけ)と、上品な白の飾りのないチュチュで、それがすごく似合ってました。
コボーのサポートも素晴らしく、まるで体重がないかのようにふわっふわっと空中に上がるのです。
コボーの演技は、ラジャに「うちの娘と結婚しろ!」と言われた時からひたすら困惑モード。
ガムザッティと踊っている時も、心ここにあらずという表情で。
婚約式でも、全然ニキヤを目を合わせられないぐらい困っている。
ソロルにとっては、結婚を強要された時から非現実の世界に入ってしまって、だから最後に死んでニキアと一緒になれて幸せだったというように感じられました。

それにしても、コジョカルの踊りの大きい事。
カーテンコールの時に見たら、コジョカルの身長は田中さんと同じぐらいか、ちょっと低い位。
それなのに、踊っていると、ものすごく大きく見える。
空間支配力がハンパないです。
日本人の小さめのダンサーさんは、あれをぜひ見習って欲しい。(そういえば、新国立劇場の小野絢子さんが観に来てました)

本日の目玉でもあるゴールデン・アイドルを踊ったダニール・シムキン。
彼にとってはこんなのお茶の子済々といった風で、ロボットのお手本のように隅から隅まで完璧でした。

ガムザッティの田中さんは、コジョカルと対等には張り合えませんでしたが、ガムザッティとしての役割はきっちりとこなしていたと思います。
でも、英国ロイヤルバレエだったら、ガムザッティはプリンシパルが踊る役なんですよ!
だから、ここはぜひ、タマラ・ロホに踊って欲しかったです。

そのタマラは、何と私のすぐ前の席にマックレーと一緒に座ってました(感激!)
その隣はワシリエフとオシポワでした。タマラはオシポワは無視して、右隣りのエレーヌ・ブシェ&ボアディンに話しかけていました。

東バのコールドは皆さんよく揃っていたし、とても美しかった。
影の王国では、トップバッターに現れたのは二階堂由依さんでした。(やっぱりね)

コジョカルの素晴らしさ、凄さを見せつけられた公演でした。
コジョカルといえば、シンデレラとか、可愛い系の印象が強いけれど、この作品では可愛いを全く封印して、別のバレリーナのようでした。
次はコジョカルの白鳥が観たいですね。

ぴかぴか(新しい)








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2012年08月05日

地元の発表会

世間では世界バレエフェスティバルで盛り上がっていますが、私は地元の発表会を4回、見ていました(笑)
ここは生徒さんが500人以上いるので、毎年4回ぐらいに分けて公開レッスンという形で行っています。
今年はスペシャルなプログラムが一回あって、ABTの加治屋百合子さん、元Kバレエの清水健太さん、新国立バレエの八幡さん、貝川さん、輪島さんがゲストでした。
貝川さんが自作自演のコンテを踊り、八幡さんと元Kバレエでこのバレエスクール出身の北爪弘史さんの二人のデュエットも振付ていました。
自作自演の作品はちょっとナルシスティックでしたが、体のキレも良くカッコよかったし、八幡さんと北爪さんへの作品は、ユーモラスですごく面白かったです。貝川さんはクラシック王子を踊っているより、コンテンポラリーの方が似合っているし、才能があるようです。
加治屋百合子さんと清水健太さんは、コッぺリアのパ・ド・ドゥを踊り、また発表会最終日には白鳥の湖の2幕のアダージオを踊りました。
例年ですと、このバレエ団出身の寺島まゆみさんが主役なのですが、今年はおめでたなので、同じぐらいの身長で、ローザンヌコンクールで清水さんと一緒だった加治屋さんにお願いしたようです。
コッぺリアも華やかで良かったのですが、白鳥の湖が素敵でした。
清水さんのサポートが良いせいか、とても丁寧で大きな踊りで、ポーズのひとつひとつが美しくて、以前白鳥を見た時には、ぎすぎすしていたような印象がありましたが、そんなことはまったくなく、たおやかさも感じられるほどでした。
パートナーでこんなに違うのでしょうか、以前見たときは、ジャレット・マシューズでしたが。
清水さんのノーブルで包容力のある王子のおかげで、加治屋さんの日本的な部分が引き立てられたような気がします。
加治屋さんは体は細いながら、とてもパワフルで華のあるバレリーナだと思います。
アメリカだと、派手なパフォーマンスが重視されがちで、加治屋さんもその風潮につられているようですが、本来の日本人的なたおやかさをもっと開発したら、きっと一段と光るような気がします。
今回はその片鱗が見えました。
バレリーナの埋もれている資質を引き出すことができる清水健太さんというダンサーの凄さもまた感じました。
その清水健太さんは、12月に旗上げされる井脇幸江さんのバレエ団、IBCのジゼル公演でアルブレヒトを踊るそうです。これは、必見です!!

ぴかぴか(新しい)






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2012年07月23日

バレエ・アステラス2012

2012年7月22日(日)15時 オペラパレス

海外で活躍する日本人ダンサーと、新国立劇場研修生のPRのための企画である、このバレエ・アステラスは2009年から始まり、3回目(2011年は大震災の影響で中止)らしいです。
出演ダンサーは公募(つまりは自薦)で、相手役も自分で調達。女性ダンサーの場合は、だいたい自分の彼氏を連れてくることが多いようです。
アステラスはギリシャ語で「星」という意味だそうですが、ギリシャ語だとアステールと発音するから、これは「明日照らす」とかけたタイトルなんでしょう。
つまり、新国立バレエ研修生が明日のスターになって欲しいという願いですよ。

第一部
『トゥリプティーク〜青春三章〜』
振付:牧阿佐美 音楽:芥川也寸志
新国立劇場バレエ研修所修了生・研修生

牧先生の振付は本当に退屈で困りました。
男女のダンサーがかわるがわるグループで、またはデュエットで出てきて踊る、「エチュード」みたいな感じの作品(ただし劣化版)研修生たちはほっそりして美しいスタイルで上品でしたが、あまり訴えかけるものはない(振付のせいかも)
衣装も女性はオレンジで男性は水色って、よく解りませんでした。
エチュードを目指したなら、衣装も白と黒にすればよかったのに。


『THE AGE OF INNOCENCE』パ・ド・ドゥ
振付:エドワード・リアン 音楽:フィリップ・グラス
菅野真代(ディアブロ・バレエ)
ローリー・ホーエンスタイン(ジョフリー・バレエ団)

菅野さんのムキムキな肉体と、筋肉質のたくましい脚がすごく印象に残りました。
日本人の感覚だと、これでバレリーナと言えるのか?と目が点になりましたが、コンテだから、これもアリなんでしょう。

『ライモンダ』パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ/牧阿佐美  音楽:アレクサンドル・グラズノフ
本島美和(新国立劇場バレエ団)
マイレン・トレウバエフ(新国立劇場バレエ団)

本島さんて、純クラシックはダメなんですね、やっぱり。
背中が板でも入れているように硬くて、踊りにニュアンスがつかないし、軸脚変えの回転はスムーズに見えないし、トドメはリフトで落っこちそうになったことです。
新国立のプリンシパルがこれではマズイでしょう。
本島さんは、ライモンダは、その昔ワシントン公演の時に1回主役を踊ったきりです。
なぜ海外公演に主役経験のない人をキャスティングするのか謎だったし、案の定出来も悪かったそうですが、この踊りを見る限りは、やっぱりこういう作品には向いていない。
きっちりと踊れなくてもアラが見えない演目にするべきでした。

『チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ』
佐久間奈緒(バーミンガル・ロイヤルバレエ団)
厚地康雄(新国立バレエ団)

ライモンダのお口直しに、素晴らしい一品でした。
厚地さんは、水色の衣装がすらりとした体型に良く似合って、さわやか好青年。
彼の魅力が出ていました。
佐久間さんは、すべてにピタピタとはまる小気味よい踊りで、まさに盤石。
たおやかで繊細な見かけでありながら、強靭さとパワーを秘めたバレリーナです。

『白鳥の湖』より”黒鳥のパ・ド・トロワ”
振付:マリウス・プティパ/ルドルフ・ヌレエフ版
藤井美帆(パリ・オペラ座バレエ団)
ヤニック・ビッタンクール(パリ・オペラ座バレエ団)
グレゴリー・ドミニアク(パリ・オペラ座バレエ団)

藤井美帆さんは、2010年もビッタンクールとこのガラに出ているんですね、彼氏なのかしら…
それはまあ置いておいて、せっかくイケメン二人を従えたヌレエフ版トロワだったのに、脚は全然上がらないし(パンシェでもせいぜい135度)、黒鳥らしいあでやかさや妖しげな色気もないし、フェッテは20回で落ちちゃうし、もうすべてにおいていっぱいいっぱいな感じで、がっかりでした。
天下のパリオペでも、いったん入団すれば、あんなに踊れなくてもクビにならないんだ…とか、コールドばっかり踊っていると、真ん中が踊れなくなっちゃうのか…とか、もしかしてどこか怪我でもしているのか…とか、あんまりなパフォーマンスに頭の中でいろいろな疑問が湧いてきました。
男性二人はビジュアルは良かったですが、踊りは、王子のビッタンクールは頑張ってます的な感じだったし、ロットバルトのドミニアクの方がキレがあったとは思いますが、まだまだこれからでした。


『ロメオとジュリエット』バルコニーのパ・ド・ドゥ
振付:アザーリ・M・プリセツキー
伊藤友季子(牧阿佐美バレエ団)  中家正博(牧阿佐美バレエ団)

まあ、大人しめのロミジュリといったところでしょうか。
狂おしいような情熱の発散という振付ではありませんでしたね。
中家さんはとても上手でしたし、伊藤さんは、か細い体型が少女らしくて良かったです。

第二部
『SPINAE』
振付:マイルズ・サッチャー
音楽:フィル・クライン&メアリー・エレン・チャイルズ
サンフランシスコ・バレエ学校 研修生

男性5人女性7人の出演でしたが、一人ガタイの良すぎる女性がいましたが、あとはみな美しく、身体能力も高くて見ごたえがありました。中国人らしい男性ダンサーが、すでにプロフェッショナルのレベルの踊りで、彼に目を奪われました。スピーディな展開のコンテで面白かったです。

『アダージェット』
振付:レナート・ツァネラ  音楽:グスタフ・マーラー
菅野茉里奈(ベルリン国立バレエ団)  
ライナー・クレンシュテッター(ベルリン国立バレエ団)

菅野さんはスタイルが良く、つま先も美しいダンサーですが、この演目は以前SHOKOさんと旦那さんで観た事があり、あの時は一瞬たりとも目を離せないようなオーラと吸引力がありましたが、今回はそれほどではなかったです。時々眠くなりました。

『海賊』パ・ド・ドゥ
小野絢子(新国立劇場バレエ団)
八幡顕光(新国立劇場バレエ団)

このお二人は古典ばっちりです!!小野さんの丁寧な踊りの素晴らしさといったらもう…これでこそプリンシパルです。
八幡さんは、540の三連発という、ちょっとやそっとじゃできない超難易度技を披露していました。
これができる人はなかなかいないでしょう。惜しむらくは、もう少し身長があればもっと技が映えるのにという事です。

『瀕死の白鳥』
田北志のぶ(ウクライナ国立キエフ・バレエ団)

田北さんは手足が長い日本人離れした体型だし、ロシア流の白鳥の腕の動きがなめらかでしたが、この演目は、バレエを良く知らない人に披露するならこの程度でいいかもしれませんが、今日の観客相手には、もっとスペシャルな何かがなくては感動を与えられないと思いました。

『ドン・キホーテ』パ・ド・ドゥ
高橋絵里奈(イングリッシュ・ナショナル・バレエ団)
ズデネク・コンヴァリーナ(イングリッシュ・ナショナル・バレエ団)

高橋さんを見るのは初めてでしたが、それなりにテクニックもあり、ポワントのバランスを長くとったり、フェッテではシングル、シングル、ダブル(の時に扇を頭上に上げる)という技をやったりと、魅せ所を心得ていると思いました。
コンヴァリーナは以前世界バレフェスに相手役要員で参加していますが、可もなく不可もなくといった印象でした。なぜか会場の空気が少し冷やかで、せっかく片手リフトやっても拍手もないし、高橋さんが頑張ってましたが、トリのわりには盛り上がりに欠けたようです。なぜでしょうね。
観客にも、もう少し盛り上げてあげようという感覚がなかったのかもしれません。

フィナーレに、全員が出てきて少し踊りました。

るんるん

今回のガラは、それほどPRしたわけではないのにほぼ満席だったし、値段も安いので結構バレエ愛好者が来ていたのかもしれません。つまりは見る目のある観客だったということで、それならばトリは、佐久間奈緒さんにした方が盛り上がったでしょう。

るんるん

今回出演していなくても、海外組の、名前の知られてないけど素晴らしいダンサーはもっとたくさんいるはず。日本のバレエ界の現状を見ても、まだまだ良い子が海外へ行ってしまう(つまりは、バレエダンサーを職業とするためには海外でなくては食っていけない)という現実は存在しています。
だから、いっそのこと研修生も研修生出身のダンサーも出演させずに、そういった海外でプロとして踊っているダンサーだけを、20人ぐらい見せるという企画にして欲しいと思います。
(今回なんて、たったの6人だけでしたから)
「バレリーナへの道」という雑誌を読むと、ブルガリアの国立バレエ団とか、ポーランドとか、アメリカ、ルーマニア、ドイツ…あらゆる国で日本人ダンサーが活躍しています。
まだ20代で若い子が多いですが、今回の主演ダンサーのように、いちおう確立した地位を確保しているような人たちよりも、フレッシュな新しい才能を見てみたいと願います。

ぴかぴか(新しい)

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2012年05月11日

新国立劇場バレエ「白鳥の湖」小野絢子

2012年5月11日(金)14時 オペラパレス
オデット/オディール 小野絢子
ジークフリード王子 福岡雄大
ロートバルト 厚地康雄
道化 福田圭吾
パ・ド・トロワ さいとう美帆 長田佳世 江本拓

小野絢子さんは、2年前に初オデットを踊り、今日で3回目だと思いますが、ほぼ完璧に近い、素晴らしいパフォーマンスでした。
彼女が白鳥で登場した時の、驚くほど細やかなパドブレに始まり、白鳥の羽ばたきの柔らかい腕の使い方や、時々羽つくろいをするようなしぐさや、音楽の取り方、すべて、「白鳥はこう踊って欲しい」という私のツボにことごとくはまっていました。
以前から感じていたのですが、彼女は本能的に、この踊りはこう踊るべきというのがわかり、またそのように踊れる才能があると思います。バレリーナ本能の持ち主だとでもいうべきでしょうか。
役に必要とされているものが何かをイメージできて、さらにそのイメージ通りに踊ることができるバレリーナです。
彼女の踊りを見て、すごくツボにはまって白鳥らしいと感じ、オペラグラスで表情を見てまた衝撃を受けました。ほぼ無表情でした…白鳥はそうでなければならないと常々私は感じていました。
悲しい、苦しい…というような表情でオデットを踊るダンサーもいますが、白鳥に変えられたオデットはこの世のものではない存在なので、あまり人間らしい表情を見せると、なまなましくなってしまいます。
ザハロワもオデットはほとんど無表情で踊ります。
表情で語るのではなく、体で(踊りで)語るのが白鳥だと思います。
小野さんの音楽の取りかたもぴったり合っていて心地良かったです。
アダージオは本当に素敵でした。ヴァリエーションも良かったです。

黒鳥では、フェッテの最後の方が左に移動してしまって、最後でちょっといきなり終わった感がありましたが、うまくごまかして結果オーライでしたね。
ダブルを5回入れていて、スピードもありました。
むしろ黒鳥は、ちょっと模範的黒鳥すぎるので、もっと彼女らしい工夫、何かアクセントのようなものがあれば、もっとすごみが出ると思います。たとえば、王子の頬をさっと撫ぜていくとか…
そのあたりが絢子さんの課題でしょうね。色っぽさが必要です。

その他のダンサーでは、特にパ・ド・トロワを踊った、さいとう美帆さんが軽やかで良かったです。
スペインの楠本さんも良かったですわーい(嬉しい顔)
白鳥のコールドも、日を追うごとに揃ってアンサンブルが向上していくようで美しかったです。
ルースカヤは米沢唯さんでしたが、ルースカヤというと、前回の湯川さんのように、思い入れを込めて踊る人が多いけれど、その逆で、むしろちょっと爽やかでした。ピルエットなど回り物が余裕だったせいでしょうか。
道化の福田さんは、踊りは上手だけれども、道化としての彼なりの個性とかがあまり感じられませんでした。やはり道化は八幡さんの名人技にはかなわない!!
ロートバルトは素敵でした。ちょっとしか踊らなかったけど、なんかスタイリッシュな感じでした。
キレがあるし、アラベスクのキープも長いし。顔が見えないのが残念ですね。

第4幕に、ロートバルトがなぜ滅ぶのかが、何度見ても解らないのが、この版の最大の欠点なので、これはどうにかして欲しいです。王子とロートバルトが闘って、白鳥のコールドたちが大勢で襲いかかるとか…
もうちょっと見てる人にわかるようにしないと、何だかわけがわかりません。

ぴかぴか(新しい)





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2012年05月09日

新国立劇場バレエ「白鳥の湖」ワン・チーミン主演

2012年5月8日(火) 19時 オペラパレス
オデット/オディール ワン・チーミン
ジークフリード王子 リー・チュン
ロートバルト 貝川鐡夫
道化 八幡顕光
パ・ド・トロワ 川村真樹 本島美和 江本拓

世界のプリマ、ザハロワ女王が愛娘に原発の影響が及ぶのを心配してキャンセル、その代わりに呼んだのが無名に近い中国人プリマ、ワン・チーミン。といっても、草刈民代プロデュースのローラン・プティ公演に参加していて、そのメイキングはTVでも放映されたから、知っている人は知っていたのかも。
私もそのTV放送を見て、素敵なバレリーナだなと記憶していました。
でも、ザハロワの代わりですから、てっきりロシアのバレリーナを牧ラインで呼ぶか、あるいはロイヤルのバレリーナをビントレーラインで呼ぶかかなと予想していたので、ちょっとびっくりです。
まさかの草刈ライン。これはまさか将来、草刈さんを新国立の芸監ルートに乗せるための布石じゃないでしょうね?

そのワン・チーミンは中国国立バレエのプリンシパルで、相手役のリー・チュンは学生時代から一緒に組んでいるパートナーであり夫だそうで、さすがに息もぴったり、サポートも全く危なげなく彼女を美しく踊らせて、一番良かったのは、2幕のアダージオでした。

日本人だと、痩せると洗濯板のように横から見て薄っぺらい体になってしまいがちなのですが、ワン・チーミンは腕などは細いのに、体の厚みはほどほどにあって、体幹が実にしっかりしていて、ちょっとやそっとじゃぐらつかない強靭さがあります。
黒鳥のヴァリエーションでも、アティチュードターンのあと、少しバランスが斜めになって、次のステップまでに普通だったらぐらついてしまいそうな瞬間がありましたが、スッと伸ばした足先に見事にポワントでのって何事もなかったかのように次に続いていきました。
その強靭さを隠して、上体は柔軟で柔らかくなめらか、下半身は、上げた脚を降ろすスピードが、コンマ1秒ぐらいゆっくりなので、とてもねばっこく見えます。素晴らしく見事なボディコントロールだと思いました。
黒鳥の32回のフェッテは、音楽のスピードがかなり速かったのですが、ダブルを5回ぐらいいれて、きっちりとスピーティに回りました。位置がほとんど変わらなかったのも凄い。
表情や雰囲気などはわりと淡々としていましたが、踊りの素晴らしさで十分白鳥らしさを表現していました。

白鳥というのは難しい役で、わりとどのダンサーも白鳥よりも単純な黒鳥の方がやりやすいようで、見ているこちらとしても、このダンサーは白鳥よりも黒鳥の方が良いと感じることが多いのですが、ワン・チーミンさんは断然白鳥の方が良かったです。

王子役のリー・チュンさんは、ノーブルな雰囲気は良く出ていましたが、ソロで踊るところは華がなくて、別に主役に見合わないほど下手ではなかったですが、せっかく彼女が素晴らしいので、王子ももっとアピール度の高い人で観たかったという感じがしました。

その他のキャストについては、道化の八幡さんがとても良かったです。32回転もジャンプも540も決まっていて、もう名人芸の域に達しています!!ロサンジェルスバレエでも人気を博したというのも当然です。
今回は私の好きだったダンサー、寺島まゆみさんや西山裕子さんなどがいなくなってしまって、かなり残念ではありましたが、プリンシパルの川村さん、本島さんがパ・ド・トロワ、マイレンさんがスペインや友人、湯川さんがルースカヤ、その他にもベテランダンサーがたくさん出演していて、大変に楽しめました。
大和雅美さんがチャルダッシュを踊っていて、こんなにこの踊りが面白かったと再発見しました。
堀口純さんが2羽の白鳥を踊っていましたが、彼女は顔が小さくて手足が長くて、雰囲気がまさに白鳥!
彼女にぜひオデットを踊って欲しいものです。

今回は立ち役(貴族)で、アシスタント・バレエミストレスの遠藤睦子さんまで出演していました。
こういうところを見ると、牧先生の配慮を感じます。
新国立劇場では、月給制でなく、ギャラが1舞台ごとに支払われるらしく、牧先生が芸監をしていた時は、ダンサー達がまんべんなくお金が貰えるように、キャストに入らなかったダンサーは立ち役に配置するなど細やかに配慮していたようですが、ビントレー芸監になってからは、そのような配慮があまりなくて、同じ人が何度も舞台に出て、一部の人たちはずっと舞台に出られなかったり(特に、出演人数の少ない舞台の場合とか)、トリプルビルなのに、特定のダンサーばかり何演目もだぶって出ていたり…と、はたから見ていても、困っているダンサーもいるんじゃないかと感じます。

今回の白鳥の湖は、おそらくあまりビントレーさんがタッチしていないと思われ…この版を作った牧さんにかなりのキャスト決定権があったのでしょう。
まあ、パリオペラ座みたいに月給制にして、昇級もコンクールにして、社会保険や年金などもつけて、まともに安心して働けるようにしてもらえれば、こんな配慮は無用なんですけどね。
ダンサーも国家公務員でいいと思いますけど。文化というのは国の誇れる財産だし、素晴らしいダンサーは国の宝でもあると私は思います。
いつになったらそんな日が来るのだろうか。ぴかぴか(新しい)





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2012年04月29日

ウィーン国立バレエ団2012年日本公演「こうもり」

2012年4月29日(日)1:30PM 東京文化会館
振付・演出 ローラン・プティ
舞台美術 ジャン=ミッシェル・ウィルモット
衣装 ルイザ・スピナテッリ

ベラ マリア・ヤコヴレワ
ヨハン ロマン・ラツィク
ウルリック マニュエル・ルグリ
チャルダッシュ 木本全優

NBSのバレエの祭典会員の知人にチケットを頂きました!
しかもルグリの出る日なんて黒ハートラッキー黒ハート

プティの「こうもり」は、今年2月に新国立劇場で上演されています。
こちらからその情報を見ることができます。
ウィーンの版は、舞台美術も衣装も同じデザイナーで、ほとんど同じです。
ちょこっと色合いが、新国立の方がカラフルかなというぐらいで。

ということで、どうしても新国立と比べてみてしまいますが…
全体的におとなしめでした。もっとはじけているかと思った。
主役の二人は、新国立のゲストできていたベゴーニャ・カオ&テューズリーの方が良かったです。
テューズリーはとにかくカッコ良かったし、踊りもキレがあって完璧だったし、カオは肉体の迫力があって、ねっとりした色気がありました。

ウィーンの二人は、ラツィクは踊りがもっさりしているし、ヤコヴレワはスタイルが良くて美しいけど、なんだかあっさりしすぎています。
ルグリはもう別格で、軽やかなステップ、正確なピルエット、音楽にピッタリ合ったマイム…すべてが素晴しい。

ウルリックは神出鬼没で謎の人物ですが、どうもベラを好きらしく…というか、ルグリ先生は、視線がベラに釘付けになりすぎです!
どうみても素敵なのは地味な旦那よりウルリックだから、そっちを選んだ方がいいのに…と思っちゃいました。

2幕のチャルダッシュの木本さんは、背が高くて正統派のきれいなバレエを踊っていて良かったですが、ちょっとまじめすぎる印象を受けました。
カンカンを踊っていた橋本清香さんも、美しさで外人にひけをとらなくて、これからが楽しみです。

コールドだけで踊るシーン、チャルダッシュやその後の仮面舞踏会のシーンは、ダンサー達の表情が乏しく、退屈でした。
踊るだけでいっぱいいっぱいなのか…、プティのエスプリを理解していないのか、理解していてもそれを表現しようとしていないのか、楽しさがあまり伝わってこなかったです。
この点、新国立のダンサー達は、もっと表情豊かに、コミカルにやっていて上手だったし、アンサンブルで魅せようという意識も高かったように思います。

シュトラウスの音楽の本場、ウィーンのダンサーによる「こうもり」は、とびっきりエスプリがあって、ウィーンの香りがして、日本人のやる「こうもり」とは段違いの大人の雰囲気があるのだろうと想像していましたが、意外なことに、私の見るところ《新国立の方が上》という軍配が上がりました。

プティの振付はクラシックを元にしているから、結構難しい振付もあったりして、それでいっぱいいっぱいということは、ウィーンのダンサー達はクラシックのレベルはあんまり高くないのでしょうか。
ベラ役のヤコヴレワは白鳥とか、正統派のクラシックを踊った方がむしろ似合いそうでしたけど…プリンシパルのプロフィールを読むと、ほとんど旧ソ連系の方たちなのですよね。
プリンシパルの女子はクラシック寄りで、その他はコンテ寄り?
まだ新生ウィーン国立バレエ団にぴったりな演目を模索中なのかな。

ルグリはすごいんですけどね、相変わらず。あんなに踊れるのに、あの役はもったいない。
というか主役を食ってしまうから、素直にヨハンを踊った方がよい気がしますけど。ぴかぴか(新しい)

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2012年03月18日

新国立劇場バレエ「アンナ・カレーニナ」

2012年3月18日(日)14時 中劇場

アンナ: ニーナ・ズミエヴェッツ
カレーニン: オレグ・マルコフ
ヴロンスキー: オレグ・ガヴィシェフ

ボリス・エイフマン作品の再演。
2年前の時には、エイフマンバレエを初めて見たので、作風のスタイリッシュさにびっくりし、新国立劇場のダンサーによるコールドの素晴らしさに感動を覚えました。

エイフマンの振付は、肉体を最大限に酷使するような動きのもので、ジャンプの頂点で体をひねり、両足を横に突き出すとか、女性が男性に飛び込んで行って、そのまま空中で大回転するなど、大変にアクロバティックでドラマティック。時には体操競技のように見えたり、カンフーのように見えたりするほどです。
コールドのダンサー達は、出入りはすべて走っているし、場面ごとに着替えているので、舞台裏では相当あわただしいことになっているのではと想像されます。

エイフマンバレエ団では、男性は180センチ以上、女性も170センチ以上の身長じゃないと採用されないらしく、今回のゲストの男性もおそらく185以上、主役を踊った二―ナもおそらく175センチぐらいありそうで、この3人が踊ると、肉体のかもしだす迫力が半端じゃない勢いで迫ってきます。

新国立劇場のダンサーたちも、今回の作品では身長が高い人が選ばれているようですが、それでもカレーニン役のオレグ・マルコフが中心になって踊ると、周りの男性たちが小学生、いやそれは可哀そうだから、中学生みたいに見えてしまうのは致し方ない事です。
とにかく、体の《厚み》が全然違いますから。日本人は身長があっても薄っぺらい体型なんです。
この作品、本家のエイフマンバレエのダンサーのコールドで観たら、すごいでしょうね。
でも、新国立のダンサー達もとても良くやっていました。酒場のシーンなんて、ユーモラスでとても面白かった。(本当に酔っぱらっているような古川さん、最高!)
何といっても、男性陣が生き生きと、実に楽しそうに踊っているのが好感度大でした。

女性たちも、だいぶ以前とメンバーが変わったようですが、湯川さん(リーダー的にひっぱっていましたね〜素晴らしい黒ハート)とか西川さん、丸尾さん、千歳さんとか、ベテラン組がびしっと締めてくれていたように思います。難しいところは、やっぱり初演を経験しているメンバーが活躍していました。

最後の、機関車をダンスで表現しているシーンはやはり圧巻です。
機関車の効果音がだんだんと大きくなって、耳をつんざくほどに劇場を満たすと、そこで一転アンナのダイブと同時に無音になる。このカタルシス。たまりません。

エイフマンの作風はコンテにしてはとても解り易く、アンナ・カレーニナにしても、原作のエッセンスは残しつつも、三角関係の不倫物語なのね〜という単純な解釈もできますし、初見の時に少々違和感を感じた「アンナの妄想シーン(全裸)」も、それ以前のシーンでも寝室が何回も出てきたことから、現代的にSEXを物語のキーとして入れ込んでいるのだと今回観ていて感じました。

この作品は、新国立劇場バレエ団に合っているし、傑作だと思います。
バレエ団員キャストでは観た事がないのですが、これからもちょくちょく再演して、重要なレパートリーのひとつとして定着していって欲しいと思います。


ぴかぴか(新しい)











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2012年03月11日

モナコ公国モンテカルロバレエ団「シンデレラ」

2012年3月10日(土)19時 東京文化会館
「シンデレラ」プロローグ付き全3幕
振付:ジャン・クリストフ・マイヨー
音楽:プロコフィエフ
衣装:ジェローム・カプラン

仙女:サラ・ジェーン・メドレー
父: アルヴァロ・プリート
シンデレラ:アンハロ・バレステロス
王子:ジェローン・ヴェルブルジャン


マイヨーがモンテカルロバレエ団の芸術監督に就任したのは1993年だそうです。
以前に私は「ラ・ベル」という、眠りの森の美女の改訂版を観た事があります。
大きな泡の中にオーロラ姫が入っているという演出が斬新でした。

古典の改訂というと、ストーリーを重視したもの、まったくの読み換えのもの、衣装美術だけ直したもの…と様々ですが、マイヨーの作品は、まったく新しい発想のポイントが一つあって、そこから全体を膨らませているように感じられます。
「ラ・ベル」の時は、《泡に入ったオーロラ》から、そしてこの「シンデレラ」は、《キラキラと輝く素足》ではないでしょうか。

シンデレラが仙女に言われて、レンズ豆の入った大きなガラスボールに足を入れると、ラメで足がキラキラと光るのです。
普通は、いわゆるシンデレラ=ガラスの靴という図式がありますが、マイヨーはそれを壊して、素足を持ってきました。

たしかに、靴は単なる履物ですから、素足の方が、シンデレラ自身が美しいことの象徴としては良いかもしれないと感じました。
《キラキラ輝く素足》から発想がひろがって、全身がキラキラと輝く仙女につながっていったのでしょうか。

マイヨーの改訂版は、衣装も斬新で、ゴルチェ風のビスチェに、ボーンを入れて馬の背やサソリの尾のように造形したスカートをつけたり、劇中劇では布製の人形のような衣装だったりと面白いです。

演出としては、「なぜ、シンデレラに、劇中劇でシンデレラの物語をあらかじめ教えるのか」とか、「なぜ、死んだはずの母が仙女になって、最後に父と結ばれるのか」とか、色々分からないところがありますし、肝心の《キラキラ輝く素足》の方も、遠くから見たのでは良く分からないので、いっそのこと蛍光塗料でも塗って、ブラックライトでも当てたら、もっと効果的では?とも思いましたが、退屈するほどではなかったです。

コンテ系はあまり好きではないのですが、キラキラした足のシンデレラと王子、全身キラキラの仙女と父の2組のカップルが同時に踊るパ・ド・カトルは素晴らしく美しいシーンでした。

この新しさを知ってしまうと、古典の眠りがすごくカビ臭いものに感じられてしまいます。
いえいえ、でも私は古典の中の古典が大好きだし、クラシックバレエの王道である「眠り」で、ダンサーたちが、ぴっちりとしたクラシックテクニックを見せてくれるのが、たまらなく素敵だと思うのですが、そんな自分の感覚が、古臭いものなのではないのか、という疑問が湧いてきました。

モンテカルロバレエ団のレパートリーを見ると、マイヨー作品と、コンテンポラリーの名作がずらりとあって、いわゆる古典物は入っていません。
ポワントを使って踊るので、基礎としてクラシックレッスンはやるのでしょうが、現代作品だけを上演するカンパニーなのですね。
モナコで、ガルニエが設計した豪奢で、小じんまりした劇場で、こういう斬新なダンスを上演するというのは、すごくおしゃれだし素敵だと思います。


ぴかぴか(新しい)


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2012年03月05日

東京バレエ団「ねむれる森の美女」沖香菜子&松野乃知

2012年3月4日(日)13時 めぐろパーシモンホール

オーロラ姫  沖香菜子
デジレ王子  松野乃知
リラの精   二階堂由依
カラボス   伝田陽美
カタラビュット 氷室友

2回観てわかったことは、カタラビュット役のダンサーが、それぞれの解釈や工夫を加えて演じているということ。
氷室さんは松下さんよりたくさんマイムを紹介しながら解説していたし、一番違うのは、「なぜカタラビュットはカラボスを招待客リストに入れなかったのか」という点の解釈。
松下さんは、悪い魔法使いカラボスを呼ぶと、悪い贈り物をくれそうだから、あえて呼ぶのはやめようと決め、けれどその判断が本当にいいのだろうかと悩みながら床につく。
氷室さんは、呼ばないとまずい事になりそうだから、やっぱり呼ぼうとしてペンを探しているうちに、その事をすっかり忘れてしまったという筋書き。
ファーストキャストの高橋竜太さんはどのように演じたのでしょうか。
それぞれのダンサーの演目への思いが感じられてとても面白かったです。

前日オーロラを踊った二階堂由依さんがリラの精で、踊りはともかく、やはり目を惹きます。
大役を終えた安心感からか、後半になってどんどん良くなっていってキラキラしてました。
長身の彼女は存在感といい、その人間離れした美しさといい、リラの精にはぴったり。

一幕で登場してきた沖香菜子さんのオーロラは、はじけるようなパドシャやステップが若々しく、とてもフレッシュな感じ。
筋力があるし、ボリショイに留学していただけあって、正統派クラシックの技術をしっかり持っているようでした。
小さな失敗が1個ありましたが、16才のオーロラらしい若さや可愛らしさがあり、ローズアダージオも余裕はなかったようですが、破綻なく踊りきりました。
彼女は入団2年目。プリンシパルでさえ主役を踊る機会の少ない東バで、おそらく今まで一度もソロも踊らせてもらったこともないでしょうに、いきなりの主役。たいへんなプレッシャーだったと思います。


東バのブログでは、仲のいい松野さんと組んでのパ・ド・ドゥが一番安心して踊れると書いてありましたが、二人のアダージオは素敵でした。

とてもフレッシュだったし、筋力も、体力もあるようだから、技術をさらに磨いて、経験値をあげていけば大丈夫、いいダンサーになれると思います。

沖さんはとても小顔で、目が大きいので、舞台では可愛い系というよりは、華やか系に見えます。
あの目を生かす《目力》が使えるようになれば、将来ヴィシニョーワのような艶やかなプリマになるのも夢ではないと思います。

王子の松野さんは、登場した時にどうにも王子には見えず、マイムも演技も〈バレエを習っている高校男子〉にしか見えなかったのですが、踊り出したら結構脚も上がるし回転も上手だし、ジャンプも高くて良かったです。

この回のカラボス(伝田陽美さん)がとても良かったです。セリフが聞こえてくるように分かりやすいマイムと演技で、ドラマティックでした。
またその他のダンサーで良かったのは河谷まりあさん。音楽の掴み方が好みでした。
白雪姫の渡辺理恵さんも、出番は少しでしたが柔らかい踊りで素敵でした。

ファーストキャストは見なかったのですが、子供の為のバレエ公演はとても良い試みですので、これからもどんどん公演できるといいと思います。
ちなみに私の席の横の家族連れは、母親と4才と6才ぐらいの女の子二人で、はじめてのバレエ観賞だったようでしたが、二人とも舞台に穴があくぐらいに真剣に舞台に見入っていたのが印象的でした。



ぴかぴか(新しい)















posted by haru at 12:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする