2016年05月05日

新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」米沢&井澤

2016年5月3日(火)14時 オペラパレス
キトリ(ドゥルシネア)米沢唯
バジル 井澤駿
ドン・キホーテ 貝川鐵夫
サンチョ・パンサ 橋一輝
キトリの友達 柴山紗帆 飯野萌子
エスパーダ マイレン・トレウバエフ
街の踊り子 長田佳世
メルセデス 本島美和
カスタネットの踊り 堀口純
キューピッド 五月女 遥
森の女王 細田千晶
第1ヴァリエーション 奥田花純
第2ヴァリエーション 寺田亜沙子

まず、この公演で二つ強烈に印象に残ったことを申し上げます。
@マイレンエスパーダが登場の時に、帽子をポーンと天高く放り投げて、それがセットの上3分の2ぐらいの上方に、ありえないくらいに高くあがって、どっかに消えた!!(さすがマイレン、笑わせてくれます)
A唯さんの凄技フェッテ


新国立劇場のドンキは何度も見ていますが、版の特徴としては、バジルの狂言自殺で恋人達の物語の決着がついてしまったあとに、ジプシーのシーンやらキホーテの風車への突進、森のシーンがあります。
物語を語っていく事よりも、たくさんのダンサーが出てきて踊りで見せて行く方に重点が置かれています。

普通ならばメルセデス一人で演じるところを、街の踊り子とメルセデスで分けあっているので、エスパーダにとってはどっちが本命?とわからなくなり、さらにエスパーダはカスタネットの踊り子にも色目を使っています。(もしかしたらマイレン独自の演技かもしれませんが)

新国立劇場バレエ団のオノラブル・ダンサーであり、数々の王子を踊ってきた山本隆之さんがドン・キホーテを踊った時も衝撃でしたが、今回は貝川さんがドン・キホーテ役で、「ダンサーの旬の時期の短さよ…」と、いつの間にか王子がおじいさんになってしまったという哀愁を感じてました。(いえ、貝川さんはとっても上品で素晴らしいドン・キホーテを演じていらっしゃいました。王子役よりはまっていたかも。笑)

今回は脇やらチョっとだけ踊る役にもプリンパルやらファーストソリスト大量投入でした。
キャラクターや脇役はとても重要であり、舞台のなんたるかを知りつくしたベテランがそういう役をやることで、舞台の重厚さがぐっと増すことはわかっていますが、あれだけ踊れるプリンシパルの八幡さんがサンチョ・パンサとは… エスパーダをやらせてあげてもいいんじゃないでしょうか。

そして、オデットを踊ったこともある堀口純さんがカスタネットの踊りですからね…
キャラから言ったら森の女王とかが(ランクからしても)順当なんですけど。
それならいっそ長田佳世さんがこの踊りをどう踊るか見たかったです。
東バならばジプシーの踊り、新国立ならカスタネットの踊りは、ちょっとメインストリームからはずれた異質の踊りなんですけど、ここで魅せられるダンサーはなかなかいなくて、「上手いけど綺麗じゃない」「綺麗だけど面白くない」というパターンが多いんです。
堀口さんは、どちらかというと「綺麗だけど面白くない」方のパターンでしたけど、不思議な透明感があって、ジプシー女でなくて白鳥が踊ってるみたいでした。

メルセデスの本島さんは、さすがの華やかさでぴったりでした。上体が固くて、あまり大きくそらないのが残念ですけど(その点はたぶん堀口さんの方が柔らかいと思います)
本島さんも、すっかりベテラン扱いで主役が回ってこなくなりました。プリンシパル8名のうち、主役を常に踊る人が実質2,3人で後はキャラクテール要員というのは、バレエ団としてどうなんでしょう??

とまあ、いろいろ思うことはあるのですが、そのような重厚な脇役をしたがえて真ん中で踊る二人は、飛びぬけたオーラはありませんが、主役としての責任はちゃんと果たしていたと思います。
井澤王子は、演技は薄めでしたが、片手リフトもちゃんとこなし、ソロもきれいで見ごたえがありました。
そして、米沢唯さんは、盤石のテクニックを持っていますから、どの踊りも安心して見ていられます。
高度なテクニックがあるから、その分余裕があって、音にぴったり合わせることができる。それが観客にとっては胸のすくような爽快感を感じさせます。

第1幕でバジルと同じ振りで回転を入れて踊る所、男性の方が早く回転して女性が遅れることが多いのですが、そこもぴったり二人で揃っていました。
あまりこれみよがしなことはしないのですが、バランスも長くて、すべての踊りが端正で、雑なところがないというのは凄いことです。

第3幕のフェッテは、トリプル‐シングル‐シングルで、トリプルの最中に手を上にあげてから腰に下ろすと同時に扇を開いてひらひらするという大技を3セット入れていました。
あんな技をさらっと涼しい顔でやるんですから、もう観客大熱狂でした。

アンサンブルや脇役まで舞台を盛り上げていて、とても楽しい公演でした。


















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2016年05月02日

東京バレエ団「ラ・シルフィード」沖&松野

2016年4月30日(土)14時 東京文化会館

ラ・シルフィード:沖香菜子
ジェイムズ:松野乃知
エフィー(花嫁):河谷まりあ
ガーン(ジェイムズの友人):和田康佑
マッジ(魔法使い):森川茉央

ラコット版のラ・シルフィードが面白いのは第1幕にあるオンブル(影)のパ・ド・トロワ。
ジェイムズとエフィーが婚約パーティで踊るところに、いつの間にかシルフィードが入り込む。
シルフィードが見えるのはジェイムズだけ。
ジェイムズ以外の人間たちにはパ・ド・ドゥに見えるが、ジェイムズとシルフィードにとってはパ・ド・トロワ。
エフィーにはシルフィードは見えないけれども、ジェイムズの気持ちがどこかまっすぐ自分に向っていないことを感じながら踊る。

ジェイムズは、かわいくて愛らしいエフィーと、蠱惑的なシルフィードのはざまで、どちらを選ぶかという悩みをかかえながら、二人の相手をして踊る。
沖香菜子のシルフィードは静謐で、この世のものならぬほど美しい。踊っている間にも、その魔力のようなものにジェイムズがどんどん惹かれていくのが感じられた。

そしてついにジェイムズはシルフィードを追って森の奥へ行ってしまう。
松野乃知はアントラッせの後脚が高くあがるし、繊細ながらダイナミックな跳躍が素晴らしい。

第2幕、フライングなどもあり、森でのシルフィード達の踊り。
フォーメーションの移動もきれいで、体の角度もぴったり揃っていて、極上のコールドバレエだった。
芸術監督、斉藤由佳里の指導が行き届いていることがうかがえる。

マッジにそそのかされて、ヴェールをシルフィードにかけると、羽根が取れて急速に弱っていく。
そして、シルフィードの細い腕が、力なく下がると、パサッと中身がなくなって蝉の抜け殻になったようで、この臨終シーンは今まで見た事のない表現であった。
そして、その後のジェイムズの慟哭。
 
沖シルフィードと松野ジェイムズは、これが2回目のラ・シルフィードだったが、特にこの第2幕後半は二人とも役に入りこんでいて、観客もどんどん舞台の世界に引き込まれて行きました。

舞台の素晴らしさを堪能した公演でした。





 








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2016年04月01日

パレエ・プリンセス

2016年3月31日(木)18:30 新宿文化センター
オーロラ姫(眠れる森の美女):米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
白雪姫:木村優里(新国立劇場バレエ団ソリスト)
シンデレラ:池田理沙子(バレエスタジオDUO)
王子(シンデレラ):橋本直樹
王子(眠れる森の美女):浅田良和
リラの精(眠れる森の美女):長田佳世(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
ヴィラン:高岸直樹
義姉(シンデレラ):樋口みのり(谷桃子バレエ団) / 義姉(シンデレラ):樋口ゆり  
宝石(眠れる森の美女):副智美 / 宝石(眠れる森の美女):田中絵美(谷桃子バレエ団)
白い猫(眠れる森の美女):松本佳織(東京シティ・バレエ団) / 赤ずきん(眠れる森の美女):塩谷綾菜(アートバレエ難波津)
フロリナ姫(眠れる森の美女):五十嵐愛梨(山本禮子バレエ団)
宝石(眠れる森の美女):西野隼人 / 狼(眠れる森の美女):小山憲(バレエスタジオHORIUCHI)
長靴をはいた猫(眠れる森の美女):荒井成也(井上バレエ団)
道化(シンデレラ):田村幸弘(バレエスタジオDUO)
ブルーバード(眠れる森の美女):二山治雄(白鳥バレエ学園)

三大プリンセス物語をくっつけちゃったバレエ少女向け公演。
幕があくと、少女(10歳前後)たちのレッスン風景で、親たちが迎えに来て、一人取り残された少女が童話を読みだすと、その世界がバレエで展開するという趣向。

最初は「白雪姫」
小人の踊りの後に小屋から出てきたのは、シルフィード!!!
でなく白雪姫なのね、あ〜びっくりした。お話が変わったのかと思った。
でも頭に付けた花かざりといい、キラキラした白い衣装といい、どうしても私には白雪姫(ディズニー)よりもシルフィードにしか見えなかった。
ということはさておき、木村優里さんは、柔らかいアームの動きがきれいで、目を惹きつけられました。
一流プリマのような堂々とした雰囲気があるんですよね。小さいころから数々のコンクールに上位入賞し、新国立劇場でもソロばかり踊ってるわけだけど、それにしてもダンサーとしてはまだ駆け出しなのにこの強心臓。
そこへ絶世の高岸美女(白雪姫の継母)登場。ガタイも大きいけれど、踊りも演技も大きい。舞台の半分ぐらい専有しているような存在感がハンパない。

白雪姫が毒リンゴを食べてエンド。
また少女が現れ、今度はシンデレラの絵本を読む。

ボロ服のシンデレラが義姉たちにいじめられて、すぐに舞踏会の場面。ここではコールドも登場。
橋本王子が素敵に登場してソロを踊って、義姉や継母にからまれそうなところを道化が救う。
しばらくしてシンデレラが登場。王子と踊る。
12時になって子供たちが登場して時計の精の踊り。これはなかなか良かった。
ガラスの靴を落として王子が拾うところでエンド。
第1幕終わり。
第2幕はほぼオーロラ第3幕。
高岸カラボス(美女!)が現れ、リラと王子がカラボスを倒す。
オーロラに口づけして目覚めたら、さっさと結婚式のシーン。
リラのヴァリ、宝石、白い猫、青い鳥、赤ずきん、グランパ。

眠ってしまったバレエ少女をママがお迎えに来てエンド。
フィナーレに、チラシの萩尾画伯の絵と同じような衣装、ポーズのプリンセス。

思いっきりいいとこどりの演出で、子供も退屈する暇なくて良かったと思います。

高岸さん、濃い顔だちの方ですが、あれほど女装が美しいとは!!悪役三連続お見事でした。

プリンセスたちは、白雪姫の木村さんは華やか、シンデレラの池田さんはかわいい、オーロラの米沢さんは端正でした。

王子の橋本さんと浅田さんは、少女たちが「キャ〜〜」というようなアイドルタイプではないけれど、プロの王子としてそつなくまとめておりました。でもご両人がKバレエで輝いていた時代を観ていた者としては、何か物足りない。それはやはり、団員の競争のなかでの切磋琢磨とか、熊川ディレクターの厳しい目を意識する緊張感とか、そういったものなんでしょうか。

男性ダンサーは、有名バレエ団に在籍してある程度立つと、生活の為なのかフリーになる方が多いですが、フリーランスだと先生からの指導が団員のようには受けられないだろうし、よっぽど自分の目標が高くなければ、主に技術面で上に行くのは難しい。

一流バレエ団でプリンシパルとして踊っている長田さんや米沢さんは、プロフェッショナルとして、そのただずまいからして違っています。まず、脚の筋肉が、無駄のない美しいラインをしています。長田さんの脚なんかもう、ほれぼれします。とぎすまされている。プロってそういうもの。

その点、池田さんは、まだまだ舞台経験の足りない上手なアマチュアといった感じです。
小顔でバランスのいい体型だし、清水冨美加に似たかわいい顔立ちなので、これから精進して欲しいですが、正直言って、ソリスト入団しなくてもコールドからでいいと思いました。

ニ山治雄君は、出てきただけで拍手喝さいで人気があります。
彼の開脚はアクロバティックで、見ているだけで楽しいし、すがすがしい。
だけども、踊っている本人は笑顔が出なくて、あまり楽しそうじゃないのが気になります。高校卒業して調理師免許も取ったそうだけど、進路に悩んでいるのかしら?
彼は背が低いから、たとえば新国立バレエ団に入っても、王子ではなくて道化にキャスティングされてしまいそう。
そういう役も重要ではありますが、彼の素晴らしい素質を良い方向に育ててもっと開花させる道はないものかと思います。

フロリナを踊った五十嵐愛梨さん、小顔でかわいらしく、プロポーションも良く達者な踊りでとても良かったです。彼女のシンデレラでもよかったかも。

カーテンコールで並ぶと、木村さんは驚異の小顔で、首が長くて宇宙人みないに人間離れしたプロポーションですね。こんなスタイルのダンサーはめったにいないから、大原監督が引き立てたいのも分かります。

客席に中村祥子さんがいました。すらりとして大変美しく注目の的でした。
あたりを払うようなオーラがありました。
今私が観たいのは祥子さんの踊るプリンセスだなぁ、とついつい思ってしまいました。









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東京バレエ団「白鳥の湖」秋元&渡辺

2016年2月7日 2PM  東京文化会館

オデット/オディール:渡辺理恵
ジークフリート:秋元康臣
ロットバルト:森川茉央
道化:山本達史
パ・ド・カトル:吉川留衣、沖香菜子、原田祥博、入戸野伊織
アダージオ: 河谷まりあ

四羽の白鳥:安西くるみ、松倉真玲、中島理子、平松華子
三羽の白鳥:三雲友里加、崔美実、榊優美枝

花嫁候補:二瓶加奈子、政本絵美、崔美実、川淵瞳
四人の道化:海田一成、高橋慈生、中村瑛人、井福俊太郎
スペイン(ソリスト):伝田陽美
スペイン:安田峻介、吉田蓮、杉山優一、入戸野伊織
ナポリ(ソリスト):金子仁美
チャルダッシュ(ソリスト): 乾友子、矢島まい、松野乃知、古道貴大
マズルカ(ソリスト):奈良春夏、木村和夫

ブログに感想を書くのが遅れていましたが、期待値が高かったわりにそれほどでもなかったというのが正直なところです。
ブルメイステル版を持ってきて、モスクワ劇場バレエからユカリーシャが一着一着衣装を選んで借りてきて等々、大変力のこもった宣伝がなされていました。
確かに、この版を取り入れて良かったと思えることとして、第3幕のキャラクターダンスがみんなとても上手になっていた事です。このキャラクターダンスって日本人は振りをなぞるだけで、その血沸き肉踊る内側からのパッションみたいなエッセンスがなかなか表現できないのです。
だから、ロシアのバレエ団のキャラクターダンスは観ていて面白いけれど、日本のバレエ団のは退屈で、「早く終わって…」となります。
今回の第3幕は、その演出もあいまって、飽きさせないドラマが展開されてワクワクしました。マジックのようにあちこちからオディールがパッパッと現れて。大変面白かった3幕。

それに反して、1幕がつまらない。幕が開くと村人と王子がいて(王子の存在薄っ!)遊んでいると、王妃とお付きの女官たちが来て、歩いてばっかりいましたが、これは歩いて宮殿に行ったということなのか??…
村人たちがいるような外の広間で踊るにしてはパ・ド・カトルの方々の衣装がティアラ付きでフォーマルで場違いではと感じらましたし、慣れ親しんだ通常版の第1幕が私は好きです。妙技で魅せるパ・ド・トロワ。夕暮れが近付いてランタンを持って帰っていく村人たち…という。ブルメイステル版の第1幕は、音楽と振付があってなく、踊りも少なくて歩いているばっかりに感じられました。

第2幕は通常のイワノフ版だそうで、コールドはきれいでした。第4幕は、王子とオデットが結ばれない運命を嘆きながら踊る「ショパンのように」という曲がなかったのは残念です。

今回は秋元王子目当てでしたが、やはり踊りが本当に巧い。けれど演技の方は相変わらず大根だと思います。いえ、彼の場合は踊りですべて語れるダンサーだと思います。王子の踊りが少ないので、もっとガンガン踊らせてください。

どうせならユカリーシャさんが秋元王子の見せ場をふんだんに取り入れつつ、(そうすることで、東バの他の男子のクラック技術向上にも役立つ)、プルメイステル版の第3幕を頂戴しつつ、いいとこ取りで自分のオリジナルバージョンを作ってしまえば良かったのに、と思います。芸術監督として駆け出しだから、そこまでの権限はまだないのかもしれませんが、白鳥の湖はバレエ団のドル箱なのですから、ぜひお願いします。

渡辺理恵さんは、こんなにスタイル良かったでしたっけと思う位、腕や脚の長さが際立って大変に美しかったです。(魅せ方が上手になったのかな)オデットははまり役ですが、オディールは技術的に少し苦しい。フェッテのスピードがなくて迫力不足で盛り上がらない!!特にこの演劇的ヴァージョンでは、あのフェッテでガンガン攻めて王子のハートをノックアウトするのがポイントだというのに!!

道化の山本さんはとても達者でした!東京バレエに入団して正解でしたね。




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2016年01月12日

Kバレエ「白鳥の湖」in Cinema

2016年1月12日(火)13:00 ユナイテッドシネマ平塚

オデット/オディール 中村祥子
ジークフリード 遅沢佑介
ベンノ 井澤諒
ロットバルト スチュアート・キャシディ
パ・ド・トロワ 神戸里奈 佐々部佳代 池本祥真
王妃 西成雅衣

2015年11月1日マチネの録画

Kバレエの白鳥は何度も観ていますが、このシネマ版は大変見ごたえがありました。
中村祥子さんが素晴らしい!
第2幕の白鳥のシーン、ひとつひとつの動きに意味があり、オデットの心情が伝わってくる。
ずっと鳥肌が立っていました。
祥子さんの白鳥は、2005年頃、スチュワート・キャシディの王子でオデットだけ踊った時、2009年頃オデットオディールを踊った時(王子は忘れたけれど、たぶん宮尾さん?)と観ましたが、今回がいままでで一番良かったです。
特に白鳥が深化を遂げていました。
祥子さんはその間、結婚をし、子供を産んで復帰し、本拠地を日本に移しています。
子供を産んで第1線に復帰してバンバン主役を踊っているプリマは、いまの日本では祥子さんぐらいでしょう。

はっきり言ってテクニックは以前の方がすごかったと思う所もあります。
特に黒鳥のフェッテ、以前は最初から最後まで全部ダブルで回っていました。
今回は、前半はダブル連続で後半はシングルーダブルとなっていました。
でも、そんなことは気にならないくらい、今の祥子さんは表現力とテクニックが円熟期に入って最高の状態にあると思います。
中村祥子を観るなら、今でしょう!
というわけで、祥子さんを日本に呼んでくれた熊川さんに感謝しつつ、これからは積極的に中村祥子さんの出るKバレエを観ようかと思っています。(熊川さん出演時のチケットよりも5000円安いし。)

王子役の遅沢さん。登場シーンで、あれ、この人って、こんなにスタイル良かったかしら?とあらためて感じました。太ももが発達しすぎてなくてすらっとしていて美しいスタイルです。
遅沢さんは、Kバレエでかつて主役をはった男性達が次々と退団していく中、長身のプリンシパルとして、熊川さんが(身長の釣り合いの点から)相手役になれないプリマの対応や、団のかなめとして、使われすぎていて、怪我でもしやしないかとヒヤヒヤしております。
今やKバレエの大看板である中村祥子の相手としては、宮尾王子では物足りないので、やはり踊りの上手な遅沢王子にガンバってもらうしかない。しかし遅沢さんもいつまでも踊っていられるのだろうか?という心配をしてます。

Kバレエの男性陣は踊りの上手な子が多くて、井澤さんや池本さんを筆頭にレベル高いです。
けれども身長のある男子は少ない。
高身長で見た目が一番良いのは栗山さん。王子に抜擢されたし、これから精進してください。

その他、気がついた点をいくつか書きます。
王妃役の西成さん、新国立劇場バレエ研修所出身ですが、バヤデールのアイヤとか王妃とか、キャラクター系に行くとは思わなかったけれども、すごく美しい王妃で見栄えが抜群でした!!

パ・ド・トロワの神戸さんが素晴らしかった。軽やかで愛らしくて。退団なさったそうで残念です。

チャルダッシュのリードをやっていた白石さん。日本人には珍しい程の色っぽさをお持ちです。
それを発揮したチャルダッシュ、とても良かったです。
退屈になりがちなキャラクターダンスをゴージャスに味付けしてくれました。

白鳥のコールドにいても、スタイル、特に首の長さが美しい山田蘭さん。
新国立劇場バレエ研修所時代から見ているので、もうそろそろ昇格するといいと思っています。

Kバレエの白鳥の湖は、何年か前の改訂で、第1幕の王子のソロをカットして、王子が本格的に踊るのは第3幕の黒鳥のヴァリエーションのとこだけという、王子のセーブ運転モードヴァージョンになっています。(熊川さんが踊ることを考えてでしょうが)
かわりに男性で一番派手に踊るのがベンノ。第1幕で以前家庭教師が踊っていたところもベンノが踊りますし、第3幕の冒頭でも大変難しいソロがあります。
今回ベンノを踊った井澤さんは、大変見事に踊りこなしていました。

全4幕を映画だとノンストップで約2時間半で上演します。
とても濃密な作品ですので、途中で10分ぐらい休憩が欲しくなりました。







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ニューイヤーバレエ@新国立劇場

2016年1月9日(土)18:00 オペラパレス
新年初バレエを観てきました。観客層は、いつもと違ってシニア男性が多かったです。
振付指導のパトリシア・ニアリーさんが黒スパンコールのゴージャスなミニドレスで近くに座っていました。
アラ還だと思われますが、若々しい!

第1部 
「セレナーデ」
前半にジャンプをたくさん飛ぶロシアンガールは細田千晶さん、遅刻する女性は寺田亜沙子さん、男性は菅野さん、男性を奪っていく女性は本島美和さん。
幕が開き、コールドが薄白色のクラシックチュチュを着てただずんでいるだけで、まるで絵画のような静謐な美しさ。ダンサー達はみなスタイルが良くて、軽やかにフォーメーションを変えていく。
日本人ダンサーだと外人のような肉感的な押し出しが薄いので、あくのない澄み切ったスープか、マイナスイオンたっぷりのミネラル・ウォーターのような味わい。
特に細田さんの透明感と、控えめなアクセントとして効いていたのが、寺田さんの大人の女性っぽい誘うような表情でした。
細田さんの軽やかさをみると、ラ・シルフィードで主役を踊るのも納得だし、きっといいだろうなあと思います。寺田さんも、こんな味わいのある表現ができる成熟したダンサーにいつの間にかなっていだんだなぁと感慨深く感じました。

第2部 
「フォリア」
貝川さん振付のコンテ。照明が暗くて、衣装が黒で、スタイリッシュさを目指しているのかと思えば、
そうでもなく、どこかしらナチョ風でもある。

「パリの炎」八幡顕光&柴山紗帆
八幡さんならもっと超絶技巧を繰り出すかと期待しておりましたが、やや控えめでした。柴山さんは達者に踊っていたけれども、八幡さんの相手としてふさわしいかどうか…。もっとキュートなダンサーはいないのか…。この演目は小野絢子さんと踊って欲しかったというのが本音です。

「海賊」木村優里&井澤駿
木村さん目当てで、この日のチケットを取りました。見目麗しい美男美女のペアで眼福でありました。
優里さんは、コンクールなどで踊りなれているのか、ベテランのような落ち着きっぷり。
コンクールぐせとでも言うのか、アラベスクやアティチュードのポーズが、脚を高くあげた一種類の「ポイント」に、形状記憶のように常にはまるように踊っているのは、どういうものか…。
なにか、そのポイントにいくまでの情緒とかニュアンスとかないのか?
白鳥の湖でのルースカヤの方が、もっと自分で踊り方を工夫して考えていたように思います。
コンクールか発表会のような空気を感じた観客もいるのもムリはありません。
それでもコーダのフェッテは4回転から入って、1-1-3の連続技。位置もそれほどずれず。
回転の天才??

「タランテラ」米沢唯&奥村康祐
速いテンポで常に動きまわっている、この難しい演目を、唯さんは音ぴったりに
ユーモラスな表情で魅せてくれました。
やっぱりプリンシパルは違う!!と思わず笑顔になるような魅力たっぷり。
細かく動いていても、ひとつひとつの動きが端正なのですよ。
そこが米沢唯たるゆえん。
そして全然息も乱れない。
奥村さんもチャーミングだったけれども、こちらは最後の方はもういっぱいいっぱいな感じ。
最高に楽しかった!!いいもの見せてもらいました!!

第3部 
「ライモンダ」第3幕 小野絢子&福岡雄大
久しぶりのライモンダ上演です。
昔(2007年~2009年ごろ)は、男性陣のカトルで、トゥール・ザン・レールするところが全滅状態で、あちゃー!!でしたが、今はだいぶレベルがあがってきていますね。
パ・ド・ドゥで主役と後ろの組がまったく同じ振りをするところ、以前は肩上リフトで女性を持ちあげられなかった人がいたりしたのですが、今回はとてもきれいに決まっていました。
小野絢子さんは、後のコールドの人たちに比べ、スタイルの点では小さいけれども、圧倒的なオーラを醸し出していて、一目でこの人が姫だって分かります。
ゴージャスでラストを締めるにふさわしい演目でした。

ところで、「セレナーデ」と「ライモンダ」は、今から7,8年前ぐらいの、私が一番新国立バレエにはまっていた時期に上演されていて、今回はとても良い公演だったとは思いますが、すっかり「昔は良かった…(遠い目)」モードになってしまいました。
寺島ひろみさんのライモンダや、日替わりでロシアンガールをひろみさんとまゆみさんが踊った時のセレナーデの凄烈な感動は今でも忘れられません。
本当にバレエダンサーの旬の時期は短い。そしてその時に素晴らしい舞台を観ることができたのは、とても贅沢だったし、今でも宝石のように心の糧になっていると改めて感じました。



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2015年11月03日

東京バレエ団「ドン・キホーテ」沖&梅澤

2015年10月31日(土)2時PM 神奈川県民ホール
キトリ 沖香菜子
バジル 梅澤紘貴
ドン・キホーテ 木村和夫
サンチョ・パンサ 氷室友
ガマーシュ 岡崎隼也
メルセデス 川島麻実子
エスパーダ 秋元康臣
キューピッド 吉田早織
キトリの友人 河谷まりあ 二瓶加奈子
ドリアードの女王 三雲友里加

沖さんと梅澤さんは、このところずっとペアを組んでいるだけあって、息がぴったり、第1幕のかけあいも微笑ましく、フレッシュでかわいいカップル。
ヒムロサンチョは、子供版ドンキを見たあとなので、あの達者なおしゃべりはいまかいまかと待ち遠しくなってしまった。(もちろん喋らなかったけれど)
木村キホーテは上品で威厳を保ち(でも子供版みたいに最後ノリノリで踊ってくれてもよかった)
ガマーシュは終始手をひらひらしているのが面白かった。
キューピッドは可愛らしく。
キトリの友人もかろやかで素敵でした。
河谷さんのキトリも見てみたいな。
ドリアードは、ちょっと残念。プロとしての表現がまだ身についてないようだった。
川島メルセデス、キレがいい踊りで華がありました。
奈良ジプシー、場の空気を変えすぎない、それでいて迫力満点。

注目の秋元エスパーダ。
以前よりも下半身ががっちりした感じで、小顔だし全体のバランスが良い。
回転もキレキレで回り、ピタッと決める。
そう、エスパーダってこういう風に踊るものだよね!!と合点するような見事さ。

秋元さんに注目したのは5年ぐらい前から、ゲストで青い鳥を踊ったのを見て、「これぞまさにブルーバード!」跳躍の高さ、軽やかさ、腕の動き、つま先の美しさ…なんてダンサーだ!!とびっくりしました。
そして、当時NBAバレエ団所属だったので、「ジゼル」を観に行き…あまりの演技力のなさにまたびっくりしました。
その後秋元さんはNBAを辞めてKバレエに移り、主役も踊り、突然辞めてロシアのバレエ団に行き、2年ぐらい音沙汰ないな〜と思っていたら、今回のプリンシパル入団です。
Kバレエを辞めた時がまるでバイトのバックレみたいだったとか、ユカリーシャのひいきでプリンシパルになったとか、色々ちまたのうわさがあるようですが、このエスパーダの凄い踊りを見せつけられたら、うん、もうプリンシパルで当然だよね、今の東バでクラシックが一番上手なのは彼だよね、となってしまいます。
演技力が昔より向上したのかどうかは、エスパーダでは良く分からなかったです。
もう少し色男の演技をして欲しかったですが、彼の踊り自体に非常に魅力があったので、あまり気になりませんでした。
コンテンポラリーをどれだけ踊れるかはわかりませんが、たとえば、ザ・カブキの主役を踊れるかどうかは未知数ですれど、ユカリーシャが古典に重点を置くつもりならば、彼のようなダンサーが必要ですものね。
身長はそれほど高くないようですが、顔が小さいのとマリインスキー男子のような見事な下半身でプロポーションが良く見えるのです。
その点、梅ちゃんは下半身が細すぎです。
プリンシパルに昇格してからイケメンオーラが出てきて、とてもカッコイイ梅ちゃんバジルは、新プリンシパルの秋元氏を意識したのか、最初からガンガン飛ばして、最後のパ・ド・ドゥでは少々スタミナ切れだったのか、アダージオで沖さんを回しそこねてしまったようです。フィッシュダイブも抱え直してたし。
梅ちゃんは演技も上手だし、イケメンでも可愛いイケメンというHPがあるので、そんな意識しなくてもよいのに。




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2015年10月09日

Kバレエ・カンパニ「シンデレラ in Cinema」井澤&神戸

2015年9月30日(水)シネプレックス平塚で観賞

シンデレラ 神戸里奈
王子 井澤諒
仙女 浅川紫織

シンデレラは初演時と、再演時の2回舞台を見ています。
今回は映画とのことで、あの舞踏会のシンデレラからボロ服のシンデレラへの変身イリュージョンのからくりが、わかりました!!
音楽の響きが、何か手を加えたようで美しく盛られています。
カット割は、比較的見やすく、時々表情がアップになるところも悪くなかったです。
シンデレラの神戸さんが素晴らしかったです。
いじめられても、想像力で明るく遊び、おばあさんには優しく、舞踏会に行くときの高揚感、王子の前にパドブレで出てくる時の緊張感も、すべて自然でした。
特にボロ服のところが可愛らしかったです。
松岡さんだと、舞踏会のシーンでそれはゴージャスになるのですが、その点は神戸さんの方が、「普通の女の子」っぽさが残ってました。

王子は、踊りは井澤さんが上手で文句なしでしたが、演技は宮尾さんの方が面白かった。特に舞踏会で、二人のお姉さんに迫られて困っている顔の宮尾さんは絶品です。私はあの、トイストーリーのウッディみたいな宮尾さんの表情がツボなんですよ。
だけど宮尾さんは踊りがねぇ… 
井澤さんはばっちりと踊りこなしてました。
舞踏会の最後の方のリフト満載のパ・ド・ドゥはあわただしい感じでしたが、これは振付が良くないのです。

シンデレラは音楽が素敵だし、演出も楽しいです。浅川さんの仙女は天下一品です。
地元近くの映画館で上演してくれてありがとうございます。
これからももっと映画館上演をしてくれたら、あらたなファンもできるかもしれない。しかし、映画館で見れるからいかなくてもいいやというファンもいるかもしれない。
難しいところですね。



posted by haru at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | Kバレエ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

創立50周年記念スターダンサーズバレエ団「オール・チューダー・プログラム」初日

2015年9月26日(土)14:00 テアトロ・ジーリオ・ショウワ

開演の20分前に代表の小山さんがプレトークをなさいました。
叔母である太刀川さんが、チューダーの作品に「こんなバレエがあるのか」と
衝撃を受けて、スターダンサーズバレエ団結成のきっかけになったと。
チューダーの作品は、昔も今も客受けが良くないので、チューダー氏は、すべてチューダー作品だけのプログラムにはせずに、白鳥の湖などと一緒に上演しろと太刀川さんに助言していたと。
簡単な作品の解説もあって、興味深いトークでした。

「Continuo」
林ゆりえ 松本実湖 酒井優
加地暢文 安西健塁 渡辺大地

パッヘルベルのカノンで、ストーリーのないアブストラクトバレエ。
男性の腕の上に全身をまっすぐ足先まで一文字になるような振付がめずらしかったですが、難しそうで失敗しているダンサーもいました。
こういう誰でも知っている音楽で、ゆったりとしているのを魅せるように踊るというのは、よほどの音楽性がないとできないのだな、と物足りなさを感じました。

「リラの薗」
カロライン 島添亮子
その愛人 吉瀬智弘
カロラインの婚約者 横内国弘
彼の過去の女 佐藤万里絵

婚約パーティに男女共にその愛人やら過去の女やら、わけありが現れて…感情のもつれがあるけれども、結局はカロラインは婚約者を選ぶというストーリー。ちょっとマクミランの田園の出来事とかっぽい。
けれどマクミランの、たとえばマイヤリングのようなドラマティックさはない。
日本人ダンサーがあっさりしているからなのか…島添さんはきれいで雰囲気もあったが、そんなに心理的で面白いとも思えなかった。

「小さな即興曲」
鈴木優   加地暢文

シューマンのピアノ曲「子供の情景」に乗せて、雨の日に遊ぶ兄妹を描いた作品だそうです。
鈴木優さんが動き出したとたん、そのすっと伸びた首に長い手脚、つま先までがあまりにきれいなので震えが走りました。スタイルの美しさ、清潔感、かわいらしさ、女の子らしさ、無垢な純粋さ、伸びやかなポーズと…どこをどう切り取ってもきれいで、彼女を見ているだけで幸せな気持ちになりました。
蛭崎さんのピアノも軽やかで、加地さんとの取り合わせも良かったです。
新国立劇場バレエ研修所の時から注目していますが、今回のこの作品は彼女にぴったりで素晴らしかったです。

「ロミオとジュリエット」よりパ・ド・ドゥ
林ゆりえ  吉瀬智弘

音楽もなじみがなく、どういう風にみればよいのかと思っているうちに終わってしまいました。

「葉の色あせて」よりパ・ド・ドゥ
吉田都  山本隆之

チューダーといえば、この作品が有名です。ストーリーのないアブストラクトバレエで、夏の終わりと過ぎし日の美しい想いでをノスタルジックに描いた作品だそうです。
都さんは相変わらずの高安定でしたが、リハーサル不足なのか、リフトが難しいのか、息が合わなかったところがありました。

「火の柱」
ヘイガー 本島美和
姉 天木真那美
妹 西原友衣菜
友達 山本隆之
向かいの家から出てきた男 吉瀬智弘

強圧的で厳しい姉と奔放な妹にはさまれたヘイガーが、オールドミスなる恐怖から向かいの家から出てきた男に思わず身をまかせ、後悔して苦しんでるところを好きだった友達に過去のあやまちを許してもらって救われるという、ちょっとどろどろしたストーリーです。
本島さんの熱演が、ひとり浮いているぐらいで、このような作品ならば、ほかのダンサーも本島さんと同じぐらいの高テンションで演じて欲しかったです。
こういう大人っぽい話をバレエで演じるのには、日本人は体格的に子供っぽいから、かなりあざといぐらいに表現しなくては、見ている観客に伝わりにくいと思います。

今回の公演、8割以上は埋まっていましたが、半分以上は出演者の関係者や、バレエ評論家などで、おそらく3分の1ぐらいは都さん目当てのバレエファンではなかったかと思います。
バレエの歴史の上で重要だという観点からのオール・チューダー・プロでしたが、エンターティンメントとしてバレエを楽しみたい私のような観客にしてみれば、チューダーさんの助言のように、「白鳥と一緒に上演した方がいい」という意見です。

まあ、私の目当ては都さんではなくて、鈴木優さんでした。
新国立バレエ研修所8期生の鈴木優さんは、双子のかたわれの舞さんと共に、群を抜いて美しいその容姿で、将来は新国立劇場で活躍してくれるものと期待しておりましたが、どういうことか、8期生たちはビントレー時代のラストシーズンに準コールトとして採用されたものの、本採用には誰ひとりとして受かりませんでした。
踊りが上手で卒業公演で見事なキトリを踊った榎本朱花さん、女性らしいたおやかなオーロラを踊った佐藤愛香さんは今どうしているのかわかりません。
アレグロの動きがシャープだった中西夏未さんは、今シーズンKバレエに入団して、シンデレラのあたりまではいたようですが、今は名簿から名前が消えているので辞めてしまったようです。
驚異的な脚の長さとコケティッシュなスター性を持っていた島田沙羅さんは、ロゼラハイタワーに留学したそうです。
鈴木舞さんは、シンガポール・ダンスシアターでプロとして踊っています。

バレエ研修所の8期生は、中西さん以外は、この子たちの時に作られた予科生制度出身です。
予科生制度は、牧先生が、海外に将来性のある子が流れないように青田買いするために作った制度だと私は思っていました。
だから、当然、研修所卒業後は新国立劇場に入るのだろうし、牧先生好みの美しい少女ばかりで、他の期と比べてレベルが高いとずーっと感じていました。
ところがビントレーの次に芸術監督になった大原先生は、8期生を採用せず、放り出したのです。
風のうわさでは、立ち役に使いまわしのできるような、高身長の子を取りたかったらしいという事で、確かに高身長の9期の関晶帆さんは採用されて、白鳥やバヤデールのコールドで、一番前で踊っています。
大原先生は背の高い順に前から並べているからです。

しかし、国民の税金を使って育てた金の卵バレリーナなんですよ。
せめて、10年ぐらいはプロのダンサーとして働けるような環境に置いて欲しかったです。
そりゃあパリオペラ座バレエだって、付属のバレエ学校から入団できるのはわずかですよ。
でも、バレエ団に入団できなくても、ヨーロッパなら職業として、他のバレエ団で働けるし、パリオペラ座バレエ学校の卒業生なら就職にそれほど苦労しないでしょう。

でも、日本にはプロといえるバレエ団が3つしかないんですよ。
その中でも一番恵まれていると言われているのが新国立バレエ団です。
研修所の卒業生だったら、とりあえず採用してあげて欲しいです。
あの子たちが、もしも海外に留学していたりしたら、別の道がひらけていたのかもしれないのですから。
その一番重要な時期に、がっちり研修所で確保していたんですから。




posted by haru at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月25日

小林紀子バレエシアター「ミックスプログラム」

2015年8月23日(日)3PM 新国立劇場中劇場
「ソワレ・ミュージカル」振付ケネス・マクミラン 音楽ベンジャミン・ブリテン
ホテルのエレベーターホールのような背景に、ベルボーイの恰好をした男性たちと、それに似た感じのチュチュの女性たち。マクミランというよりはアシュトンのようなテイストで、ストーリーのないレビュー風。
プリンシパルの大森結城さんが、女性らしくて華やかで良かったのですが、最後の方で三人揃ってフェッテするところ、落ちてしまって立て直せなくて、残念な終わり方になってしまいました。

「グローリア」振付ケネス・マクミラン 音楽フランシス・プーランク
合唱つきで音楽が美しかったです。これは戦争がテーマのバレエで、男性は塹壕にいるような帽子に総タイツ、女性はグレーのタイツにスカートで、マクミランの特徴的なリフトが多用されています。
合唱もつけるとなると、費用もかかるし上演が難しいと言われていた作品らしく、日本で上演するのはかなりチャレンジングな事だったと思います。作品のトーンは地味だし、暗いテーマだし、まったく一般向けするものではなかったですが、このような作品をあえて上演するという小林紀子先生のイギリスバレエに対する思い入れを感じました。
合唱付きのバレエはいいですよね。新国立劇場バレエで上演したカルミナ・ブラーナ、そして中劇場で上演したウォルシュ振付の「オルフェオとエウリディーチェ」はかなり好きな作品です。

「ライモンダ」第3幕
ハンガリーダンスの萱嶋さんがきれいでした。重厚な舞台装置も良かったです。
衣装は新国立劇場の牧バージョンの方が素敵です。

今回はバレエやオペラに造詣の深い友人のおかげで観賞出来ました。
最近私はおけぴやヤフオクなどでチケットを買うことが多いのですが、小林紀子バレエシアターのチケットはそのような譲渡サイトにはほとんど出てきません。
ダンサーにチケットノルマがあるそうで、知人やバレエ関係者、ダンサーが教えをやっている教室の生徒などでチケットがはけてしまうのでしょうね。そういう意味ではお稽古バレエの典型的なスタイルなのではないかと思います。小林紀子バレエシアターは、必ずオーケストラ演奏で、取り上げる演目も、あまり知られていないようなイギリスの作品が多いという独自路線を進んでいます。
せっかく珍しい演目をやっても、観客が身内だけでは、小林先生の自己満足に収束してしまい、広くバレエ界や芸能界に発信することにはならないような気がします。
また、デボラ夫人と親しいのか、マクミランにこだわっているようですが、もっと新しい現代に生きている振付家の作品などを上演しても良いのではないでしょうか。



posted by haru at 22:03| Comment(1) | TrackBack(0) | 公演レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする