2016年07月23日

新国立劇場バレエ 子供のためのバレエ劇場「白鳥の湖」井澤&米沢

2016年7月21日(木)15時 オペラパレス
オデット/オディール 米沢唯
ジークフリード王子 井澤駿

子供のために新制作した「白鳥の湖」
オーケストラがないけれども、大人でも楽しめるクオリティの高い公演でした。
子供向けに色々とカットされております。
第1幕は、ワルツの曲の中にすべてを詰め込んでいます。友人たちや道化の踊り、王妃のマイムも。
40分→5分といったところ。
しかし、その後王子の見せ場、哀愁のソロはあります!
女の子の「王子様ステキっ❤」という反応を狙っているのか、あるいは男の子に「カッコいい!僕もあんな風に踊りたい💡」と思わせてバレエ・ボーイズを作るためか…

第2幕は、オデットのヴァリエーションがカットされているのですが、ロットバルトの登場、王子とオデットの出会いとパ・ダクシオン。白鳥の見事なコールドもたっぷりとあります。

米沢唯さんのオデットは、清潔感があって、とても細いのだけれども、すっと強い芯が通っている。
肩の可動域が大きくて、鳥のように後ろにゆっくりと腕がまわり、どこまでも伸びていくようなしなやかさ。指の先までも繊細にコントロールして、音楽に寄り添い、音楽を彼女自身が奏でているような気がしました。

以前は胸が薄くて子供っぽく見えた体型も、体を大きく使って踊ることによって気にならなくなったし、女らしいというよりは、やや中性的な印象も、「人でないもの」というオデットの特性には似合っています。彼女らしい個性だと思います。

色々なダンサーのオデットを観ましたが、女っぽさ全開のオデットもいれば、女王らしいオデットもいるし、少女のようなオデットもいます。唯さんのオデットは、人間の女とか女性とかいうことをあまり感じさせない、不思議な存在感があります。でも、王子に白鳥たちの命乞いをするシーンなどは、少し女らしさが漂います。この不思議さに惹かれます。もう米沢唯のトリコです。

唯さんは、クラシックのテクニックが盤石なので、どんなシーンでも安心してみていられます。
王子との踊りは大変に美しかったです。これを見た少女たちが、「唯さんの白鳥を見て、バレリーナになろうと決意しました!」な〜んてことがたくさん起こりそうな名演でした。

休憩の後は第3幕です。
道化の踊りがたっぷりあります。これは、「あんなすごい踊りを俺もおどりたい!」とバレエボーイズを奮起させる効果がありそうです。各国のディベルティスマンは、スペインとナポリのみです。あとは私でも退屈することが多いのでカットして正解です。

花嫁候補たちの踊りもあります。この衣装が、ヘンテコな細巻貝みたいなものを頭に載せてます。
ああ…これって、今の牧版白鳥の前にやっていたキーロフ版で使用していた衣装だと思い出しました。
見るたびにヘンテコだと吹き出しそうになっていたのに、なぜまた採用したのか理解に苦しみます。ダンサーがかわいそうです。牧版の花嫁候補の衣装は、全員お揃いでなく、少しずつデザインが変わっていて、「やっとステキな衣装になったわ!」と思っていたのに…。
牧版を作ったのが2007年ごろだから、それ以前というと10年前の衣装を引っ張り出してきたのでしょうか。次回上演の際にはぜひ別のデザインで新調して頂きたいです。
ついでに言えば、舞踏会のロットバルトの衣装もたぶんキーロフ版のものですが、ものすごく変なので次回新調希望です。

黒鳥のパ・ド・ドゥはカットなしです!唯さんのオディールは、明快です。ゲームとして王子をたぶらかすのを面白がっているというのがよくわかる。
ヴァリエーションは、トリプルピルエットからアティチュードターン。見事です。稽古場では6回転ピルエットもやってしまうという話です。やはり稽古場で6回転できるからこそ、舞台で余裕の3回転ができるんですね。
注目の32回フェッテは、前半は1−1−3、後半は1−1−2。
トリプルをきっちりと拍の中に入れ込むので、後半のダブルがやけにゆっくり回っているように見えました。
唯さんの技を見ると、胸がスカッとします!!
クリアで雑味のないビールを飲んだ時みたいで…いえ、唯さんをビールに例えるなんて失礼ですよね、ピュアな最高品質、ピュアモルトです!すっきりして雑味がないけれども、奥深い。

井澤王子についてですが…容姿は王子度満点です。ちょっと暗めの雰囲気もいいかも。
彼は新国立劇場のNO1王子を目指して売り出し中ですが、存在感というかオーラが薄いんですよね。
悪くはないけれども、あまりひっかからない。もっとナルシストになればいいのかもしれない。

第4幕は、またまたナレーションであっさりと4曲分ぐらいをカットし、クライマックスへ突入です。
王子とオデットの間を裂こうとするロットバルトから逃げたり、「オデット最終兵器」(王子がバズーカ砲ようにオデットをリフトしてロットバルトに立ち向かうこと)で立ち向かったり…
牧版と振付が似ているので、うやむやにロットバルトが滅ぶのではないだろうな…と心配になりました。
しかし、やっと王子がロットバルトと闘い、それも結構一生懸命に闘って、羽をもぎ、その後ロットバルトが湖に落ちて稲妻とともに死ぬという、わかりやすい結末になっていました。

牧版の大きな欠点は、どうしてロットバルトが死ぬのかがわからないところなんですが、この子供版では、その点をきっちりとわかりやすくしたのは大変評価いたします。

花嫁候補の衣装以外は、白鳥コールドバレエの美しさを堪能できるし、物語もコンパクトにまとめられているし、白鳥の湖の踊り、黒鳥の踊りなど、みどころはすべてきっちりと入っているし、新国立劇場ならではの、クオリティの高い公演になっていたと思います。
これでオーケストラを付けたヴァージョンで、大人向け短縮版白鳥の湖として、料金を安めにして、バレエを見たことがないけれども一度は見てみたいという層を狙った公演を打ったらいいんじゃないかと思いました。












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2016年07月18日

Kバレエトリプルビル 2日目

2016年7月17日(日)14時 オーチャードホール

「ラプソディ」
伊坂文月 荒井祐子

「シンプル・シンフォニー」
中村祥子 遅沢佑介
宮尾俊太郎 井上とも美
栗山廉 小林美奈

「アルルの女」
熊川哲也 浅川紫織

前回の眠り公演のあたりに急に決まったトリプルビル。
パンフレットも間に合わなかったのか、薄いカラー刷りのものが無料で配られました。
ラプソディ30分、シンプル20分、アルル15分で休憩込で85分の公演。短いです。
最後に、出演者全員によるスペシャルアンコールがあって、元を取った感じでした。

熊川さんが出るというせいか、ほぼ満席。ラプソディのみ、ソリスト二人のキャストが違います。
本日のラプソディは井澤さん主演の予定でしたが「芸術的理由」とかで伊坂さんにチェンジ。
井澤さんは後ろのボーイズに混じって踊っていましたが、キレがいいし、すこし音を早取りで踊るので、この作品にはピッタリなのに、なぜなのでしょう。
身長が足りなかったのか、リフトが下手だったのか…伊坂さんの方が「陽性」な感じがするからなのか…

本当の理由はわかりませんが、伊坂さんは、きちっと踊っていました。
悪くはないのですが…面白くはない、物足りない。
この作品って、もともとミーシャに振りつけられたもので、天才的なダンサーが、90%くらいの力で、遊び心をもって余裕で踊るところがいいんです。
熊川さんしかり、マックレー先輩しかり。その点、伊坂さんは上手だけれど、天才ではない。
100%で踊っている感じでいっぱいいっぱい。もっと伸びやかさや、やんちゃなイメージが欲しかったと感じました。もっとはじけて踊るには練習時間不足だったのかもしれません。

荒井さんは久しぶりに見ましたが、抒情的でニュアンスたっぷり。さすが。貫禄がついてきました。
その分、重量感(実際に重くなったということではないです。相変わらず細いです)のある踊りというか、もう少し軽やかに踊っても良かったような。矢内さんとか、白石さんとかがやっても面白いかもしれない。

ラプソディは、DVDになった熊川&都のものと、舞台でも一度見ていますが、主役の男性が空気を切り裂くように飛び出してくる衝撃が、今回はありませんでした。
Kバレエの衣装は、不思議な黄色と赤とで昔のアバンギャルドみたいな強烈なセンスなので、今回は衣装を変えるかと思いましたが、そのままでした。荒井さんの胸にお花だか原子炉マークだかみたいなのがついているのが気になるんですが…
何度か見ているので、これはこれで面白いのかもしれないと思うようになってきました。

ラプソディの後でシンプル・シンフォニーを観ると、熊川さんは、ラプソディへのオマージュとしてこの作品を振りつけたんじゃないかと思うくらい、印象が似ています。音符ひとつひとつに動きがつけられているようなところとか、頻繁に方向変換をするところとか…舞台装置も三角の組み合わせで、なんとなく似ているし。

三人のカップルがでてきますが、メインは中村祥子さんと遅沢さん。
祥子さんがそれは素晴らしくて、柔らかく伸びやかな動きだけれども、この鬼振付にぴったり合っていて、その中で自分らしさを出しているのがわかります。
出演者は全部出づっぱりで、自分の踊りがないときも横で立っている。そのとき、さすがの祥子さんでも、荒い息を隠せないような呼吸をしているのを見て、どれだけ大変な振付なんだろうと。
衣装が黒いシンプルなハイネックのチュチュなのですが、チュチュの裏に鮮やかな緑色がはいっているのがおしゃれです。タイツとポワントも黒で、タイツは少し透けるので、祥子さんの素晴らしく発達した美しい脚の筋肉がよく見えました。
Kバレエに遅沢さんがいてよかった。こんなに祥子さんをきれいに見せてくれて。彼ぐらい踊りのうまい、釣り合うパートナーがいなくては、祥子さんはKバレエに来てくれなかったかもしれません。

男性三人は祥子さんに合わせて高身長。
宮尾さんと栗山さんがユニゾンで踊るところがありましたけど、宮尾さん!!栗山さんに負けてますよ!
栗山さんの方がよっぽど踊りにキレがあります。
プリンシパルなんだから、もっと頑張って!!

最後の演目、アルルの女ですが、私は初めて見ました。
最初は御大はほとんど踊りません。うつろな目をしているだけです。
浅川さんが、彼をなんとかしようとすがったり甘えたりします。
浅川さんはつま先も美しいですし、達者ですけれど、この二人カップルには見えません。

そして、いっちゃてる感じの御大は、彼女が去ったあと、ひとりになって狂気にとらえられて…
ラストのジャンプ、舞台一周(これは飛び上がらないのでマネージュではありません、みなさん、拍手はなさらないで〜〜)窓からのダイブ…終了。

踊りとしては物足りませんし、キレも高さも熊川さんらしくない(本人比)です。
今のKバレエではもっと踊れる男子がいっぱいいます。
でも、役柄に入り込んで、物語を語る演技は素晴らしかったです。
幕が下りて、カーテンコールになっても、役柄からなかなか抜けられないらしく、笑顔にならなかったです。

最後にスペシャルアンコールで、出演者全員が出てきて、最初のラプソディから順番に演目のさわりを踊ってくれました。
熊川さんもサービスで大ジャンプを披露して、やっと笑顔になりました。

しかし、私はアルルの女より、もっときちんと踊る熊川さんが見たかったです。
たとえば、ご自身振付のカルメンより、鎖でつながれて踊るパ・ド・ドゥとか。

今の熊川さんには、これぐらいがちょうどなのでしょうか。
そうすると、もうそろそろ舞台から引退した方がいいと思います。
今回で引退でもいいかと、いや今回引退するつもりで、急にこのトリプルビルをやることにしたのかと思いました。

スペシャルアンコールを見て、これはKバレエオールスターズか?と思いましたが、よく考えてみると、今回はキャシディとか、白石さんとか、佐々部さんとか、山田蘭さんとか、出ていない人も結構いるんです。
それでは引退公演にはできないですよね。













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2016年06月21日

新国立劇場バレエ「アラジン」奥村&米沢

2016年6月19日(日)14時 オペラパレス
アラジン 奥村康祐
プリンセス 米沢唯
ランプの精ジーン 福田圭吾
魔術師マグリブ人 マイレン・トレウバエフ

アラジンは2008年、2011年に次ぐ3度目の上演。
初演時は、新国立劇場のダンサーにあてて振りつける新作ということで、大変に盛り上がり、私も楽しみでならず、プレビューも含め合計4回、3キャスト制覇しました。
初演ペアは、山本隆二&本島美和、八幡顕光&小野絢子、芳賀望&湯川麻美子の3キャスト。
八幡&小野をイメージして作られた作品ですが、私は細やかな演技の山本アラジンが好きでした。

新国立劇場には、コールドでも主役を踊れるような優れたダンサーがたくさんいます。この作品ではソロの踊りが多く、それぞれに見せ場があり、ダンサー達を生かす構成となっています。
ディズニーアニメでおなじみのお話ですし、ジーンの宙釣りや魔法のじゅうたんの飛翔など、舞台装置に工夫があって、ミュージカルのように大人も子供も楽しめる傑作。
まあ、チャイコフスキー大先生の古典に比べると底が浅いのは致し方ないけれど、ファミリーバレエとして毎年子供の日を中心にゴールデンウィーク上演してはどうかと私は思っていました。

ところが、前回、そのゴールデンウィークに上演したところ、ガラガラだったそうで…
6年もお蔵入りになってしまってました。
今回はなぜか大入り満員でチケット争奪戦が起きるほどの人気。
評判も上々だったですけども、なぜでしょうね。
だって、ロイヤルと牧とザハロワとかぶっているんですよ。
楽日の客層は、男性の姿も多く、子供さんも多かったです。
お母さんとではなく、お父さんと見に来ていた少女もいました。父の日だから?
それなら「父の日はお父さんも子供に帰って、娘と一緒にアラジンを見よう!」という主旨で毎年上演もありでしょうか。
せっかくビントレーさんが作ってくれた宝物なのですから、有効活用して欲しいものです。

というわけで満員御礼の楽日は、奥村&唯。
このペアは、昨年の横浜バレエフェスティバルで見て気に入ったので、期待しておりました。唯さんはムンタギロフ、菅野さん、福岡さん、井澤さんなどと組んでおりますが、私は奥村さんとのペアが相性がいいように感じております。なんというか、ふたりとも男女の匂いを感じさせないし、顔芸とか濃い演技はやらずに踊りの素晴らしさで魅せるタイプというところが似ている。

今回も第2幕の結婚式のパ・ド・ドゥが美しかったです。
その振付で、二人が向かいあってキスをするかと思わせて、手でお互いの口をふさぐ、というのがあるのですが、お子様向けにキスNGなのかと不思議でした。
自然な流れだと、あそこはキスなんですけど、普通じゃつまんないからなのかしら。
ちょっと気になります。気にならせるためにあえて?かもしれません。

この作品、第1幕が秀逸です。
マグリブ人が、アラジンを大金持ちになれるぞとそそのかすシーン。
黒子が二人うしろについて、アラジンの動きにあわせて衣装を変えます。
帽子を取り替え、足を後ろにあげるタイミングで靴を替え、マグリブ人がさっと自分のはめていた指輪をはめ… まったくアナログなトリックなのですが、マジックみたいに見えるところが面白い。

砂漠のシーン。茶色いオンディーヌみたいな衣装の女性たちが砂漠の精として現れ、アラジンをもてあそぶように、風のように現れたり消えたりして踊る。風に舞い上がる砂をよく表現していて、幻想的で大好きです。

洞窟に行かされたアラジンが、体の向きを変えると、視点が洞窟の外→内と反転して、恐竜の骨のような階段があらわれるシーン。
その後の宝石たちのディベルティスマン、スピーディーで目まぐるしく次から次へと宝石たちが現れる、たたみかけるような高揚感がすごい!最後に出てくるダイヤモンドの鋭角的な振付がたまらない!
ランプをこすってジーンが現れるところ、今回はすこしフライングで、こする前からジーンが入口を開けているのが見えちゃいましたが、これは3階サイド席だったせいでしょうか?

家に帰ってきたアラジンが、お母さんに冒険を語るシーン。この時のアラジンの演技がダンサーによって少しずつ違っていて、山本隆二さんがとても丁寧にジェスチャーしていたので好みでしたが、奥村さんの演技も空間を大きく使っていてなかなか良かったです。

ランプをこすって、ジーンの影が長く伸びていって、宙吊りのジーンが現れるシーンも楽しい。

その後街に出かけたアラジンはプリンセスの姿を見て、マグリブ人が見せた女性だと気づく。

ここまでが第1幕の展開、これだけでお腹いっぱいですよ。

第2幕は、ひとめぼれしたプリンセスに会いたさに浴室に忍び込む(なんで浴室なんでしょう、まあ、面白いからだろうけど)アラジンがとっつかまって死刑になりそうなところ、お母さんが命乞いに現れて宝石を見せて王様に結婚の許しをもらい、ジーンとお付きのイケイケダンスシーン、続くアラジンとプリンセスの結婚のパ・ド・ドゥ。

これでめでたしめでたし、もうさらにお腹いっぱいなので、ここで終わってもいいくらいなのですが、そうはいかない後日談となるのが第3幕。

結婚して幸せな日々を送っていた二人ですが、マグリブ人にランプを奪われ、プリンセスも塔に幽閉されます。助けに来たアラジンと協力して、マグリブ人に毒を飲ませて逃げようとする二人。
この時、マグリブ人を油断させるために、プリンセスが色仕掛けの踊りをするのですが、ここが私の定点観測ポイント。
今まで清純で、いやよいやよと拒んでいたマグリブ人をだますため、一転して色っぽい踊りで誘惑するのです。ダンサーによって振り切れ度合に差があります。もともと色っぽい本島さんや湯川さんはあまり差が出ないのですが、小野絢子さんはガラリと変わります。女性の中のいろんな面をかいま見たような感じです。
唯さんも、ガラッととまではいきませんが、なかなかセクシーなところもありました。もっと吹っ切れてやれるようになるといいんじゃないかな。

マグリブ人が塔から落ちて、王宮に帰る二人が乗るのが空飛ぶ魔法のじゅうたん。
ディズニーアニメが刷り込まれていると「ちっちゃ!」というサイズのじゅうたんですが、まあ、装置の都合です。

王宮に帰ってめでたしめでたし、ランプの精ジーンを自由にしてやるところもアニメと一緒。
ここはもっと派手にジーンが踊ってもよかったと思いますけど。
第1幕の宝石シーンと比べると、ちょっと尻つぼみなエンディングは否めません。

第1幕だけでも完結しているし楽しいから、全幕上演が難しいなら、他のものと組み合わせてトリプルビルぐらいにして頻繁に上演する手もあると思います。
今回の上演が評判が良くてとても嬉しいです。









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2016年06月11日

Kバレエ「眠れる森の美女」中村祥子&遅沢佑介

2016年6月11日(土)12:30 東京文化会館
オーロラ姫 中村祥子
フロリムント王子 遅沢佑介
リラの精 浅川紫織
カラボス ルーク・ヘイドン

私が前回Kバレエの眠りを見たのは2010年。熊川さんと東野さんが主演でした。
その時の自分のレビューを読むと、「東野さんはまだオーロラを踊るのには早すぎたのじゃないか、そして熊川さんはセーブ運転モードだった」等々と書いてあり、あまり満足した公演ではなかったようです。

しかし、今回は、大大満足の素晴らしい公演でした。
その原因は、衣装や装置を新調して色彩が上品で美しかったとか、浅川さんのリラと女性ソリストたちがレベルアップしていたとか、カラボスの演技が面白かったとか、キャシディの王様がかっこよかったとかというもろもろ以上に、「プリマが素晴らしいから」これにつきます。

眠りという演目は、古典中の古典。
ドンキや白鳥にあるような32回転フェッテはありませんが、クラシックのスタイルですべてのパをきっちりと見せることができてこそ、振付の良さが見えてくる演目です。
完璧なアンドォール、脚のライン、アラベスクのポーズ、優美な腕使い、ローズアダージオでのバランス…
端正に踊ることによって、オーロラ姫の貴族性や上品さを表現するのです。

中村祥子さんは、身長172センチくらいでしょうか、長くてスリムな手脚、弓なりの脚のライン、見事な甲、小さくて美しいお顔という容姿

どこまでも伸びていくようなアラベスク、微動だにしないポワントバランス、やわらかな腕使い、丁寧な踊りと、視線や指先までも語るような表現

第1幕の登場シーンでは、あまり跳ねるような踊り方ではなかったですが、そのかわり、紡ぎ糸をもらってはしゃいで踊るところでは、ピョンと飛ぶようなステップを見せて、オーロラの高揚感を表してくれました。

第2幕は「眠っているオーロラ」なので、夢の中にいるようにはかなげで、「眠っている」ことを表す腕のポーズが美しい。

第3幕のグランパのアダージオで、私は不思議な感覚におそわれました。
祥子さんの踊りを見ていると、自分がヨーロッパの伝統ある歌劇場にいるような感じがするのです。
祥子さんは、ウィーン、ベルリン、ハンガリーなど、そうそうたる豪華な歌劇場で踊っていたプリマです。
彼女はヨーロッパの歌劇場の空気を身にまとっているのですね。

バレエでは、わずかな首のかしげ方、ほんの少しの腕の角度などで、まったくニュアンスが違ってきます。
祥子さんは、ヨーロッパで長く踊ることによって、ヨーロッパの貴族のしぐさ、ニュアンスを表現できようになったのだと思います。
こんな感覚、他の日本人のバレリーナでは感じたことないです。
(米沢唯さんの踊りも端正で素晴らしいけど、ヨーロッパにいるという感じはしない)

遅沢さんは、祥子さんを美しく見せるようにサポートしてくださり、ありがとうございます。
特にアダージオでのフィッシュダイブ3連続、祥子さんの脚が天井に向くぐらい急勾配な角度で、あのような角度のフィッシュダイブは初めて見ましたが見事でした。

祥子さんの事ばかり書いてしまいましたが、まさに現役日本人バレリーナの中で一番のプリマでしょう。
今、年齢的にもキャリア的にも技術と表現のバランスが取れて、良い時期ですし、可能ならば彼女のすべての舞台を見たい!!と感じるくらい素晴らしい舞台でした。

熊川さんにも祥子さんを呼んでくれてお礼を言いたい気持です。
こんな素晴らしいプリマを見ることができる幸せ。
このオーロラはシネマにして欲しいし、祥子さんのジゼルも見たい!!











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2016年05月08日

新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」木村&中家

2016年5月7日(土)14時 オペラパレス
キトリ(ドゥルシネア)木村優里
バジル 中家正博
ドン・キホーテ 貝川鐵夫
サンチョ・パンサ 八幡顕光
キトリの友達 柴山紗帆 飯野萌子
エスパーダ 小柴富久修
街の踊り子 寺田亜沙子
メルセデス 本島美和
カスタネットの踊り 堀口純
キューピッド 五月女 遥
森の女王 細田千晶
第1ヴァリエーション 奥田花純
第2ヴァリエーション 柴山紗帆

新国立劇場バレエ研修所から一足飛びにソリスト採用されたライジングスター、木村優里さんの全幕初主演。
今しか見られない若さの輝きがあることを期待して行ってきました。

まだ若干20歳。32回転のフェッテを含む、難しい技がてんこ盛りでスタミナも必要なキトリ役を、ほぼパーフェクトで演じ切りました。それだけでも大したものです。劇場側の期待にも答えて、今後ますます役付きが良くなるでしょう。「20歳の新星!」とうたわれて次々と主役の座と射止める姿が目に浮かびます。

木村優里さんは164センチ。体重はわかりませんが、新国立劇場のダンサーの中でも飛びぬけてスレンダーで、手脚が長く細く、小顔でかわいく、少々立ち耳なのが気になるぐらいで、抜群の舞台映えがする容姿です。

小学生の頃からバレエコンクールの上位に何度も入賞しています。その後新国立劇場バレエ研修所に予科生から入って2015/16シーズンよりソリストです。バレエ研修所時代にボリショイ劇場で行われた世界のバレエ学校の集まる公演にも参加してソロパートを踊っていました。小学生の頃もかなりスレンダー体型ですので、そのまま変わらずに体型を維持しているようです。海外留学はしていないようですが、留学時に太ってしまう子も多いので、彼女の場合は留学しなくて良かったと言えるのかもしれません。

肝心の踊りですが、アティチュードやアラベスクを上げる角度は常に125度ぐらいで高いです。
森のシーンで、森の女王の細田さんが前、木村さんが後に並んで同じ振り付けでアラベスクをしますが、細田さんが110度くらいなのに対して125度。デフォルト125度と、まるでパズルのピースをかちっとはめるようにそのポジションに持っていきます。
アラベスクなどでのキープも十分にあります。
そして回転系のテクニックもあって、第1幕の闘牛士たちの前をペアテで進んでいくところもお見事でしたし、第3幕のグランパのフェッテは、シングル・シングル・トリプルを3セットで、ウェストの所で扇を開いて閉じてをつけていました。その後はシングル・シングル・ダブル。途中でちょっと傾いて、立て直そうとした時に、十分にロンデせずに正面でパッセに脚を巻き込んだのは汚い印象でしたので、そこが唯一残念なところでした。

優里さんの脚が十分にアンドォールしていないという人もいるので、どうなのかなぁと見てみました。
草刈民代さんもアンドォールできていないと言われていて、確かに写真で見るとアラベスクに上げた脚の膝が下を向いています。優里さんの場合は、それほどではなく、ほんのわずかな問題だと思いますが、たとえば米沢唯さんの踊りと比べると、優里さんの踊りが端正ではないと感じられるのは、そのあたりに原因があるのかもしれません。

演技に関しては、キトリという役柄は庶民的で年齢的にも近く、等身大で素直に演じれば良いので、普通にかわいくて良かったです。相手役の中家さんとは、橘バレエ学校の発表会で組んだこともあるようですし、サポートが上手ですので、やりやすかったことでしょう。

全幕主演がドンキというのは、若さと勢いで押し切れるので彼女にはぴったりでしたね。
それぞれ主役を張れる実力のある新国立のソリストやプリンシパルたちを脇役にして、盛り上げてもらって、その中心として、ちゃんと存在感のある演舞ができる、その精神力の強さに驚きます。
自分の実力を、舞台で常に100%、いや120%発揮できるダンサーになるのは、公演回数を重ねて経験を積んでいく中で(普通は)つちかって行くものなんでしょうが、それをこのように最初からできるというのは、熊川哲也みたいな物おじしない性格?(褒めてます)
むしろその精神的タフネスさを、私は賞賛したいと思います。観客の期待を背負うプリマの資質として。

これからは米沢唯さんの端正さや小野絢子さんの勘の良さなどを見習い、繊細で美しい表現ができるように鍛練していって頂きたいと願っています。

木村優里さんのことばかり書いてしまいました。
新国立のドンキ、そろそろ10年位経つと思いますので、ここらで新制作してはいかがでしょうか。
衣装も見飽きてきました。
以前も書いたように、この版は、ストーリーを追う楽しみがないのが欠点です。
東京バレエ団のドンキは「お祭りドンキ」と銘打っているくらい楽しいですし、Kバレエのドンキは、ストーリーと登場人物に工夫があって面白いです。
新国立の上手なダンサーたちが引き立つような楽しいオリジナル版、奇をてらわなくていいので、お子様でも楽しめるような普通のストーリーで、衣装と装置をぜいたくに!!











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2016年05月05日

新国立劇場バレエ「ドン・キホーテ」米沢&井澤

2016年5月3日(火)14時 オペラパレス
キトリ(ドゥルシネア)米沢唯
バジル 井澤駿
ドン・キホーテ 貝川鐵夫
サンチョ・パンサ 橋一輝
キトリの友達 柴山紗帆 飯野萌子
エスパーダ マイレン・トレウバエフ
街の踊り子 長田佳世
メルセデス 本島美和
カスタネットの踊り 堀口純
キューピッド 五月女 遥
森の女王 細田千晶
第1ヴァリエーション 奥田花純
第2ヴァリエーション 寺田亜沙子

まず、この公演で二つ強烈に印象に残ったことを申し上げます。
@マイレンエスパーダが登場の時に、帽子をポーンと天高く放り投げて、それがセットの上3分の2ぐらいの上方に、ありえないくらいに高くあがって、どっかに消えた!!(さすがマイレン、笑わせてくれます)
A唯さんの凄技フェッテ


新国立劇場のドンキは何度も見ていますが、版の特徴としては、バジルの狂言自殺で恋人達の物語の決着がついてしまったあとに、ジプシーのシーンやらキホーテの風車への突進、森のシーンがあります。
物語を語っていく事よりも、たくさんのダンサーが出てきて踊りで見せて行く方に重点が置かれています。

普通ならばメルセデス一人で演じるところを、街の踊り子とメルセデスで分けあっているので、エスパーダにとってはどっちが本命?とわからなくなり、さらにエスパーダはカスタネットの踊り子にも色目を使っています。(もしかしたらマイレン独自の演技かもしれませんが)

新国立劇場バレエ団のオノラブル・ダンサーであり、数々の王子を踊ってきた山本隆之さんがドン・キホーテを踊った時も衝撃でしたが、今回は貝川さんがドン・キホーテ役で、「ダンサーの旬の時期の短さよ…」と、いつの間にか王子がおじいさんになってしまったという哀愁を感じてました。(いえ、貝川さんはとっても上品で素晴らしいドン・キホーテを演じていらっしゃいました。王子役よりはまっていたかも。笑)

今回は脇やらチョっとだけ踊る役にもプリンパルやらファーストソリスト大量投入でした。
キャラクターや脇役はとても重要であり、舞台のなんたるかを知りつくしたベテランがそういう役をやることで、舞台の重厚さがぐっと増すことはわかっていますが、あれだけ踊れるプリンシパルの八幡さんがサンチョ・パンサとは… エスパーダをやらせてあげてもいいんじゃないでしょうか。

そして、オデットを踊ったこともある堀口純さんがカスタネットの踊りですからね…
キャラから言ったら森の女王とかが(ランクからしても)順当なんですけど。
それならいっそ長田佳世さんがこの踊りをどう踊るか見たかったです。
東バならばジプシーの踊り、新国立ならカスタネットの踊りは、ちょっとメインストリームからはずれた異質の踊りなんですけど、ここで魅せられるダンサーはなかなかいなくて、「上手いけど綺麗じゃない」「綺麗だけど面白くない」というパターンが多いんです。
堀口さんは、どちらかというと「綺麗だけど面白くない」方のパターンでしたけど、不思議な透明感があって、ジプシー女でなくて白鳥が踊ってるみたいでした。

メルセデスの本島さんは、さすがの華やかさでぴったりでした。上体が固くて、あまり大きくそらないのが残念ですけど(その点はたぶん堀口さんの方が柔らかいと思います)
本島さんも、すっかりベテラン扱いで主役が回ってこなくなりました。プリンシパル8名のうち、主役を常に踊る人が実質2,3人で後はキャラクテール要員というのは、バレエ団としてどうなんでしょう??

とまあ、いろいろ思うことはあるのですが、そのような重厚な脇役をしたがえて真ん中で踊る二人は、飛びぬけたオーラはありませんが、主役としての責任はちゃんと果たしていたと思います。
井澤王子は、演技は薄めでしたが、片手リフトもちゃんとこなし、ソロもきれいで見ごたえがありました。
そして、米沢唯さんは、盤石のテクニックを持っていますから、どの踊りも安心して見ていられます。
高度なテクニックがあるから、その分余裕があって、音にぴったり合わせることができる。それが観客にとっては胸のすくような爽快感を感じさせます。

第1幕でバジルと同じ振りで回転を入れて踊る所、男性の方が早く回転して女性が遅れることが多いのですが、そこもぴったり二人で揃っていました。
あまりこれみよがしなことはしないのですが、バランスも長くて、すべての踊りが端正で、雑なところがないというのは凄いことです。

第3幕のフェッテは、トリプル‐シングル‐シングルで、トリプルの最中に手を上にあげてから腰に下ろすと同時に扇を開いてひらひらするという大技を3セット入れていました。
あんな技をさらっと涼しい顔でやるんですから、もう観客大熱狂でした。

アンサンブルや脇役まで舞台を盛り上げていて、とても楽しい公演でした。


















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2016年05月02日

東京バレエ団「ラ・シルフィード」沖&松野

2016年4月30日(土)14時 東京文化会館

ラ・シルフィード:沖香菜子
ジェイムズ:松野乃知
エフィー(花嫁):河谷まりあ
ガーン(ジェイムズの友人):和田康佑
マッジ(魔法使い):森川茉央

ラコット版のラ・シルフィードが面白いのは第1幕にあるオンブル(影)のパ・ド・トロワ。
ジェイムズとエフィーが婚約パーティで踊るところに、いつの間にかシルフィードが入り込む。
シルフィードが見えるのはジェイムズだけ。
ジェイムズ以外の人間たちにはパ・ド・ドゥに見えるが、ジェイムズとシルフィードにとってはパ・ド・トロワ。
エフィーにはシルフィードは見えないけれども、ジェイムズの気持ちがどこかまっすぐ自分に向っていないことを感じながら踊る。

ジェイムズは、かわいくて愛らしいエフィーと、蠱惑的なシルフィードのはざまで、どちらを選ぶかという悩みをかかえながら、二人の相手をして踊る。
沖香菜子のシルフィードは静謐で、この世のものならぬほど美しい。踊っている間にも、その魔力のようなものにジェイムズがどんどん惹かれていくのが感じられた。

そしてついにジェイムズはシルフィードを追って森の奥へ行ってしまう。
松野乃知はアントラッせの後脚が高くあがるし、繊細ながらダイナミックな跳躍が素晴らしい。

第2幕、フライングなどもあり、森でのシルフィード達の踊り。
フォーメーションの移動もきれいで、体の角度もぴったり揃っていて、極上のコールドバレエだった。
芸術監督、斉藤由佳里の指導が行き届いていることがうかがえる。

マッジにそそのかされて、ヴェールをシルフィードにかけると、羽根が取れて急速に弱っていく。
そして、シルフィードの細い腕が、力なく下がると、パサッと中身がなくなって蝉の抜け殻になったようで、この臨終シーンは今まで見た事のない表現であった。
そして、その後のジェイムズの慟哭。
 
沖シルフィードと松野ジェイムズは、これが2回目のラ・シルフィードだったが、特にこの第2幕後半は二人とも役に入りこんでいて、観客もどんどん舞台の世界に引き込まれて行きました。

舞台の素晴らしさを堪能した公演でした。





 








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2016年04月01日

パレエ・プリンセス

2016年3月31日(木)18:30 新宿文化センター
オーロラ姫(眠れる森の美女):米沢唯(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
白雪姫:木村優里(新国立劇場バレエ団ソリスト)
シンデレラ:池田理沙子(バレエスタジオDUO)
王子(シンデレラ):橋本直樹
王子(眠れる森の美女):浅田良和
リラの精(眠れる森の美女):長田佳世(新国立劇場バレエ団プリンシパル)
ヴィラン:高岸直樹
義姉(シンデレラ):樋口みのり(谷桃子バレエ団) / 義姉(シンデレラ):樋口ゆり  
宝石(眠れる森の美女):副智美 / 宝石(眠れる森の美女):田中絵美(谷桃子バレエ団)
白い猫(眠れる森の美女):松本佳織(東京シティ・バレエ団) / 赤ずきん(眠れる森の美女):塩谷綾菜(アートバレエ難波津)
フロリナ姫(眠れる森の美女):五十嵐愛梨(山本禮子バレエ団)
宝石(眠れる森の美女):西野隼人 / 狼(眠れる森の美女):小山憲(バレエスタジオHORIUCHI)
長靴をはいた猫(眠れる森の美女):荒井成也(井上バレエ団)
道化(シンデレラ):田村幸弘(バレエスタジオDUO)
ブルーバード(眠れる森の美女):二山治雄(白鳥バレエ学園)

三大プリンセス物語をくっつけちゃったバレエ少女向け公演。
幕があくと、少女(10歳前後)たちのレッスン風景で、親たちが迎えに来て、一人取り残された少女が童話を読みだすと、その世界がバレエで展開するという趣向。

最初は「白雪姫」
小人の踊りの後に小屋から出てきたのは、シルフィード!!!
でなく白雪姫なのね、あ〜びっくりした。お話が変わったのかと思った。
でも頭に付けた花かざりといい、キラキラした白い衣装といい、どうしても私には白雪姫(ディズニー)よりもシルフィードにしか見えなかった。
ということはさておき、木村優里さんは、柔らかいアームの動きがきれいで、目を惹きつけられました。
一流プリマのような堂々とした雰囲気があるんですよね。小さいころから数々のコンクールに上位入賞し、新国立劇場でもソロばかり踊ってるわけだけど、それにしてもダンサーとしてはまだ駆け出しなのにこの強心臓。
そこへ絶世の高岸美女(白雪姫の継母)登場。ガタイも大きいけれど、踊りも演技も大きい。舞台の半分ぐらい専有しているような存在感がハンパない。

白雪姫が毒リンゴを食べてエンド。
また少女が現れ、今度はシンデレラの絵本を読む。

ボロ服のシンデレラが義姉たちにいじめられて、すぐに舞踏会の場面。ここではコールドも登場。
橋本王子が素敵に登場してソロを踊って、義姉や継母にからまれそうなところを道化が救う。
しばらくしてシンデレラが登場。王子と踊る。
12時になって子供たちが登場して時計の精の踊り。これはなかなか良かった。
ガラスの靴を落として王子が拾うところでエンド。
第1幕終わり。
第2幕はほぼオーロラ第3幕。
高岸カラボス(美女!)が現れ、リラと王子がカラボスを倒す。
オーロラに口づけして目覚めたら、さっさと結婚式のシーン。
リラのヴァリ、宝石、白い猫、青い鳥、赤ずきん、グランパ。

眠ってしまったバレエ少女をママがお迎えに来てエンド。
フィナーレに、チラシの萩尾画伯の絵と同じような衣装、ポーズのプリンセス。

思いっきりいいとこどりの演出で、子供も退屈する暇なくて良かったと思います。

高岸さん、濃い顔だちの方ですが、あれほど女装が美しいとは!!悪役三連続お見事でした。

プリンセスたちは、白雪姫の木村さんは華やか、シンデレラの池田さんはかわいい、オーロラの米沢さんは端正でした。

王子の橋本さんと浅田さんは、少女たちが「キャ〜〜」というようなアイドルタイプではないけれど、プロの王子としてそつなくまとめておりました。でもご両人がKバレエで輝いていた時代を観ていた者としては、何か物足りない。それはやはり、団員の競争のなかでの切磋琢磨とか、熊川ディレクターの厳しい目を意識する緊張感とか、そういったものなんでしょうか。

男性ダンサーは、有名バレエ団に在籍してある程度立つと、生活の為なのかフリーになる方が多いですが、フリーランスだと先生からの指導が団員のようには受けられないだろうし、よっぽど自分の目標が高くなければ、主に技術面で上に行くのは難しい。

一流バレエ団でプリンシパルとして踊っている長田さんや米沢さんは、プロフェッショナルとして、そのただずまいからして違っています。まず、脚の筋肉が、無駄のない美しいラインをしています。長田さんの脚なんかもう、ほれぼれします。とぎすまされている。プロってそういうもの。

その点、池田さんは、まだまだ舞台経験の足りない上手なアマチュアといった感じです。
小顔でバランスのいい体型だし、清水冨美加に似たかわいい顔立ちなので、これから精進して欲しいですが、正直言って、ソリスト入団しなくてもコールドからでいいと思いました。

ニ山治雄君は、出てきただけで拍手喝さいで人気があります。
彼の開脚はアクロバティックで、見ているだけで楽しいし、すがすがしい。
だけども、踊っている本人は笑顔が出なくて、あまり楽しそうじゃないのが気になります。高校卒業して調理師免許も取ったそうだけど、進路に悩んでいるのかしら?
彼は背が低いから、たとえば新国立バレエ団に入っても、王子ではなくて道化にキャスティングされてしまいそう。
そういう役も重要ではありますが、彼の素晴らしい素質を良い方向に育ててもっと開花させる道はないものかと思います。

フロリナを踊った五十嵐愛梨さん、小顔でかわいらしく、プロポーションも良く達者な踊りでとても良かったです。彼女のシンデレラでもよかったかも。

カーテンコールで並ぶと、木村さんは驚異の小顔で、首が長くて宇宙人みないに人間離れしたプロポーションですね。こんなスタイルのダンサーはめったにいないから、大原監督が引き立てたいのも分かります。

客席に中村祥子さんがいました。すらりとして大変美しく注目の的でした。
あたりを払うようなオーラがありました。
今私が観たいのは祥子さんの踊るプリンセスだなぁ、とついつい思ってしまいました。









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東京バレエ団「白鳥の湖」秋元&渡辺

2016年2月7日 2PM  東京文化会館

オデット/オディール:渡辺理恵
ジークフリート:秋元康臣
ロットバルト:森川茉央
道化:山本達史
パ・ド・カトル:吉川留衣、沖香菜子、原田祥博、入戸野伊織
アダージオ: 河谷まりあ

四羽の白鳥:安西くるみ、松倉真玲、中島理子、平松華子
三羽の白鳥:三雲友里加、崔美実、榊優美枝

花嫁候補:二瓶加奈子、政本絵美、崔美実、川淵瞳
四人の道化:海田一成、高橋慈生、中村瑛人、井福俊太郎
スペイン(ソリスト):伝田陽美
スペイン:安田峻介、吉田蓮、杉山優一、入戸野伊織
ナポリ(ソリスト):金子仁美
チャルダッシュ(ソリスト): 乾友子、矢島まい、松野乃知、古道貴大
マズルカ(ソリスト):奈良春夏、木村和夫

ブログに感想を書くのが遅れていましたが、期待値が高かったわりにそれほどでもなかったというのが正直なところです。
ブルメイステル版を持ってきて、モスクワ劇場バレエからユカリーシャが一着一着衣装を選んで借りてきて等々、大変力のこもった宣伝がなされていました。
確かに、この版を取り入れて良かったと思えることとして、第3幕のキャラクターダンスがみんなとても上手になっていた事です。このキャラクターダンスって日本人は振りをなぞるだけで、その血沸き肉踊る内側からのパッションみたいなエッセンスがなかなか表現できないのです。
だから、ロシアのバレエ団のキャラクターダンスは観ていて面白いけれど、日本のバレエ団のは退屈で、「早く終わって…」となります。
今回の第3幕は、その演出もあいまって、飽きさせないドラマが展開されてワクワクしました。マジックのようにあちこちからオディールがパッパッと現れて。大変面白かった3幕。

それに反して、1幕がつまらない。幕が開くと村人と王子がいて(王子の存在薄っ!)遊んでいると、王妃とお付きの女官たちが来て、歩いてばっかりいましたが、これは歩いて宮殿に行ったということなのか??…
村人たちがいるような外の広間で踊るにしてはパ・ド・カトルの方々の衣装がティアラ付きでフォーマルで場違いではと感じらましたし、慣れ親しんだ通常版の第1幕が私は好きです。妙技で魅せるパ・ド・トロワ。夕暮れが近付いてランタンを持って帰っていく村人たち…という。ブルメイステル版の第1幕は、音楽と振付があってなく、踊りも少なくて歩いているばっかりに感じられました。

第2幕は通常のイワノフ版だそうで、コールドはきれいでした。第4幕は、王子とオデットが結ばれない運命を嘆きながら踊る「ショパンのように」という曲がなかったのは残念です。

今回は秋元王子目当てでしたが、やはり踊りが本当に巧い。けれど演技の方は相変わらず大根だと思います。いえ、彼の場合は踊りですべて語れるダンサーだと思います。王子の踊りが少ないので、もっとガンガン踊らせてください。

どうせならユカリーシャさんが秋元王子の見せ場をふんだんに取り入れつつ、(そうすることで、東バの他の男子のクラック技術向上にも役立つ)、プルメイステル版の第3幕を頂戴しつつ、いいとこ取りで自分のオリジナルバージョンを作ってしまえば良かったのに、と思います。芸術監督として駆け出しだから、そこまでの権限はまだないのかもしれませんが、白鳥の湖はバレエ団のドル箱なのですから、ぜひお願いします。

渡辺理恵さんは、こんなにスタイル良かったでしたっけと思う位、腕や脚の長さが際立って大変に美しかったです。(魅せ方が上手になったのかな)オデットははまり役ですが、オディールは技術的に少し苦しい。フェッテのスピードがなくて迫力不足で盛り上がらない!!特にこの演劇的ヴァージョンでは、あのフェッテでガンガン攻めて王子のハートをノックアウトするのがポイントだというのに!!

道化の山本さんはとても達者でした!東京バレエに入団して正解でしたね。




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2016年01月12日

Kバレエ「白鳥の湖」in Cinema

2016年1月12日(火)13:00 ユナイテッドシネマ平塚

オデット/オディール 中村祥子
ジークフリード 遅沢佑介
ベンノ 井澤諒
ロットバルト スチュアート・キャシディ
パ・ド・トロワ 神戸里奈 佐々部佳代 池本祥真
王妃 西成雅衣

2015年11月1日マチネの録画

Kバレエの白鳥は何度も観ていますが、このシネマ版は大変見ごたえがありました。
中村祥子さんが素晴らしい!
第2幕の白鳥のシーン、ひとつひとつの動きに意味があり、オデットの心情が伝わってくる。
ずっと鳥肌が立っていました。
祥子さんの白鳥は、2005年頃、スチュワート・キャシディの王子でオデットだけ踊った時、2009年頃オデットオディールを踊った時(王子は忘れたけれど、たぶん宮尾さん?)と観ましたが、今回がいままでで一番良かったです。
特に白鳥が深化を遂げていました。
祥子さんはその間、結婚をし、子供を産んで復帰し、本拠地を日本に移しています。
子供を産んで第1線に復帰してバンバン主役を踊っているプリマは、いまの日本では祥子さんぐらいでしょう。

はっきり言ってテクニックは以前の方がすごかったと思う所もあります。
特に黒鳥のフェッテ、以前は最初から最後まで全部ダブルで回っていました。
今回は、前半はダブル連続で後半はシングルーダブルとなっていました。
でも、そんなことは気にならないくらい、今の祥子さんは表現力とテクニックが円熟期に入って最高の状態にあると思います。
中村祥子を観るなら、今でしょう!
というわけで、祥子さんを日本に呼んでくれた熊川さんに感謝しつつ、これからは積極的に中村祥子さんの出るKバレエを観ようかと思っています。(熊川さん出演時のチケットよりも5000円安いし。)

王子役の遅沢さん。登場シーンで、あれ、この人って、こんなにスタイル良かったかしら?とあらためて感じました。太ももが発達しすぎてなくてすらっとしていて美しいスタイルです。
遅沢さんは、Kバレエでかつて主役をはった男性達が次々と退団していく中、長身のプリンシパルとして、熊川さんが(身長の釣り合いの点から)相手役になれないプリマの対応や、団のかなめとして、使われすぎていて、怪我でもしやしないかとヒヤヒヤしております。
今やKバレエの大看板である中村祥子の相手としては、宮尾王子では物足りないので、やはり踊りの上手な遅沢王子にガンバってもらうしかない。しかし遅沢さんもいつまでも踊っていられるのだろうか?という心配をしてます。

Kバレエの男性陣は踊りの上手な子が多くて、井澤さんや池本さんを筆頭にレベル高いです。
けれども身長のある男子は少ない。
高身長で見た目が一番良いのは栗山さん。王子に抜擢されたし、これから精進してください。

その他、気がついた点をいくつか書きます。
王妃役の西成さん、新国立劇場バレエ研修所出身ですが、バヤデールのアイヤとか王妃とか、キャラクター系に行くとは思わなかったけれども、すごく美しい王妃で見栄えが抜群でした!!

パ・ド・トロワの神戸さんが素晴らしかった。軽やかで愛らしくて。退団なさったそうで残念です。

チャルダッシュのリードをやっていた白石さん。日本人には珍しい程の色っぽさをお持ちです。
それを発揮したチャルダッシュ、とても良かったです。
退屈になりがちなキャラクターダンスをゴージャスに味付けしてくれました。

白鳥のコールドにいても、スタイル、特に首の長さが美しい山田蘭さん。
新国立劇場バレエ研修所時代から見ているので、もうそろそろ昇格するといいと思っています。

Kバレエの白鳥の湖は、何年か前の改訂で、第1幕の王子のソロをカットして、王子が本格的に踊るのは第3幕の黒鳥のヴァリエーションのとこだけという、王子のセーブ運転モードヴァージョンになっています。(熊川さんが踊ることを考えてでしょうが)
かわりに男性で一番派手に踊るのがベンノ。第1幕で以前家庭教師が踊っていたところもベンノが踊りますし、第3幕の冒頭でも大変難しいソロがあります。
今回ベンノを踊った井澤さんは、大変見事に踊りこなしていました。

全4幕を映画だとノンストップで約2時間半で上演します。
とても濃密な作品ですので、途中で10分ぐらい休憩が欲しくなりました。







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